タキオンと奇妙な仲間たち   作:政影

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微妙に続きを書いてみました。


接触篇②

<一期一会>

 

 

 あれは私がアメリカから日本に来て、初めて本格的なお茶会にお招きされた日のことでした。

 寄付と呼ばれる部屋で身支度を整えた後、待合と呼ばれる部屋に案内され……そこには既に他の招待客さん達がお待ちでした。

 どなたも気品に溢れ上質なお召し物を纏っていて思わず固まってしまいました。

 そのような状況でその中の一人と目が合いました。

 

「葵ちゃんお腹空いた」

 

「はしたないです、姉さん! ……あ、グラスワンダーさんですね。本日は――」

 

「あら、可愛い♪」

 

 艶やかな黒髪に紅玉の様な瞳、大和撫子と呼ぶには少々刺激の強い印象の先程目の合った女性にそんな言葉を掛けられ、私の心臓は早鐘のように打ち始めました。

 早く気を静めませんと。

 

「こ、このお着物の事ですね。これは――」

 

「貴女のことですよ」

 

「あっ……」

 

 彼女のほっそりとした指が私の頬を撫でました。

 初対面の相手なのに何でしょう、この緊張を瞬く間に上書きしていった感情は……。

 

「ねーえーさん!」

 

「怖い怖い。丁度亭主が来たみたいだから行きましょう?」

 

「……はい」

 

 いつの間にか手を握られていた私は下を向いて付いて行くしかありませんでした。

 

 

 

「一条様は顔は怖いけど懐石とお茶は美味しいから安心してね」

 

「はぁ……」

 

「顔は怖いは余計でおじゃる!」

 

「姉さん!」

 

 

 私の事を気遣っての冒頭のやり取り以外はつつがなく進みました。

 彼女の流れるような所作は本当に勉強になりました。

 そして隣に座ったことで少々興奮してしまったのかもしれません。

 彼女の香りはどんなお香よりも刺激的でしたから。

 

 

 それがあのような事態に繋がるとは……。

 

 

 

「あっ!」

 

『!?』

 

 

 私の鼻から垂れた赤い液体が茶碗の中の濃茶に……。

 取り返しのつかないことをしてしまったという思いで震える手から茶器を奪い、一気に飲み干してしまったのは横に座っていた彼女でした。

 彼女の喉を私の一部が通過していく光景はあまりにも非現実的で、不謹慎にも尻尾が立ってしまいました。

 

「失礼、少々喉が渇いていたので。あ、美味しかったです」

 

「……全く、このじゃじゃウマ娘が。大根にも程があるでおじゃる」

 

 口ではそう言いながらもご亭主は上機嫌で新しい茶碗を出して濃茶を練り始めました。

 そしてこちらを向いた彼女は悪戯っ子の様な笑みを浮かべました。

 

 ……あ、また垂れそうです。

 

 

 

「本日は本当にご迷惑をおかけしました」

 

「今日はグラスちゃんみたいな可愛い子とお茶会ができて幸せだったよ」

 

「姉さんはもう少し発言に気を付けてください!」

 

 私の頭を撫でながら怒られている彼女に思わず笑みがこぼれます。

 

「そういえばお二人はご姉妹ですか?」

 

「遠い親戚ですよ。こっちがトレーナーの名門桐生院の本家、私は分家」

 

「……トレセン学園に着任したら本家も分家も関係ありません。姉さんとはライバルですからね?」

 

「気遣ってくれる葵ちゃん可愛いです」

 

「そ、そんなんじゃありません!」

 

 仲の良さが分かる二人の会話ですね。

 少し灼けてしまいます。

 

 

 ……もし彼女が私の担当トレーナーになったら。

 全身全霊で私の全てを捧げますから。

 

 

 

 

 

 

「――と、そんな事がありまして今ではトレーナーさんに担当していただいてます」

 

「うっうっ、ライス感動しちゃった」

 

「どこの石田三成だ……」

 

「タキオンさん何か言いました?」

 

「い、いや、何でもない! 良い話だったよ!」

 

 最近幻聴が多くて困りますね。

 直ぐに聞こえなくなりますけど。

 

 

『むざんやな 甲の下の きりぎりす』

 

 

 さあ、今日も私とトレーナーさんの名をレース史に刻むために頑張りましょうか♪

 

 

******************************

 

 その時、ふと閃いた!

