ここまで使う作品は他にないんじゃないですかね?
それくらい、グダグダだという事か...
今回もお楽しみください!
三人称side
あれから時刻は進み、夕方。
IS学園の生徒は思い思いの時間を過ごしていた。
いったん昼食をはさんだ後、また泳ぐ生徒、部屋でゆっくりする生徒等々様々だった。
そして、一通り遊んだあと、今から夕食だ。
この旅館では、何故か食事時浴衣着用なので、全員が浴衣を着用している。
IS学園には様々な国籍の生徒が在籍しているため、当然ながら髪の色1つでも様々な個性を持った生徒達がいる。
そんな生徒達が、全員同じデザインの浴衣を着ているのは、何処となくシュールだ。
更に、宗教上の理由や文化の違いなどで正座が出来ない、もしくは苦手な生徒の為にテーブル席も用意されている。
そして、生徒の前には既に本日の夕食が用意されている。
カワハギをはじめとした刺身に小鍋、山菜の和え物と味噌汁とお新香。
とても豪華だ。
生徒達も、早く食べたいと言わんばかりに目を輝かせている。
だが...
「....織斑兄は如何した?」
食事前の挨拶をするために、教員たち用のスペースから生徒用スペースに来ていた千冬がそう声を漏らす。
そう、まだこの場に一夏が来ていないのだ。
それを表すように、端の席が1つ、料理は来ているのに座っている生徒はいない。
「まだ来てないです」
先程の千冬の呟きに答えるように、シャルロットがそう言う。
それを聞いた千冬はため息をつく。
「ならデュノア、織斑兄のことを呼びに...」
千冬がシャルロットにそう指示を出している途中で、
ガラガラ
と、襖が開く。
そして、全員がその開いた襖に視線を向ける。
すると、そこにはこの場に唯一いなかった生徒である一夏がいたのだが...
「織斑兄...何かあったか?」
そう、千冬が心配そうな声を漏らす。
今の一夏は眉間を押さえていて、どう見てもふらっふらだった。
「.....疲れました」
一夏はそうボソッと呟くと、誰も座っていなかった席に座る。
そして、そこそこ強いタイプの目薬を取り出して、そのまま差す。
暫く眉間を押さえた後、
「あー」
と声を漏らす。
「遅れてすみませんでした」
「い、いや、大丈夫だ。以後気を付けるように」
「分かりました」
一夏と千冬はそのように会話する。
そして、一夏は目薬を仕舞う。
「ん、んん。さて、それでは全員揃ったので、夕食を開始する。全員残すなよ!それでは、頂きます」
『頂きます!』
「いただきます...」
千冬の号令合わせて、生徒は元気よく、一夏はボソッと頂きますと言う。
そして、千冬が教師スペースに戻ると同時に、一斉に食べ始める。
「ん!おいしい!」
「ねー!」
と、生徒達が思い思いの反応を見せる中、一夏は無表情でただただ食べる。
表情が変わることも無く、何か感想を言うでもなく、ただただ食べる。
その事もあって、一夏の周りにはチョッと重い雰囲気が流れていたが、今の疲れ果てた一夏にその事を気にする余裕がない。
「お、織斑君、大丈夫...?」
その空気に耐えられなかったのか、一夏の隣に座っている生徒が一夏に声を掛ける。
一夏は、持っていた箸をいったんおいてから、その隣の生徒に顔を向ける。
「ああ、大丈夫だよ。エル...」
その生徒とは、一夏と実技授業で同じ班になったことがある、エル・アスクリーだ。
「エルこそ、正座で大丈夫なのか?」
「うん、私は大丈夫だよ!宗教上は問題ないし、日本に来る前に一応練習しておいたから!」
「正座の練習...」
今現在は無国籍とはいえ、今までずっと日本で過ごしてきた一夏にとって、その言葉には違和感があるんだろう。
だが、
(まぁ、日本になじみがないとそんなもんか...)
