心よりご冥福をお祈りします
チョクセンバンチョー視点
京都レース場、もちの木賞は終盤に突入しようとしていた
先頭は以前序盤から綺麗なスタートダッシュを決めて逃げに逃げるファル子先輩、それを中段前目の位置から私が追っているがその後ろにピタリとデジタル先輩がマークしてきている
このままコーナーを越えれば最終直線での勝負となるが、”アレ”を使う為にも自由が利く外に出ねぇとなぁ!
『チョクセンバンチョー、コーナーに入った直後からペースを上げて大外から仕掛けて来る!2番手集団を追い抜き先頭をひた駆けるスマートファルコンを追い上げる!掛かった様子も見受けられましたがスタミナは持つのでしょうか!?』
『最終直線での末脚勝負になりそうですが、しかし後ろに付けているアグネスデジタルもしっかり追い続けています!これは分かりませんよ!』
他のウマ娘達の『無理ぃ~』という叫びを通り抜けて前へ前へと進んでいくが流石にデジタル先輩は振り切れねぇな!
加速してる私の真後ろに居るんだろう、チラリと目線だけで後ろを見るが彼女の姿は全く見えないがピッタリ付いて来てやがるのが気配で分かる!
けど今はそれを気にしてる暇は、ねぇ!
(捉えた!前・・・ファル子先輩!)
(来たね、バンチョーちゃん!デジタルちゃん!)
(ふほぉ、最終直線でのラストスパート勝負ですかぁ!!)
最終コーナーも半ばを超えコーナーを抜ける手前で何とかファル子先輩とのバ身が何とか縮まり、ラストの直線での真っ向勝負に持ち込んだ
しかしこっからだ!ファル子先輩は例え競り合っても勝ちに行けるだけのパワーと粘り強さがある、こっからは私とファル子先輩のパワー勝負!
真っ先にスパートをかけたのは逃げるファル子先輩だ、先輩も此処で決める為に余力を残していたのかギアを更に上げて逃げ切ろうとダートに脚を踏み込んで逃げ切りの体勢を見せる
故に此方も全力でアクセルを踏み込む!相手が誰だろうが自分の走りの筋を通して相手に真っ向から挑む、その為の走り方を、その為の練習をして来た・・・それを今、見せる時だろぉがぁ!
『最終コーナーを抜け最後の直線へ!逃げるスマートファルコンを猛追するチョクセンバンチョー、その差は3バ身程か!そのすぐ後ろをアグネスデジタルが追う!1着はこの3人に絞られたか!』
『さぁこの最後の直線、誰が勝っても可笑しくはありませんよ!』
『此処でスマートファルコンが更に前へと出る、が!チョクセンバンチョー、アグネスデジタルも譲らない!これは分からない、これは分からないぞ!さぁ1着とウィニングライブの栄誉は誰の手に収まるのか!』
互いに譲らず観客やカノープスのメンバーが見守るスタンドに迫る中、私は・・・いや
『俺』は伝家の宝刀を抜いた
アグネスデジタル視点
アグネスデジタルは高揚していた
理由は今まさに目の前で繰り広げられているスマートファルコンとチョクセンバンチョー、両者のパドックでの掛け合いから起因するもちの木賞における勝負である
今回のレースは推しの一人であるスマートファルコンが出るとの事で是非是非出走させて頂きたい、とトレーナーであるオキシドールに懇願したのが始まりであった
彼女がレースに出る理由は1着が欲しくて・・・では、ない
芝でも、ダートでも、どちらのレースでも一所懸命に走るウマ娘達を、推しの最高の姿を余すところなく見届けたい!全力で推したい!その為に彼女は芝でもダートでも走れる様に努力してきたし、その為にレースに関しての知識も学んできた
全ては、自分の推しのウマ娘達を直近で、間近で、最高のタイミングと距離で見届ける為に
そんな彼女の推しの1人であるであるスマートファルコン、ファル子さんとのレースに、もう1人注目すべきウマ娘ちゃんが現れた
チョクセンバンチョー、彼女の名は同室であるアグネスタキオンから聞いた事があった
タキオンさんが羨ましいと思う程の強靭な骨格と下半身の筋力を持つ今年のホープの1人にして、恩師オキシドールの愛娘
そして、自分と同じ芝もダートも選ばないオールラウンダーなウマ娘・・・果たしてどんなウマ娘なんでしょう、と気に掛けながらのもちの木賞当日に至りました
彼女は自分の推しであるファル子さんとどちらがレース後にセンターを飾るかで会話を弾ませ、互いにウインクをしながらこのレースでの健闘を誓い合うというとても良きモノを見せつけてくれました、この時点で彼女もデジたんの推しの1人として決定させて頂きます!今後も諸々と宜しくお願い致しますぅ!