 このアイディアは、アグネスタキオンとの

 トレーニングに活かせるかもしれない!

 

 アグネスタキオンの成長につながった!

 

 やる気が下がった

 スタミナが40上がった

 パワーが40上がった

 賢さが40下がった

 スキルPtが40上がった

 

******************************

 

 

 

 

<祝福の黒い風>

 

 

「はぁ……はぁ……タイムは?」

 

「ベスト更新おめでとうライスちゃん。これなら次のレースも大丈夫ね♪」

 

「ありがとうございます!」

 

 ちょっとしたことでも褒めてくれる優しいお姉さま。

 

 

「お姉さま、お水はこれくらいでいいですか?」

 

「そうだね。青薔薇さんも喜んでるよ」

 

「ふふっ」

 

 ライスが青薔薇が好きだと言ったら学園に掛け合って温室に植えてくれた優しいお姉さま。

 

 

「にゃあん」

 

「あ、黒猫さん……」

 

「ライスちゃんがいるとネコチャンが寄って来るから嬉しいわ」

 

 ライスの不幸体質も全然気にしない優しいお姉さま。

 

 

 みんなを幸せにするのが使命なのにこんなに幸せになっちゃうなんて……『ライスシャワー』失格かな?

 

 

 

 

 

 

 研ぎ澄ました感覚の先にあるのは他のウマ娘の鼓動の火。

 だけどライスの青い炎に比べたら脆弱すぎる。

 一振り、二振りするだけでどんどん消えてく。

 お姉さま、つまらないレースを見せてごめんね。

 早く上のレースに出られるように頑張るからね。

 

 

 

 

 

 

『ライスシャワー圧勝! 2着に大差を付けての余裕の走りだ!』

 

 

「お姉さまやったよ!」

 

「うんうん、流石ライスちゃん♪」

 

 駆け寄ったライスの勝利の報告に観客席最前列のお姉さまは満面の笑みを返してくれた。

 前は柵を乗り越えて抱きしめてくれたけど、警備員さんに注意されちゃうから我慢してもらってるんだ。

 …………ちっ。

 

 

「おめでとうライスさん。見事な切れ味でした」

 

「ふふっ、ちょっとやりすぎちゃったかな?」

 

「トレーナーさんの威光を示すには良い塩梅ですよ」

 

 グラスさんにも褒められて嬉しいな。

 何となく同じような匂いを感じるからかな?

 

 

「……道中他のウマ娘たちが道をあけた気がしたんだが」

 

「ライスがね『どいてね』ってお願いしたらあけてくれたんだ」

 

「観客席にも届いた殺気がそんな可愛いらしい言葉では「タキオンさん?」いやすまない、忘れてくれ」

 

 ふふっ、おかしなタキオンさん。

 お姉さまが担当してるんだからそんなに怯えなくてもいいのに。

 

 

「ウイニングライブ頑張ってね♪」

 

「はい!」

 

 両手にケミカルライトを持って準備万端のお姉さま。

 まるで子供みたいに無邪気な笑顔で可愛いな。

 

 さあ、お姉さまの応援に負けないようにライスも最高のライブをしないとね♪

 

 

******************************

 

 その時、ふと閃いた!

 このアイディアは、アグネスタキオンとの

 トレーニングに活かせるかもしれない!

 

 アグネスタキオンの成長につながった!

