チョクセンバンチョー視点
私等にとって二度目の夏は、コールサックのメンバーとの合同合宿と相成ったぜ
カノープス3名、コールサック4名(幽霊1名は除く)の7人とトレーナー2名の計9名は朝に集まり南坂トレーナーとキシ母ちゃんの運転する車で山間にある学園の私有地のキャンプ場に移動し、昼から練習に取り掛かった
チーム分けは私とカフェ先輩&お友だち、デジタル先輩とネイチャ、シャカール先輩とターボの組み合わせだ
南坂トレーナーとキシ母ちゃん、それにタキオンセンセはそれぞれのコンビに代わる代わる付いて練習するらしい・・・タキオンセンセがトレーナー側に居るのは大方私等3人のデータ取りとかしたいからなんだろうな、多分
しかしまぁ・・・合宿が始まってからカフェ先輩とお友だちと一緒に走ってみて思ったんだが、お友だちがまぁ速いのなんの
彼女もカフェ先輩と同じく私よか背丈は低いのだが、テイオーみたいに体の柔らかさがあるらしく膝や股関節の可動域の広さを活かした鋭い走りをしてくるし、コーナーリングでもグングン伸びていくもんだからこっちがどんだけ必死に追い掛けても追いつける気がしねぇなぁ
けど、そんだけ強い彼女が相手してくれるってんなら挑み続けねぇと損ってもんだよなぁ!1回で駄目なら10回、10回で駄目なら100回でも挑ませて貰うぜ!ってな感じに意気込んで挑んだんだが・・・
「はぁー、はぁー・・・だぁー、やっぱスゲェなぁカフェ先輩もカフェ先輩のお友だちも」
「―――♪」
「はぁ、はぁ・・・はぁー、ふぅ。お疲れ様でした、バンチョーさん」
昼から夕方になるまで時折休みを入れながら繰り返した並走トレーニングだが・・・お友だちはおろか、カフェ先輩にも付いて行くのが精一杯だった私は座り込んでから草むらにバタリと仰向けに寝転がる
それをまだまだ私は走れるぞと言わんばかりのお友だちと、私と同じく汗だくになりながらも此方を労ってくれるカフェ先輩が見下ろす
いやはや二人共ステイヤーらしくスタミナがあるわあるわ、まだ息が上がってる私に対してカフェ先輩はもう呼吸を整えつつあるしお友だちは私の頬を指でつついて来て非常にくすぐったい
日中だけじゃなく夜間にも居残って練習をしている事を考えるとこの練習を続けられるカフェ先輩を尊敬するぜ・・・
「お疲れ様ですカフェ先輩・・・つっても、私は見ての通りくったくたになってますがねぇ、なはは」
「それでも、最後まで付いて来れただけでも凄いですよ・・・お友だちも、バンチョーさんと走れて楽しかったみたいですし・・・ね?」
「―――♪」
「んー、そうなら良かった。1人で静かに気楽に走るのも良いもんっすけど、誰かと一緒に走るのも楽しいですからね」
「それもそうなんですが・・・お友だちが楽しかったのは、走る相手が貴女だからというのもあると思いますよ?」
「私だから?」
「バンチョーさんは、私のお友だちの事を・・・ちゃんと、見てくれていますから。オキシドールさんも、タキオンさんも・・・いえ、チームメンバーだけじゃない。大抵の人が彼女の事に気付いてあげれなかったのに、貴女だけは見付けてくれた。それだけじゃなくて、彼女の存在をきちんと受け止めて一緒に日々を過ごし、こうして共に走ってくれる。そんな日常を送れる事が堪らなく嬉しくて、楽しいんだと思います。だから・・・その・・・えっと」
「―――?―――♪」
「・・・た、多少の悪戯は・・・その、許して貰えると有難いのですが」
非常に困った様な顔でカフェ先輩がそう言うのには訳が・・・いや、訳と言うよりも絶賛進行形でお友だちがずーっと人様の髪を弄繰り回して遊んでるのよなぁ
さっきからいそいそと構われた私の長い黒髪は髪は何時の間にやら彼女の手によって見事にツインテールにされてしまっております
『似合うよー』って伝えたい感じの波長というか意志が伝わって来てるけど、別に今じゃなくても良かろうに・・・やっぱ自由人やなぁ、君
「なはは、まぁこれ位の悪戯はウインディの奴もして来ますしこん位じゃあぁ私怒りませんよ。カフェ先輩じゃなくて私に対してよく悪戯してくるのもスキンシップのつもりなんでしょうからね」
「ありがとうございます・・・ですが、本当に不思議ですね・・・自分の後ろに居る子達は見えないのに、どうしてお友だちは見えているのでしょうか?」
「あぁ、やっぱまだ憑いてるんですか・・・これに関しては自分でも良く分かんないっすねぇ」
まぁ、恐らくこれが原因かな?って思い至る理由はある
私が一篇馬としてではあるが天寿を全うした身である事、キメジの好きだった四字熟語みたいな風に言えば輪廻転生した身だからそういうのに気付きやすくなったんじゃねえかなって事だ
最も、それだど私に憑りついている連中の姿も見える筈なんだが全然気付けねぇし見えもしねぇんだよなぁ・・・一体どういう奴等が憑りついてんだが
別に憑いてると聞かされる前も後も特に身体的な異常は感じないからもう深く考えない様にしてはいるけどな
そして、これも案外原因じゃねえかと個人的に思ってるのは私とカフェ先輩にある共通点だ
『自分以外誰も知らない、見えていない相手を追い続けている』事も関係しているんじゃあねぇかなぁ?
