もしかしたら、もう察している人もいると思いますが...
今回もお楽しみください!
一夏side
シャルロットの問題が解決してから暫くたった。
今日は、待ちに待った.....俺としてはそこまで待っていないが、学年別トーナメント初日だ。
あの日の翌日、その時点で織斑先生には、シャルロットの正体を正確に伝えたうえで、デュノア社を『PurgatoryKnights』に加える事、それに伴い、シャルロットの所属も『PurgatoryKnights』に移動すること、学年別トーナメントは欠場することを伝えた。
そう伝えた時、織斑先生は苦笑いをしていた。
何でも、
「スパイ対策だけでは収まらないと考えていたが、まさかデュノア社という大企業を傘下に入れる事になるとはな...」
との事。
そして、直ぐにシャルロットが欠場することは発表された。
皆、物凄くショックを受けたような表情で叫んでいた。
シャルロットはまだシャルルとして男子で在席してるから、男子と組みたかったんだろう。
これで、在学中の男子3人(書類上)の内、俺がソロ出場でシャルルが欠場なので、ペアを組めるのは深夜だけだ。
別に、絶対に男子と組まないといけないという訳では無いんだがな...
そして、1年生の専用機持ちのペアは、
セシリア・オルコット、如月キサラペア。
凰鈴音、ティナ・ハミルトンペア。
更識簪、布仏本音ペア。
ラウラ・ボーデヴィッヒ、鷹月静寐ペア。
橘深夜、篠ノ之箒ペア。
この5ペアとなる。
まさか、深夜が篠ノ之とペアを組むだなんて...
それに、何でも深夜の方から篠ノ之にペアをお願いしたらしいじゃないか。
あんなのとペア組んでも、絶対に良いこと無いけどなぁ...
ラウラは、静寐とペアを組んだようだ。
これは.....ラウラは勝ちにいったな?
静寐は、1組の一般生徒の中でもかなり優秀な生徒だ。
代表候補生で、現役軍人のラウラの動きにも、完全にとは言わないがそれなりについていけるだろう。
タッグマッチは、ペアとの連携が取れるかどうかが1番大事だと言っても過言ではないくらいだ。
自身の動きについてこれる静寐を選んだという事は、勝ちに行くという事だ。
そんな事を考えながら、俺が何をしているかと言うと...
「田中専務殿、ご無沙汰しております」
「ああ、織斑君か。こちらこそ、いつもお世話になっているよ」
『PurgatoryKnights』と取引等で関係がある企業への挨拶だ。
[マスター、これは学生がやる事では無いですよね?]
(そうだけれども、俺がやらないといけないんだ...)
そう、これは学生がやる事ではない。
だが、今現在『PurgatoryKnights』の人間はここに俺しかいないので、俺がやらないといけないのだ...
学年別トーナメント。
このイベントは、学園外からの観客が物凄い量いるのだ。
余りの多さに、観客を誘導する時間を作るために、朝の5時から観客席に入れるくらいには。
この間のクラス対抗戦は、毎年参加する生徒の所属国家、又は所属企業くらいしか観戦しないものなのだ。
今年は
しかし、この学年別トーナメントは体調不良や、今回のシャルロットの様な特別な事情が無いと全員参加のイベントだ。
スカウトや昇進、降格の判断をとてもしやすい環境なので、毎年のように大量の観客がやって来るイベントだ。
余りにも観客が多いので、国家関係者、企業関係者共に2人までと決まっている。
それに加え、国家代表、又は候補生の場合は自身の応援として政府関係者以外の人間を1人呼ぶことが出来る。
つまり、学園外からの関係者は、1企業に付き2人、1国家に付き2人と、代表又は候補生1人に付き応援者1人という事になる。
うん、途轍もなく多い。
そして、そんなイベントなのに、『PurgatoryKnights』関係者はいない。
理由は単純、今現在シャルロットが本社に来ているからだ。
デュノア社からの移動歓迎との事で、支社含め、取締役の皆さんは全員本社に集合している。
まぁ、リモートの人も何人かいるが、集合している事に間違いはない。
しかも、これは皆さん自らがそうしたくてそうしているとの事で、本社からは一切指示を出していないのに集合している。
俺としては、歓迎するのも良いが、こっちにも人を回して欲しかった。
だからこそ、俺が関係企業に挨拶に回ってるんだけどね...
[マスター、完成予定の全企業とあいさつし終わったね。お疲れ様!!]
