ウマ娘、チョクセンバンチョー!   作:狐の行商人

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第十八走:秋を越えた先にあるのは

チョクセンバンチョー視点

 

季節は段々と秋の終わりを告げる様に進み、街角の広葉樹は枯れた葉を落とし木の葉の絨毯を街中に広げ始めていく

街ん中にある衣料品店も夏の薄手の服から冬に備えた厚手で温かいモンが店頭に並び、冷え込んでくる冬に備えて早めの冬物を買いに来る客で賑わいを見せている

そんな街中を病院へと向けて向かいながら、本屋と花屋に寄って幾つかの暇潰しになりそうな本と花束を買って歩いて行く

病院に付いた私は面会に来た事を受け付けの人に伝え、許可を得た後にそのウマ娘が居る病室へと向かう

そのウマ娘の名前は、サイレンススズカ先輩である

 

ノックをすると病室の中から返事が聞こえて来たのでドアを開けて中に入ると、シンプルなワンルームの病室のベットに上体を起こし座った様な体制のサイレンススズカ先輩が其処に居た

 

「サイレンススズカ先輩、調子はどうですか?」

「ええ、調子は良い方よ。早く治してまたターフを駆け抜けたい位に」

「なはは、そりゃあ気が早いんじゃあないですかね?速いのはレースで大逃げする時だけでお願いします。あ、そうそうこれ暇潰し用の本と花束です」

「ありがとう。こうして病室でじっとしているのは何だかそわそわしちゃって」

「あぁ~気持ちは分かりますよ、私もじっとしてるの苦手でグラウンドで走りたくなっちまいます。けど今は我慢してください、まだギブスが取れるまで時間掛かるみたいですし」

「そうなの、早く取れて走れる様になるといいのだけれど・・・」

「大丈夫っすよ、キシ母ちゃん達の治療受けてりゃあきっと走れる様になりますって」

 

ベットの横にある椅子に座りながら、買って来た本と花束を彼女に手渡す

天皇賞秋の最中に起きたサイレンススズカ先輩の骨折はかなり重度のものだったらしいが、危うい所で沖野トレーナーの指示を受けたスぺ姉ちゃんがサイレンススズカ先輩の左脚を支えた為最悪の事態は避けられたらしい

また復帰に関してもかなり難しいレベルの負傷であったらしいが・・・

 

『サイレンススズカ、貴女は何時かスぺと一緒にレースを走る約束をしたそうですね?』

『はい、オキシドールさん。私、この脚をしっかり治してスぺちゃんと一緒に走りたいんです・・・だからその、治り、ますか?』

『・・・私は患者を治療する際に必ず言っている事があります。サイレンススズカ、貴女にまた走りたいと、再びターフを駆ける風になりたいという努力する気持ちと熱意を持っていますか?』

『勿論です!私はまた、あの日見た景色をもう一度・・・いいえ、何度でも見続けたいです!』

『その言葉と決意、忘れないでください。私達医者の治療は治りたいと思っていないと十分な効果を得る事が出来ませんから。大丈夫、必ず全力で走れる様にしますからね』

 

とキシ母ちゃんがサイレンススズカ先輩に言ってたらしいし大丈夫だろう

ただ、その話の途中で何かタキオンセンセにも手伝って貰おうかしら、何て言ってたのは多少の不安を覚えたが大丈夫だよな?流石に変なお薬飲ませたりしないよな?この前タキオンセンセのトレーナーらしき人の顔面が7色に輝いてんの見かけて少し引いたんだが・・・

 

「けど、意外だったわ」

「はい?」

「スぺちゃんやトレーナーさん、スピカの皆も結構な頻度で面会に来てくれるのだけれどバンチョーちゃんも割と来てくれたことが。学年もチームも違う私の所に来てくれるのにかなりの頻度で来てくれるけれど、バンチョーちゃんは練習とか勉強とかは大丈夫?」

「あぁそういう事は気にせんで下さい、来たくて来てるんすから。それに練習はしっかりしてますしその息抜きとかでふらふらと此処に来てるだけですよ?勉強は・・・まぁ、分らんかったらネイチャやマックイーンに教えて貰ってますし大丈夫ですよ」

