無限の成層圏と煉獄騎士   作:ZZZ777

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今回は一夏ダウン状態の中、マドカとシャルが頑張ります!
いったいどうなるのか...

今回もお楽しみください!


新たな社員

マドカside

 

 

あれから、お兄ちゃんと銀の福音のパイロットのナターシャ・ファイルスさんは治療室に運び込まれた。

その後、専用機持ちが一応集まって待機していると、山田先生が2人の容態を教えてくれた。

お兄ちゃんもナターシャさんも、特に身体に異常はなく疲労が蓄積してるだけらしい。

ナターシャさんは、暴走したISのパイロットとして滅茶苦茶な動きをさせられていたのに、内臓にも骨にも異常が無かったのは奇跡みたいなものらしい。

報告を受けた私達も、それは素直に喜んだ。

でも、お兄ちゃんの身体も異常無しという事を聞いた私達は、一斉に首を傾げた。

だって、お兄ちゃんはあの橘に刺されて、海に墜ちたんだから。

山田先生も私と一緒に監視用ドローンから見てたから、物凄く疑問に思っていた。

だが、私達がどれだけ考えても答えが出ない事は明白なので、その場は解散になった。

この時に、分かり切っていた事ではあったが守秘義務が課せられた。

 

 

そして、今私が何をしているのかというと...

 

 

「シャルさん、緊張しますよ」

 

 

「僕もだよ。スカウト何て初めてするんだから」

 

 

シャルさんと共に、ナターシャさんがいる部屋の前にいた。

これから、ナターシャさんを『PurgatoryKnights』にスカウトするからだ。

 

 

何故、スカウト出来る事になったかというと、学園と『PurgatoryKnights』がそうしたからだ。

IS学園はアメリカ政府とイスラエル政府に報告書の1部虚偽を問い詰めた。

そして、その虚偽を見抜いたお兄ちゃんが所属する『PurgatoryKnights』にも情報をくれて、そのままIS学園と『PurgatoryKnights』でアメリカ政府とイスラエル政府と交渉。

その結果、世界にこの暴走事件を公表しないという条件の元、銀の福音の暴走の原因解明を『PurgatoryKnights』がすることになった。

まぁ、実際にするのは主任とお兄ちゃんとディミオスソードだけになりそうだけど。

そして、パイロットのナターシャさんは本人の判断に任せるという事になった。

そう、()()()()()()()()()

つまりは、本人が決めさえすれば、どんな勧誘をしてもいい。

『PurgatoryKnights』は前々からお兄ちゃんがボヤいていたように、発展途上国支援プロジェクトの人手不足だ。

そのため、現役軍人であるナターシャさんを勧誘できるのはまたとない機会。

だから、『PurgatoryKnights』に入らないかという交渉をするんだけど...

 

 

何時もなら、こういうのをしているお兄ちゃんが今、気を失っているので私とシャルさんがすることになった。

私もシャルさんも、所属IS操縦者としての仕事はするけど、こういった企業代表としての仕事はしたことが無いので物凄く緊張してる。

お兄ちゃんは、なんでこういう仕事を普通に出来るんだろう...

そもそも書類仕事は所属IS操縦者の仕事じゃないんだけど...

まぁ、お兄ちゃんだから仕方が無いと言えば仕方無いんだけどね...

 

 

「じゃあ、シャルさん。そろそろ、行きましょうか」

 

 

私は、覚悟を決めてシャルさんにそう言う。

するとシャルさんも、覚悟を決めた表情で

 

 

「うん、行こう」

 

 

そう返してくれた。

私は、そのまま部屋の扉をノックする。

ナターシャさんが起きていても起きていなくても、これは礼儀。

 

コンコン

 

...反応が無い。

まだ意識が戻っていないのかな?

