何だかんだで似た者同士の2人。
今作では如何なるのやら。
今回もお楽しみ下さい!
一夏side
「わ、私の名前は、更識、簪。私に、教えて欲しいの。あなたの、強さの、理由を...」
放課後、IS学園の整備室。
製品だどんな感じに使われているのが知りたいという主任の指令の元、ここに来ていた。
作業をしていた生徒に話し掛けようとした時、ある女子生徒に声を変えられた。
それがこの、更識さんだった。
そして、更識さんはさっきの言葉を発した。
その表情は、何とも言えない痛ましさを含んでいた。
...これは、一度ちゃんと話さないといけない。
[マスター、この近くに未完成のIS反応があります]
(本当か?白騎士)
[はい、間違いありません]
(...もしかしたら、それも関係がありそうだ)
取り敢えず、会話しないと始まらない。
俺はそう判断し、更識さんに声を掛ける。
「なぁ、更識さ「簪」え?」
「いや、あ、その...苗字で呼ばれるのは嫌いだから、その、下の名前で...」
俺の発言に被せるように自身を名前で呼ぶなという更識...いや、簪さん。
これは、俺の想定以上の重い話がありそうだ。
「じゃあ、簪さん。君の事情を話してくれないかな?正直、あの情報だけだと話せない」
「あ、その、ごめんなさい。えっと...話は、あっちで...」
そうして、簪さんが指をさしたのは、整備室の中でも、一番奥の方だった。
よく見ると、追加の扉で区切られている一角がある。
恐らく、その中でという事なんだろう。
「分かった、移動しようか」
「は、はい」
そうして、俺と簪さんはその区切られた一角に移動する。
簪さんが扉を開けると、そこにあったのは...
機体の3分の2位の装甲しかない、未完成のISだった。
「これは...」
「これは、打鉄弐式。私の、専用機」
「でも、これって」
「そう、未完成」
簪さんはそう言い、何故未完成なのか説明してくれた。
この打鉄弐式の開発元は、倉持技研だと。
倉持技研。
その名前を聞いた時点で、俺は打鉄弐式が未完成の理由を理解した。
倉持技研は、白式の開発元で、今現在は俺の専用機を許可なく作ったことで、もうISの開発と研究が出来ない。
つまりは、未完成の原因は、俺だ。
それを理解した時、俺は頭を下げていた。
「申し訳ない。俺のせいで、簪さんの専用機を奪ってしまった」
「い、いやいや、大丈夫です...悪いのは、勝手に専用機を、作った、倉持だから」
如何やら、怒ってはいないらしい。
それを理解した時、俺は安堵した。
だが、それと同時に疑問が出て来る。
簪さんは、『強さの理由』を教えて欲しいと言った。
聞きたい理由を聞いていない。
それに、何故未完成のISがここにあるのかも。
「...専用機が未完成な理由は理解した。だけど、何でそのISがここにあって、俺に強さの理由を聞いてきたんだい?」
「.....姉に、追いつきたいから」
「姉に?」
俺が聞き返すと、簪さんは頷いた。
そして、そのまま説明をしてくれる。
「私の姉は、ロシアの国家代表なの。候補生じゃない、代表なの。そして、この学園の生徒会長でもある」
「国家代表で、生徒会長」
物凄い肩書の持ち主のようだ。
そんなお姉さんを持ったら、追いつきたいと思うのは普通だろう。
だけど、簪さんから感じる感情は、そんなものじゃない。
何と言うか...執念というんだろうか...
「それだけじゃない。昔から、私よりも、何もかも優秀だった。私よりも頭がよくて、身体能力が高くて、家事能力があって、人望もあって、明るくて...そんな姉だったから、私は昔から姉と比べられた」
「っ...」
何だ、その過去は...
「姉と比べたら、私はダメダメだった。だから、周りの大人から、出来損ないって言われたりもした。それでも私は努力を続けた。姉に追いつきたかったから。姉に、認めて欲しかったから」
あまりにも、似ているじゃないか...
「それなのに、姉は私に言った。『あなたは無能でいなさいな。私が守ってあげるから』って。私は、怒ったよ。私は、無能なままでいたくはない。それなのに、姉は...」
「.....」
チョッと似てないところもあるが、やっぱり...
「だから、私は、強くならないといけないの。姉を見返さないといけないの。だから、ISも自分で組み立ててる。だって、姉が1人でできたから...」
似すぎている、
「だから、教えて!私に、強さの、秘訣を...!」
簪さんは泣きそうになりながら、そう言う。
恐らく、今改めて思い返して、感情が爆発しそうなんだろう。
「...簪さん、俺の強さの秘訣の前に、聞いて欲しいことがあるんだ」
「聞いて欲しい事...?」
そう言い、簪さんは首を傾ける。
俺は頷くと、続きの言葉を発する。
「俺の姉は、世界最強だからさ。俺も、姉と比べられて、虐められたりも、出来損ないって言われたりもした」
「あ...」
簪さんは、如何やら俺が世界最強の弟だという事を今思い出したようだ。
俺は笑いながら、話を続ける。
「ねぇ、簪さん。世界最強って...織斑千冬って、どんな人だと思う?」
「え...?えっと、完璧で、何から何まで出来ちゃうような、人」
へ~、世間の千冬姉ってそんなイメージなんだ。
何か、現実と全く違うなぁ。
「いや、そんな人なんかじゃ無いよ、俺の姉は」
「え?」
「千冬姉は、家事が出来ないんだ。掃除、洗濯、料理...全部ね。だから、昔っから俺がやってたんだよ」
「そ、そうなんだ...」
簪さんは、何処となくショックを受けた感じだった。
何だ?
