平和です。
今回もお楽しみください!
一夏side
仕事を始めてからだいたい1時間が経過したのだが...
「仕事が終わらん...」
そう、先程から休みなく仕事をしているのに、全くと言って良いほど仕事の終わりが見えない。
このままだと、確実に夕食の時間までは掛かる。
最悪だと、夕食後、消灯時間になるまでしないといけなくなるし、折角の温泉も部屋の内風呂で終わってしまう。
まぁ、明日の装備試験に影響が出なければいいものだと割り切るしかないか?
俺がそんな事を思っていると、不意に部屋の扉が開いた。
いくらノイズキャンセリングヘッドホンをしていても、視界の中で起こった事ぐらいは気付ける。
「あれ、織斑君。いたんですか?」
「山田先生?」
俺はヘッドホンを外しながらそう答える。
そう、部屋の扉の前に立っていたのは山田先生だ。
その手には、先程移動の際に持っていた旅行用のバッグを持っている。
「どうかしたんですか?」
「あ、織斑先生から聞いて無いんですね。私、この部屋なんですよ」
「...はい?」
山田先生は、深夜と同室なんじゃ...?
俺がそんな事を思っていると、山田先生が説明を始める。
「もともと、男子の2人が教員と同室なのは、消灯時間を無視した生徒が部屋に押し掛けるのを防ぐためです。それで、橘君と私が同室だという必要があったんです」
「はぁ...それで、本当に深夜と同室じゃないのは、やっぱり倫理的問題ですか?」
「そうなりますね」
「俺とは良いんですか?」
「お姉さんと同室なら問題ないと判断されました」
それでいいのかよ。
まぁ、そもそも俺には恋人がいるから襲ったりなんかしないけどな。
「つまり、山田先生と深夜が同室なのは建前で、深夜は個室、俺と織斑先生と山田先生が3人同室なんですね」
「そのとおりです」
なるほど、理解した。
だから、山田先生が今旅行用バッグを持ってるのね。
山田先生はそのままいったんバッグを置くと、再び話し掛けてくる。
「織斑君は海に行かないんですか?確か、水着を通販で買ったのでは?」
寮にいて通販していいのか分からなかったので、山田先生に確認をしたから、俺が水着を買ってるのも分かってるんだろう。
「本当は行くつもりだったんですけど、生憎仕事がありましてね」
「そ、そうなんですか...」
俺がそう言うと、山田先生は苦笑いを浮かべる。
まぁ、臨海学校で海にいるってのに、仕事をする生徒なんて俺くらいだろう。
「織斑君は、高校生とは思えないくらい働いてますよね」
「まぁ、俺は世界で2人しかいない男性IS操縦者で、『PurgatoryKnights』所属の人間ですからね。忙しいのは覚悟の上です」
「凄いですね、織斑君は」
山田先生はそう言う。
そこまで凄いことはしていないんだけどね。
ただ、与えられた仕事をしているだけだからな。
普通に、自分からできる事を探している一般の社員の方の方が凄い。
それに...
「山田先生も、頑張ってらっしゃるじゃないですか」
そう、山田先生も寮の部屋割りという、地味だが物凄く大変な仕事を任させている。
そんな人が、頑張っていない訳がない。
「そうですね...そう言って貰えると、これからも頑張れちゃいます!」
山田先生は、そう言いながら荷物から水着が入っていると思われる小さいバッグを取り出す。
「教師の方も、海に入るんですね」
「はい。織斑君には悪いですけど、今は休憩時間なので」
「気にしなくていいんじゃないですか?楽しんでください」
「ええ、そうさせてもらいます」
山田先生はそう言うと、そのまま部屋から出て行った。
さて、仕事を再開するか...
俺は再びヘッドホンを装着し、PCとにらめっこするのだった...
