チョクセンバンチョー視点
夏、というのは大半のウマ娘にとって秋に向けての助走を付ける期間に当たるかなり大事な時期だ
夏はクラシッククラスのジャパンダートダービー以外のG1レースが無く、秋から冬にかけてはスプリンターズステークスから始まり有馬記念、東京大賞典に至るまでG1レースが目白押しになる為、どの世代のウマ娘達もこの夏の時期にどれだけ力を付けて来るかで今後の活躍の度合いに大きな差が出て来ると言って良いからだ
その為規模の大きいチームなんかは学園の私有地に向けて遠征に出掛けてみっちりトレーニングをしてくる訳で、リギルやスピカもこの例に漏れずメンバー全員で海沿いの場所へとそれぞれ向かって行った
かく言う我々カノープスも南坂トレーナーが運転する車で夏合宿予定地に向かって移動し、ひたすらトレーニングに明け暮れた
普段南坂トレーナーが重要視している基礎トレーニングは元より、砂浜ダッシュにビーチフラッグス、ビーチバレーにスイカ割り、遠泳にバーべキュー、最後に夏の夕空の元で野外授業をしたりとターボやネイチャと共に夏を満喫してたらいつの間にか夏、終わってたわ・・・あるぇ?夏ってこんな短いモンなのかって思う位にあっという間だったわマジで、いや楽しかったけどもよ
あ、因みに夏合宿で一番印象に残ったのはビーチバレーだったな、私とネイチャとターボしか居なかったから必然的に南坂トレーナーも混ざっての2対2でやったんだが、存外南坂トレーナー運動神経良くて驚いたよ
結構本気でやってたんだが私のスパイクもサーブも拾ってくるし、ネイチャとのコンビネーション崩しにくいったらありゃしないでかなり接戦であった
最終的には途中でスタミナが切れて動きが鈍くなったターボを心配して途中で切り上げたんだが、来年もまたやりたいものである
さて、長くも短く感じた夏が終わり天高くウマ燃ゆる秋の時期となったが、我等がカノープスの次走は私が秋の終盤の11月後半に行われるもちの木賞までレースの機会が無くターボのアイビーステークスも10月後半、ネイチャの走るエリカ賞も12月前半と現状大きな動きをする予定は今の所無い為夏合宿の後も日々トレーニングに打ち込んでいる
この間も他のチームのレースは進み幾度目かになるスピカとリギルの直接対決の舞台、G2毎日王冠ではリギルのエルコンドルパサー、グラスワンダー両先輩を抑えてサイレンススズカ先輩が逃げで圧勝する等ここ最近のスピカは絶好調であり、学園でも遂にリギルの一強に待ったを掛ける形になるか?という話題がかなり広がっている様だ
しかしリギルもこのまま黙って見過ごすとは思えないなぁ、怪我で長期離脱していたグラスワンダー先輩が復帰し毎日王冠以降悔しさをバネにして練習に励んでいるらしいし、エルコンドルパサー先輩も海外遠征を視野に入れているから益々気合を入れた練習をするだろう
それにスぺ姉ちゃんの同期であるセイウンスカイ先輩やキングヘイロー先輩も次のG1菊花賞に向けて調整中らしいし、今期のクラシック世代はレースではバチバチやり合いつつ互いに練習で切磋琢磨してて羨ましいぜ、私も負けてられん
ただまぁ今日は練習がオフの日だ、日がな毎日練習ずくめでは心身共に参ってしまうので時折こうしてまったり体を休めるのは大事だからな
私等も学生であるし、学園の外で遊んだりするとかの自由な時間はやはり欲しいのだ
そんな自由な時間を得た私は同じ様に今日はオフだったテイオーとマックイーンに誘いを掛けてみた、夏に手料理振る舞った時には時期的な問題でマックイーン居なかったし仲間外れは良くないだろうし後は遅ればせながらの加入祝いのつもり・・・だったのだが、思ってた以上にマックイーンの奴が喜んでた
そんなに嬉しいもんかね?いやまぁ、秋だし何かスイーツ作ってやるよって言ったから楽しみ何だろうが、え?自分だけ食べてなかったから凄く楽しみにしていますわ?
