それです。
今回もお楽しみください!
千冬side
私は、数人の教師と共に篠ノ之を拘束しながら歩いていた。
理由は簡単。
篠ノ之を警察に引き渡すためだ。
今まで、篠ノ之は何度も何度も暴力行為を行った。
その全ては織斑兄に向けられていて、織斑兄が全てを捌いてくれていたから傷害事件までに発展しなかったが、篠ノ之は一向に反省しなかった。
そんな中、束が篠ノ之に関する声明を発表。
そして篠ノ之は警察に引き渡されることになったのだが...
「クソ!離せ!離せと言っているだろう!!」
先程から、篠ノ之は暴れていて上手く連れていけない。
全く、もう警察の方は来ているというのに...
「離せ!何故私がこんな事をされなければならないのだ!」
「いい加減にしろ篠ノ之!大人しくしろ!今までのお前の行動を振り返ったら、理由は分かるだろうが!」
「千冬さん!私は何もしてないじゃないですか!私はただ、変わってしまった一夏を元に戻そうとしただけです!」
コイツは...
織斑兄は、一夏は、変わったんじゃなくて成長したんだというのに...
そして、篠ノ之が成長して無さすぎるんだ!
「はぁ...もういい!とっとと行くぞ!」
そうして、篠ノ之の腕を掴み強引に連れて行く。
その他の教師も、強引に篠ノ之を連れて行く。
「クソ!離せ!私は何もしていない!!」
そんなやり取りを何度も繰り返し、何とか旅館からは出る事に成功した。
あと、もう少し...!
「離せ!私はただ一夏を取り戻したいだけだ!」
「いい加減、大人しくしろ!」
はぁ、疲れる...
そんな事を思いながら篠ノ之を引きずっていると、
「お疲れ様です」
と、警察官の方5人がやってきて下さった。
「どうも。それで、コイツなんです」
「分かりました。あのパトカーに入れて輸送します。すみませんが、そこまで協力していただけますか?」
「分かりました」
そう言われたので、私達はパトカーに篠ノ之を入れるまでは協力することにした。
それにしても、パトカー3台も使うのか...
「クッ!離せ!離せぇ!!」
そう暴れる篠ノ之を、教師と警察官総出でパトカーに押し込む。
そうして、何とかパトカーに乗せる事には成功した。
「では、後はお任せください」
「はい、よろしくお願いします」
そうして、篠ノ之は連行されていった。
私達教師はそれを確認すると、旅館に戻る。
...ディミオスソードの報告を聞く時間まで、あと少しか...
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そうして、現在時刻は20時。
私は教員たちに許可を取り、指定した場所まで向かっていた。
教員たちは、弟である一夏が目を覚まさない事に気を使ってか、特に理由を聞いてこなかった。
...良い、同僚だな。
そんな事を考えながら歩いていると、指定した場所に着いた。
その場にはもう既に束がいて、柵に腰を掛けて足をブラブラしていた。
「ん、ちーちゃんも来たね」
「ああ。お前は随分早いな」
「まぁ、ディミくんの話は気になるしねぇ~~」
私と束はそんな会話をする。
束の表情は何時ものおちゃらけた顔では無く、真剣なものだった。
一夏が気を失ったり、銀の福音のあの姿など、気になるものが多いんだろう。
そんな事を考えていると
《フム、もう来ていたか》
と言いながら、ディミオスソードがやって来た。
「あ、ディミくん!やっほぉ~!」
束はディミオスソードにそう声を掛ける。
ディミオスソードはそれに
《ああ》
と短く返すと、そのまま地面に着地する。
そうして、私と束を見ながら言葉を発する。
《早速本題に入る。伝えておきたい事は2つ。銀の福音の暴走原因と一夏についてだ》
ディミオスソードがそう言うと、私と束は一気に表情を変える。
まさか、今回の銀の福音事件で気になっていた事2つがディミオスソードの口から出て来るだなんて思わなかった。
ディミオスソードもそれは理解しているんだろう。
軽く頷いている。
《まず、銀の福音の暴走原因だ。銀の福音には、終焉魔竜アジ・ダハーカの細胞が埋め込まれていた可能性が高い》
「ア、アジ・ダハーカ?」
なんだ、それは。
束も同じ様な表情をしている。
《アジ・ダハーカは、ダークネスドラゴンWのモンスターで、太陽神の片割れ。世界の半分くらいは簡単に滅ぼせるほどの力を持っている》
