南坂トレーナー視点
「おらぁー!待ちやがれターボぉ、今追い抜いてやっからなぁ!」
「むあああああああ!ターボ、バンチョーには追い付かれないぞー!」
バンチョーさんがチームカノープスに加入してから1週間が過ぎました
ライバルとしていたトウカイテイオーさんがスピカに入るまでの間待っていた鬱憤を晴らすかの如く、カノープスに来てからは基礎的なトレーニングに熱心に取り組みながら来るメイクデビューに向けて汗を流しています
現在はコーチをしている僕と小休止の為にベンチに座っているネイチャさんが見ているグラウンドで並走トレーニング・・・をしていたのですが、途中からターボさんが先頭を譲らず逃げ始めそれをバンチョーさんが追い掛けるという変則的な追い運動の様なトレーニングになってしまいました
うーん、まぁ大逃げをするターボさんは後ろから追ってくる他のウマ娘さんのプレッシャーに晒される事も多々あるのであながち間違ったトレーニングではないのですが、僕は並走トレーニングをして欲しいんですよね
でもターボさんのスタミナはバンチョーさんに及びませんし、その内バテた所を捕まえられてしまうでしょうからそのままにしておきましょうか
「いやぁ~、3人になって賑やかになってきたねぇ、トレーナー?」
「ええ。やはり練習はある程度の人数でした方が効果があるものもありますし、バンチョーさんが加わってくれてターボさんやネイチャさんの練習もし易くなりました・・・ネイチャさんもターボさんもバンチョーさんがチームに入った時に相当嬉しかったんじゃないですか?」
「いやいや~、そんな事は無いですよ?学友として付き合いがそれなりに長い面子だけだからまぁある程度のんびり出来ますけどね」
「そうですか?それにしてはターボさんもネイチャさんもバンチョーさんの加入の時機嫌よさげにしていましたが・・・」
「ちょ、ちょいちょいトレーナーさん?ターボはバンチョーの事大好きですけど私は別にそこまでじゃあ無いんですよ?何でそう言うんですかね?ネイチャさんちょっと困惑してますよ?」
「いやですが実際耳と尾が機嫌よさげに」
「ストップストーップ!それ以上は無し、無しでお願い!・・・うわぁ、バレちゃってたかぁ・・・」
はい、バレちゃってます
ウマ娘の皆さんは時折感情が真っ直ぐ出てしまいますので分かるんですよね、主に嬉しい時や楽しい時は耳と尾にとても出やすいんですよ
うちのチームだとターボさんが顕著ですがネイチャさんも結構分かりやすい反応をし、バンチョーさんが多少分かりにくい感じですね
ただこれ以上あれこれ言ってネイチャさんを困らせてもいけませんし、話題を少し変えましょうか
「しかし驚きました、バンチョーさんは脚質がほぼ全て可能なウマ娘さんなんですね」
「へ?あ、うん、おまけに芝もダートも走れるとかいう場所を選ばない強さがあるんだよねぇ・・・バンチョー」
ネイチャさんの言葉に頷いた僕はちらり、と持っていた資料に目を通す
このデータ資料はバンチョーさんが加入した後に適性を調べる為本人に対しての聞き取りや幾つかのコースを走って貰った結果を纏め、チョクセンバンチョーさんの今後のレースプランや練習メニューを考える為に作ったものですが・・・
チョクセンバンチョー
身長:165cm 体重:増減なし
芝:A ダート:A
短距離:C マイル:A 中距離:A 長距離:B
逃げ:C 先行:A 差し:A 追込:B
という結果が記載されています
体格が良く持ち前の凄まじいパワーと相まって当たり負けもしないタフネスさと、先行差しの他に追込も可能な脚質、更にレースにおける熱い闘志と強い精神力を持つ、それがチョクセンバンチョーというウマ娘の長所ですね
芝もダートもいけるとなると今後どのようにトレーニングやレースのスケジュールを組むかかなり悩ませてくれるウマ娘さんですが、バンチョーさんの加入によりカノープスは実質3人態勢となり以前よりも更に練習可能なトレーニングが大幅に増えたのもチームとしては大いにプラスに働いてくれました
脚質自在に近いバンチョーさんがターボさんの大逃げやネイチャさんの先行と差しの練習で他の脚質のウマ娘役を買って出てくれるのでかなり実践的な練習が出来ますし、二人と競う事でバンチョーさんも単独でやられていた時よりも練習が捗りますし、3人にはこれから競い合いながら大いにスキルアップして貰いましょう
「おうトレーナー、資料と睨み合ってる所わりぃけどターボの奴がスタミナ切れでぐったりしちまったんだが」
「たぼぼぉ・・・ばんちょーの背中、大きいぞぉ・・・」
「分かりました、ではターボさんは水分補給と小休止をしてください。バンチョーさんは次に坂路ダッシュを10本お願いします」
「りょ~かいだぜ、ターボベンチに寝かしてから行ってくるとするわ」
「わかったぞぉ・・・とれ~な~」
「ネイチャさんはタイヤ引きですね。ただ、まだまだ身体作りの途中ですし、焦らず無理せずにゆっくりでいいのでタイヤを引いていってください」
「分かってますって、トレーナー」
僕の指示を受けてバンチョーさんとネイチャさんがそれぞれの練習場所に向かって行きます・・・バンチョーさんは途中で背負っていたターボさんをベンチに横たえて額に冷えたタオルを置いてスポーツドリンクを与えて休ませてあげていますがね
それを終えたバンチョーさんがネイチャさんと同じ様に練習に励んでいくのを眺めつつ、僕は僕でレースプランを考えないといけませんね
既にターボさんはマイルでのメイクデビューを1着で飾っていますが、バンチョーさんはどうしましょう?
