ウマ娘、チョクセンバンチョー!   作:狐の行商人

12 / 36
第十二走:姉のダイエットとスピカだよ全員集合!

チョクセンバンチョー視点

 

メイクデビュー戦からまた暫くの月日が流れ、皐月の頃と相成った今日この頃

今日も私は寝てる間に人のベットに潜り込んで来て私に抱き着いて爆睡してるウインディを引き剝がしつつ起床する

全く、メイクデビュー戦の後からやたらと潜り込んでくる頻度上がってる様な気がするんだが、何で自分のベットで寝ないんだ?

コイツウマ様を抱き枕替わりにしてるのかね?しかも寝たまま腕に噛み付いて来る時まであるし、ちぃと困るんだがなぁ・・・ホント、厄介なルームメイトである

 

とはいえ気持ち良さげに寝ているウインディを起こすのは忍びないので、起こさぬ様にそろりそろりと自分のベットから抜け出して髪と耳、尾を櫛とブラシで梳かし、ジャージに着替えて日課にしている朝のランニングを行うとするかねぇ

今日は・・・学園の近所にある川沿いを走るとするか

 

 

 

「・・・で?何でサウナスーツ着て私と同じで朝早くから走ってるのさスぺ姉ちゃん?確か朝苦手じゃなかったっけ?」

「え?えっと、いやそのぉ・・・あ、あははは・・・」

 

川沿いを走ってたら進行方向から同じ様に朝のランニング中な見知った顔、というか暫くぶりにスぺ姉ちゃんに会ったで御座る

そのまま挨拶をした後折角だし一緒に走ろうと誘った所、快くOKを頂けたので並走しながら普段の事をあれこれと話を続けてたんだが、スぺ姉ちゃんの今日の格好が気になったので聞いてみた

スぺ姉ちゃんの今の姿は学園支給のジャージ姿・・・ではなく何故かサウナスーツらしき服を着こんでおり、結構な時間走っていたのか既に額には汗が滲んでいる

 

そして極めて重要な事だが、スぺ姉ちゃんは朝に弱いタイプのウマ娘である

スぺ姉ちゃんの家に泊りに行った際、決まって私の方が先に起きてスぺ姉ちゃんはスぺ姉ちゃんのお母ちゃんが起こしに行かないと中々起きてこれない程である

ここ最近の寮生活ではルームメイトのサイレンススズカ先輩がよく起こしてくれるのだと嬉しそうに語ったのもこの姉であるが、そんな姉ちゃんがこうして早朝に起きてかつこの様な服を着てランニングをしているのは正直可笑しな事である、何か理由があるとすればそれは・・・

 

「スぺ姉ちゃん、もしかしてまた体重増え」

「そそそ、そんな事ないよセンちゃん別に私はそんな体重が増えたりして無いよアハハハやだなぁ~もぉ~」

 

はい、ダウトだな

そんな早口でまくし立てる様に弁解する辺りつまりそういう事なんだろうな、スぺ姉ちゃんは隠し事もあんま上手くないのだ

 

「・・・増えたんだな」

「・・・はい、増えちゃいました」

「この前の皐月賞、最後伸びが悪かったのもひょっとしてそれが要因にあったりする?」

「ううっ、そうです・・・」

「レース前の自己管理は、せめてしようや・・・」

「ううう~・・・はいぃ・・・」

 

しゅん、と気落ちして頭にあるウマ耳を垂れ下げて凹んじゃうスぺ姉ちゃん可愛くてズルい

けど、確かにこの前の皐月賞は弥生賞の時と比べて最後の末脚が伸びなかったのが見て取れたし、見た目コンディション悪く無さげなのになんでかなぁ?と私としては気になっていたが、体重増えてたのに一因があったのね・・・

ま、でもそれは太った訳じゃあないし負けの理由ではあれど全てじゃあないんじゃないかなぁ、とバンチョー思うんだよな

 

「まぁ、多少なりは増えるもんだと思うぜスぺ姉ちゃん?」

「でも・・・」

「私にしろスぺ姉ちゃんにしろ、トレーナーが付いて練習内容自体が個人練習よか効率的にも内容的にも多いに増してるから筋肉が前以上についてるんだと思うぜ?実際私(ピー)キロ増えたし」

「えっ、そうなの!?嘘じゃないよね!?」

「スぺ姉ちゃんに嘘ついてもしょうがないだろ?本当の事だよ」

 