と、一夏は直ぐに切り替えた。
一夏はそのまま箸を再び持ち、食事を再開する。
だが、一夏の表情が変わる事は無く、ただただ食べてる。
暫くそうしていると、当然ながら夕食を食べ終わる。
「ごちそうさまでした...」
一夏は手を合わせてボソッと呟く。
だが、心なしか先程よりも声は大きかった。
「ふぅ...ご飯食べたから少しは元気が出て来た」
如何やら、夕食を食べたことにより、活力を取り戻したようだ。
表情も無表情から少しは改善されている。
「ごちそうさまでした!」
ここで、隣のエルも食べ終わった。
一夏とエル以外にも、チラホラと食べ終わった生徒が出て来ている。
「今更だけど、エルと話すのって久しぶりだな」
「そうだね...実習以外ではあまり話さないからね」
今度は、一夏からエルに話し掛ける。
一夏は忙しくて、昼休みにも仕事をしている事が多く、1組の教室からは出ないので、他クラスの生徒と話す機会があまりないのだ。
だからこそ、クラス外でよく話す人が鈴と簪しかいないのだ。
「あ、そうだエル。連絡先交換する?」
と、ここで不意に一夏がそう呟く。
その瞬間に、食事をしていた生徒全員が一夏とエルに視線を向ける。
「え、良いの!?」
「自分から言い出しといて、駄目な訳がないだろ?」
(正直に言うと、クラリッサとチェルシーの2人と先に交換したいけど...友人と交換するのも大事だからな!)
一夏は、心の中ではやはり恋人であるクラリッサとチェルシーの事を考えていたが、友人と交換するのも大事だと判断したようだ。
クラリッサとチェルシーも、友人と連絡先を交換するくらいなら許してくれるだろう。
「それで、どうする?」
「お、お願いします!」
一夏がスマホを取り出しながらそう聞くと、エルも顔を赤らめながらスマホを取り出す。
顔を赤くしたエルを見た一夏は、
(何故赤くする...俺、なんか意識されてんのか?まぁ、確かに2人しかいない男子の片方ではあるが...まさか、ねぇ。惚れられてるなんてことは...無いな。そもそも、俺にはクラリッサとチェルシーがいるし)
そんな事を考えていた。
そうして、2人は連絡先を交換した。
「お、おおお織斑君の、連絡先...!」
「おー、本当に交換出来てる...主任、ありがとう」
エルはその事にパニックになりながらも、一夏と交換できたことに喜び、一夏は本当に普通のスマホとして使える事に感動していた。
と、ここで...
『ズルい!!!』
「えきゃ!?」
「ん?」
周囲の生徒が一斉にそう叫び、エルは驚いたような悲鳴を上げるが、一夏は特に表情を変えない。
如何やら、何回か叫ばれたことにより、一夏には耐性が付き始めているようだ。
「ズルい!織斑君と連絡先を交換するなんて!」
「一夏君!私とも!」
生徒は、口々にそんな事を言う。
エルはアワアワしているが、一夏は何かを悟ったようで耳を塞ぐ。
その次の瞬間、
「うるさいぞ!」
と、お怒り状態の千冬がやって来た。
その言葉を聞いた瞬間に、一斉に静かになる。
「全く...織斑兄、少しは考えて行動しろ」
「自由時間に仕事をしていた俺に、そこまで考慮しろと?」
「.....以後気を付けるように」
千冬はそう言うと、教員スペースに戻っていった。
みんなが千冬に注目している中、どさくさに紛れてマドカが一夏に近付く。
「お兄ちゃんお兄ちゃん」
「ん?如何した?」
マドカが小声で話し掛けて来たので、一夏も声を潜めてそう返す。
「主任から伝言があるんだけど、良い?」
「後で聞こう」
「分かった。じゃあ、部屋に行っていい?」
「大丈夫だ。先生方には俺から説明をしておく」
そう会話を終わらすと、マドカはしれっと戻っていった。
それから、暫くしないうちに全員が夕食を食べ終わったのだった。
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マドカside
夕食から暫くの時間が経った。
今は全クラス、男子、教師全員の入浴時間が終わったため、10時の消灯時間までの自由時間だ。
そんな時間、私はお兄ちゃんがいる教員部屋に向かっている。
あの夕食の後、お兄ちゃんはそのまま部屋に戻っていった。
何でも
「後42枚...今日中に終わらせないと明日に響く...」
との事だ。
温泉に行く余裕がないから、部屋の内風呂に入るらしい。
折角の温泉があるのに、入れないだなんて...
やっぱり同じ会社に所属しているとはいえ、お兄ちゃんみたいに偉い立場になると仕事は忙しくなっちゃうんだなぁ...
それにしても、3組の人は皆良い人だったなぁ...