ディミオスソードの説明は俄かには信じられないものだった。
世界の半分は簡単に滅ぼせるなど、創作物の中では無いと鼻で笑ってしまうかのようなものだ。
だが、ディミオスソードという目の前のドラゴンの存在そのものが創作物の中ではありえないと考えていた存在だ。
世界の半分の滅ぼせる力を持っている存在がいても不思議ではない。
「はへぇ~~...それで、何でそんなのがISに埋め込まれてたの?」
束も同じ様な思考に至ったのだろう。
ディミオスソードの説明を否定せずにそんな事を聞く。
《バディワールドから、アジ・ダハーカの細胞が流出しているのは確認していた。アジ・ダハーカの細胞は、細胞から新たなモンスターが生み出せるほどのエネルギーを秘めている。そんな細胞だからこそ、成長するための依り代として銀の福音に寄生した可能性がある》
「そ、そんな事があり得るのか...?」
《分からない。我らから見ればISなど未知のものだし、そちらから見ても我らは未知の存在だろう。本来ならば、関わる事のない存在なのだからな》
確かに、ドイツで誘拐されていた一夏をディミオスソードが異世界から発見しなかったら、そもそも関わりは無かったな。
《篠ノ之束。ISコアとIS装甲は新たに作れるか?》
と、ここで急にディミオスソードが束にそんな事を言う。
それを言われた束は一瞬驚いた表情を浮かべたものの、直ぐにその真意を理解したようだ。
「うん。でもあと2つが限界だし、第二世代ぐらいのじゃないと直ぐには出来ないよ」
《それくらいで問題ない。実験をするだけだからな》
その発言を聞いて、私はディミオスソードが何をしたいのか理解した。
ISとディミオスソード達モンスターが合わさるとどのようになるかが何も分からない。
その為、実験をして把握しておきたいという事だろう。
《それで、次に一夏の事なのだが...》
ディミオスがそう呟くと、私と束に緊張が走る。
一夏は、橘に刺されたうえ、その後銀の福音と戦闘をして今意識を失っている。
そんな一夏に、何か別の事が起こったのか...
《一夏が橘深夜に刺されたことは間違いない。だが、一夏の身体には何も異常はない。煉獄騎士内の白式と白騎士が何かしたと考えていると思ってるが、何か知っているか?》
「待て!煉獄騎士内の白式と白騎士?如何いう事だ?」
そんなの、聞いたこと無いぞ!?
私が混乱していると、
「白騎士のコアを使った白式っていうISを日本政府が無理矢理作ったんだ。そして、なんやかんやあってそれのコアがいっくんの煉獄騎士に宿ったんだ」
と束がざっくりと説明した。
正直に言うと、もう少し深堀してほしいが、大体の事が分かったから今は良しとしよう。
「それでねディミくん。白騎士には、操縦者の生体再生能力が備わってるの。いっくんを治療したのはそれだと思うよ」
《なるほどな...》
ディミオスソードは納得したかのようにそう呟く。
だが、それと同時に私も納得していた。
まさか、あの生体再生能力がこんな形で役に立つだなんて...
《...我の疑問は解消した。そして、今一夏が気を失っている理由は心当たりがある》
ディミオスソードがそう言うと、私と束はジッとディミオスソードの事を見る。
《お前たちも見たと思うが、一夏が何故か新しいカードを使った。具体的に言うと、新しい必殺技を創造した》
ん...?
ど、如何いう事だ?
「ディミくん、如何いう事?」
束も同じ事を思ったんだろう。
ディミオスソードにそうやって質問する。
《銀の福音作戦会議の時に一夏が説明した必殺技の条件、覚えているか?》
「ああ。覚えているぞ」
確か、相手のSEが4割以下で、使用にはゲージが4だったよな...
ん?
確か一夏が銀の福音と対峙していた時、その条件は達成していなかったような...?
《確かにあの時、その必殺技の条件は達成していなかった。それなのにも関わらず、何故か必殺技が発動した。よって、一夏があの瞬間に新しい必殺技を創造したと考えるのが普通だ》
あ、新しい必殺技の創造...
それがどんなに凄い事なのか、私には理解できない。
でも、このディミオスソードの反応から通常ではあり得ない事だという事は理解できる。
「つまり、一夏はその新しい必殺技の創造で意識を失ったという事か?」
《そうだと確証は出来ないが、その可能性が高い》
そういう事か...
