自己嫌悪モードになってしまっている一夏、如何するの!?
今回もお楽しみください!
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一夏side
時刻は進み、昼休み。
俺はディミオスと共に食堂に向かっていた。
1時間目の後に織斑先生が全校放送を使い、学年別トーナメントで優勝したら俺と付き合えるという噂は嘘だと説明してもらった。
正直に言うと、ただでさえ篠ノ之関係等で忙しい織斑先生にこんな事をしてもらうのは、とても申し訳なくなってくる。
因みにだが、その放送が流れた瞬間、学園中から絶叫が響き渡った。
如何やら本気で信じていた人が多かったらしい。
校舎が揺れた(気がした)。
そんな事を考えながら歩いていると、食堂に着いた。
俺は日替わり定食の食券を買い、そのまま食堂のオバちゃんに渡す。
直ぐに料理が出て来るので受け取ると、空いている席に座って食べ始める。
はぁ...
クソ、気分が上がらない。
俺がそんな事を考えていると、
「一夏!何辛気臭い顔してんのよ!」
鈴がそう声を掛けて来た。
俺がその方向を見ると、鈴の後ろにセシリアと簪とラウラがいた。
...俺の周りには、専用機持ちが集まりやすいのか?
「ああ、チョットな...」
自分の最低さに自己嫌悪してるだけさ.....
「まぁ、あんな噂出てたら気分が落ち込んだり怒ったりするのも分かるけど、元気出しなさいって!」
鈴はそう言いながら、ニコッと笑う。
鈴は昔から、こうやって自然に励ましてくれるんだよな。
「なら、気分を紛らわすために会話してくれ。そうだな.....皆、今の所誰とペアを組むんだ?」
取り敢えず、気分を紛らわせようと皆にペア作りの予定を尋ねる。
すると、皆思い思いの返答をしてくれる。
「アタシは、ルームメイトのティナと組む予定よ」
「私も、キサラさんと組む予定ですわ」
...ペア探すの楽したな?
まぁ、ルームメイトという学園内で1番一緒にいると言っても過言ではないくらいの人と組んだ方が連携訓練とかもしやすいか。
「私は、本音と組むよ」
「のほほんさんと?仲良いの?」
「私と本音は、幼馴染だから」
「初耳」
そうだったのか...
まぁ、聞かれてもない事をわざわざ言わないか。
「私は転校してきたばっかりだからな...如何するか...」
ラウラはまだ決まっていないらしい。
「まぁ、1組の生徒で良いんじゃない?皆良い子だし」
「フム、ならそうするか...」
実際にラウラは代表候補生で専用機持ち、それにIS部隊隊長といペアを組みたくなるような肩書しか持ってないんだから、比較的楽にペアを作れると思うけどな。
...そう思うと、ペア作りが苦手な人って如何するんだろう?
こういうペアシステムって絶対に1部の人が嫌な思いをするもんだと思うんだけどな...
「アンタは1人でしょ?大変ねぇ」
「...まぁ、元々1人で4人みたいな戦い方だから、何時もみたいに戦うだけだ」
鈴が1人の事を大変だと言ってきたので、俺はそう返答する。
すると、鈴はニッと笑いながら、
「アンタはそう言うと思ってたわ!この前は決着つかなかったけど、ほとんど私は負けてたし、リベンジしてやるわ!」
そう言ってきた。
すると、鈴に触発されたようにセシリア、簪、ラウラが
「私も、絶対に一夏さんに勝ってみせますわ!」
「打鉄弐式の初試合...一夏とも戦って、勝ちたい」
「この前も言ったが、私はお前に負けてるんだ。シュヴァルツェ・ハーゼ隊長として、負けっぱなしではいられない!リベンジするぞ!!」
そう次々に言ってくる。
それを聞いて、俺も自然に笑みがこぼれてしまう。
そうだ、皆、やりたいことを目指して努力しているし、そのやりたい事に俺との模擬戦での勝利がある。
なら...俺も、やるべきことを全力でやらないとなぁ!
俺はそう思うと、思いっきり机に頭を打ち付ける。
がぁぁぁぁん!!
結構すごい音が鳴り、衝撃が俺の頭に響いてくる。
「い、一夏?何してるの...?」
簪がそう尋ねて来るが、俺は答えない。
そうだ、悩んだり、自己嫌悪は後で出来る。
でも、シャルルとの1対1での会話は今日しか出来ない。
ならば...やるべき事を、疎かにしてはいけない。
俺は、頭を机に付けたまま、呟く。
「ゴー・トゥー・ワーク」
さぁ...やってやる!
