チョクセンバンチョー視点
東京競バ場オープン特別キャピタルステークスはその日、満員御礼と言っても差し支えない程の大盛況を極めていた
観客席は元より立見の客も所狭しと入場し、入場客だけならG1レース並の集客を叩き出している事だろうなぁコレ
しかし何というか前評判の時点でスズカ先輩が出るから注目されてるのは分かっちゃいたが、パドックでお披露目と準備運動した後レース場に出てみりゃあこれ程とは思わなかったわ
「いやはや、オープン特別でこんだけ大勢御来客たぁなぁ。そんだけスズカ先輩が大人気だって事だよな、サンバイザー?」
「そうみたいね。おまけに私はサイレンススズカ先輩と貴女に次ぐ3番人気みたいだし・・・全く、観客は見る目が無いのかしら?」
「なっはっは、そう言うなよ。前も言ったろ?前評判なんざ気にするだけ損だってな、寧ろアウェーで勝ってこそお客さんは喜ぶ場合もあんだからよ」
「はぁ・・・貴女のその楽観的というか開き直り方が羨ましいわね」
「変に緊張するよかこの位が程々でいいんだぜ?まぁ、後は全身全霊で走り切るだけなんだがなお互いによ」
「負けるつもりは無いわよ、例え貴女であろうとサイレンススズカ先輩だろうとね」
「上等上等、そっちの方が燃えるってもんよ。んじゃまあスズカ先輩待ってる間軽く運動してっから此処で一旦別れるわ、手加減なんてすんなよ?」
「誰に向かって言ってるのよ?そういうアンタも、手を抜いたら承知しないから」
申し合わせたかのようにお互い右拳を握り締め、コツンと合わせて私とサンバイザーはその場を離れる
未だに現れぬ一番人気のスズカ先輩が来るまで軽く体を動かしながら見知った連中が居ないかと観客席を見渡していく
すると何か変なポーズしてブツブツ呟いている集団・・・というか顔見知りの連中が見えるなぁおい、何してるか知らねぇけどもあの様子だし今は関わらん様にしよう
そう思ってそそくさと離れようとしたらテイオーの奴に気付かれちまった!しかも私の姿見た途端に全員で私の方に手を向けて念じてくんじゃねえよ!怖いわ!?
ったく・・・あれ?そういやスピカんとこに沖野さんもスぺ姉ちゃんも姿が見えなかったが何してんだ?沖野さんはまぁスズカ先輩の付き添いで地下通路辺りまで一緒に居るとかなら分かんだが、今日は見に来てねぇのか?珍しい事もあるもんだな
まだブツブツ念じてる様子のスピカの連中から離れ南坂トレーナーやネイチャ、ターボが居る最前列の観客席付近でストレッチを続けてたら実況の姉ちゃんがスズカ先輩が姿を見せた事を伝えてくれる
それと同時に大歓声が彼女を出迎え、復帰を歓迎する応援の数々にスズカ先輩は手を振る事で応えていく
あ、スピカの所に気付いた・・・念を送ってる様子に動揺せずに手を振ってる辺り扱いに慣れてんなぁスズカ先輩、流石だわ
さて、今回のレースに出場する面子が全員出揃ったしそろそろゲートの前に集まる様指示も来るかな?そうなる前にスズカ先輩に挨拶でもしとくか
「んじゃ、行って来るわトレーナー。ネイチャもターボも私とスズカ先輩とサンバイザーの戦いしっかり見守っといてくれよ?」
「ええ、普段通りのバンチョーさんの走りを期待しています」
「相手はサンバイザーとサイレンススズカ先輩だから油断せずにね~」
「バンチョー頑張れー!」
カノープスの面々の返事に拳を握った右手を掲げて応えつつ、スズカ先輩の方へと歩を進めていく