幻想の千冬姉に憧れていたのか?
まぁ、それよりも...
「そんなさ千冬姉の一面ってさ、俺と、あとは...束さんくらいしか知らないのよ。そんな、一面は誰でも持ってる。多分、そのお姉さんも」
「で、でも!姉は、そんな場面、私には...」
「多分だけどさ、お姉さんは、簪さんの事が大事だからこそ、弱みを見せてないんじゃないのかな?」
「えっ...?」
「人間だれしも、大事な守りたい存在にはさ、強い自分を見せたいんだよ。守りたいからこそ、弱い部分を見せたくないんだよ」
「.....」
簪さんは黙っている。
多分、俺の言った事を考えているんだろう。
「さて、俺の強さの秘訣だったね」
俺がそう言うと、簪さんはバッと顔を上げる。
俺はそんな簪さんの事を見ながら、声を発する。
「俺の強さの秘訣は、バディや仲間、友人がいる事...かな?」
「っ!私が聞きたいのは、そういう事じゃ...!」
「まぁまぁ、最後まで話は聞いて。バディや仲間がいるっていうのは、それだけ出来る事や、やる事に対する力が増えるってことだ」
「...?」
簪さんは首を傾げる。
「仲間がいるっていうのは、自分一人では出来ない事が出来るっていう事だ。自分が苦手な事でも、それが得意な仲間がいるかもしれない。それに、仲間がいるっているっていうのは、作業の効率化も出来る。だからこそ、俺はバディや仲間が大事だと思うんだ」
「...でも、姉は、1人でISを!」
「それ、本当に1人だった?」
「え?」
「コアを用意したのも?武装等のアイデア出したのも?パーツを用意したのも?本当に、お姉さんは1人だった?」
「そ、それは...」
簪さんはそこで黙ってしまう。
勿論、俺は何処から1人だったのか知らない。
でも、流石にこれは1人では出来ないだろう。
「そう。言ってしまうと、パーツとかを用意した人とお姉さんの間に絆は無いかもしれない。でも、お姉さんは1人では無かった。1人じゃない。それだけで、強くなれるのさ」
「...でも、出来損ないの私になんて、協力してくれる人なんて...」
「出来損ないって言ってきた奴は、この学園にいるのかい?」
「そ、それは...」
「いないだろう?それに、さっきも言ったけど、俺も出来損ないって言われてたんだ。そんな俺でも、仲間や友人がいるんだ。だから、簪さんにも協力してくれる人はいるさ。クラスメイトだったり、教師だったり...所属やクラスは違うけど、俺だって。だから、1人じゃなくて、仲間を作ろうぜ」
「...私でも、仲間が、出来るの.....?」
「ああ、大丈夫さ」
俺は、なるべく安心させようと、笑顔にでそう言う。
すると簪さんは
「う、あ、あぁ、うわぁぁぁぁぁぁん!!」
と泣き出してしまう。
今までため込んできたものが限界に来たらしい。
...ここで、俺が出来ることは、
ビクッ
簪さんが反応する。
俺が、頭に手を置いたから。
俺はそのまま手を動かし、頭を撫でる。
「あ、うわ、ああぁぁぁ」
簪さんはまだ泣いていたが、落ち着いたようだった。
[マスターが、マスターが私達以外の頭を...]
[白騎士お姉ちゃん、如何しよう、このままだと...]
[[マスターが私達の頭を撫でてくれなくなる!?]]
(なーにを考えているんだ、お前ら)
こんな時間は、暫く続いた。
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暫くして、簪さんは泣き止んだ。
だけれども、簪さんが、まだしてほしいとの事だったので、俺はまだ簪さんの頭を撫でていた。
[[....羨ましい]]
(我慢してくれぇ)
白騎士と白式は嫉妬の声を上げるが、我慢してもらおう。
...クラリッサさんとチェルシーさんが泣いていた時は、抱きしめたなぁ。
何だろうか。
簪さんは、抱きしめるのは違うって言うか...
クラリッサさんとチェルシーさんは、俺の中で特別って言うか...
クラリッサさんとチェルシーさん以外は抱きしめたくないなぁ...
「そろそろいいかな?」
「あ、うん...」
簪さんが頷いたのを確認し、頭から手を離す。
簪さんは物すんごく名残惜しそうだったが、このままだと話が進まないので離させてもらおう。
「もう、大丈夫そうだね」
「うん、これからは、誰かを頼ってみるよ。それから、その...」
「ああ、俺も手伝うよ、簪さん」
「あの、わ、私も『一夏』って呼ぶから、私の事を『簪』って呼んで」
「...分かったよ、簪」
俺が笑顔でそう言うと、簪は顔を真っ赤になってしまった。
何で名前呼びしただけで顔が赤くなる人が多いんだろう?
クラリッサさんとチェルシーさんも呼び捨てにしたら顔赤くなるかな?
そうなったら、可愛いんだろうなぁ...
じゃなくて!!
「それで、簪。お姉さんともちゃんと話さないとね」
「.....うん、頑張ってみる。だからその...ゆ、勇気が出ないから、協力して?」
「ああ、分かった」
そうして、俺は簪と握手する。
あ、それはそうと。
「簪、聞きたいことがあるんだけど」
「何、一夏?」
俺は、そのまま工具の一つを手に取ると、簪に向き直り、
「うちの製品って、使い心地どう?」
ここに来た本来の目的を果たすのだった...
無理矢理白騎士と白式を出しました。
正直これぐらいじゃないと、今は出番が無い...
ん?ヒロイン?
あー、そのぅ...その内ちゃんと一夏と関わります!
次回もいつになるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
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