そしてスマートファルコンもバンチョーの事に興味があったというのだからこれは益々滾ってきた、成程そういう関係もあるのか素晴らしい!と・・・あっ、この思考の先は何処かの記者さんと同じものになっちゃいますかね止めましょう
と、兎も角!推し同士の激闘なんて中々レアなそれを間近で見たくなった私は、今回マークする相手に自身と同じ脚質の様子である(と思われる)チョクセンバンチョーさんに追従する事にした
・・・終始徹底したマークをしたせいか少し掛からせてしまった様で申し訳ないのですが、それでも彼女は大きくペースを乱さずにラストの直線へと向かって最終コーナーを加速していきました・・・あぁ~、気持ちを切り替えた時の表情、キリっとした感じが凛々しくて実に良かったです!ご馳走様ですぅ!
しかしメインディッシュは此処からです!最終コーナーに入る時、前方で先頭をひた駆けていたファル子さんに追い付かんと猛然と追い上げを見せ遂に、遂に彼女は追い付きました!さぁさぁ、此処からどう御二人はゴールに向かって走っていくのか!
そう、デジたんが思っていれば先ず初めに仕掛けたのはファル子さん!中盤以降でも彼女には再度加速するだけの力強い脚があります、それを駆使してバンチョーさんと、後ついでに私も引き離そうとギアを上げて逃げを打ちます!
それに対してバンチョーさんはどう来るのか!と思っていれば彼女は彼女は溜めていた末脚を爆発させ、姿勢を低くして・・・低く、して・・・えっ???
(な、何ですかその走り方はぁぁ!?)
チョクセンバンチョー視点
最終直線、残り300mを切った時点で私は『この世界での自分の伝家の宝刀』を解放した
姿勢を前傾へと傾け、腰を中心として低く構え、手の振り方を体を中心に前後させる動きから斜めに振る様な動きへと変更!
更には脚を蹴り出す向きを前ではなくカタカナのハの字を逆に描く様な走り方へと切り替え、それに合わせる様に体の重心を左右へと振りつつ足裏全体で地面を掴みながら体を前へ前へと押し出す!
『ああっと、チョクセンバンチョーが追い上げて来る!追い上げて来るが、何だあの走り方は!何だあの走り方は!』
『何という事でしょう、私も今まであんな走りをするウマ娘を見た事がありません!何なんでしょうあの走り方は!』
『ジグザグと右へ左へ蛇行しながらも驚異的な加速で前方に居るスマートファルコンを追って行きます!』
なっはっは、実況も解説も混乱してらぁ
多分直ぐ後ろで見てるデジタル先輩も困惑してるだろうなァ、この走り方はよ
さぁ目ん玉開いて見てくれや!コイツが俺の武器、コイツが俺がキメジに教わった走り方・・・チョクセンバンチョーの十八番『斜行走法』、inウマ娘バージョンだァ!
ズンズンズン!と左右に跳ぶ様に地面を踏み蹴りながら体を前へ前へと進め続ける、目指すは前に居るスマートファルコン先輩の背中ただ一つ!
全力で追いかけて捕まえてと言ってくれた、全力で捕まえると言ってのけた、そのスジは、曲げずに通す!
スマートファルコン先輩とのバ身の差が3バ、2バ、1バと縮まってくれば彼女も迫ってくる俺に気付いたのか『えっ!?』みたいな横顔を浮かべてるなぁ、まぁこんな走り方しながら追い掛けて来たんじゃあ驚かせちまったかな?まぁそれについちゃあ何も言えんが・・・
けど、これが今の俺の出せる全力の走りだ、ファル子先輩に対して出せる、全身全霊を乗せたこの走り方で、アンタに勝たせて貰う!
「ブッコませてぇ、貰うぜェェェェェェェ!!」
『チョクセンバンチョーだ!チョクセンバンチョーが並んで、並んで、いや並ばずに前に出た!前に出た!とんでもない走りだ、先頭はチョクセンバンチョー、チョクセンバンチョーそのままスマートファルコンを差して今一着でフィニッシュ!』
最後の50mでその日一番の力を込めた踏み込みからの末脚を爆発させて、何とかスマートファルコン先輩を振り切って1着でゴールを駆け抜けた!
『チョクセンバンチョー!逃げに逃げたスマートファルコンを差し切って1着でゴールしました!2着にはスマートファルコン、3着にはアグネスデジタル!』
ゴールを駆け抜けた後、もちの木賞を見に来てくれていた観客の面々の歓声に応える様に右腕を高く掲げるガッツポーズをしているとファル子先輩が近付いて来・・・おぶっ!?
「バンチョーちゃん、おめでとう~!」
「うぇっ、ちょ、ファル子先輩!?」
何故かファル子先輩が急に抱き着いて来たので、私は慌てて脚を踏ん張り倒れない様に持ち堪える
祝って頂けるのは嬉しんですが、いきなりのハグは止めて下さいませんかねぇ!?ってかオイ何か歓声デカくなってねえか!?なんでや!