私はそう思いながらも、もう1回ノックする。

 

コンコン

 

...やっぱり反応が無い。

 

 

「まだ、起きてないのかな?」

 

 

シャルさんがそう呟く。

私がそれに返そうと口を開いたとき、

 

 

『はい...』

 

 

と、中から声が聞こえて来た。

私とシャルさんはいったん顔を見合わせた後、扉を開ける。

 

 

「「失礼します」」

 

 

それと同時にシャルさんと共にそう声を発する。

そうして部屋の中に入ると、部屋の中央にある布団にいた金髪の美人女性が上体を起こしてこっちを見ていた。

 

 

「えっと...あなた達は...」

 

 

その女性...ナターシャさんはそう言う。

初対面だし、その反応は当然だと思う。

私はそう思いながら、シャルさんと共に自己紹介をする。

 

 

「初めまして。『PurgatoryKnights』所属IS操縦者の織斑マドカです」

 

 

「同じく、『PurgatoryKnights』所属のシャルロット・デュノアです」

 

 

私達がそう言うと、ナターシャさんは驚いた表情を浮かべた後、

 

 

「アメリカ軍所属の、ナターシャ・ファイルスです」

 

 

そのまま自己紹介をしてくれた。

 

 

「すみません、座っても良いですか?」

 

 

「あ、大丈夫ですよ」

 

 

シャルさんがナターシャさんにそう許可を取ったので、取り敢えず私達はナターシャさんの近くに座る。

 

 

「えっと...何で私は、ここで寝てたのかしら?」

 

 

すると、ナターシャさんはそう私とシャルさんにそう聞いてくる。

確かナターシャさんは銀の福音のパイロットでハワイ沖にいたはず。

それなのに、目を覚ましたら旅館で寝ていたら疑問に思うのも仕方が無い。

 

 

「ナターシャさん、今まで何があったのか覚えていますか?」

 

 

覚えていないとは思うけど、私は一応確認する。

ナターシャさんも1回考えるように顎に手を置くけど、頭を横に振る。

 

 

「全く覚えてないわ」

 

 

うん、想定通り。

私とシャルさんは一瞬視線を合わせると、ナターシャさんの事を見る。

 

 

「では、今まで起こったことを説明します」

 

 

「衝撃が大きいので、覚悟してください」

 

 

私とシャルさんがそう言うと、ナターシャさんは眉をひそめる。

まぁ、私だってそんな事を初対面の人に言われたらそんな表情になっちゃうから、ナターシャさんがそんな表情になるもの理解できる。

だけれども、ナターシャさんは直ぐに表情を変え、

 

 

「...分かったわ」

 

 

そう言う。

それを確認して、私とシャルさんは今までの銀の福音鎮圧事件を説明する。

銀の福音が暴走し、それの鎮圧に私達IS学園が駆り出された事。

その過程でお兄ちゃんが海に墜ちたりもしたが、お兄ちゃんが銀の福音を強制解除させ、ナターシャさんを救出したこと。

そのままお兄ちゃんは倒れた事。

そして、アメリカ政府とイスラエル政府の無人機だという虚偽情報を使った交渉の末、『PurgatoryKnights』が銀の福音の暴走原因解明をすることになった事。

ここまで説明すると、ナターシャさんは下を向いて悲しそうな表情を浮かべた。

 

 

「えっと...如何しました?」

 

 

シャルさんもその事には気付いたんだろう。

心配そうな声でナターシャさんにそう尋ねる。

すると、ナターシャさんは語りだす。

 

 

「あの子は...銀の福音は、空を飛ぶのが大好きだったの。それなのに、暴走して、人を傷つけてしまうだなんて...それに、アメリカがあの子を無人機だと偽って、私ごと撃破しようとしてたって考えると...」

 

 

ナターシャさんは、半分泣きながらそんな事を言う。

それを見て、思わず私とシャルさんも視線をそらしてしまう。

ナターシャさんからの言葉からは、ナターシャさんが銀の福音の事をどれだけ大事にしていたかがヒシヒシと伝わってくる。

そんな大事にしていた銀の福音が暴走して、人を傷つけたとなったら悲しむのも無理はない。

それに、そんな大事なISを破壊するような命令、それも自身の命は度外視されていたとなると、私にはどれほどの悲しさなのか理解できない。

でも、こんな時お兄ちゃんなら...