そもそも人間以上に飯を食うウマ娘はそれに合わせた運動量もあるからそう劇的に太る事は無い筈なのである、レースに出る様になった私達は日々の練習量がかなりのモンだから尚の事だ

それで体重が増えてるのならそれは大半が体脂肪ではなく筋肉量が増えた事による増加である可能性が高い

何?スぺ姉ちゃんの食う量はお前も知ってるだろ?ナッハッハッ、流石にレース前には加減しとるやろ・・・してるよなスぺ姉ちゃん?(疑問)

・・・仕方ねえ、姉の為にバンチョーさんもお手伝いしますかね

 

「そんなに気にしてるなら暫くの間私がスぺ姉ちゃんの昼飯作ろ『本当!?』食いつき早くないスぺ姉ちゃんや?」

「だって久しぶりにセンちゃんの手料理食べれるんだもん!わぁ~、楽しみだなぁ」

「・・・そこまで喜んでもらえるとは思ってなかったが、まぁいいか」

 

久方ぶりに振る舞う私の料理への期待からかスぺ姉ちゃんの顔は満面の笑みである、スぺ姉ちゃん可愛くてズルい(本日2度目)

ん?私に料理が出来るのかって?安心して頂きたい、出来るのである

実は北海道に行く度にスぺ姉ちゃんがリン母ちゃんの飯を美味そうに食ってるの見てたんだが、あんまりにもスぺ姉ちゃんが幸せそうに食うもんだから私も作って食べさせてみたくなってリン母ちゃんにこそこそ教わっていたのだ

そしてとある日にリン母ちゃんと共謀し内緒で1品作ってスぺ姉ちゃんに食べて貰ったのだが、美味い美味いと大絶賛された

作ったのはニンジンを豪快にぶっ刺したニンジンハンバーグであったが、リン母ちゃんのそれと変わらぬ味であったとは後に暴露した時のスぺ姉ちゃんの感想である

それ以来向こうに行った時にちょいちょい料理を手伝わせて貰っているし、実家でも色々教わっているし教えてくれるのはトレセン学園の料理副主任だ、味も量もバッチリさ

さぁどんとこいスぺ姉ちゃん、お腹一杯にしてみせよう!

 

 

 

 

 

いや・・・まぁ、お腹一杯にしてみせよう言いましたよ、言いましたけどね?

なんでスピカの皆さん全員集合して来たんですかね?ちょーっと予想外だわ

学園にある家庭科室を先生方にお願いしてお借りして、リン母ちゃんに食材用意して貰って待ってればスぺ姉ちゃんが入って来た・・・までは良かったんだぜ?

でもその後にサイレンススズカ先輩、ダイワスカーレット、ウオッカ、ゴールドシップ、トウカイテイオー、挙句はスピカのトレーナーの沖野さんまで来るのは何でだ???

 

「スぺ姉ちゃんや、昼飯作ったる言うたけど何でスピカのトレーナーさん含めてチーム全員で来とるん?」

「ゴメン、センちゃん!皆にバレちゃった・・・」

「あちゃ~、バレちゃったか~」

 

そういや隠し事苦手でしたねスぺ姉ちゃん、仕方ないなぁ(諦め)

どうもスピカの皆様は先日より始まったスぺ姉ちゃんのダイエットにご協力中だったらしく、本日のお昼に関してどうするのかスぺ姉ちゃんに聞いたらしい

んで、今日は食堂で食べるんじゃなくて私が作る予定であった事が露見し一体何を食べさせるつもりなのかと心配になり監視ついでにゴチしてもらいに来たとの事

別に変なモン食わせる訳が無いんだよなぁ、私が姉と慕う人物ぞ?スぺ姉ちゃんは

つか、ゴチって君ら強かやなぁ

 