・・・マックイーンは確か紅茶が好きだとか言ってやがったなぁ、相性のいいスイーツにしてやるかねぇ・・・
先に寮のラウンジにて待たせていた2人の元に、スイーツを入れた紙箱を引っ提げて向かって見れば既にマックイーンとテイオーはテーブルの上に紅茶を用意してまだかまだかとソファに座って待っていやがった、いやはや相当期待されてんなぁ
「おっす、待たせたなぁお二人さん?今日は良いもん用意しといたぜ?マックイーンも紅茶準備してるか?」
「勿論ですわ、今日の為にじいやに頼んで屋敷にある一番良いものを持って来て貰いましたから」
「其処まで楽しみにしてたのか?けどまぁメジロ家にゃあシェフも居るだろうし、その人等に比べりゃあ大した事ねーかもしれんがな」
「いいえ、そんな事はありませんわ!学友のバンチョーさんが私とテイオーの為に作ってくれた事が重要なのです、夏前に加入しましたからバンチョーさんの手料理を食べ逃してしまったのが心残りでしたので・・・それに、その、私スイーツが大好きでして」
「なはは、そうかいそうかい。まぁご期待に添える程度のモンは作って来たぜ?テイオーも待たせて悪かったな」
「ううん、全然。僕もマックイーンと同じで楽しみにしてたんだ~、今回は何作ってくれたの?」
「バンチョーさん特製チョコバナナケーキだ」
やったー!と嬉しそうにはしゃぐ二人を見て此方も思わずニッコリ笑みを浮かべちまった
リン母ちゃんの影響なのか知らんがどうにも私は他人に料理を振る舞うのが好きらしい、いやぁやっぱ自分が作ったモンで笑顔になって貰えるからなのかねぇ?
「にしても、ここ最近スピカ好調だな。この後は菊花賞にスぺ姉ちゃんが出るんだろ?んで、天皇賞秋にスズカ先輩が出るんだろ?」
「そうそう、でもさーこうなってくると僕らのデビュー戦も待ちきれないよねー?ねー、マックイーン?」
「そうですわね。スピカの一員として、そしてメジロ家のウマ娘として恥じぬデビュー戦を迎えられればと思っていますわ」
「なはは、その熱意は好きだが何だなぁ、家の為とかチームの一員とかをあんま気負い過ぎんなよマックイーン?同じメジロ家でもお前はアルダン先輩でもドーベル先輩でもライアン先輩でもねーんだ、自分のしたい自分の走りをすりゃあ勝っても負けても胸を張って誇れるだろうよ、自分のレースをさ」
「・・・時たま思うのですがバンチョーさんは本当に私達と同期、ですの?何だかもっと年上の方の様に思うのですが?」
「あ、それ僕も思う!何か年上のお姉ちゃんっぽいとこあるよねー?」
「喧しい誰が年増かコノヤロー、そんな事言う同期共には今日のスイーツお預けだぞコノヤロー?」
「わー!?ちょ、ちょっとした冗談だよー!?だからバンチョー印のスイーツ没収は勘弁してよー!」
「止めてください!私先日スピカの皆さんが食したというバンチョーさんの料理を楽しみにしていましたのに!」
フフフ、ケーキのカット中にやっぱ無しでの没収はさぞ辛かろう・・・
という冗談はさておきケーキは綺麗に3等分にして二人に出す、食パンに使う様な型を使ったから切り分けし易くて助かるぜ
歳に関しては、まぁ元が現役二十云年のUMAだから多少ジジくさい自覚はあるが、そういう事気にする方も居るんだからあんま人様ならぬウマ娘様に言うんじゃねえぞ?
