炭治郎の一日!の巻
無限列車での怪我が治り、任務に復帰したかまぼこ隊の面々は予定が有るからと帰路の途中で分かれるのだった。
あの一件以来、善逸が驚くべき程に変化して嬉しそうな炭治郎。
今回は怪我は特にしていないが、爆発の一件を重く見ている産屋敷の計らいで当分の間は任務後は蝶屋敷で検査を受けるように言われている。
そして検査が終わると町に出て食材や細かい道具の調達へと向かった。
「ん?おぉ炭治郎じゃねえか」
「おぉ炭治郎君、元気にしてたか?爆発に巻き込まれたって聞いたから結構心配したぞ」
「両さん、槇寿郎さんおはようございます」
「おぅおはようさん
まぁ儂等はこれからお休みだがな」
また朝まで飲んでたのか、誰でも解るくらいに酒の臭いをプンプンと漂わせる二人に少し呆れるがいつも通りだからと細かくは突っ込まない。
「ところで炭治郎、お前も飲みに行くか?」
「それは良いな!柱二人で鍛えてやろう!」
「はは……」
煉獄槇寿郎は元炎柱であり、今では立派な育手として精力的に活動している。
その太刀筋、教え方から育手の中でもかなり人気であり現鬼殺隊の戦力向上に一役買っている。
ちなみに鬼殺隊の中で一番使い手の多い呼吸は炭治郎や義勇の使う水の呼吸でその次に多いのが炎となっている。
逆に少ないのは行冥が使う岩の呼吸と善逸の使う雷の呼吸だ。
少し話をするなら呼吸にはそれぞれ特長があり、炎と水は剣技を重く扱う後天的な物。
逆に雷と岩は身体能力を重く扱う先天的な物。
岩の呼吸は行冥の様に腕力と身長が有り初めて真価を、雷の呼吸は善逸の様な瞬発力が有り初めて真価を発揮する。
これが使い手が大きく分かれる理由だ。
金の呼吸?あれは両津だから使えるだけで一般鬼殺隊士が使えば全身が変になる事だって起こり得る。
てか起きた、ちなみになったのは行冥。
「すいません、これから用事が有るので今度ご一緒します」
「む、なら仕方無いか」
「よしなら景気付けにもう一件行こうか両さん!」
「おう!」
肩を組みガハハと笑いながら去っていく二人の背を見て、自分はああならないと固く誓う炭治郎。
町を歩き日々発展していく姿を目に焼き付ける。
守るべき人を見て鬼を斬る活力へと変える炭治郎なりの奮起の仕方だ。
「此処のパンケーキ、スッゴク美味しいの♪」
「そうか、楽しみだ」
(い、伊黒さんと甘露寺さん!?
これ両さんの言ってたでぇとって物じゃ…邪魔しちゃ悪いよね)
人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて地獄に墜ちろ、そう昔言われたのを思い出し声をかけるのを耐えた。
長男だから耐えられたがもし次男だったら声をかけていたと炭治郎は変な事を考えていた。
(この気配……鬼を連れた彼奴か……甘露寺との時間を邪魔しない為に気を利かせたのか……少し評価してやる)
気配を殺しその場からゆっくりと立ち去るが流石柱か、炭治郎の存在を即座に見抜いた。
まぁ、気を利かせたからか少し評価が上がったのは予想外ではあるが。
何気ない平和な過ごし方、これこそが炭治郎流の過ごし方だった。
両津式オークション!の巻
ある晴れた日の夜中、ほっかむりを被った男女がある屋敷に入っていった。
門には屈強な男が二人、見るからに怪しさが満点だ。
「合言葉は?」
「藤の花は散った」
「通れ」
黒髪の男性こと村田が謎の言葉を伝えると門の中に。
今日は月に数度開かれる金屋敷でのオークションで、出品者も購入者も皆鬼殺隊士だ。
このオークションは両津が違法で手に入れた物だけでなく、隊士が自ら売りたいと望んだものも売る会場。
鬼殺隊の給料は悪くは無いが下に行けばその分カツカツになりやすく、一部の隊士は自ら物を売るのだ。
道場らしき場所では所狭しと人が並び、黒のスーツに片眼鏡と怪しさしか無い両津が人前に出てきた。
「レディースエーンドジェントルマン!
今日は月に数回の両津式オークションの日だ!