「けど意外だったぜ、バンチョーも料理出来たんだな?俺てっきりスカーレットと同じで出来ないモンだとばかり」

「はぁ!?アンタだってどうせ出来ないでしょうが!」

「うんや、スカーレット。ウオッカは料理出来るし何なら結構な腕前だぞ?私が保証する」

「へへーん、どーだスカーレット!」

「ぐぬぬ・・・ウオッカのくせにぃ・・・」

「ねえねえバンチョー、何作ってくれるの?スぺちゃんからかなり料理上手だって聞いてるから期待してるんだよね」

「一応スぺ姉ちゃんのダイエットが目的だしな、鳥と豆腐を使ったもん中心になってるぜ?嫌いか?」

「ううん全然平気、楽しみにしてるね」

「あの、バンチョーちゃん、私濃い味付けは少し苦手で・・・」

「あ、そうなんですかスズカ先輩、じゃああっさり目も入れますね。そしてゴルシは調味料の中身入れ替えようとするなや!」

「げっ、バレたか。もうちょっとで醤油とウスターソースが入れ替えられたのに」

「やめんか!」

 

お前それパッと見結構分かりにくい奴じゃねえか、油断も隙もねえなゴルシの奴!保護者の沖野さんは何してるんだよ!・・・あれ、居ねぇ?

スピカの面々と一緒に此処に入ってくる時には確かに居た筈なんだがと思ってりゃぞわわっ!と背中に良く分からねぇ悪寒が走りやがった

バッと後ろを振り返って見りゃ、私の背後で屈み込んで人様のトモを真剣な表情で撫でてる沖野トレーナーの姿がありやがる

 

「何てトモだ、この体格に相応しいしっかりとした筋肉量と質・・・流石リンさんやキシさんの娘ってぇ所か」

「・・・沖野さんよ、流石に何も言わずにトモを触るのはアカンと思うんだが?」

「いや、悪い悪いつい癖でな」

「どんな癖なんだよアンタ・・・」

「ちょっとアンタ、まーた他のウマ娘のトモを触ってんじゃないわよ!」

「ちょっ、待てスカーレット!?ぐあああああ!!」

 

ったく、思わず蹴りそうになるからやめぇや

私の蹴る力は馬の頃のMAXでトラックを引いたままの状態で最後尾からバ群ぶち抜くパワーがあるから、流石に木綿豆腐と評判のアンタでも怪我するぞ?

一応リン母ちゃんと飲み仲間であるらしい人を初手で蹴とばすのは流石に気が引けるからしねぇけどもよ、今度から一言言ってくれ

キメジの奴もメンテナンスつって私の足に異常が無いか毎日熱心に触って来てたからそういう行動には一応理解があるが、そりゃあ馬の頃の話だからセーフだった訳で今の見た目じゃアウトだぞそれ

現に今目の前じゃそんな不届きを働いた沖野トレーナーがスカーレットの奴にカナディアンバックブリーカー極められてやがる、メキメキって音聞こえてるが大丈夫なん沖野さん?

・・・・・・まっ、いいか。あの人どうやら頑丈らしいし

んな事よりこんだけの頭数来たら作る量もハンパねー品数作んねーとなー、よしエプロン付けて作っていきますかねぇ

あ、鶏むね肉の皮は取り除かねぇとな、これ脂質たけーんだよ・・・

 

 

「んめぇ!このポテトサラダっぽいのカリフラワーが代わりに入ってんのか!」

「このナムルもキャベツとしらすだけなのに美味しいわね、ほんのりごま油と塩味効いてて美味しいわ!」

「うわぁ、メンチカツ中に豆腐ともやしが入ってるのに凄く美味しいよー!」

「ぱっと見は手羽先唐揚げなのに、鶏むね肉を使ってるんですね。ついつい箸が伸びてしまいます」

「うおー!?なんだこの衣に包まれたへんちくりんなささみ!トマトソースまで掛けて奇抜な見た目してんなぁ!」

 

うむ、概ねご好評の様で安心である

あ、ゴルシお前が食ってるのはチーズピカタって料理だぞ

ササミはぱさぱさしがちだが、こってりとしたチーズ入りの衣に浸けて焼いたから、しっとりと仕上がってるんだぜ?

さて肝心のスぺ姉ちゃんの方は・・・

 

「もぐもぐもぐもぐもぐ!」

「おおう、久しぶりに見たぜスぺ姉ちゃんの食べっぷり・・・ササミとか鶏むね肉とかのカロリー低めな肉とか豆腐なんかでかさまししてるモンばっかだから、何時も通りに食っても大丈夫だからなスぺ姉ちゃん」

「うん!ありがとうセンちゃん!最近食べる量も気にしててあんまり食べてなかったから、それも相まってとっても美味しい気がする!」

 

んー、美味しそうにパクパク食い進めてるなぁ、喜んで貰えて嬉しいぜ

てか食う量減らしてたのか、それはあんまダイエットには勧めんからやめなさい

 