ネイチャさんのメイクデビュー戦は忘れな草賞で決めていますが・・・この時期だと確か・・・・・・ああ、このレースがいいかもしれませんね
スピカにいる同期のライバルのトウカイテイオーさんやウオッカさん、ダイワスカーレットさん以外だとどうもスペシャルウィークさんと仲が良いそうですし、同じ中山レース場で勝てばバンチョーさんももっと練習に身が入るでしょう・・・まぁ、テイオーさん達も励んでしまいそうで怖いのですがここは今後この路線で行く為のレース経験を積ませるのも兼ねて、ですね
チームスピカ視点
「ええっ!?センちゃんがメイクデビューに出るって本当ですかトレーナーさん!?」
「うそっ、僕よりも早いのー!?ずるいずるいー!」
「落ち着けスぺ、テイオー・・・正直俺も予想外だが、出るレースがもっと予想外だったんだ」
「でもバンチョーの方がテイオーより先にデビューするなんて確かに予想外かもね。それで?どんなレースなの?」
「あっスカーレット、俺にも見せろよ!何々?・・・えっ?」
「おいトレーナー、これマジか?ゴルシ星探しての天体観測し過ぎての目の疲れからきた見間違えじゃねえよな?」
「そんな星探してないしマジの話だこれは。いやまさかこれに出れるバンチョーも凄いがこれに出す決断をした南坂君も中々なレースプランを考えて来たもんだよ。・・・伏竜ステークスは中山の1800m右周り。距離はマイルだがレースコースはダート、入学時の模擬レースは芝を難なく走っていた事を考えるとチョクセンバンチョーはダートコースも走れる稀有なウマ娘だって事になるが・・・スぺは知ってたか?」
「い、いえ。センちゃんと練習していた時は草原で走る事が多かったので全く知りませんでした」
「そうか。いやまぁ無理も無いけどな・・・しかし、これを見る限り南坂君は暫くチョクセンバンチョーはダートレース主体でレースに出すつもりかもしれないな」
「それは・・・どうしてですか?トレーナーさん?」
「それについては今説明する。ま、あくまで俺の憶測でチョクセンバンチョーってウマ娘に関して話すから、確実にそうだとは言えないが・・・同期のテイオー、ウオッカ、スカーレットはしっかり聞いとけよ?同じレースを走る可能性が高いのはお前等なんだからな?」
沖野トレーナーがそう言うと、テイオーを始めとした全員がいそいそと部室の席に座り真剣な眼差しを向ける
それを確認した後に沖野トレーナーは自分の考察を述べ始めた
「チョクセンバンチョーの距離適正は恐らくテイオー達と同じマイルから中距離主体のクラシックディスタンスだ、前のレースを見る限りステイヤーらしいメジロマックイーンと比べて息が上がっていたしな。まぁスタミナを鍛えれば長距離も出て来るかもしれないが、今は置いておくとして・・・アイツの強みはあの体格に見合った強靭なパワーとタフネスさだな。スピードやコーナーリング、視野の広さではテイオーが勝っているが、あの坂をものともしない豪快な走りと大外をぶん回して攻めた大胆な戦法はちょっとやそっとじゃ真似出来ないモンがある。それに加えてこのダートレース出場・・・間違いなく長所であるパワーを伸ばしつつ、スタミナ向上やバ場の変化への対応力を上げて来るつもりだ。スズカ、スぺ達よりも多くレースに出ているお前はよく知っていると思うが、晴れている時の芝と雨が降っている時の芝は同じか?」
「・・・いいえ、別物ですね。雨の時の芝は重くて、走りにくいですから。それに滑り易くなっていて転倒の恐れがあるのであまりスピードも出せませんし」
「ああ、その通りだ。『重』や『不良』になっていくと芝コースだと滑るようになってスピードが落ちる・・・しかしダートは違う、寧ろ湿っている『稍重』や『重』のほうが走りやすい状態なんだ。それに加えて日本の砂主体のダートコース、これはスピードよりもパワーを求められる上に競走時に脚部にかかる負担は少ない。そして、冬季のダートレースでは乾燥する上に凍結防止の観点から散水が出来ないからな、パワー自慢のチョクセンバンチョーはうってつけの戦場だ・・・ここであのパワーをもっと磨きつつ悪天候にも備えた対応力とスタミナを付けてクラシックに備える、っていうのが南坂君の考えなんだろうな。正直、お前のクラシック三冠における最大の強敵になりかねないなテイオー?」