年も1つ下で、急に専用機を、それもあの『篠ノ之束特製』の専用機を急に貰ったのに、それなのにも関わらず私と仲良くしてくれた。
今日、急に転入してきたのにバスの中で一気に仲良くなれて、海でも遊んで...
お兄ちゃんの友達の専用機持ちの人とも、シャルさんのお陰で仲良くなれた。
元テロリストだとは思えないくらい、今が幸せだ。
このまま、平和に過ごせると良いんだけどなぁ...
と、もう直ぐお兄ちゃんとお姉ちゃ...織斑先生の教員部屋か。
次の角を曲がれば...
あれ?
「何してるんですか?」
私はそう声を発する。
教員部屋の前には、シャルさん、セシリアさん、ラウラさん、鈴さん、簪さんと、午前中一緒にいた専用機持ちの人達が集合していた。
それだけなら、まぁ、分からなくもない。
お兄ちゃんや織斑先生に用があるだけかもしれない。
でも、5人全員が耳をピタッと扉にくっつけているのならば話は別だ。
5人とも、私の声に反応して私の事を見ると、一糸乱れぬ動きで口の前に右手の人差し指を持ってくる。
これは...静かにって事かな?
「シャルさん、どうかしたんですか?」
私はひそひそとシャルさんに何をしていたのか尋ねる。
すると、シャルさんはその場を離れ、さっきまでいたところに指を向ける。
実際に聞いてみてって事だろうか?
私はそのまま、さっきまでシャルさんがいたところに行き、扉に耳を当てる。
すると、部屋の中の音が聞こえてくる。
『ん!あ!気持ちいいです...』
『そうですか?それは良かったです』
『一夏、お前は本当に上手いな』
『昔から、千冬姉にはしてたからな』
『あ、織斑君、それ以上激しくは!』
『しないですよ。俺も疲れてるんです...』
こんな会話が。
え、なんで山田先生もいるの!?
それにお兄ちゃん、何してるの!?
昔からお姉ちゃんにはしてた!?
え!?え!?え!?
扉に張り付いている他の人達も顔を赤くしている。
『はぁ...おい、扉の前の6人』
と、ここでお兄ちゃんが急にそう言ってきた。
私達はビクっと身体を震わせる。
だが、シャルさんは今扉に耳を当てていないので何て言われたのか分からないようだ。
『怒らないから入ってこい』
そう言われたら入るしかない。
私はそう判断して、扉を開ける。
当然ながら、部屋の中の様子が見れるようになる。
そこには、布団にうつ伏せで寝ている先生2人と、山田先生の背に肘を当ててるお兄ちゃん。
その光景を見た瞬間、私達は部屋の中で起こっていた状況を理解する。
「ま、マッサージ?」
鈴さんがそう呟く。
「マッサージ以外に何があるんだよ。
お兄ちゃんは呆れたような表情で私達の事を見ている。
私達は思わずお兄ちゃんから視線を逸らす。
お兄ちゃんはため息をつくと、
「それで、なんか用か?マドカ以外は来るって聞いてないぞ」
と言ってくる。
私は、そのままシャルさん達の事を見る。
シャルさん達は、視線を泳がせる。
如何やら、大した理由は無いっぽい。
「大した用は無いのかよ...それでマドカ。主任の伝言って?」
「あー、周りに人がいない方が良いんだよね...」
シャルさんを含め、専用機持ちの5人と山田先生は、主任が束さんだと知らないし...
「分かった。じゃあ、部屋に来てもらって悪いが、外に行くか」
「少し待て、一夏」
お兄ちゃんが私を部屋の外に連れて行こうとすると、織斑先生が待ったをかける。
そう言えば
お兄ちゃんの事を名前で...
さっき、お兄ちゃんも『千冬姉』って呼んでたし、何となくプライベートな雰囲気も混じってるのかな?
「1回、女子だけと話させてくれないか?」
「...まぁ、いいけど...なら、俺はロビーのマッサージチェアでも使うか。千冬姉のマッサージ、痛いだけだったからな」
お兄ちゃんはそう言いながら部屋から出て行った。
「織斑先生、どういうことですか...?」
簪さんがそう尋ねる。
「あー、一夏が仕事で疲れたからって、マッサージをしてやったんだ。そうしたら...」
「『アンタのマッサージはただ痛いだけだ!』って言って、見本を見せてやるって感じで私と織斑先生にマッサージをしてくれた感じですね~」
織斑先生の説明に、山田先生が補足をする。
なるほど、そう言う事だったのか...
