無限の成層圏と煉獄騎士   作:ZZZ777

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前回の続き。
さてさて、シャルロットはどうなるのか。

今回もお楽しみください!

お知らせ。
白騎士と白式のセリフの鍵かっこを、『 』から[ ]に変更します。
急なお知らせで申し訳ありません。
過去の話は既に変更してあります。


デュノア一家

一夏side

 

 

社長に連絡を入れてから、3時間が経った。

あれから、俺は何回自己嫌悪に陥ったんだろうか...

時間があると、クラリッサさんとチェルシーさんの事を考えてしまう。

やっぱり、2人の事が好きだ...

そう自覚するたびに、自分の事がこの上なく最低な奴に見えて来る。

こんな俺、如何するんだろうなぁ...

 

 

《ヤミゲドウ・ミカズチのソウルにあるオオヤミゲドウの爆雷発動条件を教えてやろう...貴様がぁ、ドローした時だ!》

 

 

「え、ちょ、ウソでしょ!?」

 

 

正直に言うと、途轍もなく暇だったので、俺とディミオスはファイトを何回かした。

それで、シャルロットが興味を持ち、今現在ディミオスと対戦している。

シャルロットはルールを覚えるのも早く、アドバイスなしでディミオスと戦えている。

っていうかディミオス、初心者相手に百鬼夜行のデッキは無いだろ...

特殊フラッグじゃん...

そして、イカヅチさんのモノマネ上手いな...

ディミオスもそんなモノマネするんだね...

余り知らなくていいバディの情報をゲットした。

 

 

「うーん、負けちゃった」

 

 

《初心者とは思えないプレイングだったな》

 

 

如何やらディミオスの勝ちで決着したようだ。

まぁ、ディミオスはバディモンスターだから、バディファイト上手いもんね...

俺がそんな事を考えていると、

 

ピピピピピ

 

と、通信端末から着信音が鳴った。

シャルロットとディミオスは直ぐに黙る。

俺は通信端末を手に取ると、通話に出る。

 

 

「はい、此方織斑一夏です」

 

 

『あ、一夏。もう終わったわよ』

 

 

「随分お早いですね、社長。もう少しかかると思っていました」

 

 

『フフ、私を舐めないで頂戴な。それで、今近くにシャルロット・デュノアはいるのね?』

 

 

「はい、いますが...」

 

 

『なら、スピーカーに切り替えてくれる?1回話したいの』

 

 

「了解しました」

 

 

俺はそう返答すると、耳元から通信端末を離す。

そして、シャルロットに視線を向けてから、

 

 

「社長が話したいって言っているから、話してくれ」

 

 

そう言う。

シャルロットが頷いたのを確認すると、スピーカーに切り替え、机の上に置く。

 

 

「社長、切り替えました」

 

 

『ありがとうね。さて、シャルロットちゃんね。通信機越しの声だけで申し訳ないわね、私は『PurgatoryKnights』代表取締役社長のスコール・ミューゼルよ。よろしくね』

 

 

「は、はい。よろしくお願いします」

 

 

シャルロットはガチガチに緊張していた。

まぁ、それも仕方が無いか。

デュノア社は世界的IS企業だが、『PurgatoryKnights』も世界的大企業なのだ。

その社長と話をするんだったら、緊張もするだろう。

それに未遂だったとはいえ、スパイで情報を引き抜こうとした所のトップというのも、緊張の要因か。

 

 

『そこまで緊張しなくていいのよ。私は、あなたの望みの懸け橋になっただけだから』

 

 

「ぼ、僕の望み...ですか?」

 

 

シャルロットは首を傾げながら、社長に聞き返す。

まぁ、そんな事を急に言われたらそうなるのは当然か...

 

 

『ええ。あなたの望みは自身の自由と、家族との和解だったわね?』

 

 

「は、はい。確かにそうですが...」

 

 

『なら、もう叶うわ』

 

 

「へっ...?」

 

 

シャルロットは困惑したような声を出す。

それを気にせず、社長は言葉を続ける。

 

 

『もう直ぐあなたに連絡が入ると思うわ』

 

 

「は、はぁ...」

 

 

シャルロットは未だに困惑した表情を浮かべていた。

そこから暫くの間、生徒指導室内が微妙な空気に包まれる。

そんな空気になると、どうしてもクラリッサさんとチェルシーさんの事を考えてしまう。

俺は、2人の事が好きだ。

この気持ちに間違いはない...