(ありがとう白式)
さて、かなり朝早い時間から挨拶に回っていたから、随分と早く挨拶が終わった。
まだ対戦組み合わせ発表どころか、ペアを組めなかった人用のペア抽選すらまだしていないであろう時間だ。
1年生部門会場の第一アリーナで、俺は観客席近くの内部通路を歩きながらこの後どうするかを考える。
.....もう通路に人がいない。
まぁ、そもそも俺はピットに向かう方向にいるから、国家関係者と企業代表者は立ち入り禁止で、応援者じゃないとこっちに出れないか。
「今からトレーニングする訳にもいかんし、適当にブラブラして時間潰すか」
それとも、早めに着替えておこうかな?
うん、そうしよう。
俺はそう判断し、男子更衣室に向かおうと歩き出す。
その時、
「一夏...一夏か!?」
と、背後からそう声を掛けられる。
その声を認識したとたん、身体が固まってしまう。
この声を最後に聞いたのは、中1の頃...
俺は、ゆっくりと振り返る。
そこにいたのは黒い軍服を着用し、左目に眼帯を着けた女性...
「く、クラリッサさん...」
クラリッサさんだった。
「やっぱり...久しぶりだな、一夏!!」
「ええ、お久しぶりで.....すぅ!?」
クラリッサさんは、そう言いながら俺に抱き着いてきた、
抱き着かれた瞬間、俺は変な声を出してしまう。
ヤバい。
クラリッサさんのいい匂いだったり柔らかい感触だったりがする!
「一夏...会いたかったぁ」
グ、可愛すぎる...!
右手がガクガク震えてるのが分かる。
シュヴァルツェ・ハーゼにいた時に抱きしめたり抱きしめられたりした事があったけど、その時とは状況...いや、俺の心理状態が違い過ぎる。
クラリッサさんの事が好きだと認識したから、物凄い緊張すると同時に、物凄い罪悪感が沸き上がって来る。
だって、だって、クラリッサさんはこんなにも純粋に俺との再会を喜んでくれているのに、俺はクラリッサさんにも、チェルシーさんにも好意を抱いているんだから...
「と、取り敢えず話しにくいので、離してもらっても良いですか...?」
そうしないと、俺の心が持たない...
クラリッサさんは、最後に力を籠めた後、離してくれた。
「クラリッサさんは、何でここにいるんですか?」
俺は、罪悪感から自己嫌悪が発生する前に、取り敢えずその事を聞くことにした。
するとクラリッサさんは、
「隊長が呼んでくださったんだ」
と即答する。
なるほど、ラウラの応援者枠か。
「一夏...2年ぶりだな」
「そうですね...クラリッサさんは、相変わらずお綺麗ですね」
「い、一夏///」
これは本心だ。
クラリッサさんは、以前までもそうだったが、やっぱり美人だ。
別に、顔で好きになった訳では無いが、やっぱり美人で可愛いと思う。
実際に、今クラリッサさんは顔が赤くなっているが、物凄く可愛い。
「今まで、お元気でしたか?」
「ああ。部隊の皆を含め、全員元気でやっている」
「それは何よりです」
ああ、会話が途切れない。
クラリッサさんと話すだけで幸せに感じる。
でも、それと同時にどうしてもチェルシーさんの事が頭をよぎる。
「一夏?如何した?」
そんな事を考えていると、クラリッサさんが俺の顔を覗き込んで来た。
ち、近い...!
「い、いや、何でも無いですよ?」
「そうか、それならいいんだが...」
ああ、何て優しい人なんだ。
でも、やっぱり罪悪感が...
まさか、他の女性の事を考えてました何て言えないし...
「ところで、今一夏は何をしていたんだ?」
ここで、クラリッサさんが俺がやろうとしてたことを聞いてきた。
俺は、それに答える。
「チョッと時間が余ったので、暇つぶしを...」
と、俺の言葉は、ここで途切れた。
いや、途切れざるを得なかった。
聞き覚えのある声で、
「一夏!!」
そう、呼ばれたから。
俺とクラリッサさんは同時にその方向を見る。
そこにいたのは、メイド服を着用した、女性...
「チェルシーさん...」
チェルシーさんだった。
ハハハ、まさか、こんなところで好意を持ってる2人と再会するだなんて...
「一夏!会いたかった!!」
チェルシーさんはそう言いながらこちらに走ってきて、俺に抱き着いた。
あ、ああああああ!
ち、チェルシーさんもやっぱりいい匂いとかする!
「い、一夏...?この人は...?」
ここで、横からクラリッサさんの困惑の声が聞こえる。
まぁ、そりゃそうか。
目の前で知らない人に俺が抱き着かれてるんだから、困惑するか...
「チェルシーさん、離れて頂いても...?」
「分かったわ」
そう言って、チェルシーさんは離れてくれた。
いや、離れてはいるんだが、明らかに俺に近い。
心拍数が高くなっているのが分かる。
これは、単純に好意を持っている人が近くにいるからか、好意を持っている人が2人もいる罪悪感からか...