自分達のトレーナーにそう言われたテイオー以外の面々が、テイオーに向けて視線を向けると・・・
「そっか・・・へへっ」
「ん?バンチョーが強敵だってのに嬉しそうに笑いやがるなんてどうした?テイオー?」
「だってさゴルシ、実際に嬉しいんだもん。僕がカイチョーに追い付く為には無敗のクラシック三冠を目指さないといけないけど、そこではきっとバンチョーが待っててくれてる。今よりもっと早くて強いウマ娘になって。そんなバンチョーに勝てれば、きっと僕はカイチョーの居る場所にももっと近付けるからね。」
「ああ~そっか、お前とバンチョーって確かクラシックで戦う約束してたんだっけなぁ!くぅ~、お互いに高め合えるライバルの存在ってのはカッコいいなぁ、オイ!」
「そうね、アタシもバンチョーみたいな相手なら戦ってみたいわね。けどそん時アンタはアタシとバンチョーが戦った後で挑みなさいよ?」
「はぁ!?バンチョーと戦うのは俺が先だ!」
「ちょっと二人共!?バンチョーと戦うのは僕が先だからね!」
「わ、私も日本一のウマ娘になったらセンちゃんと戦う約束がありますから戦いたいです!」
「オイオイ、お前等落ち着け!・・・全く。だが形はどうあれやる気が出たようだな、スぺの皐月賞も近いんだ!全員気合入れて練習していけ!」
「「「「「はいっ!!」」」」」
「よし!スズカ、今日の練習は皐月賞でスぺがまた戦う事になるセイウンスカイを意識した練習をしたい。同じ逃げウマ役としてスぺとの並走トレーニングを頼めるか?」
「分かりました」
「助かる。ゴルシ、お前はちゃんと練習しろ」
「おう、真面目に丸太叩いてるわ」
「・・・お前それ練習か?ま、まぁいいパワートレーニングには、なるか。うし、全員グラウンドに移動して練習開始だ!ライバルに負けんなよー!」
「「「「「「おー!」」」」」」
チョクセンバンチョー視点
さて、南坂トレーナーやネイチャ達とのトレーニングを経て、いよいよやって来たメイクデビューの日である
スぺ姉ちゃんが弥生賞で勝った事のある中山レース場で開催される伏竜ステークスに意気込んで来てみたんだが・・・
「ふっふっふ、遂に来たなバンチョー!お前は今日、このウインディちゃんに敗れ去るのだー!」
・・・なぁんで此処に私のルームメイトが居るのかねぇ?
―――――――――
チョクセンバンチョー
バ場適性はアグネスデジタル、距離適性は短距離も出来なくはないエルコンドルパサー、脚質はシンボリルドルフのものを逆にしたような適性があるかなりヤバいウマ娘
短距離はスパートの力加減が難しくなるのといい勝負が出来てもあっという間な感じがして走った感じがしないとの事なので多少苦手、逃げは本人がしにくい性分な為他より低い
また、長距離Bはスタミナ不足の為現状B相当で止まっている程度
テイオー、また今はまだチームスピカに加入していないがマックイーンよりも先にデビュー戦を迎える事に
其処で待ち受けていたのは・・・
南坂トレーナー
チョクセンバンチョーの加入が想定以上に嬉しい誤算を生み出したトレーナー
ターボとネイチャの練習相手もバッチリこなせるバンチョーの存在は嬉しいけれど、芝もダートも行けるからレースプランにかなり頭を使う事に
先ずは長所を伸ばしつつ、(南坂トレーナーは知らないが前世からの)弱点であるスタミナを伸ばしていき、それに合わせて道悪の状況対応能力の向上もという考え
チームスピカ
1期アニメ3話辺りの時間軸中のスピカメンバー
現在はスペシャルウィークの皐月賞に向けた調整中
バンチョーのメイクデビューの情報を聞き複数メンバーのやる気が上がった
○○〇〇ウインディ
作者がアオハル杯ダート部門でお世話になる事がとても多いウマ娘
SRサポカも強いしで育成方針次第で編成に加えてファーストとの戦いではお世話になってます
実はバンチョーのルームメイトだった模様、待て次回
どうも9月27日のデイリー総合96位、二次創作81位になっていたらしいです 何時も読んでくださる皆様、評価感想をして頂いた皆様本当にありがとうございます
1期軸終了後に多少幕間を挟む予定です、あるとすればどれが見たいですか?
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