「それで?これからレース期の後半戦だが、二人のデビュー戦はまだなのか?」
「んー、トレーナーが言うにはジュニアクラスの今の内にしっかり下準備させてからデビュー戦を迎えさせたいんだって。だからまだ先になりそうかなぁ?僕としてはこの秋からでもいいと思うんだけど、トレーナーが言うなら我慢しなきゃね・・・だからちょっとバンチョーが羨ましいかなぁ」
「なはは、ダートじゃあるがお先にデビューはさせて貰ったぜ?つっても私もウオッカやスカーレットから見たらデビュー時期は出遅れてるけどな。マックイーンもまだチーム加入が夏前だし暫くかかりそうか?」
「そうなりますわね、けれど基礎を作らずに急いでデビューしても結果が散々では幸先が悪すぎますから今は基礎作りの時期ですわ」
「だな、私等の本格的なレース時期はG1に本格的に挑めるクラシックに入ってからだから、今の内に下地作っとかねぇとな・・・私とテイオーはクラシック三冠目指してるけど、マックイーンはどうするんだ?ティアラか?それとも天皇賞やマイル辺りか?」
「私は天皇賞、ですわね。メジロ家のウマ娘として天皇賞の盾を持ち帰るのが夢であり、目標でもありますから」
「そうか、んじゃあ天皇賞に挑むんならお前さんが私等の前に立ちはだかるって訳だな?」
「あら、幾らバンチョーさんでもそう簡単に天皇賞の盾は譲れませんわ」
「なっはっは、お前さんが天皇賞で出続けるなら盾を奪うのは難しそうだなぁ。けどな私もお前もお互いウマ娘なんだ、お前さんみたいな速いウマ娘とは大舞台で競ってみたいってぇ気持ちはあるから、何時か挑みに行くさ。なぁ、テイオー?」
「そうだね、僕もマックイーンとは何時かレースで競い合いたいかな?まっその時は僕が勝たせて貰うけどね~?」
「あら、テイオーも盾を狙っていますの?けれど私も負けません、その時は全力でお相手しますわ」
「んじゃ、今はそん時に向けて張り切って練習しつつしっかり食って体作らねぇとな。そうと決まればほれ、皿出せよ二人共ケーキのお代わりはまだまだあるぜぇ?」
「ええ、頂きますわ!」
「あっ僕も頂戴!」
その数日後開催された菊花賞はセイウンスカイ先輩が何と3000のワールドレコードで逃げ切るという記録を打ち立てて勝利した
スぺ姉ちゃんやキングヘイロー先輩なんかはこのレースの敗北を相当悔しがっていたが、この大記録樹立に学園の生徒達も会場に居た観客達も大いに沸いた
そしてその翌週に行われる天皇賞秋でも、サイレンススズカ先輩がこれと同じ程の歓声溢れるレースを展開してくれるだろうとトレセン学園の生徒も、報道陣も、観客も誰もがその日を待ち遠しく思っていた・・・思って、いたのだ
「・・・・・・オイ、オイオイ、う、嘘だろトレーナー?その話はよ」
「・・・残念ながら、事実の様です。サイレンスズカさんが、天皇賞秋のレース終盤で脚を骨折して・・・」
その日は、静かな、とても静かな・・・日曜日となった
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チョクセンバンチョー
1年目の夏を満喫してきたバンチョー
最近の趣味は料理、メキメキと腕が上達しており大体振る舞われるのは同室のウインディかカノープス、スピカの面々が最も多い
今回のケーキ、実はマックイーンが体重を気にしているとの情報を某葦毛から入手しておりこっそりバターの代わりにオリーブオイルを使用しているヘルシースイーツだったりする
スズカの脚の怪我に酷く動揺している
カノープス
スピカとは別の海辺にて夏合宿を行った
ターボ&バンチョーVSネイチャ&南坂ビーチバレー対決はスコア12-13で大接戦だった
合宿中の料理に関してはネイチャとバンチョーが交代しながら作ってたらしい
テイオー&マックイーン
まだデビュー前の基礎作りの時期の最中、2人共デビューが待ち遠しくて堪らないだろうと思われる
前回の料理では加入時期前だったので単身仲間外れにされる形になったマックイーンだが、今回は自分とテイオー以外は食べられなかった為他のメンバーに羨ましがられた
テイオーは気にしていないしそういう体質ではないから大丈夫だったがマックイーンは某葦毛にあんま食い過ぎると太るぞ?と揶揄われチョークスリーパーでお仕置きをした
後日バンチョーに『アレちゃんとカロリーに気を使って作っておいたから安心しな!』といい笑顔とサムズアップされて感動、益々ご贔屓さんになりつつある
サイレンススズカ
遂に迎えてしまった沈黙の日曜日・・・この作品ではこの事件は一体どうなるのか?次回へ続く
1期軸終了後に多少幕間を挟む予定です、あるとすればどれが見たいですか?
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チームスピカの話
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チームリギルの話
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チームカノープスの話
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チームコールサックの話
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生徒会の話
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親や他のウマ娘との話
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JWCの面々の話