しかし私よか先にサンバイザーの奴が近付き大観衆の前でスズカ先輩に対して啖呵を切って宣戦布告しやがった・・・それに思わず笑みを浮かべる
何だよ、大観衆の前でマジでやっちまうのかよサンバイザー?嫌いじゃねえぜ、そういうのはさ
スズカ先輩とサンバイザー居る場所に私も近付いて行くと『おおっと、チョクセンバンチョーも近付いて来た!彼女もサイレンススズカ相手に宣戦布告をするのかー!?』なんて実況が騒ぎ立ててきやがる、いやいや半分は合ってるが気が早いぜぇ
「私としてはスターウマ娘の座に関しては興味は無いんだが、その挑戦状に関しちゃあ私も混ぜて貰わないと困るぜ?」
「センちゃん」
「バンチョー・・・」
「サンバイザーの言う通り、1年ぶりのレース復帰ですね?スズカ先輩・・・またターフを駆け抜けるってのが、先輩の目標でしたっけ」
「そうね・・・またこうして皆の前でターフに立ってレースに出れるというのは、本当に嬉しいわ」
「私も嬉しいですよ。スズカ先輩の復帰も、こうしてレースで一緒に走れるのも・・・な?サンバイザー?」
「ッ・・・ま、まぁ、それは否定しないでおくわ」
プイッとそっぽを向いて表情を見せない様にサンバイザーはしてるが、オメーの尻尾は上がって振ってるし耳の向きも前方向いてっからな?お前の耳と尻尾も正直だなぁオイ
そんな様子をスズカ先輩と二人して微笑みながら見てたが、レース前にスズカ先輩に言っておきたい事と聞きたい事があったんで彼女の方に向き直る
「スズカ先輩にとっちゃ長期の休み明け最初のレースですけど・・・今日は異次元の逃亡者と言われた貴女に挑むつもりでやらせて貰いますんで、どうぞヨロシクお願いします」
「・・・ええ。その挑戦、受けて立つわ。貴女の挑戦もね、サンバイザーさん」
「ふ、ふん。当然でしょう?今日のレースの主役は私が貰うんだから!」
「あっ、オイ待てサンバイザー・・・ったく、レースにゃ主役も脇役もねえってのも前に私が言ったじゃあねえかよなぁ・・・せめてライブのセンターぐれぇにしときゃあいいのに全く。所でスズカ先輩、今日スペシャルウィーク先輩は?」
「スぺちゃんは今日、レースを見に来てないわ。多分だけれど今頃自主トレーニングしているんじゃないかしら?」
「ほう?」
意外だ、スズカ先輩の復帰レースだから当然の如く見に来るもんだと思ってたんがな
しかもスズカ先輩もそれを寂しそうになんて全くしていないし、さも当然と思っているみてぇだ
・・・こりゃ案外宝塚記念の後で色々何かあったのかもしれんな、尤もその辺りまではチームが違うし詳しく分かる訳じゃあ無いんだが
「意外、だったかしら?」
「ええまぁ。今までのスペシャルウィーク先輩なら絶対に見に来そうですしね」
「ふふっ、そうね。今までのスぺちゃんなら、そうかもしれないわ」
「おや、今は違うんすか?」
「ええ・・・スぺちゃんと約束したから。何時か私の夢が叶った時に”ライバル”として決着を付けましょう?って」
「・・・成程、成程。そういう理由でしたか、ならスペシャルウィーク先輩が来てないのも納得しました」
今日観客席にスぺ姉ちゃんの姿が全く見えない訳が漸く分かったぜ
このキャピタルステークスにおいてスズカ先輩が私やサンバイザーに勝つのを、スぺ姉ちゃんは信じてるんだな