金の蓄えは十分か?答えは聞かん!買いたきゃ買え!」
「「「「おぉぉぉ!!!」」」」
「最初の品はこいつだ!」
そう言って両津が取り出したのは何の変哲もない鬼殺隊の制服だ。
何なんだそれは?誰もがそう思った時、とある女性隊士が目敏く気づくのだった。
「その襟に着いた長い黒髪、ほんのり香るこれは……まさか!?」
「そう、冨岡義勇の着古した隊服だ!
先ずは五十円からだ!」
この時代の五十円は現代の貨幣価値にして約七万六千円だ。
おいそれと出せる金額では無いのにどんどんと価格が上がっていく義勇の制服。
最終的には先の女性隊士が百八円で購入したのだった。
「それじゃ次はこいつだ!」
そう言って取り出した瞬間、とある人物が手を挙げた。
伊黒小芭内、蛇柱であり甘露寺ガチ勢や彼氏面柱としてオークションで名を馳せている男だ。
「三百円」
「商品聞かないの?」
「手の動き、取り出し方、溜め方、全てから見て甘露寺関係だ
動きが小さいから小物だろうが甘露寺は小物をあまり着けない、つまり此処限定の商品だ」
「お、おぅ……甘露寺に無理言って作ってもらった缶詰だ」
限界オタクなんて呼ばれそうな程に目が血走っている小芭内。
甘露寺手作りの缶詰となるとたった三百円で良いのかなんて思うのだが、普通に考えて高すぎるだろ。
現代にして五十万近くをポンと出してるのだ、こう言えばどれだけおかしいか解るだろう。
「次は~」
「二百円だ」
「説明させろ!」
「ふざけるな!甘露寺の物を大衆の目に晒させる位なら出す前に俺が買う!」
そう言いきった時、小芭内は違和感を覚えた。
伊黒小芭内は人を信じない柱、とは言え柱としての自覚や責務等立場に応じた考えや信念を持っている人物は信用する。
だからか義勇や炭治郎の様に鬼狩りとして、また柱としての覚悟や考えが薄い者を毛嫌いしてしまう。
それは両津も同じだ。
柱の癖に柱としての自覚が薄く、人を導く立場とは到底思えない行動。
そんな小芭内だが両津の『商売人』としての考えや行動は尊敬に値すると思っている。
オークションで甘露寺グッズを出せば必ず小芭内が高値で買う、それが確定している中で何故序盤から?
その答えが出た時、小芭内は激しい後悔に襲われるのだった。
オークションは淡々と進み、終盤に差し掛かった。
此処までで高く売れたのはやはり序盤に出した甘露寺グッズ。
そんな時に両津は嫌らしい笑みを浮かべて最後の商品説明を始めるのだった。
「儂の知り合いからの話なんだが、最近は人をモチーフにした物が人気なんだそうだ」
「っ!?」
やられた、まさかこの為だけに敢えて甘露寺グッズを前に持ってきたのか。
両津が取り出したのは柱全員分の時計だ。
小芭内の視線は両津の右から三番目、ピンクゴールドがメインで端は緑のハートやお菓子の模様があしらわれた懐中時計だ。
(流石だ…今回は俺の敗けだ…)
「先ずは富岡モデルだ!五十円から!」
美しい水色と波紋の様に揺らぐ模様。
秒針は鮭を、上のゼンマイは大根の形にしている辺りに遊び心を感じられる作りだ。
両津と言う男はこんな外見だが非常に手先が器用で、この懐中時計は全て手作り。
しかもそこら辺で買ったボロパーツを磨いて組み立てたので値段は二束三文。
それをこんなボッタクリ価格で販売するも、娯楽の少ない鬼殺隊士にとってはこれすらも極上の憩い。
まさに左扇子状態と言えよう。
結局小芭内は自身と甘露寺を模した懐中時計を購入、蛇柱はサバイバル生活を余儀無くされるのだった。
今回は短いですが此処まで
本当は雷兄弟が仲良くじいちゃんを訪ねて嬉しそうに泣く話とか、義勇が笑顔で狭霧山に帰って鱗滝さんが安心する話も入れたかったのですが、それを入れると更新が遅くなってしまうので生存報告がてらこれにて投稿させていただきます
次回予告
産屋敷の奴が隊士全員の帳簿を儂に預けるだと!?
しかも一日隊士達に捕まらなければここの金額を自由に書き換えて良いだと!?
これは絶対に負けられん!
次回、鬼殺隊賞与争奪戦!の巻
絶対に見てくれよな
やっぱり上弦の弐は
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ギャグで救うべき
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シリアスに行こうぜ
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気の向くままに
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ヒロイン増えちゃうね