でも、この気持ちを持つこと自体が間違っている。

だって、そうだろう?

2人の女性に同時に好意を抱くだなんて、最低な事...

 

 

♪~~~~

 

 

俺が自己嫌悪していると、そんな音が生徒指導室内に響く。

如何考えてもスマホの着信音だ。

今、無国籍状態で新しいスマホが買えず、持っていない俺。

そもそもモンスターの為所有しないディミオス。

そうなると、この場にいるものでスマホを持てるのは、シャルロットだけだ。

つまり、何が言いたいのかというと、シャルロットのスマホから着信音が流れているという事だ。

 

 

「で、電話...っ!か、会社から.....」

 

 

『来たわね。シャルロットちゃん、スピーカーにしてから電話に出て頂戴』

 

 

「わ、分かりました」

 

 

シャルロットは緊張した面持ちで、スピーカーに切り替えてから、通話に出る。

 

 

「も、もしもし」

 

 

『シャルロット!!』

 

 

「「うわっ!!」」

 

 

俺までビックリしちまったぜ...

それ程大きい声で、電話口からシャルロットの名を呼ぶ男性の声が聞こえる。

 

 

「お、お父さん.....」

 

 

シャルロットがそう呟く。

如何やらこの男性が、シャルロットの父親で、デュノア社社長のようだ。

 

 

『シャルロット、すまなかった!!』

 

 

その男性...デュノア社社長は、開口一番シャルロットに謝罪をする。

 

 

「え、ど、そうしたの?」

 

 

『シャルロット...ごめんなさい』

 

 

「あ、あなたは...」

 

 

今度は、女の人の声が聞こえたかと思うと、その人も謝罪をする。

恐らくだが...デュノア社社長夫人か...

 

 

「えっと...いったい如何したんですか?」

 

 

シャルロットが困惑しながらそう尋ねる。

すると、デュノア社社長夫婦はポツリポツリと話し出す。

 

 

社長夫妻...アルベール社長と、ロゼンタ社長夫人間には子供がいなかった。

ロゼンタ社長夫人が不妊体質だったから。

アルベール社長は、ロゼンタ社長夫人が子供を産めない身体だと理解したうえで、ロゼンタ社長夫人とシャルロットの母...シルサの2人の女性を愛していた事。

シャルロットが引き取られた時に、ロゼンタ社長夫人は自身に子供が出来ない悔しさから叩いた事。

その事をずっと後悔していた事。

その後、デュノア社内にシャルロットを暗殺によって抹消しようという集団が現れてしまった事。

そのため、男性IS操縦者のデータを取るという名目上、男装させてIS学園に送り込んだ事。

 

 

それを聞きながら、シャルロットはまた涙を流している。

 

 

『これが全てだ。そして、今になってこれを明かした理由だが...』

 

 

『それは、私達が頑張ったからね』

 

 

「えっと...どういう事ですか?」

 

 

シャルロットは疑問を口にする。

まぁ、ここで急に『PurgatoryKnights』の社長が頑張ったと言われたら、混乱してしまうだろう。

 

 

『私達が、技術提供、並びに資金援助をすることになったの。これで、デュノア社は一先ず安泰。そして、このまま私達の傘下にデュノアを加えちゃうわ。そうしたら、シャルロットちゃんを暗殺しようとしていたその集団を追い出す計画よ』

 

 

社長、この短時間でよくそこまで合意出来ましたね。

てっきり、技術提供と資金援助を使ったここでの会話だけだと思ってましたよ。

アルベール社長も、よくこの短時間でそこまでの決心をしましたね。

自分の会社を、他企業の傘下に入れる決心なんて、そう簡単に出来るもんでも無いんだがなぁ...

 

 

「そ、そうなんですか...ありがとうございます」

 

 

『ウフフ、デュノアを傘下に加えられるメリットは物凄く大きいから、此方としてもありがたいわ』

 

 

デュノアが傘下にあれば、必然的にラファール・リヴァイヴの権利を得たも同然だし、それに...マドカの専用機問題も(一応)解決しそうだからなぁ...