結局の所それ位しか心当たりが無いしどうこう考察するのは私みたいな勉強の苦手な奴じゃなくてタキオンセンセみてぇに頭の切れる人がする事だ
今はそれについてああだこうだ考えるよりもそろそろ夕飯時になってきたチームの夕飯の方が大事だ、今日の料理当番は私だし2チーム全員分をガッツリ作らねぇといけぇな・・・献立考えながらキャンプ場で借りているコテージに向かうとしますかね
「うんうん、中々美味しい料理の数々が出て来るじゃあないか。時には周囲の環境や雰囲気を変えて新たな気分で研究を行うというのも悪くは無いものだねぇ・・・バンチョー君お代わりをくれたまえよ」
「割とアンタ食う方なんだな、タキオンセンセ。はいお代わりのカレーな」
「単純にソイツは普段から研究の為だの何だのって飯食う時間も惜しいからいッつも栄養ドリンクやゼリー飲料で食事済ませてっからな、こぉいうしっかりした飯が物珍しいンだろうよ。まぁオメーの飯が美味いってのもあるかもしれねーがな。あァ、それとオレにもお代わりくれ」
「ウッス、シャカール先輩」
結局無難に鳥肉と夏野菜を具沢山に混ぜ込んだカレーやらサラダにスープ等々を振る舞う形になった合宿初日の夕飯、ネイチャ達にもタキオンセンセ達にも私の料理は中々のご好評の様で安心したぜ
普段の倍の人数だから辛さや好き嫌いとかもバラバラだろうし結構注意しながら作ってたんだが・・・別の意味で昏倒してそうなデジタル先輩はネイチャに任せ、お代わりを所望するタキオンセンセとシャカール先輩にカレーのお代わりを盛り付けて渡していく
「ところでバンチョー、オメーの走りのデータも取らせろよ。今日はツインターボの奴のデータを取らせて貰ったが、オレが一番気になってンのはテメーのデータだ」
「私のっすか?タキオンセンセも前データ取ってましたけど、アレとは別に・・・って感じですかね?」
「あァ。お前の蛇行しながら走るあの走法、正直ロジカルじゃねェとは思ってたんだが・・・終盤の伸び方は捨てたモンじゃあねェからな、参考程度に色々と取らせて貰うぞ?」
「良いっすよ。その代わり何か改善出来そうなトコがあればガンガン教えて貰えば嬉しいですね、考察とかそういう頭使うのは苦手なんで」
「そんぐれェなら構わねーよ、どうせ一緒に走るんだ・・・嫌って言う程指摘してやっから覚悟しとけよ?」
「上等、シャカール先輩のご指導甘んじて受けさせていただきます!」
「・・・何というか、君達が並んで会話しているのを見るとアレだねぇ。まるでアウトローの先輩後輩、いや親分と舎弟が会話している様に見えるよ」
「あァ?うっせぇぞタキオン」
「おお、怖い怖い・・・しかしバンチョー君はシャカール君の様な強面に対しても臆さないのだねぇ、ツインターボ君も特段怖がった感じは見せていなかったが」
「いや、シャカール先輩は特段怖くねぇっすよ。寧ろこう、熱い人だなーって感じですかねぇ」
「・・・ハァ?オレが?」
「確か、シャカール先輩はレースの為に自分でデータを色々集めて、そっから勝ち筋や勝利する為の方程式だかを練り上げるんすよね?自分みたいに難しい事は投げ捨てて只々練習に明け暮れて鍛えるのも良いとは思うんすが、そうじゃなくてあくまでも自分のスジを曲げずにどん欲に絶対的な勝利を目指していくスタンス・・・そういう一本筋の通ったシャカール先輩のやり方が熱い人だなーって思いますよ?」
と、自分の思ったシャカール先輩の印象をありのままに正直に言った後に聞いて来た二人に向き直ってみたら何かシャカール先輩はテーブルの上に突っ伏してプルプルしてるしタキオンセンセは口元を爆笑しているんやけど?