《だから、暫くすれば一夏は意識が戻る》
最後に、そのディミオスソードの言葉で私と束は胸をなでおろす。
ここで一夏の意識は戻らないと言われたら、私と束は発狂する自信がある。
「それを聞いて安心したよぉ...んじゃ、そろそろ束さんは時間だから帰るね!」
束はそう言うと、そのまま腰かけていた柵から立ち上がる。
そして、私とディミオスソードの事を見ながら
「いっくんが目が覚めたら、束さんも心配してたって伝えてね!バイビ~~!!」
という。
すると、次の瞬間には束の姿は見えなくなっていた。
《忙しい奴だな》
「全くだ」
ディミオスソードと束に関する感想が被った。
それ程、束の行動は忙しいという事か。
「では、私達も旅館に戻るとしよう」
《そうだな》
私とディミオスソードはそのまま旅館に戻るために移動する。
一夏...早く起きてくれ...
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一夏side
先ず視界に入ったのは、和室の天井。
一瞬何処か分からなかったが、今は臨海学校で花月荘に泊まってたのを思い出す。
つまりは、俺は寝てたのか...
俺はそう思いながら上体を起こす。
「う、あ...」
すると、軽くめまいがするため、頭を抑える。
めまいがするまで寝てただなんて...今、何時だ?
俺はそう思いながら時計を探す。
でもこの部屋に掛け時計は無かった。
俺が視線を布団の横に移動させると、そこにスマホがあるのを確認する。
俺はスマホに手を伸ばす。
銀の福音を撃破して、旅館に向かって.....駄目だ、そこからの記憶がない。
そして、俺はスマホのロック画面で日時を確認する。
「...8日の13:00!?」
翌日の昼じゃねえか!?
俺滅茶苦茶寝てた...
っていうか待て!
今日は最終日だからもう直ぐ出発!?
いや、だったらもっと早く叩き起こされるはず...
って事はまだ大丈夫だな...
「そう言えばディミオスもいないし、ダークコアデッキケースもない...昨日刺されたから、ディミオスがダークネスドラゴンWにでも持って行ってんのかな...?」
俺はそう呟きながら立ち上がる。
うん、めまいも無くなった。
今の俺の服装は、花月荘の浴衣。
つまり、誰かが着替えさせてくれたな。
まぁ、倫理的にマドカか千冬姉だろ。
そして俺はそのまま身体を伸ばす。
「あ、あ~~~~」
身体がバキバキと音を立てる。
長い事寝てたから、身体が固まってるな...
俺がは伸ばしていた身体を元に戻し、布団の上に胡坐で座る。
そして、もう一回スマホを見ようとした時、
ガチャ
と扉が開く。
「ん?」
俺は短く声をだしながら扉の方に顔を向ける。
するとそこには...
「お、お兄ちゃん...?」
「い、一夏...」
と呟くマドカとシャルがいた。
その後ろには、金髪の長髪女性...ナターシャ・ファイルスさんがいた。
「如何した?マドカ、シャル」
マドカとシャルが一向に動こうとしないので、俺はそう声を掛ける。
すると、
「お兄ちゃぁあああん!!」
「一夏ぁああああ!!」
と俺の名前を叫びながら2人は俺に突っ込んで来た。
この光景、見たことある!
具体的には、ISのコア人格2人が突っ込んで来たことがある!
だが、1回見たからといって対応できるわけではない。
俺はそのまま2人に突っ込まれて布団に仰向けに倒れる。
「ぐえ!?」
思わずそんな声が漏れる。
「良かったぁ...目が覚めたんだね...」
「心配したんだよぉ...」
2人は泣きながらそう言ってくれる。
う、嬉しいんだけど、苦しい...
「は、離れてくれ...」
俺がそう言うと、2人は素直に離してくれる。
俺はそのまま上体を起こす。
「まぁ、今起きたよ」
俺がそう言うと、2人は胸を撫で下ろす。
かなり心配を掛けてしまったようだ。
まぁ、1回深夜に刺されて海に墜ちて、その後意識を失って翌日の昼まで寝てたら心配もするか。
「それで、何でナターシャ・ファイルスさんまでいるんだ?」
俺がそう言うと、マドカとシャルがナターシャさんの事を呼ぶ。
そして、3人そろって座る。
そのまま、説明をしてくれる。
IS学園と『PurgatoryKnights』がアメリカ政府とイスラエル政府とした交渉。
その結果、ナターシャさんはこの先如何するか自分で決められることになった事。
そして、マドカとシャルのスカウトで『PurgatoryKnights』で働く事になったという事。
「なるほどね.....滅茶苦茶嬉しい!」
俺はそれを聞いてそんな感想を漏らす。
だって、発展途上国支援プロジェクトの問題点が一気に解消されたんだぞ!
嬉しくない訳ないだろ!