「そう、なら安心ね」

「ええ。まぁ、それに・・・」

「?」

「サイレンススズカ先輩はスぺ姉ちゃんの憧れるウマ娘ですからなんですかね、自分も憧れと言いますか随分昔に好敵手として追い掛けた背中があるんでどうにもあんま他人事に思えないんですよ。アイツも先輩みたいにとんでもなく速くて、何時も何時も俺を置いてきぼりにして先頭を譲らねぇ様な奴で近似感がねぇ?なははは」

「そう、なの?」

「ええ、今頃何処で何してるのかは分かんねぇですけどね?ホント、凄い奴でしたよ」

「・・・どんな子だったの?バンチョーちゃんが良ければだけれど、その子の事聞かせて貰えるかしら?」

「んん?気になりますか?アイツの事が」

「そういう言い方をされたら興味が湧かない方が可笑しいと思うわ。もしかしたらスぺちゃんみたいに転入生としてトレセン学園に来るかもしれないし海外のトレセン学園に居るかもしれないし」

「あー、海外かぁ・・・確かにそっちの方に行ってるかも知れねぇですね、そん位の実力は間違い無くありますし」

「チームの皆には前話した事があるのだけれど、私レースに復帰出来るようになったら海外のレースに挑戦しようと思ってるの。その時にその子に会うかもしれないし、同じレースを走るかもしれないから聞かせて欲しいの」

 

それに病室で出来る事って限られてるから、テレビを見るか本を読んでるか来てくれた誰かとお話をするだけで結構時間を持て余しちゃって暇なの、と苦笑しながらサイレンススズカ先輩に言われては仕方がないので色々と私とギンシャリボーイの話を(レース名とかUMAに関してとかの前世の事がバレそうなのは伏せてるけど)色々と話した

脚質自在の独特の歩法を持つ好敵手の話は先輩に結構面白かったらしくあれこれと質問されたがまぁ楽しんでもらえるように喋れたとは思う、しかし意外とコロコロ表情変わるんだなサイレンススズカ先輩、スピカの面子に飯作った時にゃもっとクールな感じかと思ったんだがな?あのチームに居続けて良い影響を受けたって事かもしれんが

 

 

 

色々と話をしていたら随分と時間が過ぎていたらしく、日が真上から大分傾き始めていた

部屋の壁に備え付けてある時計を見ると、既に1時間近く2人で話し込んでいたらしい

 

「おおっと、随分長居しちまったみたいっすね」

「え?あ、もうこんなに経ってたの?バンチョーちゃんが色々話してくれたから全然気づかなかったわ」

「暇潰しになったんなら御の字ですよ、ところで今日もスぺ姉ちゃん見舞いに来るんですか?」

「確か今日は昼過ぎに来るって言ってたから、そろそろ来るかもしれない」

「スズカさーん、居ますか~?」

「・・・噂をすれば影って奴ですかねぇ」

「ふふっ、そうね。居るわよスぺちゃん、中に入って」

「失礼しま~す。あれ、今日はセンちゃんも来てたの?」

「おう、スぺ姉ちゃんよか1時間ぐれぇ前からな。色々私の昔話して盛り上がってたよ」

「センちゃんの昔話?」

「スぺちゃんも知らない位の頃のお話らしいわ、同い年のウマ娘の子と何度も何度も走り合って負け続けたけど、その度に挑み直して・・・でも子供の頃のおふざけアリの走りとは言えそんな走り方したりするなんて何だか楽しそうね、今度やってみようかしら?」

「止めて下さい、アレらはあくまでおふざけでやった奴なんすから(もしこの世界であの走りで勝っちまえるなら絶対各方面に喧嘩売るし!)」

「ええっ、何ですかそれ!?センちゃんそれ教えて!」

「幾らスぺ姉ちゃんの頼みでもあの走り方は真似したらアカン!」

 

ギンシャリのスシウォークや私の斜行走法は当時の奴そのまんまやったら絶対アカン奴だからな!?冗談抜きで!

その後は3人で学園での出来事やら日常生活でのあれこれを楽しく話してたんだが、途中からサイレンススズカ先輩が自分の事はスズカと呼んで欲しいと言ってきたので此方もセンで構わないとお答えしたら、何か隣にいたスぺ姉ちゃんがむくれてたけど何でなんや?