 

 

「ナターシャさんが、それだけ銀の福音の事を思ってるからこそ、銀の福音もナターシャさんの事を助けたんじゃないですか?」

 

 

私がそう言うと、ナターシャさんとシャルさんが私の方を向く。

私は笑いながら、

 

 

「だって、ナターシャさんは身体に異常が無いじゃないですか。暴走したISに取り込まれて怪我もない。それは、銀の福音が暴走しながらもナターシャさんを守ったからじゃないですか?」

 

 

そう、ナターシャさんに向けて言う。

するとナターシャさんも微笑みながら

 

 

「そうだと嬉しいわね」

 

 

と言った。

それにつられて、シャルさんも笑顔になっている。

じゃあ、そろそろ本題に入ろうかな?

 

 

「それでナターシャさん。今日私達がここに来たのは、ナターシャさんにある提案をしに来たんです」

 

 

私がそう言うと、ナターシャさんは首を傾げる。

私とシャルさんは視線をいったん合わせると、説明を始める。

 

 

「ナターシャさん。あなたは今アメリカ軍所属ですが、今回の事件を受けてあなたが如何するかは、あなたの判断に任せられることになりました」

 

 

「わ、私の判断?」

 

 

「はい。このままアメリカ軍に残るのか。それとも、新しい場所で、新しい生活をするのか。それの判断です」

 

 

シャルさんがそう言うと、ナターシャさんは表情を驚きと困惑が混ざったような表情に変える。

まぁ、急にそんな事を言われたら誰しもそんな表情になってしまう。

 

 

「そこで、ナターシャさんに提案があります。是非、『PurgatoryKnights』に入りませんか?」

 

 

「.....え?」

 

 

私がそう言うと、ナターシャさんは呆気に取られた表情になる。

 

 

「えっと...何で私が?」

 

 

ナターシャさんがそう聞いてきたので、私とシャルさんはそのまま説明を続行する。

 

 

「『PurgatoryKnights』は、発展途上国支援プロジェクトを計画しています」

 

 

「その為に、実際に発展途上国に行って活動をする人手が不足しているんです。それで、ナターシャさんのように、軍所属のIS操縦者は、まさに求めていた人材なんです」

 

 

その説明をすると、ナターシャさんは考え込むように顎に手を当てる。

まぁ、これだけで決断出来るとは私もシャルさんも思っていない。

『PurgatoryKnights』が何を出来るかも伝えないと。

 

 

「勿論、ナターシャさんの国籍等の問題...例えば、亡命して国籍を変えたいという場合でも、私達は全力でサポートします」

 

 

「そして、生活支援もしっかりしますよ。お給料も、月の手取りが60万円ほど...」

 

 

シャルさんがそう言うと、ナターシャさんは随分驚いた表情になる。

 

 

「ず、随分多いのね...」

 

 

如何やら、アメリカ軍の報酬よりも多いらしい。

 

 

「確かに多いとは思います。私達も月手取り50万ですし...」

 

 

「お兄ちゃんは、確か手取り100万だったような...」

 

 

私がそう言うと、ナターシャさんは更に驚いた表情になる。

まぁ、高校生が付きに稼ぐ金額じゃないよね...

もう自分で稼いだお金で生活できちゃうよ。

....もともと、親がいないから扶養受けてなかった。

私はそんな事を考えながら、最後のカードを使う。

 

 

「もし、うちに入って貰えば、直ぐにとは言えませんが、銀の福音と再会できる可能性もあります」

 

 

私がそう言うと、ナターシャさんは一気に表情を変える。

その表情は、何処か嬉しそうだった。

本当に、銀の福音の事が好きなんだなぁ...

 

 

「先程も言いましたけど、これからの判断をするのはナターシャさん自身です」

 

 

シャルさんは、ナターシャさんに向かってそう言う。

 

 

「ですが、もしよろしければ、私達と共に、働いて頂けないでしょうか」

 

 

「「よろしくお願いします」」

 

 

最後に、私とシャルさんは同時に頭を下げる。

そのまま暫くすると、ナターシャさんが声を発する。

 

 

「いくつか確認したいんだけど、良い?」

 

 

「はい、大丈夫ですよ」

 

 

その言葉に反応しながら、私とシャルさんは顔を上げる。

 

 

「まず、仮に私が入ったのなら、やるべき仕事は発展途上国に行って、活動をすればいいのね?」

 

 

「はい、その通りです」

 

 

「それで、私の国籍とかのサポートもしてくれる」

 

 

「『PurgatoryKnights』に可能な範囲なら、出来る限りのサポートをします」

 

 

「最後に、銀の福音と再会できる可能性がある...」

 

 

「確証は出来ませんが、アメリカ軍に所属し続けるよりかは、可能性は高くなります」

 

 

何回か、確認するかのように質疑応答を繰り返す。

そして、全ての質疑応答が終わるとナターシャさんは考えるように顎に手を置き、目を閉じる。

慣れないなりにも、シャルさんと出来る限りの事をした。

これでどうか...!