そんな事を考えながら、クラリッサさんにチェルシーさんの事を紹介する。
「此方は、イギリスの貴族家、オルコット家に仕えているメイドのチェルシーさんです」
「初めまして。チェルシー・ブランケットと申します」
俺の紹介と当時に、チェルシーさんはクラリッサさんに向かって頭を下げる。
こういう立ち振る舞いは、やっぱりメイドだなぁ...
「そしてチェルシーさん。此方は、ドイツ軍IS部隊シュヴァルツェ・ハーゼ副隊長のクラリッサさんです」
「クラリッサ・ハルフォーフだ。よろしく頼む」
今度は、逆にチェルシーさんにクラリッサさんを紹介する。
クラリッサさんは、如何にも軍人という挨拶を返す。
「チェルシーさんは、セシリアの応援ですか?」
俺はチェルシーさんにここにいる理由を確認する。
するとチェルシーさんは微笑みながら、
「ええ、お嬢様が招待してくださいました」
といった。
うん、やっぱりチェルシーさんも美人だなぁ...
「一夏、本当に久しぶり。元気に過ごしてた?」
「はい、元気にトレーニングをしながら過ごしてましたよ」
俺は笑いながらそう返す。
すると、チェルシーさんは顔を赤くする。
...可愛い。
俺がそんな事を考えていると、
「一夏、ちょっと良いか?」
「どうしました、クラリッサさん」
クラリッサさんが話し掛けてきた。
俺が反応すると、クラリッサさんは
「少し、ブランケット殿と話したいことがあるのだが...」
と言ってきた。
それに対してチェルシーさんは、
「ウフフ、良いですよ。私も、ハルフォーフ様と話したいことがあるので...」
と言いながら、クラリッサさんの近くに移動する。
そして、何やら2人でヒソヒソと会話を開始する。
話の内容が気にならないでもないが、聞かないのがマナーだろう。
クラリッサさんとチェルシーさんが話している間に、俺は自分の心を落ち着かせる。
やっぱり、2人と再会出来たのは嬉しい。
でも、やっぱり自分の心に重くのし掛かる
クラリッサさんもチェルシーさんも、純粋に再開を喜んでいるはずなのに、俺は.....
駄目だ、如何やっても、自己嫌悪が.....
しっかりとけじめをつけるって、覚悟を決めたのに...
「一夏、如何したの?」
「っ!いや、何でも無いですよ」
何時の間にやら、チェルシーさんが俺の顔を覗き込んでいた。
ああ、やっぱり凄い美人...
じゃなくて!
いや、美人な事に間違いはないけど!
「話はもう終わったんですか?」
「ああ、もう終わった。それで一夏、1つお願いがあるんだが...」
「何ですか、クラリッサさん」
クラリッサさんがお願いがあると言ってきたので、俺はそれを確認する。
すると、
「この、トーナメントが終わった後、話したい事があるんだ」
と言ってきた。
その内容は気になるが、わざわざこの場で言わないという事は、俺がここで聞いても答えてくれないだろう。
「その話って、周りに聞かれない方が良いですか?」
俺がそれを確認すると、クラリッサさんとチェルシーさんは頷く。
如何やら、チェルシーさんも話したい事があるようだ。
しかし、周りに聞かれないところか...何処か良いところは...
俺の部屋だな。
そう判断し、俺は声を発する。
「なら、トーナメント後、俺の部屋に来て下さい。教員寮の1-1号室です。許可は取っておきます」
「分かった」
「じゃあ、よろしくね」
良し、如何やらそこで良いようだ。
[マスター、後10分で対戦組み合わせの発表だよ!]
(もうそんな時間か...教えてくれてありがとな、白式)
[どういたしまして]
クラリッサさんとチェルシーさんの2人と話していたら、結構な時間が経っていたらしい。
「じゃあ、クラリッサさん、チェルシーさん、時間が時間なので、もう行きますね」
俺がそう言うと、2人は
「「頑張ってね、一夏!」」
そう、笑顔で言ってくれた。
ハハハ、好きな人に笑顔でそう言われたら、頑張らないといけないなぁ!
「はい!それでは...」
俺は2人に背を向けると、組み合わせが張り出される場所に移動する。
物音から察するに、クラリッサさんとチェルシーさんも戻るようだ。
気持ちを切り替えよう。
まだ完全に自己嫌悪が消えたわけではない。
寧ろ、チョッと戻ったような気がする。
それでも、俺はやらないといけない。
真剣に戦う事が、対戦相手への敬意の表れだから。
「ゴー・トゥー・ワーク」
さぁ...やってやる!!
遂にヒロイン再登場!!
長かったぁ...
再登場の為に、結構観客の設定を変えました。
は、話っていったいなんだろうなぁ?
次回もいつになるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
感想を頂けると物凄く嬉しいので、是非お願いします!