許してぇ...
今回もお楽しみください!
三人称side
生徒会室で一夏達が会話している時。
IS学園に在籍している殆どの生徒が体育館に集まっていた。
ここにいない生徒は、生徒会室にいる一夏、楯無、簪、虚、本音と自室謹慎の箒、そして深夜くらいだ。
生徒以外に教師も何人か集まっている。
そんな人が集まっている体育館。
そのステージにマイクを持って上がる人物が1人。
新聞部副部長の薫子だ。
『皆さん、本日はお集まりいただきありがとうございます。本日は私、黛薫子が司会進行を務めさせて頂きます』
何時になく真面目で違和感がありまくるが、それに対して反応は無かった。
薫子はそのまま発言を続ける。
『早速ですが、本日の本題を始めたいと思います』
薫子のその発言で、体育館内の雰囲気がガラッと変わる。
みんな、緊張した面持ちで薫子の事を見ている。
薫子はそんな視線を全身に受けながらも動じずに、
『今ここに!織斑一夏ファンクラブ、〈親衛騎士団〉の発足を宣言します!!』
そう、マイクに向かって叫ぶ。
その瞬間、
『わぁああああああああ!!!!』
と、体育館に集まっているすべての人間が一切に声を上げる。
そう、この集まりは、一夏のファンクラブである〈親衛騎士団〉の発足会だ。
『このファンクラブは、生徒会の認証を得ている部活動と同じ学園組織です!』
一夏本人の公認は受けていない非公認ファンクラブなのだが、それは関係が無いようだ。
『織斑一夏の事を尊敬している人、憧れている人、ガチ恋している人、様々いると思います!そんな人達全員で、織斑一夏の事を推していきましょう!』
『おおおおおおおおおお!!』
最後の薫子の言葉に同調する様に、全員が声を上げる。
薫子はそれを確認すると、新しい話を話し始める。
『さて、皆さんには体育館に入るときに名簿に名前を書いていただきました。あの行為ですでに〈親衛騎士団〉への加入は完了しています!1週間後に会員カードを寮の部屋のポストに入れておきます!』
このファンクラブは、運営側もかなりの気合が入っているようだ。
因みにだが、生徒会室にいる面々も、一夏本人以外は加入している。
『本日は、〈親衛騎士団〉の初回集会という事で、織斑一夏と関わりが深い4名の方のコレクションを拝見させていただきます!どうぞ!』
薫子の案内によって、ステージ上に新たに4人の人物が上がる。
その人物とは、入学前から一夏との関わりがあった鈴、ラウラ、セシリアの3人と、同じ会社所属のシャルロットだ。
『この4人の織斑一夏に関する写真コレクションの中から1枚、拝見させていただきます!』
薫子はそう言いながら、鈴にもう1本のマイクを渡す。
それと同時に、ステージ上に巨大ディスプレイの準備がされる。
『早速、凰鈴音さんのコレクションを見せて頂きましょう!』
薫子がそう言うと同時に、用意されたディスプレイに大きく一夏の写真が出る。
その写真の一夏は、Yシャツの上に黒いエプロンを着用して、右手に料理が乗った皿を持っていて、カメラに向かって苦笑いを浮かべながら左手を振っている。
それを見た会員たちは
『きゃぁああああ!!』
と、一斉に声を上げる。
それ程までに、この写真の破壊力は凄いようだ。
『凰鈴音さん、この写真の説明、よろしくお願いします!』
『分かったわ』
薫子にそう言われて、鈴はマイクに向かって写真の説明を喋る。
『この写真は、中学1年生の頃の写真で、日本代表で忙しくて家になかなか帰れなかった千冬さんが久しぶりに帰って来るからって、一夏が張り切ってご飯を作っているところよ』
『おお、なるほど...それで、何で苦笑いしてるんですか?』
『それは、私が急に写真を撮ったから、「何撮ってんだよ」的な事を言ってたのよ』
鈴の説明で、全員がこの写真の状況を理解したようだ。
「羨ましい...」
「織斑君のエプロン姿...良い!」
そんな感想が漏れる。
ここで、
『何故、そんな日に凰さんがいたんですか?』
と薫子が鈴に質問をする。
『一夏が、「賑やかな方が千冬姉も喜ぶだろ」って私と、あと2人の友人を呼んでくれたのよ』
『なるほどなるほど...手料理って美味しいんですか?』
『それはもう美味しいわよ。一口食べたら女としての自信を失うくらいには』
『そ、そんなにですか...』
鈴と薫子の会話を聞いた会員たちは、またもや羨ましがる声を発する。
それを聞いた鈴は、