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三人称side
浜辺には、IS学園1年生の生徒が集まって遊んでいた。
泳ぐ生徒、砂遊びをする生徒、日光浴をする生徒など様々だ。
そんな中、やはり注目を集めているのはマドカだ。
「マドカちゃん、競争しよう!」
「分かった!」
マドカは、無事3組の生徒と馴染めたようだ。
今はクラスメイトの何人かと、危なくない所で泳いで競争をしている。
マドカは千冬のクローンで、一夏に感化されてトレーニングを重ねているので、一般生徒よりも物凄く身体能力が高い。
そのため、圧倒的な差をつけてゴールした。
「は、早いね...」
「鍛えてるからね。でも、お兄ちゃんには全然勝てないんだよね...」
「ねえ、織斑君ってどれくらい凄いの?」
ここで、マドカにクラスメイトが一夏の凄さを尋ねる。
「そうだね...少なくとも、私は何一つ勝った事が無いよ...そうだ、シャルさ~ん!!」
マドカは、シャルロットの事を呼ぶと、
「マドカちゃん、どうかした?」
シャルロットは直ぐにマドカの所に来た。
同じ会社所属という事で、しっかりと仲が良いようだ。
「お兄ちゃんの凄さを教えてるんですけど...お兄ちゃんに勝てた事ってありましたっけ?」
「いや、無いね...学力でも、身体能力でも勝てなかったね。特に、生身の模擬戦で僕とマドカちゃんの2人でかかったのに、軽く流されたからね...」
「そ、そんなに凄いんだ...」
マドカとシャルロットの説明で、一夏の凄さが伝わったようだ。
「あ、私、お花を摘んで来るね。私の事は気にせずに遊んでて良いよ」
そして、マドカのクラスメイトはそう言ってはなれた。
こうして、この場にはマドカとシャルロットが残った。
「シャルさん、ちょこっと泳ぎます?」
「そうだね、泳ごうかな」
マドカとシャルロットは会話をし、泳ぐために海に向かう。
と、その時に
「アンタたち、ちょっといい?」
と、鈴が声を掛ける。
鈴の後ろには、セシリア、ラウラ、簪と深夜を除く専用機持ちが揃っていた。
それを見たマドカは、
「初めまして、織斑マドカです。よろしくお願いします」
と、挨拶をする。
「凰鈴音よ。鈴でいいわ。よろしくね!」
「セシリア・オルコットですわ。名前で構いません、よろしくお願いしますわ」
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。よろしく頼む」
「更識簪です。よろしく」
それに反応し、鈴たちも自己紹介をする。
「それで、鈴。どうかしたの?」
シャルロットが鈴に話し掛けて来た理由を尋ねる。
「そうそう、一夏見なかった?アイツ、何処探してもいないんだけど」
それを聞いたシャルロットとマドカは顔を見合わせた後、同時に首を振る。
「いや、見てないよ」
「私も見てない」
シャルロットとマドカがそう言った事により、鈴たちは表情を暗くする。
同じ会社所属の2人だったら一夏が何処にいるか知っていると思ったんだろう。
「っていうか、一夏って水着買ってたっけ?」
ここで、シャルロットがそう言うと、鈴たちは考え込むように顎に手を当てる。
そして、全員が「あっ」という表情になった。
この前買い物に行ったとき、一夏は何も買ってない事を思い出したんだろう。
「つ、通販で買っていた可能性もありますわ」
セシリアがそう言った事により、鈴たちは暗くなっていた表情を少し明るいものに変える。
「そ、そうよね。臨海学校って分かってるのに、水着を買わない訳がないわよね」
「でも、だったら何処にいるんだろう...」
簪が改めてそう言った事もあり、シャルロットとマドカも含め、6人で首を傾げる。
と、ここに
《フム、何をしている?》
ディミオスがやって来た。
「あ、ディミオスソード。久しぶり」
《ああ、久しぶりだな》
取り敢えず、マドカがディミオスにそう声を掛け、ディミオスもそれに返事をする。
「それで、お兄ちゃんが何処にいるか知らない?」
《一夏なら部屋で仕事しているぞ》
ディミオスがそう言った瞬間、6人の動きが止まる。
そして...
「「「「「「ええぇぇぇ~~!!?」」」」」」
と、6人同時に叫ぶ。
その声量から、浜辺中から視線が集まる。
「一夏さん、臨海学校に来ても仕事してますの!?」
《ああ。日本政府と国際IS委員会から仕事が来ていたからな》
「そ、そうなのか...」
この会話の内容が聞こえていたのか、周囲からは
「一夏君、いないのか~」
「織斑君に水着見てもらいたかったなぁ...」
などと呟く声が聞こえてくる。
「お兄ちゃん、やっぱり忙しいんだね...」
「流石一夏...」
『PurgatoryKnights』に所属している2人は、一夏に会えないというよりも、お疲れ様だという感情の方が大きそうだ。
この2人にとって、一夏は先輩であり上司なので、そう思うのは普通だ。
「フム、何やら盛り上がっているが、どうかしたのか」
と、ここで千冬がそんな事を言いながらやって来た。
その後ろには、真耶もいる。
千冬の事を見た瞬間、周囲の生徒は
「うわ...織斑先生、スタイルいい!」
「水着姿も似合ってる!」
と言った感想を漏らす。
「あ、おねえちゃ...じゃなくて織斑先生。お兄ちゃんが、臨海学校なのに仕事をしてて海に来てないからテンションが下がってるところです」
マドカが取り敢えずざっくりとした説明を千冬にする。
すると、千冬は納得したように息を漏らす。
「なるほどな...織斑兄はやはり忙しいのか」
「そのために、ノートパソコンの所持許可を得たんですね」
教師2人がそう発する。
ここでシャルロットが、
「それにしても、織斑先生も山田先生も、水着がすっごく似合ってますね!」
と、千冬と真耶の水着を褒める。
「そうですか?嬉しいですね~」
真耶はそう言って少し照れたように身を捩る。
千冬は、特に反応を見せないが内心嬉しいようだ。
「それでは山田先生。休憩時間も短いですし、軽く泳ぎますか」
「そうですね!泳ぎましょう!」
千冬と真耶はそう短く会話した後、泳ぐために海に向かう。
「シャルさん、今度こそ泳ぎましょう!」
「そうだね、行こう!」
その2人の後に続いて、マドカとシャルロットも海に入る。
「あ、チョッと!私達も行くわよ!」
「分かりましたわ!」
「ああ!」
「うん!」
それに感化され、鈴、セシリア、ラウラ、簪も海に入る。
((((((((一夏/一夏さん/織斑君、ごめん!/すまない!/すみません!))))))))