 

 

『シャルロット...』

 

 

「何.....お父さん」

 

 

ここで、アルベール社長がシャルロットに語り掛ける。

シャルロットがそれに反応すると、アルベール社長は話し始める。

 

 

『お前には辛い思いを沢山させてしまった。それでも、お前が良いというなら、私と仲直り、してくれないか?』

 

 

『シャルロット、私からも良い?私は、初対面なのにも関わらず、あなたの事を叩いてしまったわ。そんな私でも、あなたのお母さんに、なっていい?』

 

 

アベール社長に続き、ロゼンタ社長夫人もシャルロットに語り掛ける。

すると、シャルロットは、笑いながら、

 

 

「そんなのずるいよ」

 

 

そう呟いた。

 

 

『『シャルロット...』』

 

 

「これから、家族として、一緒に過ごしてね、お父さん、お母さん」

 

 

シャルロットは、涙を流しながらそういう。

でも、その涙は今までの悲しみの涙ではなく、喜びの涙に見えた。

 

 

『『勿論!!』』

 

 

アルベール社長とロゼンタ社長夫人も、電話越しだが泣いているのが分かる声でそう返答する。

 

 

『良かったわ~~』

 

 

《ああ、そうだな...》

 

 

社長とディミオスも、そう呟く。

そんな温かな空気の中、俺はある事を考えていた。

アルベール社長は、ロゼンタ社長夫人とシルサさん、2人の女性を愛していると言っていたな...

それに、ロゼンタ社長夫人は子供を産めない事を悔しく思っていたが、アルベール社長が2人の女性を愛している事については何も言っていなかった...

本人達が納得すれば、そういう選択肢もあるのか.....?

いや、クラリッサさんとチェルシーさんが納得してるみたいに考えてる?

そもそも、俺の片思いの可能性の方が高いし...

でも少しは自己嫌悪が緩和されたかな...?

 

 

《一夏、先程から黙り込んでいるが、如何した?》

 

 

「あ、ああ、ディミオスか。チョッと考え事してただけさ...」

 

 

ディミオスに呼びかけられて、俺は現実に戻って来た。

シャルロットはもう泣き止んでいた。

 

 

『織斑一夏君、君には感謝してもしきれない。君がこのようにしてくれたからこそ、私達は和解できた』

 

 

ここで、アルベール社長がそう俺に声を掛けて来た。

感謝...か。

それを言うなら、俺もそうだな。

貴方のおかげで、自己嫌悪が少し緩和されたんだからな...

 

 

「いえいえ、気になさらないで下さい。私は、あくまでも自論をシャルロットに語っただけですので」

 

 

『それでもだ.....ありがとう』

 

 

...顔は拝見出来ないが、アルベール社長が笑っているように感じる。

あ、そうだ。

 

 

「シャルロット。流石にこのままシャルル・デュノアとして学園にはいれないのは分かるな?」

 

 

「う、うん。そりゃあ分かるけど...」

 

 

シャルロットは、少し困惑したかのように肯定をする。

それを確認すると、俺は話し始める。

 

 

「デュノア社内には、まだお前を暗殺しようとしていた集団がいる。よって、お前は必然的にシャルロット・デュノアとして転校しなおしてもらう必要がある」

 

 

ここまで言って、俺は右手の指を2本上げる。

そしてそのまま話を続ける。

 

 

「お前が取れる、本国強制送還以外の選択肢は2つ。

 ①このままの立場を継続する。

 ②『PurgatoryKnights』所属になる」

 

 

「え?」

 

 

俺の言葉に、シャルロットが驚いたような声を発する。

暫くの間、シャルロットは固まっていたが、やがて何とかといった感じで言葉を絞り出す。

 

 

「そ、そんなことが出来るの...?」

 

 

「ああ。『PurgatoryKnights』の所属IS操縦者は俺と妹の2人だからな。もうちょっと増やしたいんだよ。それに、デュノア社が傘下に加わった後なら特に違和感なく移籍できるからな」

 

 

「一夏って妹いたの!?」

 

 

「.....そこかよ」

 

 

如何考えてもそこじゃ無いだろうが...