『え?1-1は、毎週一夏にスイーツ作って貰ってるんじゃないの?』
と思わずそう言う。
その瞬間、会員たちの視線が1年1組の生徒に集中する。
その視線を受けた1組の生徒達は気まずそうに身を捩る。
『おおっと?本当ですか?』
薫子はそう言いながらステージ上のシャルロットにマイクを向ける。
シャルロットも気まずさを感じながら、喋る。
『ほ、本当です...でも!先生方も余ったの食べてますよね?』
シャルロットの言葉によって、今度は教師に視線が集中する。
教師の人達も、先程までの1年1組同様気まずそうにする。
『ん、んん!それでは、次にラウラ・ボーデヴィッヒさんのコレクションを見せて頂きましょう!』
薫子はそんな空気を変えるために次の話題に移動させる。
会員たちも、視線を教師からディスプレイへと戻す。
それから、ラウラとセシリアの写真を公開した。
ラウラのはシュヴァルツェ・ハーゼの基地で訓練して出て来た汗を拭いている一夏の写真(この時、まだ一夏と和解してなかったので撮影したのはラウラではない)。
セシリアのはオルコット家の屋敷でバケツと雑巾、モップをもって歩いている一夏の写真。
どちらの写真も鈴の写真のようにカメラの方は向いていないものの、破壊力は凄まじい。
実際に、それぞれの写真が出た瞬間にも会員は一斉に声を上げた。
そして、最後のシャルロットの番になった。
『それでは!最後に、シャルロット・デュノアさんの写真を見させて頂きます!』
薫子がそう言うと、ディスプレイに写真が出る。
その瞬間、
『キャァアアアアアアアアアアアアア!!!』
と、今日一番の声が上がる。
その写真では会社のロビーに一夏がいるのだが、その一夏はビジネススーツを着ていて、眼鏡をかけていたのだ。
エプロン等よりも、破壊力は高い。
『しゃ、写真の解説をお願いします!!』
司会進行の薫子も興奮している。
『この写真は、『PurgatoryKnights』のロビーで一夏が企画課のクレステッドさんと話しているところですね。一夏が「最近目が疲れるんですよ」って言って、試しにクレステッドさんの眼鏡を借りてかけているところです』
『お、おお....では、眼鏡を買ったんですか?』
『いや、一夏は「まだクラクラするなぁ...ただ単に視力云々じゃなくて目が疲れてるだけですね」って言ってましたよ。帰りにコンビニに寄ってホットアイマスクを買ってました』
薫子とシャルロットの会話を聞いて、この写真の状況を理解した会員からは、
「これを生で見られただなんて...羨ましすぎる!」
といった感想が出て来た。
それを聞いたシャルロットは、
『羨ましいっていったら、3年のケイシー先輩と2年のサファイア先輩って、一夏に「ダリル姉」と「フォルテ姉」って呼ばれてますよね?いいなぁ...羨ましいです』
そう発言する。
その瞬間に、ダリルとフォルテに視線が集中する。
さっきのスイーツとは異なり、本当の姉である千冬を除いたらダリルとフォルテの2人だけがそう呼ばれているので、羨ましいという感情はこちらの方が大きいのだろう。
実際に一夏がそう呼んでるところを聞いたことがある人もない人も、一夏が自分の事を姉と呼んでくれる事を想像すると、更に羨ましいと思える。
『ケイシーさんとサファイアさんへの追及もしたいところですが、ここでお時間となってしまいました』
だが、薫子がそう言った事によっていったんはその視線が薫子に戻る。
『順番に体育館から出て頂きます。そして、ケイシーさんとサファイアさんには後で取材しに行きます』
薫子がそう言った事により、ダリルとフォルテは引きつった表情になる。
こうして、織斑一夏(非公認)ファンクラブ、〈親衛騎士団〉の初回集会は終了した。
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一夏side
「ハックション!」
何故か急にくしゃみが出た。
「おりむ~、風邪~?」
「いや、風邪では無いんだけどな...誰か俺の事を噂してんのか?」
《お前の噂など全世界で行われているだろう》
「そうかなぁ?」
2年生学生寮、楯無さんの特別個室前の廊下。
ここで、俺とディミオスとのほほんさんがまったりと会話していた。
あの後、虚さんとのほほんさんに簪の部屋に仕掛けられていた隠しカメラと盗聴器を見せた。