 

 やる気が下がった

 スタミナが50下がった

 根性が50上がった

 賢さが50上がった

 「キラーチューン」のヒントLvが5上がった

 

******************************

 

 

 

 

<最新作>

 

 

「お、これがタキオンちゃんの最新作?」

 

「ああ。君の言う通り味を改良してみた」

 

 研究室に私とトレーナー君の二人きり、実験しかないね。

 

「本当だ。ジュースみたいに甘い♪」

 

「作った私が言うのもなんだがもう少し警戒してくれたまえ」

 

「タキオンちゃんなら大丈夫だって」

 

「ふぅン……」

 

 トレーナー君の私に対する全幅の信頼はどこから……考えるだけ無駄か。

 類は友を呼ぶというがやはり彼女も――

 

「足が黄緑色に発光してきたね」

 

「まあ想定内だね」

 

 スーツを着ていても分かる発光。

 脚部強化の副次的な現象だが……トレーナー君は何故そんなに楽しそうなんだい?

 立ち上がってくるりと一回転、そして。

 

「よいしょっと」

 

「ちょ、何故脱ぎ始める!?」

 

「しっかり観察するには必要でしょ?」

 

「そ、それはそうだが……」

 

 パンツと靴下を脱ぎ露わになるトレーナー君の素肌。

 肉付きの良い太股も引き締まったふくらはぎも形の良いつま先も見事に発光している。

 

 ……当然下着が丸見えなわけだが。

 私もそこら辺は無頓着な方だが思わず顔を背けてしまう。

 

「触らないの?」

 

「……うるさいよ」

 

 不機嫌を装って返事はしたもののかなり我慢していたりする。

 逸る心を押さえ付け立ったままの彼女のふくらはぎに左手を這わせる。

 

「ふぅン、これはしなやかな肉体だね。新薬も良い感じに作用している」

 

「ふふん♪」

 

 右手でスマホにデータを入力しながら左手で触診を続ける。

 段々と上へ、よしこれなら平常心を保ったまま実験を終了――

 

「あんっ!」

 

「な、何て声を出すんだい!」

 

 彼女の艶めかしい声に思わずスマホを落としかけた。

 平常心を保てなかった自分が悔しい。

 このアグネスタキオンともあろうものが、だ。

 

「タキオンちゃんの触り方がエッチだから」

 

「なっ、そのような言い掛かりはやめたまえ!」

 

 

「何が言い掛かりなんですか?」

 

「お姉さま奇麗……」

 

 

 何故かいるグラス君とライス君。

 ……またドアの修理を依頼しないといけないようだ。

 

 

「タキオンさん、随分と楽しそうな実験をしていますね」

 

「ち、違う、これは決して卑猥な実験では」

 

 グラス君の薙刀が喉元に突き付けられ流石の私も動揺してしまう。

 く、このままでは実験が!

 

「お姉さまがメロンソーダみたいな色で美味しそう……」

 

「舐めてみる?」

 

「うん!」

 

 のっぴきならない私とグラス君を余所にトレーナー君の左足に舌を這わすライス君。

 その様子を見て生唾を飲み込むグラス君。

 これは好機だね。

 

「提案なのだがグラス君も実験に参加してもらえないかね?」

 

「……命拾いしましたね。トレーナーさん私も失礼します」

 

 薙刀をその場に置きライス君と同じように左足に舌を這わすグラス君。

 

 

 ……やれやれ、前世の因縁とは厄介なものだね。

 

 ふとそんなことを思いながら私は自分の左足をさすった。

 

 

******************************

 

 その時、ふと閃いた!

 このアイディアは、アグネスタキオンとの

 トレーニングに活かせるかもしれない!

 

 アグネスタキオンの成長につながった!

 

 やる気が上がった

 スピードが60上がった

 スタミナが60上がった

 賢さが60下がった

 「曲線のソムリエ」のヒントLvが6上がった

 

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特に感想をいただけるととても喜びます。
※アンケート回答も嬉しいです。


<備考>

グラスワンダー:茶碗を買い取ったので長期間金欠。

ライスシャワー:先にゲート入りすると他のウマ娘が入りたがらない。

アグネスタキオン:ストレスで紅茶の消費量が増える。

桐生院葵:親戚の悪童に連れまわされる。

女トレーナー:後にピンク色にも金色にもなることが判明。

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