「アッハッハッハッハ、いやいやまさかまさかの回答だ!そうかそうか君から見たシャカール君はそんな感じなんだねぇ、いやはや実にバンチョー君らしい答えだ。そうは思わないかシャカール君」
「バンチョー、お前・・・あー、ファインみてーな事を平然と言いやがってクソッ。お前等みたいなタイプは計れねェから苦手なンだよ」
「おおう?いや、聞かれたから答えただけなんすが・・・何か悪い事言いましたか?」
「なぁに、これは単純に照れているだけさ。君が気にする程の事じゃあないから安心したまえよ、ふふっ」
「タキオン!てめェいい加減にしやがれ!」
「アッハッハッハッ!」
ガタン!と勢い良く席を立ったタキオンセンセとシャカール先輩はそのまま追いつ追われつしながらコテージの外へと玄関の扉を開けて出て行っちまいやがった
暫くその場にいた全員がポカン、としていたもののキシ母ちゃんが『2人共満足すれば戻ってくるから、貴女達は明日の練習に備えなさい』という鶴の一声によりいそいそと片づけをしていく
初日から色々と騒がしい合宿になっちまったが今回は前以上に多くの練習相手と走れそうだ、もう残り1年を切っているクラシック三冠の初戦皐月賞に向けて着々と実力を付けていくとしようか!
そして、再びの夏を終え・・・季節は秋を迎えた
「うっしゃあっ!ブッコませてぇ、貰うぜェェェェェェェ!!」
『さぁシリウスステークス最初に直線に入って来たのはやはりこのウマ娘、チョクセンバンチョー!ダートレース3勝目は、最早間違いありません!後方に5バ身差以上を付けて今、ゴォール!』
『今回も力強い見事な走りでしたね、今後は芝も視野に入れていくとの事でしたから来年のクラシック戦線は大いに荒れて来るでしょう。黄金世代に続くような熱いレースに期待したいですね』
夏の合宿でネイチャやターボ、カフェ先輩やシャカール先輩達と共にスタミナを中心に更に体を仕上げ挑んだシリウスステークス
ダートのGⅢながらも2000mという長丁場のレースも無事に1着を勝ち取り、いよいよ次のレースは芝のコースへと挑んでいく形になりつつある
最初に挑むのは、オープン特別・・・東京はキャピタルステークス1600m
「・・・バンチョーさん、今度のレースで出走予定のウマ娘が出揃いました」
「おっ、決まったかトレーナー。で?私の初めての芝のレースは一体誰が相手なんだ?出バ表見せてくれよ。さぁて誰が相手か、な・・・」
オープン特別 東京 キャピタルステークス1600m
出バ選手一覧
1枠1番 サイレンススズカ
1枠2番 ホットダンス
2枠3番 チョクセンバンチョー
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5枠10番 サンバイザー
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奇しくも・・・JWCと同じ場所、同じ距離のこのレースは、こうして幕を開ける事になる
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チョクセンバンチョー
シャカールに対して正直な印象を述べたら何故かお前苦手と言われて困惑してるバンチョー
カフェ先輩と共にお友だちに挑み続ける事となった夏合宿、当然の如く全戦全敗で叩き潰されている
しかしくたくたになりながらも鍛え続けた結果、スタミナはかなり伸び中距離ダートレースのシリウスステークスも危なげなく勝利
ダートレースで磨いて来た実力を遺憾なく発揮出来ると意気込んで登録したキャピタルステークスは思い出のある場所と距離で楽しみにしていたが・・・?
合宿中はバンチョー、ネイチャ、カフェ、そしてシャカールの4名で料理を担当していた
マンハッタンカフェ&お友だち
いつもは2人だけだった練習に、バンチョーが加わって練習する事で比較の対象が増えて効率が上がった
お友だちにとってカフェは大切な存在なので悪戯なんて以ての外だが、バンチョーは心の広い友人なので多少悪戯しても怒らない事を知っている
次はポニーテールにしてやろうと息巻いているお友だち、そして悪戯は程々にと思うカフェであった
大概見えないものが見えてしまう子は悪戯されやすいのだが、バンチョーに関しては大丈夫だろうと確信している・・・後ろの連中の癖が強すぎてお友だち以外寄って来れないだろうし
アグネスタキオン&エアシャカール
理系の同類だが意見をぶつけ合う間柄の2人
口調は荒々しいが退学の話が出ているタキオンに対し遠回しな忠告をするという優しさを見せるシャカール
そんなシャカールの思考を何となく察している上で、タキオンセンセ側からもホーム画面で彼女に対して忠告する辺り2人仲は悪く無さそうである
威圧的なエアシャカールに対して元荒馬なバンチョーがビビる事は無く、筋の通った熱い先輩であると評されて思わず照れた
そこをニヤニヤしながらタキオンが煽った為2人して夏の夜に駆け出し・・・数十分の後に捕縛された上にタンコブを1つ拵え、小脇に抱えられたタキオンセンセと息を切らせたシャカールがコテージへと帰って来たとか何とか
異次元の逃亡者対日本総番・・・見たい?
(110) 見たい(オープン特別戦介入)☆
(15) 見なくても良い(原作通り)
奇しくもJWCと同じ場所!そして同じ距離のこのレースは・・・かくして三つ巴の展開へと相成りました
皆様アンケートにご協力頂きありがとうございます!次回は多分レースに至る前まで進められたらと思っておりますのでゆっくりとお待ちください・・・
1期軸終了後に多少幕間を挟む予定です、あるとすればどれが見たいですか?
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チームスピカの話
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JWCの面々の話