そして、簪がショックのあまり体調を少し崩したことを伝えると虚さんが激怒。
現在進行で、楯無さんの部屋で楯無さんに説教している。
当主が側近に説教されるというかなりレアな光景がこの扉の先で行われているのだ。
そして、俺とディミオスとのほほんさんは邪魔をしないように廊下に出て来て、そのまま会話している。
「それにしても、もう直ぐ臨海学校だね~。楽しみ~~」
「そうだな...俺は中1から碌に泳いでなかったから、楽しみではあるな」
中1に体育の授業で少し泳いで、俺はそこから水着を着たことが無い。
シュヴァルツェ・ハーゼで訓練していた時は泳ぐだなんてことできなかったし、ダークネスドラゴンWには海やプール、泳げる川がそもそもない。
イギリスにいたのも短い期間だったから泳いだことはない。
よって、俺は長い事泳いだことが無い。
だが、臨海学校で泳ぐとは言っていない。
緊急の仕事をしないといけない可能性があるし、仕事が無くてもトレーニングすると思う。
一応水着は通販で買ったが、使わないかもしれない。
「のほほんさんは水着とか買ったの?」
「まだだよ~。休日にかんちゃんと買いに行く予定なんだ~」
「そっか」
なんかこう、平和だな。
俺がそう思っていると、
ピピピピピ
と、通信端末が着信音を響かせる。
「ごめん、会社からだから」
「いいよ~、お仕事頑張って~」
俺はのほほんさんに断りを入れてから、移動して通信に出る。
「はい、此方織斑一夏です」
『もすもす、いっくん?束さんだよ~~!!』
「何か御用でしょうか、主任」
連絡の相手は、主任こと束さんだった。
相変わらずうるさい。
もう少し声のボリュームを押さえて欲しい。
『ムムム、いっくん。束さんの事は名前で...』
「今学園なので無理です」
一般生徒に聞かれたらどうするんだ。
「それで、本題は何ですか、主任」
『そうだった。そろそろ、マドちゃんに
束さんの話の内容とは、マドカの専用機についての事だった。
「良いんじゃないですか?デュノア社も傘下に入ったことですし」
『そうなんだ~。でもね、マドちゃん個人に専用機を与えると、絶対に凡人どもが騒ぐじゃん?だからね、愚妹に関する声明発表と同時に言うと、いっくんがパンクしちゃう可能性があるから、そっちはまた別のタイミングでね』
フム、如何やら束さんもこっちの都合を考えられるくらいには成長したようだ。
このまま、興味のない人間でも対応できるように成長してほしいんだけどなぁ...
無理かなぁ...
俺は束さんの親じゃないのに何でこんな事を考えてるんだ?
「了解しました。要件はそれだけですか?」
『うん、これくらいだね。じゃあいっくん、バイビ~~!!』
「はい、失礼します」
俺はそう言うと通信を切る。
そして、さっきまでいた楯無さんの部屋前に戻ると、もう既に虚さんと楯無さんが廊下に出てた。
だが、虚さんは疲れ果てていて、楯無さんは廊下にも関わらず座り込んでいた。
「虚さん、お疲れ様です」
主人を説教しないといけないのって辛いですよね。
俺も姉だったり、姉の友人だったりを説教しないといけないので、多少なりかは理解できます。
「本当に、疲れました...」
「虚さん、もう休んだらどうですか?」
「そうですね...では、休ませていただきます」
「ええ、お大事に」
虚さんはフラフラと歩いて行った。
「楯無さんも、簪へのストーキングはもうしない方が良いですよ」
「うん...もう絶対にしない」
楯無さんも反省しているようだ。
「じゃあ、俺も帰りますね」
「おりむ~、バイバーイ!」
「ああ。また明日、のほほんさん」
俺はのほほんさんに挨拶をすると、ディミオスと共に自分の寮の部屋に向かって歩き出す。
「ディミオス、なんかまた空気だったな」
《...解せぬ》
途中から、ディミオスの発言が全くなかった。
[私達なんて、もっと空気ですよ!]
[マスター、私達の事忘れてないよね?]
(ご、ごめんって...今度頭撫でてあげるから)
[約束だよ!]
白騎士と白式も少し荒れたが、何とか納得してくれたようだ。
...今日は、クラリッサに連絡をする予定だ。
楽しみだなぁ...
非公認ファンクラブ。
でも、部活と同じ括りの学園組織。
どうなってるんだ。
次回もいつになるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
感想や誤字報告もよろしくお願いします!