 

 

 

スズカ先輩に見舞いに行ってから更に数日が経過し、月日は11月中旬に突入した

既にターボの出走予定だったアイビーステークスは見舞いの前に終わっていたが、結果は9着と手痛い負けを喫してしまっていた

レースの前半は普段通りの好スタートで大逃げを展開したターボがレース中盤まで引っ張る形だったが、徐々に前に前にと迫ってきたサンバイザーの奴が中盤にスタミナを切らして後退して来たターボや他のウマ娘達を追い抜いて1着で勝利した

けどその後にひと悶着あったんだよなぁ、アイツウイニングランを終えた後でターボのレース見に来てた私等カノープスメンバーを目ざとく見つけてきて

 

『次は貴女の番よチョクセンバンチョー!模擬レースの時の敗北の屈辱は雪がせて貰うから覚悟しなさい!』

 

ってレースの後で私を指差しながら大声でそんな事言うんじゃねえよお前さんお客さん方の前でさぁ、お互い結構目立っちまったがもちの木賞の後のレースもうトレーナーと決めてあるんだわ・・・しかもそれってばさぁ

 

『・・・スマン。その挑戦は喜んで受けるけど、次のレースの後のもダートレースだからお前と戦えるの随分先になりそうだわ』

『んなぁ!?』

 

うん、来年は9月にあるダートレースのシリウスステークス走るんだわ私、サンバイザーお前確かダート走れないだろ?だから凄く悪いんだけれどお前さんとの再戦は大分先になりそうだ・・・クラシックに入ったらでもいいか?って聞いたらか細く分かった、待ってるって言ってくれた

ホント申し訳ないサンバイザー、暫くというか大分先だけど待っててくれ

 

まぁそんな事があった訳だが、私のもちの木賞は既に目前に迫ってきていたんだが・・・今回のレースではウインディの奴が同日のカトレア賞に出る事になった為同じレースになれなかったからお互い非常に残念がった、また今度勝負しようなウインディ

ただ、ウインディが不在ではあるもののどうもこのもちの木賞には手強そうな相手が2人程出るらしいとの情報を南坂トレーナーが入手しているので楽しみにさせて貰おうかねぇ

 

 

 

 

 

 

で、トレーナー一体どんな奴が相手なの?・・・えっ?アイドル志望とその追っかけのウマ娘?・・・何ソレ?

―――――――――

チョクセンバンチョー

 

ギンシャリボーイの事を始めて話した(但し色々と伏せている)相手がサイレンススズカになったバンチョー

追い続け、追い掛け続け、最後には自分の前から消えてしまった好敵手の事を今でもはっきり覚えている

スピカメンバーと比べると頻度は低いが結構スズカの見舞いには行っている模様

サンバイザーに何かロックオンされているが、スマン今の私の主戦場はダートなんや申し訳ないもう少し待っててくれ

直近のもちの木賞に何かやべー相手が2人もいるっぽい?ので燃えている

 

 

 

サイレンススズカ

 

アニメ通りに骨折してしまい長期の休養期間に突入してしまった

早く復帰してまたターフの風を感じたくてうずうずしている

スシウォークの実演をバンチョーにされた時は何でそれで走っちゃうの、と言いながら滅茶苦茶爆笑してしまった

後にゴルシがこの話を聞いて実演する度にツボに入ったのか笑ってしまう癖がついたとかつかないとか

 

 

 

スペシャルウィーク

 

此方もアニメ通りにスズカの脚の怪我の際にフォローを行い、最悪の事態を何とか阻止した

毎日の様にスズカの病室を訪れ、彼女の怪我が一日でも早く治る様にと励ましているが・・・

スズカが自分の事をスズカと呼んでもいいよとバンチョーに言って、それなら自分もセンでいいっすよと返した事に何だかムッとしちゃった

センちゃんが相手でもスズカさんは譲れない模様

 

 

 

サンバイザー

 

まだ調子が上がりつつある段階

バンチョーに挑む前にスズカとの勝負が先になりそう()

 

 

 

 

 

 

アイドル志望とその追っかけのウマ娘

 

2人共一体ダレナンダロウ・・・

1期軸終了後に多少幕間を挟む予定です、あるとすればどれが見たいですか?

  • チームスピカの話
  • チームリギルの話
  • チームカノープスの話
  • チームコールサックの話
  • 生徒会の話
  • 親や他のウマ娘との話
  • JWCの面々の話
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