「悪いな、チョクセンバンチョー。お前にまで気を遣わせちまって」

「ん?沖野さんどうしたよ急に」

「いや、皐月賞で負けて落ち込んでるスぺをお前なりに元気付けようとしてくれたんだろ?感謝してるぜ」

「あぁ、そういう事ね・・・別に?姉貴分を心配するのも妹分としちゃあ当然だろ?それによ、レースの結果としちゃあ確かに負けちまったがその負けを次のレースに生かせりゃあいい。そうだろ?」

「・・・ははっ、そうだな。お前さんの言う通りだ」

「さ、料理冷めちまうからアンタもさっさと食いなよ?いや違うな、冷めるよか食えず仕舞いで終わるかもしれねぇぞ?」

「おっと、そりゃ不味い。たまには誰かの手作り料理が食いたいと思ってたんだ、しっかり味わわせて貰うとするぜ」

「そうしてくれ」

 

やれやれ、やっぱ沖野さんには気づかれちまったか・・・ま、問題ねえけどよ

しかしまー結構量を作ったつもりなんだが、やっぱウマ娘が多いからか料理はドンドン減っていってる

途中でスカーレットとウオッカが最後の1つを取り合って喧嘩しそうになったり、テイオーと沖野さんの食べてる料理にゴルシがワサビを仕込んで悶絶させたり、スぺ姉ちゃんの顔に付いたケチャップをスズカ先輩がティッシュで拭ったりと、随分と賑やかなチームなんだなスピカは

・・・もしも、あの模擬レースの場で南坂トレーナーに声を掛けられなかったらもしかしてこのチームに私も混ざってたかもしれねぇな、この雰囲気嫌いじゃねえし

けどまぁ、私は南坂トレーナーのカノープスを選んだんだし、ネイチャやターボと練習したりやるのも好きだからな

今後も良き友良きライバルで頼むぜ?スピカの皆

 

 

 

 

 

 

「あぁ、そうだ・・・スぺが暫く美味い飯ご馳走になるお礼に、まだウチのメンバーにも話してない事をちょいとお前さんだけには先に教えておいてやるよ」

「あん?何をだよ?」

「近々、スピカはリギルに対して模擬レースの依頼をしに行くんだ。んで、リギルのメンバーの1人にタイマン勝負を挑む予定だ」

「へぇ、タイマンねぇ・・・で?誰と誰がやるんだ?」

「挑むのはスぺだ。で、その相手は」

「相手は?・・・誰だよ?」

「日本一のマイル走者の呼び声高い、タイキシャトルだ」

―――――――――

チョクセンバンチョー

 

実はメシウマ勢の一人、まぁお母ちゃんがお母ちゃん故多少教わっております

そして沖野トレーナーにトモを触られてもそうそう蹴とばさない系の数少ないウマ娘、ネイチャやターボのを触られたら流石に怒りますが(蹴るよかグーで殴る)

スぺちゃんとタイキシャトルの模擬レースを見る事に・・・そして此処であるイベントが?

 

 

 

スペシャルウィーク

 

朝に弱いお姉ちゃん、妹分が心配してますよ

センちゃんの作ってくれる料理美味しくてつい食べ過ぎちゃう!でも太りにくいの?やったー!

次回は彼女がタイキシャトルと模擬戦で戦う辺りだけどこれがバンチョーにとっては割と重要なポイントに?

 

 

 

沖野トレーナー

 

珍しくトモを触っても触られた当人に蹴とばされなかった

ただしスカーレットに絞められた

バンチョーの強い精神性に内心脅威を感じてる、テイオーもうかうかしてられねぇな

 

 

 

チームスピカ

 

1期アニメ4話辺りの時間軸中のスピカメンバー

スぺちゃんのダイエットの際何故か食事関係のイベントが無かった為この話を思いついた

スピカだよ全員集合!とあるがまだ名優が来ていない




アンケートは秋の天皇賞終了辺りの時間軸まで行っております、ご協力お願いします

1期軸終了後に多少幕間を挟む予定です、あるとすればどれが見たいですか?

  • チームスピカの話
  • チームリギルの話
  • チームカノープスの話
  • チームコールサックの話
  • 生徒会の話
  • 親や他のウマ娘との話
  • JWCの面々の話

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。