あれ、山田先生は何でここにいたんだろう?
そう疑問に思うと、
「ああ、私もこの部屋なんですよ。お姉さんと一緒の部屋だったら倫理的に問題は無いだろうって。橘君と同室だと言ったのは、橘君の部屋に生徒が押しかけないようにするためです」
と、私達の心情を読み取ったかのように山田先生が説明をする。
私達6人全員が状況を理解したタイミングで、織斑先生が
「んん!さて、残って貰ったのは他でもない。お前らが、一夏の事を如何思っているかを確認しようと思ってな」
という。
お兄ちゃんの事を如何思っているか、か...
私にとっては頼れる上司でお兄ちゃんだけど、他の人達は如何思っているのか、確かに気になる。
「それに、凰、オルコット、ボーデヴィッヒ、デュノア、更識は一夏のファンクラブに入っているんだから、何か特別な感情を持っているんだろう?」
織斑先生の言葉に、私は驚く。
お兄ちゃん、ファンクラブあるの!?
凄いなぁ...それくらい、みんなから認められてて人気って事だよね!
それから、鈴さん、セシリアさん、ラウラさん、簪さん、シャルさんの順でお兄ちゃんの事を如何思っているのか、そしてそれは如何いう切っ掛けなのかを話し出した。
5人全員が、お兄ちゃんに少なくない量の感謝や絆、そして隠しきれていない好意を抱いているようだ。
切っ掛けとしては、全員お兄ちゃんと関わりだした時の出来事が、そのままお兄ちゃんを意識する切っ掛けになっているみたいだ。
いやぁ、初対面でそんな事が出来るお兄ちゃんは凄いなぁ。
そして、私の番になった。
私は、そのまま自分の気持ちを正直に話す。
「お兄ちゃんとは、家の関係もあって関わりが短いけど、頼れる上司で、カッコいいお兄ちゃんだよ!」
私がそう言うと、私以外の人が笑顔になる。
それから、暫くの間あまり出来ないガールズトーク(教師2人含む)をした後、お兄ちゃんに主任の伝言を伝えるのだった。
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一夏side
消灯時間をとっくに過ぎた1:00頃。
俺は唐突に目を覚ました。
だが、目を覚ましたとしてもすることなんてない。
俺の隣には織斑先生が、その更に奥には山田先生が寝てる。
俺はそのまま仰向けになり、頭の下で両手を組んで、マドカから聞いた主任の...束さんの伝言を思い返す。
その内容とは、明日、いや、今日この臨海学校に侵入するとの事。
理由は、篠ノ之箒に絶縁を言うためだとか。
聞いた話では、如何やら篠ノ之は束さんに専用機をねだったらしい。
その事に束さんは激怒。
「いっくんには悪いけど、もう我慢できない!あの愚妹との関係を切る!」
との事。
これは推測だが、口頭で篠ノ之本人に絶縁を言い渡した後、全世界に向けて声明発表するんだろう。
確かに、俺の仕事は更に忙しくなるかもしれない。
それでも、篠ノ之に関する声明を言えるんだったら、俺としては大歓迎だ。
俺がそんな事を考えていると、急に空中にゲートが開く。
その中から、ディミオスが出て来た。
「お帰り、ディミオス」
《なんだ、起きていたのか》
今、唐突に起きたんだよなぁ。
俺はそんな事を思いながら、布団から抜け、トイレに行く。
ディミオスは意図に気付いたようで、俺の後を付いてくる。
そして、トイレに入って、ディミオスに尋ねる。
「それで、なんだって?」
《流出したのは、アジ・ダハーカの細胞らしい》
「と、言う事は、アビゲールさんの兄弟みたいなものか?」
《そうなるな》
俺はそれを聞いて頭を抱える。
また厄介そうなものが...
まぁ、俺がすることは、
「明日、何か起こるかもしれない。早めに寝よう」
《そうしておけ》
俺はそのままトイレから出て、一応手を洗ってから布団に戻る。
明日、束さんの侵入以外何も起こらないと良いんだけどなぁ...
いやぁ、一夏が疲れてます。
クラリッサとチェルシーに癒してもらいましょう。
夏休みに。
次回もいつになるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
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