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放課後、俺はディミオスと共に生徒指導室にいた。
理由は当然、シャルルとの会話だ。
シャルルには、もう既に織斑先生から生徒指導室に来るように伝えてもらっている。
《一夏...いけるか?》
「当然」
待っている間、ディミオスがそう語り掛けて来た。
確かに、完全に落ち着けたわけではない。
それでも、自分のやるべきことくらいは理解しているし、やれる。
コンコン
「シャルル・デュノアです。入ってもよろしいですか?」
ここで、扉がノックされると、シャルルが入室の許可を求めて来た。
「ああ、入っていいよ」
「あれ、一夏?」
俺がそう答えると、シャルルは首を傾げながら入室してきた。
まぁ、織斑先生から呼ばれていった生徒指導室に俺がいたら驚くのは当然か。
俺は笑いながら、シャルルに語り掛ける。
「驚かせて悪いな。1対1で話したいことがあったから、織斑先生に頼んで呼んでもらったんだよ」
「ああ、そうだったんだね」
「すまない。ペットボトルので良かったら紅茶用意したけど、飲む?」
「じゃあ、貰おうかな」
シャルルは俺が差し出した紅茶のペットボトルを受け取った。
そして、そのまま蓋を開けて、中身を飲む。
中身を飲んでいる間、俺は1回席を立つと、扉の鍵を閉めてから、座っていた席に戻る。
俺が席に着いたタイミングで、シャルルは口元からペットボトルを話し、蓋を閉める。
「それで、話って何?」
ここで、シャルルが話の内容を尋ねて来た。
まぁ、話がしたいって言われたら、その内容は気になるだろう。
「実は、デュノア社の事で聞きたい事があるんだ」
「
シャルルはまたしても、首を傾げる。
俺は頷くと、シャルルの両目をジッと見る。
「ああ、そうだ。シャルル.....いや、シャルロットと呼んだ方がいいか?」
「え?」
そう言われた瞬間、シャルルは必要以上に慌てた反応を見せる。
「な、なな何を言ってるの?ぼ、僕の名前は「その慌てた反応で、違うと言い逃れが出来ると思っているのか?」そ、それは...」
これは、もう確定だな...
「此方で色々調べさせてもらった。デュノア社社長夫婦間に子供はいない。社長と愛人間に、シャルロットと名付けられた少女が1人いるだけ。この少女が、お前だな?」
「.....うん」
シャルロットは、力なく頷く。
俺はそれを確認すると、続きを話し始める。
「その愛人が亡くなり、お前は社長夫妻に引き取られた。そこで、高いIS適正があったのを確認し、デュノア社テストパイロットとなった」
「.....」
シャルロットは、何も言わない。
俺だって人間だ。
心は痛む。
だが、ここで止める訳にはいかない。
「月日は流れ、今年3月。立て続けに男性IS操縦者が2人発見され、IS学園に入学することとなった。その男性IS操縦者は何と少女と同年代だった」
チラッとシャルロットの方を見ると、俯いて地面を見たままピクリとも動かない。
俺は、そのまま話を続ける。
「そこで、経営難になっているデュノア社は考えた。『男性IS操縦者のデータがあれば、新しいISが造れるんじゃないか』と。そのため、同学年だったお前がIS学園に転入することとなった。接触がしやすいように、男と偽って」
俺は、話を終えると、シャルロットに声を掛ける。
「途中、俺の推測も混じっていたが、あっているか?」
「うん...あってるよ...」
シャルロットは、とても弱々しい声で肯定する。
俺はそれを確認すると、
「ISの情報を狙ったスパイ行為は重罪だ。それに、性別を偽っていたなら尚更な。それに、女子が男子と偽るんだ。失敗する確率の方が高い、それなのに、何で指示に従った?」
俺がそう言うと、
「........わけ...い...」
シャルロットは、何かをボソッと呟いた。
だが、あまりにも小さい声だったので、俺には聞こえなかった。
「何て?」
「逆らえるわけ無いじゃないか!!」
俺が聞き直すと、シャルロットは絞り出すように叫んだあと、俯いていた顔を上げる。
その顔は、涙でぐっちょぐちょに濡れていた。
シャルロットは、その涙を拭うことなく、叫び続ける。