俺のテンションが一気に上がった事に3人は驚いていたが、全員笑顔になる。
それを見て俺も笑顔になると、ナターシャさんの前に移動して右手を差し出す。
「これからよろしくお願いします、ナターシャさん」
「はい、よろしくお願いします」
そうして、ナターシャさんも右手を差し出して握手をする。
「ああ、俺の事は一夏で良いですし、プライベートの時はため口で良いですよ?」
「え、でも...上司の方にそうやって話すのは...」
「良いですって。そもそもマドカとシャルもプライベートではため口ですし。まぁ、流石に仕事の時は敬語ですけど」
俺がそう言うと、ナターシャさんは一応納得したようだ。
「なら、そうさせて貰うわ。私の事もナターシャでいいわよ」
「プライベートから年上の女性を呼び捨てする訳にはいかないので、仕事の時はそうさせてもらいますね」
俺はそう言い、笑う。
すると、ナターシャさんも微笑む。
「そう言えば、会社への連絡はもう終わってるのか?」
俺はマドカとシャルにそう尋ねる。
すると、
「うん。スカウトしたという事はもう伝えたよ」
「ナターシャさんには本社に来てもらって、そこで社長たちと今後如何するかを話し合ってもらう予定だよ」
と言う。
そういう事になってるのか。
「あとどれくらいで学園に戻る事になってる?」
「そうだね...今から織斑先生に一夏が起きたって伝えに行くから、そこから判断かな?」
「了解」
その報告を聞いて、俺は再びナターシャさんに向き合う。
「俺は学園に戻るので、具体的な話はまず社長としておいてください。なるべく早いうちに俺も会社に行くので」
「分かったわ」
そして俺はそのまま立ち上がる。
「んじゃ、取り敢えず着替えるわ」
「分かった。じゃあ、私達は織斑先生に伝えに行くね」
「ナターシャさんも、一応行きましょう」
「分かったわ」
そうして、3人はそのまま部屋から出て行った。
俺も自分の荷物が置いてある教員部屋に移動する。
わざわざ3人が俺とこないって事は、織斑先生は今いないんだろうな。
何はともあれ、新しい社員が入って良かった...
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時刻は進み、15:30
俺はIS学園に向かうバスに揺られていた。
あの後、部屋でIS学園の制服に着替えて、PCを確認。
案の定山のような仕事が来ていた。
それに俺はテンションが下がったものの、取り敢えず後で詳しく確認しようと思ってPCを含めた荷物を片付けた。
そのタイミングで、織斑先生たち教師の方々と深夜以外の専用機持ちが一斉に部屋に突っ込んで来たので、天井に張り付いて躱した。
かなりの心配を掛けてしまった事を再確認しているとディミオスも帰って来た。
小声で確認すると、やっぱりダークネスドラゴンWでダークコアデッキケースの確認していたらしい。
そして、直ぐに帰る準備を開始するよう指示が出て、14:00にはもう既に駐車場に全員が集合していた。
その前に俺とマドカとシャルはナターシャさんを見送り、ナターシャさんは本社へと向かった。
一般生徒には、銀の福音暴走事件が説明されていないが、出発が遅れた原因は俺の体調不調だと説明されたので、物凄く心配してくれた。
そしてこの時に、織斑先生が篠ノ之は警察に引き渡された事、深夜は命令違反を起こしたため拘束されている事が説明された。
篠ノ之の搬送にはみんな安心したような顔をしたものの、深夜の拘束には驚いた表情をしていた。
まぁ、この間のクラス対抗戦での命令違反は1組以外にはあまり広まってないから衝撃も大きいだろう。
そして今はユラユラとバスに揺られている。
バスの車内は体調不良という事になっている俺に気を使ってか静かだ。
そこまで気を使わなくていいんだけどなぁ...?
「それにしても、本当に疲れたな...」
「そうだな」
俺のその呟きにラウラが反応する。
「帰ってからはゆっくり休むと良い」
「休みたいんだが、それは出来なさそうだ」
「何?何かあるのか?」
ラウラは首を傾げながらそう言ってくる。
俺はそれに頷きながら
「ああ。仕事があるし、それにもう直ぐ期末テストだ」
そう返す。
すると...
『わ、忘れてた!?』
という絶叫が響く。
耳が...耳が.....
この反応を見るに、如何やらみんなテストの存在を忘れていたらしい。
はぁ、学生ならテストを忘れちゃ駄目だぜ。
何はともあれ、激動の臨海学校は終了した。
これからも頑張らねえとなぁ...
臨海学校、無事終了!
でも、もうちょっとだけ1学期は続く。
次回もいつになるか分かりませんが、楽しみにしていてください!
感想や誤字報告もよろしくお願いします!