そしてスぺ姉ちゃんは今度のジャパンカップ、いやそれよりももっと先で待っているスズカ先輩達とのレースやエルコンドルパサー先輩達同期とのレース・・・そして私やテイオー、マックイーン等の後輩達とのレースとまだまだ走り続けてりゃあそういうのにぶち当たる事になるだろう
そんな折にこのオープン特別を見に来る時間は、立ち止まっている時間は無いという訳だな
(知らねぇ間に、スぺ姉ちゃんにも意地でも通してぇ太ぇ筋が出来てんだなぁ)
思わぬ形でスぺ姉ちゃんの成長を垣間見た気がする、前までは熱心にスズカ先輩の事を追い掛けてたってのにな
しかし、だからと言ってスぺ姉ちゃんが考えている通りにすんなり簡単にスズカ先輩に負けてやる気はさらさら無い
易々とは負けられぬ意地を秘め、
今回の東京競バ場キャピタルステークスは1600mの左回りをぐるっとUの字を描く様にレースが進行していくレースなんだが、この距離とこの場所に関しちゃあ強い思い入れがある
ギンシャリ達と競い合ったあのJWCと同じ距離、同じ場所であり・・・スズカ先輩が怪我をした天皇賞秋と距離は違えど同じ場所でもあるからな
こっちの東京競バ場にもあるあの大欅の辺りで毎度毎度アイツがやらかしてたのは未だに忘れる事は無いし未だにアイツだけは現役で走ってたから頗る印象に残っているが、しかし
(
今回のレース枠順は1枠1番にスズカ先輩から2枠3番に私で5枠10番の位置にサンバイザーとなっている
JWCの時には1枠1番にはギンシャリボーイが入り、そして私の位置は変わらずにこの位置だったから全く意識するなというのは無理があるんだよなぁ・・・まぁあの時は8頭或いは9頭でのレースだったからサンバイザーの位置は本来無かった枠だし、単なる偶然だとは思うがねぇ
兎も角今はただスズカ先輩とサンバイザーとのレースに集中しねぇとな!さて・・・
『あの日の沈黙を破りサイレンススズカが今、ゲートに入ります!』
スズカ先輩、そしてサンバイザーに続く様に私もゲートに入りスタートダッシュに備え姿勢を低くする
普段以上に集まっている東京競バ場もこの瞬間だけはしん、と静まり返り緊張感に満ち溢れる・・・そして
ゲートが、開いた
南坂トレーナー視点
『本日のメインレース、スタートしました・・・あっと、サイレンススズカ出遅れた!』
出走直後、観客席からはどよめきが上がりました
逃げを得意とするサイレンススズカさんがまさかの出遅れで最後尾に位置付けてしまったのが原因ですが、これはかなり手痛いですね
「うわぁ、やっぱブランクのせいかなぁスズカ先輩。怪我する前なら殆ど完璧なスタートで逃げていくのに」
「確かに彼女らしくないスタートダッシュですね、1枠1番という好位置だというのに出遅れたのは。しかし、らしくないのはバンチョーさんの位置もですね」
バンチョーさんの現在位置は3番手、縦長に伸び始めた列から見て外側の一番前側というらしくない位置である
位置だけを見れば最も良い位置取りをしたのはサンバイザーさんの方でしょう、4番手の位置を抑え前に居る子達を風除けにして内からも外からも攻めていける絶妙な位置取りを保っていますから
けれど、彼女よりも内からスタートしたバンチョーさんならばあの位置ははっきり言ってサンバイザーさんよりも取りやすいポジションだった筈です・・・位置取りを失敗したのでしょうか、それとも何か策があっての事なのでしょうか?