 

 

そこそこ長い時間、ナターシャさんは考えていた。

でも、やがて目を開くと笑顔になり、

 

 

「是非、私を『PurgatoryKnights』で働かさせてください」

 

 

と、言ってくれた。

 

 

.....やったぁ!!

スカウト成功!!

 

 

私は内心物凄く喜ぶ。

シャルさんも、口元に笑みを浮かべていた。

 

 

「はい!よろしくお願いします、ナターシャ・ファイルスさん」

 

 

私はそう言いながら、笑顔でナターシャさんに右手を差し出す。

ナターシャさんも更に笑顔になりながら

 

 

「此方こそ、よろしくお願いします」

 

 

と言って、右手を出して私と握手をする。

暫く握手していたが、何時までもしている訳にも行かないので離す。

そして、これからの事をシャルさんと説明する。

 

 

「会社への連絡は僕たちからしておきます。ナターシャさんは、今はしっかり休んでおいてください」

 

 

「国籍等を如何するかは、社長や人事部の方々、そして所属IS操縦者を纏める係のお兄ちゃんと話し合って下さい」

 

 

「分かったわ」

 

 

お兄ちゃんはともかく、ただの所属IS操縦者の私達ではこれくらいしか言う事が無い。

っていうか、人事権を持ってるお兄ちゃんが異常なんだよ...

それに、昨日も折角の自由時間に仕事してたし...

 

 

「お兄ちゃんとも会って欲しいですけど、今は意識が戻ってないので...」

 

 

私がそう言うと、ナターシャさんは顔を暗くする。

まぁ、上司となる人を堕とした原因があると考えてしまっているんだろう。

 

 

「大丈夫ですよ。お兄ちゃんは優しいので」

 

 

「そうです。寧ろ、優秀な人材が入って歓喜すると思いますよ」

 

 

「フフ、そうだといいわ...」

 

 

シャルさんの言う通り、お兄ちゃんは歓喜すると思う。

その光景が目に浮かぶ。

 

 

と、ここで外から声が聞こえてくる。

 

 

『離せ!何故私がこんな事をされなければならないのだ!』

 

 

『いい加減にしろ篠ノ之!大人しくしろ!今までのお前の行動を振り返ったら、理由は分かるだろうが!』

 

 

『千冬さん!私は何もしてないじゃないですか!私はただ、変わってしまった一夏を元に戻そうとしただけです!』

 

 

『はぁ...もういい!とっとと行くぞ!』

 

 

そんな声が。

 

 

「えっと...今の声は?」

 

 

「IS学園の問題児が搬送されている声です。気にしないで下さい」

 

 

「わ、分かったわ...」

 

 

シャルさんがナターシャさんにそう説明すると、一応納得してくれたようだ。

私とシャルさんは立ち上がると、ナターシャさんに声を掛ける。

 

 

「では、詳しいことはまた明日話しましょう」

 

 

「今は休んでください」

 

 

「そうさせてもらうわ」

 

 

そうやり取りをして、私とシャルさんはナターシャさんの部屋から出る。

そして、扉を閉めて軽くシャルさんとハイタッチする。

 

 

「やったね、マドカちゃん!」

 

 

「はい、シャルさん!」

 

 

そう話した後、そのまま私達は自分の部屋に戻るために歩き出す。

その途中、お兄ちゃんが寝ている部屋の扉が見える。

お兄ちゃん、早く目を覚まさないかな.....

 

 

 

 




前々から発展途上国支援プロジェクトって言ってたのはこのため!
途中のマドカのセリフがカードを使うなのは...まぁ、バディファイトとのクロスオーバーなので。
ちょっとくらいカードゲーム要素あっても良いじゃないですか。

次回もいつになるか分かりませんが、楽しみにしていてください!

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