まぁ、いいや。

 

 

「それで、如何する?もう直ぐ学年別トーナメントだから、出来るだけ早めに決めたい」

 

 

「ぼ、僕は...」

 

 

シャルロットは、迷うように視線をキョロキョロと動かす。

まぁ、急に決めてくれと言われたらテンパってしまうか。

暫くシャルロットはそうしていたが、やがて覚悟を決めた表情を浮かべた。

 

 

「お父さん...」

 

 

『シャルロット...お前の好きなようにしなさい」

 

 

「うん!」

 

 

そう言って、シャルロットは俺の方を見て来る。

 

 

「このままデュノアにいても、成長できることはある。それでも、僕はもっともっと、自分自身を高めたい。だから、環境を変える」

 

 

シャルロットは決意の籠った眼で此方を見つめて来る。

そして、

 

 

「僕は、『PurgatoryKnights』所属になる」

 

 

そう、言い切った。

 

 

「...言っただろ、未来は自分の手で手繰り寄せて来るもんだって」

 

 

俺はそう言いながら、右手をシャルロットに差し出す。

 

 

「そうだね、一夏」

 

 

シャルロットはそう返しながら俺の右手を握る。

そして、俺とシャルロットは笑い合う。

 

 

『シャルロットちゃん、ようこそ!『PurgatoryKnights』へ!!』

 

 

社長も通信機越しにそう言ってくれる。

 

 

「さて、早速出鼻を挫くようで悪いんだが、今度の学年別トーナメントは、欠場しないといけないな」

 

 

「え、何で!?」

 

 

シャルロットは驚愕の声を発する。

 

 

「学年別トーナメントはタッグだ。お前の正体がペアにバレる可能性があるからな。俺はソロ出場だからペアは組めないし」

 

 

「そ、そっかぁ...」

 

 

シャルロットは残念そうな声を発する。

確かに、俺だってそんな事を言われたらそうなってしまいからなぁ。

 

 

『ならシャルロットちゃん、その日は会社に来ちゃいなさい。シャルロット・デュノアとして転校しなおす前になるけど、早めに1回会っておきたいし』

 

 

「分かりました」

 

 

「欠場することは俺から伝えておく。織斑先生に事情を説明したら直ぐに許可は出る」

 

 

「お、織斑先生も気付いてるの?」

 

 

「正直に言うと、男装がお粗末すぎる。もう1週間過ごしていたら、もっと大勢の人に知られていてもおかしくない」

 

 

「そ、そっかぁ...」

 

 

ムム、テンションが下がっちまったか...

ま、まぁ、仕方が無いよね。

 

 

『では、私達はここら辺で通信を切る』

 

 

『シャルロット、頑張ってね』

 

 

「...うん、分かった。お父さん、お母さん」

 

 

そうして、シャルロットのスマホでの通信は終了する。

 

 

『じゃあ、私もこれで』

 

 

「はい、社長、お忙しいのにありがとうございました」

 

 

『一夏も頑張ってね』

 

 

「はい」

 

 

こうして、社長との通信は切れた。

俺は、席を立つと生徒指導室の扉に向かう。

 

 

「帰るぞ」

 

 

《了解した》

 

 

「あ、チョッと!待ってよぉ~~!!」

 

 

こうして、シャルロット・デュノアは『PurgatoryKnights』に所属することとなった。

実際に所属するのはデュノア社が『PurgatoryKnights』の傘下に入ってから...学年別トーナメント後だけどね。

 

 

未来は、自分の手で手繰り寄せて来るもの。

それを言ったのは俺なんだ。

なら、その発言に恥じないようにしてやろう。

学年別トーナメントは優勝する。

そして...クラリッサさんとチェルシーさんへの気持ちもしっかりとけじめをつける。

そう覚悟を決めて、俺は生徒指導室の鍵を閉めてから、ディミオスとシャルロットと共に帰宅...ではなく、職員室に向かっていた。

鍵、返さないといけないからな...

 

 

 

 




シャルロット、『PurgatoryKnights』所属決定!
デュノア社も傘下に入る事になりました。
二次創作でデュノア社社長夫婦両名と和解するものって少ないですよね?

そして、自己嫌悪モードだった一夏がチョッと立ち直りました!
このまま完全に復活してほしい...

次回もいつになるか分かりませんが、楽しみにしていてください!

感想を頂けると物凄く嬉しいので、是非お願いします!
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