「ありゃりゃ、トレーナーさんの言う通り何だがバンチョーも変な場所で走ってるねぇ?ホントはサンバイザーが今いる場所を楽に取れてた筈なのに」
「らしくないですよね、今日のバンチョーさんのあの走り・・・もしや、サイレンススズカさんと走るのに躊躇いがあるのでしょうか?」
「それは無いぞトレーナー!」
「ターボさん?・・・どうしてそう言い切れるんですか?」
「だって見てよホラ、バンチョーの顔。すっごく楽しそうじゃん!いーなーあんな顔するバンチョーと一緒にターボもこのレース走りたかった!」
ターボさんがいいなぁ~と羨ましがる様子をネイチャさんと二人して訝しみながら再度観客スタンドの前にある大型モニターに視線を向ける
依然サイレンススズカさんは最後方に位置しており、実況の方も解説の方も前に行けない彼女の不調を心配する様な話を、対しサンバイザーさんやバンチョーさんの走りは好調で前を伺う様な動きを褒める様な話をしています
モニターに映るサンバイザーさんは実況の方に褒められたのが嬉しいのか僅かに笑みを浮かべていますが、バンチョーさんはこういった場面で褒められても対して喜んだりはしないタイプです
そんな彼女が笑みを浮かべたまま走っている、その理由は一体なんでしょう?
(バンチョーさんの位置は今回2枠3番、サイレンススズカさんとは1人間に入っているとは言えスタート直後の状況を全く見れない位置では無い筈。出遅れたサイレンススズカさんを見てバンチョーさんが笑う?それは間違いなく無いでしょう、彼女はレースに関しては非常に真摯なウマ娘さんです。他人のミスを見て喜ぶ様な子ではない・・・では一体何故?)
其処まで思考し、気付いた
ー
ー
『おおっと、大ケヤキを越えた辺りでチョクセンバンチョー仕掛けてきました!スピードを上げ逃げる先頭のホットダンスを抜き去りました!しかしその後ろからサンバイザーが追走!サイレンススズカは尚も最後方のまま!苦しい・・・苦しい走りを続けています!果たして先頭を捕らえる事が出来るのか!?』
大欅を越え最終直線が迫る中未だ最後方のまま動かぬサイレンススズカさん
前に出てこぬサイレンススズカさんよりもチョクセンバンチョーさんに対し意識を向けるサンバイザーさん
そして、大欅を越えてから仕掛け始め1位でホームストレッチへと突入していくチョクセンバンチョーさん
観客のどよめきと困惑、そして不安を抱えたまま・・・キャピタルステークスは、最後の直線へと突入していきました
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チョクセンバンチョー
現在1位、最終コーナーを抜ける前に逃げていたホットダンス(モブウマ娘ちゃん達の名前からランダムに選出)を抜き去り最初に直線へ向かう
スズカの勝利を念じてたスピカメンバーから念を送られてちょっと引いた、何故かテイオーとマックイーンからは強い気配がしたとか何とか
今回は先行策、序盤から前目を維持し続け最終コーナーにて1位を奪う
どうやら後方に控えているサイレンススズカの”狙い”に気付いている様子
サンバイザー
現在2位、最終コーナーを抜ける前に逃げていたホットダンス此方も抜き去り2番手で直線へと向かう
何だかんだバンチョーとつるんでいるのは割と相性が良いというのもあるが、傍に居ると軽口を叩き合えるので気分が落ち着くから
強くて速いサイレンススズカとの戦いを楽しみにしていたが、後方で未だ動かぬ彼女を待つよりも仕掛け始めたバンチョーを追わねばと判断し前へ出る
サイレンススズカ
現在最後方のまま動いていない、観客も実況席も先頭に追い付けるのかと懸念している
当の本人は静かに、そして冷静にレースを進めているが・・・
チームスピカ
大欅を越えても仕掛けないスズカにハラハラしている、周囲の客の『やはり無理なのでは?』という呟きに焦りを感じている
尚バンチョーに対しての念は
ゴルシ、ウオッカ、ダイワスカーレットはただ名前呟いてただけ
テイオー、マックイーンは何故か「スタイル」とか「身長」と言う呟きが聞こえた、らしい
1期軸終了後に多少幕間を挟む予定です、あるとすればどれが見たいですか?
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チームスピカの話
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チームリギルの話
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チームカノープスの話
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チームコールサックの話
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生徒会の話
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親や他のウマ娘との話
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JWCの面々の話