「私も全力で逃げてたのに、それを追い抜いちゃうなんてやっぱりバンチョーちゃんは凄いよ~!」
「何言ってるんですか、結構焦ってたんですよファル子先輩の全力の逃げ。今回は何とかあの走りが形にはなってきてたんで勝てましたけど、出来て無かったら逃げ切られちまってましたからね・・・今回は私の勝ちですけど、またダートレースで一緒に走らせて貰うかもしれませんからそん時はまた観客の皆さんを湧かせる勝負、やりましょうぜ?」
「うんうん、今度こそは逃げ切ってファル子のライブをバンチョーちゃんにも見せちゃうからね?」
「いやいや、次も負けませんよ?なっはっは!」
ハグから解放された私は、再戦の約束をファル子先輩と交わして彼女と握手をする
ターボやスズカ先輩とはまた違う力強い逃げウマ娘の強敵だったぜ、これから先もダートレースで出会う事はあるだろうからなぁ何度でも挑ませて貰いたいもんだぜ!
それに・・・
「はふぁ~レース後にお互いを称え合いながらハグとか見てるだけで幸せですよぉ~、うぇへへへ。この推し同士の光景を見る為にレースに出ていると言っても過言では」
「デジタル先輩」
「ほあぁ!?ななな何でしょうかチョクセンバンチョーさん!?」
「いやフルネームじゃなくてバンチョーって呼んで貰ってもセンって呼んで貰ってもいいんすけどね、それはさておき・・・ずっと終盤まで私に付いて来るデジタル先輩の走り、正直燃えるモンがありましたわ。大分必死に引き離そうとしたんすけど、てんで引き離せなくてね。だから今度同じレースに出る時はそのマークを振り切って勝って見せますんで、またいい勝負しましょうやデジタル先輩?なっはっは」
この人、というかウマ娘だけどあんだけ全力で脚ブン回したのに私やファル子先輩の走りにしっかりガッツリ付いて来る辺り普段相当練習してんだろうな、言動がちょいと分らねぇ所はあるけどデジタル先輩もやはり一流のウマ娘だ
またどっかのレースで一緒になったら挑むつもりで彼女にそう言い放って笑顔を見せる
デジタル先輩はそんな私を見た後ウマ耳と尻尾をピーン!と逆立てたかと思うとそのままふらりと後ろに向けて倒れ始、ってオイアブねぇな!?
咄嗟に動いて倒れそうになるデジタル先輩を抱き抱えりゃファル子先輩も慌てて駆け寄って来た
「デジタル先輩どうしたんすか!?大丈夫っすか!?」
「デジタルちゃん!?大丈夫!?」
「無理、そんな台詞と共に笑顔見せるとか、バンチョーさん反則ですぅ・・・尊みが、溢れて・・・キャパ越えちゃいますよォ・・・しゅき」
「「デジタル先輩(ちゃ~ん)!?」」
この後、何とかライブ直前にはデジタル先輩はレース後の疲労?から立ち直り3人で無事にウイニングライブを踊り切る事が出来た、んだがデジタル先輩体調とか大丈夫かねぇ・・・?
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チョクセンバンチョー
陸上競技に氷上競技であるスピードスケートの走り方を持ち込んで来た異端児バンチョー
滑る時に蛇行しながら前に進んでいる、滑るフォームがアニメにおける上から見たウマ娘の走る姿に何となく近い、最高速度が60キロとウマ娘の走る速度に近い等の理由で今作ではこの走り方がバンチョーの『斜行走法』になります
真後ろでこんな走り見させられりゃデジタルじゃなくても困惑すると思います、マジで
今回はギリギリでファル子先輩にもデジタル先輩にも勝てたが、次回も勝てるとは思っても無いからまた練習に励むとしますかね!
デジタルの推しに追加されたのは当然全く気付いてない
スマートファルコン
斜行走法ならぬスピードスケート走法が無ければ勝てなかった相手
まさかあんな走り方で追い上げて来て抜かれるとは思ってなかったけど、レース全体としては観客の皆が凄く白熱するものになっていたので大満足!私もバンチョーちゃんもキラキラ輝けてたよ!
ウイニングライブも3人で大いに盛り上げられたから、またバンチョーちゃんと何処かでレースがしたいなぁと思ってる
アグネスデジタル
推しが増えたり推し同士の戦いを特等席で眺める事が出来て大興奮
眼前で急に右に左にと走り始めたバンチョーの走り方は今までの推しの中では当然見た事も聞いた事も無かったので困惑した模様
レース中にはバンチョーの横顔をガン見出来、レース後には満面の笑みを向けられたりと尊みが溢れて意識が持って行かれかけた
しかしウイニングライブを自分のせいで台無しには出来ぬと復活して最後まで踊りきってみせた
1期軸終了後に多少幕間を挟む予定です、あるとすればどれが見たいですか?
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チームスピカの話
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チームリギルの話
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親や他のウマ娘との話
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JWCの面々の話