8人全員、心の中で一夏に謝罪しながら。
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深夜side
チクショウ!
何が...何がどうなってんだよ!!
事の発端は、今日の朝。
正面ゲート前で整列していた時だ。
なんと、山田先生が転入生がいるというのだ。
原作ではそんなこと無かったし、俺が困惑していると...
「織斑千冬と織斑一夏の妹で、『PurgatoryKnights』所属の織斑マドカです」
......なんでだよ!
なんでマドカが転入してきてんだよ!
マドカは、亡国企業に入ってる、敵だろうが!
なに普通に一夏と千冬の妹って言ってんだよ!
一夏の事を殺そうとしてんじゃないのかよ!
それに、転入理由は知ってる?
何のことかと思い、クラスメイトに尋ねた。
すると、この間の休日に、束が世界中のディスプレイをクラッキングし、マドカに専用機を与える事を伝えたらしい。
俺は、その時1日中寝てたから知らなかった。
それはそうと、なんで束がマドカに専用機を与えてんだよ!
確かに、束は黒騎士をマドカに与えてたけど、それはもっと後だろうが!
臨海学校では、箒に紅椿を上げるんじゃないのかよ!
それ以外にも、まだまだおかしいところがある。
なんで一夏が旅館の女将に名刺を差し出しながら挨拶してんだよ!
それに、俺は何で個室なんだ!
男子の部屋に押し掛けるのを防ぐために、教員と同室じゃないのかよ!
なんだよ、建前上って!
そして、なんで一夏は仕事してんだよ!
海での日常イベント全部なしだぞ!
いや、待て...
これは、俺が海イベントを出来るという事か!
そうだ、そうに違いない!
つまりは、俺が主人公だという事!
やっぱりそうだ...この臨海学校で、俺が主人公だと証明するんだ!
そう思うと、俄然明日が楽しみになって来た...
待ってろぉ...
明日で、一夏を蹴落としてやる!
そうして、俺が主人公だと証明するんだぁ!
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一夏side
「いったん昼飯...」
俺はそう呟くと、PCの電源を落とす。
そうして、ヘッドホンを外し、固まっていた背筋を伸ばす。
肩がバキバキと音を立てる。
はぁ...疲れた.....
《一夏》
「ん?どうした、ディミオス」
ここで、ディミオスが窓から部屋に戻って来た。
俺はそのまま視線をディミオスに向ける。
ディミオスの表情は、何処か重いものに感じる。
《ダークネスドラゴンWから連絡が来た。如何やら、バディワールドからまた流出品が確認されたらしい》
「何!?それは本当か!?」
《本当だ》
本当だったとすると、いったいどうなるか...
「その、流出品の内容は?」
《それらを今から確認しに行く。遅くとも明日の朝までには戻る》
「分かった。気をつけてな」
《ああ。オープン・ザ・ゲート。ダークネスドラゴンW》
ディミオスはそのまま、ゲートを潜っていった。
...これは、また事件が起きる気がするな。
この前の、ギアゴッドver.Ø88の一部パーツのように悪用されていたとしたら...また、俺が解決する。
それは、バディワールドと1番関わっている俺の役目だ。
明日の装備試験、何もなければいいんだがな.....
実は、一夏とここまでしっかり話すのは初めての山田先生。
大丈夫、あなたは忘れられてないよ!
次回もいつになるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
感想や誤字報告もよろしくお願いします!