「僕だって、こんなことしたくなかったさ!でも、仕方が無いじゃないか!お母さんが死んで!お父さんに引き取られて!正妻の人には頬を叩かれて!無理矢理テストパイロットにさせられて!逃げたかった!でも、僕は命令に従わないといけないんだよ!社長であり、父親でもあるあの人の命令は!」
やっぱり、強制命令だったようだな。
シャルロットは、全てを叫びきったようで、肩ではぁはぁと息をしている。
だんだん落ち着いてきたのを確認すると、俺はシャルロットに語り掛ける。
「それで、今からお前は何がしたい?」
「えっ...性別偽証に、スパイ行為未遂だからなぁ...良くて専用機と代表候補生の資格剝奪の上での牢獄かなぁ?」
シャルロットは、自傷気味に笑いながら、そう言う。
その目元には、また薄っすらと涙が浮かんできていた。
「違う。俺が聞きたかったのはそういう事じゃない」
そう、俺が聞きたいのは、
今、シャルロットが想定した未来は、シャルロットが望んでいることでは無い。
「俺が聞きたいのは、
「.....僕には、選択肢なんて、無いんだ「ふざけるな!」い、一夏?」
今の俺にこれを言う資格は無いかもしれない。
こんな、自分の事が嫌になってくるくらいの感情を持っている俺の言葉に重みは無いかもしれない。
でも、今は言わないといけない。
「自分の選択肢はない?ふざけんなよ!自分の未来は、自分の手で手繰り寄せて来るもんだろ!!その手繰り寄せて来たものは、良いものかもしれないし、悪いものかもしれない。それでも、自分の未来は、そうやって決めるもんだろうが!次のターンに何があるか分からなくても、今の自分のターンでやれることをやれよ!!」
「ッ!だから、僕にそんな事出来る訳...!」
「その事を考えんな!!今、何がしたいのかだ!出来るかどうか分からなくても、可能性なら考えられるだろ!自分の事、自分の未来、会社や親との関係!自分が望む形はなんだ、シャルロット・デュノア!!」
ヒートアップした俺は、肩で息をする。
...本当に、人の事言えねぇなぁ。
クラリッサさんとチェルシーさんの2人に同時に好意を持って、それで自己嫌悪してる俺だなんてなぁ。
シャルロットは、暫く考え込んでいたが、やがて決意を固めたような表情をした。
その望みの内容次第では、準備してた仕込みが使えるからな...
「僕は、自由になりたい!自分の意思で、自分のやる事を決めたい!」
シャルロットは、ここまで叫んでまた涙をボロボロ流してしまう。
「家族とは?」
余りシャルロット自身は触れたくないかもしれないが、話してもらわないといけない。
ああ...今の俺なんかがやっていい事じゃないんだろうな...
本当に多分心理状態が普通でも心は痛むだろうから、2重の意味で心が擦り減ってる...
「.....仲直りして、一緒に暮らしたい。あんな人でも、僕の肉親で、父親で...家族だから」
それを言った後、シャルロットは顔を押さえて涙を流す。
「シャルロット...お前が望むのは、それか?」
「そうだよ!でも、僕にそんな事「良かった」えっ...?」
俺がそう言うと、シャルロットは顔を上げる。
俺は、そんなシャルロットを見ながら、机の下に置いてあった通信端末を取り出す。
「え!?そ、それ...」
「通信端末」
録音してあった音声を社長に送信した後、社長に連絡を入れる。
『もしもし一夏?この音声ファイルね』
「そうです。こちらで判断した限り、仕込みは使えそうです。よろしくお願いします」
『分かったわ。任せて』
その短い会話は終了し、社長は行動を開始したようだ。
俺は通信端末を仕舞い、シャルロットに向き直る。
「い、今なにしたの?」
「さっき偉そうに言っといてなんだけど、俺はただの高校生なんだ。だから...」
「だから?」
そこでシャルロットは首を傾げる。
「頼れる大人には、頼っておかないと」
今の俺なんかが頼っていいのか分からないけどなぁ...
一夏の説教セリフは、バディファイトとのクロスオーバーなので、カードゲーム風にしてみました。
間違いだったりがあるかもしれないけど、1回のドローで全てが変わる事も、あるかもしれないですよ。
一夏の思考の端々に自己嫌悪が...
一夏、何とか持ち直して!
次回もいつになるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
感想を頂けると物凄く嬉しいので、是非お願いします!