<雲を掴むような話>
「さぁ今日はどこでお昼寝しようかな?」
春の優しい日差しという絶好のお昼寝日和、当然私はトレーニングをサボりお昼寝場所を探していた。
人目に付くと色々と面倒だから程々に人気のない場所を……お、あそこの木陰なんていいかも――
「あんっ、そこは無理です!」
「ふぅン……トレーナー君はまだまだいけそうだが?」
「いけるよ♪ フラワーちゃんは厳しそう?」
「うっ……まだ頑張れます!」
苦し気なフラワーの声に体が勝手に茂みに向かって駆け出す。
フラワー以外の声はタキオンさんにそのトレーナーさんというトレセン学園きっての変態コンビ。
どう考えても不安しかないよね。
「ト、トレーナーさんの吐息が……ひゃっ!?」
「あら、可愛い声♪」
「ううっ、恥ずかしいです……」
普段なら搦手で排除するところだけどそんな余裕はなさそうだね。
ちょっとムカついてきたので正面から――
「フラワーに何してるの!」
「スカイさん!?」「ふぅン」「お、挑戦者かな?」
茂みの先には……ツイスターゲームをしているフラワーとトレーナーさん、そして指示を出しているタキオンさんが。
えー、そんなオチなの?
セイちゃん恥ずかしー。
「あ、バランスが……きゃっ!」
「あら」
「ごめんなさい!」
「フラワーちゃんが怪我しなくて良かったわ。よしよし♪」
「……柔らかくて気持ち良いです」
「トレーナー君のぜい肉もたまには役に立つじゃないか」
私が驚かせたせいでフラワーがバランスを崩しトレーナーさんの胸に顔を埋めて撫でられる結果に。
……何だろう、私が悪いのに凄くモヤモヤする。
「立派な大人になる為のトレーニング?」
「はい、タキオンさんとトレーナーさんが提案してくれたんです!」
フラワーの純真な瞳が眩しいね。
そこの二人の提案には邪なものを感じるけど。
「『よく学び、よく遊び、よく走れ』私の好きな言葉です♪」
「基本は大事だからね。それにフラワー君には素質があるからトレーナー君に新たなメンバーとして薦めたというわけさ」
「はぁ!? フラワーはこのチームに入るの!?」
「はい。トレーナーさんの指導でタキオンさんもグラスさんもライスさんもご活躍されてますから」
「当然だとも」
タキオンさんが見せつける様にフラワーの肩に手を回した。
いくら危険だと分かっていてもフラワー自身の考えだから私に止める権利は無い。
でもこのままだとフラワーの未成熟の果実のような瑞々しい肢体がこの変態チームに汚されて……そんなの嫌だ!
「セイちゃんも勝ちウマに乗りたいなーなんて」
「ふぅン……どうだいトレーナー君、スカイ君も良いモルモット、いや良いチームメイトになれると判断するが?」
「タキオンちゃんがそう言うなら問題ないかな。よろしくスカイちゃん♪」
「よろし――むぎゅ!」
「歓迎のハグ!」
「あー、ずるいです!」
人間とは思えない程強力な抱きしめに意識が遠のく中、フラワーの少し怒った顔は新鮮で可愛かったかな。
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その時、ふと閃いた!
このアイディアは、アグネスタキオンとの
トレーニングに活かせるかもしれない!
アグネスタキオンの成長につながった!
やる気が上がった
スピードが10上がった
スタミナが10下がった
パワーが10上がった
ニシノフラワーがトレーニングに現れるようになった
セイウンスカイがトレーニングに現れるようになった
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<サミング>
「はーい、今日のトレーニングはここまでです。お疲れ様♪」
『お疲れ様(でした!)』
トレーナーの終了を告げる言葉と共にへたり込む私。
本当はサボりたいのにフラワーを危険人物たちから守るためには仕方ないね。
まあ明日から週末だしその間はゆっくり休め――
「それじゃあ明日は遅れないように」
「勿論だとも」
「ライス楽しみです♪」
「ふふ、胸が高鳴ります」
「今夜眠れるかなぁ……」
「ちょっと、何の話!?」
フラワーの興奮した様子に疲労が一遍に吹き飛びトレーナーに詰め寄る。
明日何があるっていうの!?
「え、先週メールしましたよ『当選のお知らせ!』って」
「絶対詐欺メールの件名でしょ!」
普通に削除してたよ。
いや短い付き合いだけどこの人に普通を求めちゃいけないのは分かってた筈なのに。
迂闊過ぎた。
「明日はスカイさんもお好きな釣りですよ。その場で捌きますから任せてください」
「フラワー……セイちゃんもちょっと頑張るかな?」
「はい!」
フラワーと一緒ならこの○○な連中と一緒でもきっと楽しめる、と思う。
「明日の海は日差しが強そうだから紫外線対策に気を付けてね♪」
海釣りか、『あおぐもサミング』のあだ名は伊達じゃないよ?
「……え、なにこれ?」
目の前のあんまりな光景に思わず愛用の竿とタックルボックスをその場に落としてしまった。
だって……何この金ぴかのクルーザー?
成金の金持ちだってこんな船持たないよ!?
「どうかしらゴルシちゃんから借りた金色丸?」
「…………すごーい」
他の船の人からの視線が痛い。
遠くからでも目立つしね。
まだ朝だけどもう帰りたい。
「スカイさん、奇麗なキッチンですよ!」
フラワーって実は私よりタフなのかな……。
「不沈艦、抜錨ォッ! 言ってみたかっただけ♪」
「ふぅン、トレーナー君もはしゃいでいるみたいだね」
楽しそうな要注意人物の二人、できればそのまま二人でいちゃついててほしい。
……トレーナーさんが船舶免許を持ってるのは意外だったけど。
私もフラワーと二人きりでクルージングとか……なんちゃって。
「トレーナーさん、何か来ます!」
「流石グラスちゃん、ライスちゃんもいける?」
「はい!」
え、何が始まるの?
「精神一釣」「ブルーローズフィッシャー」
「「はっ!」」
船首で薙刀と短剣を構えるグラスちゃんとライスさん。
そこに襲い掛かってきたのはおびただしい数のお魚……ダツ!?
確かにこれだけ無駄にキラキラしてたら光に反応する習性のあるダツが突進してくるのもありえなくもない、のかな?
ウマ娘と大体同じ速度で突っ込んでくる魚、それを一匹も逃さず甲板に叩き落とす二人って……。
「鎧袖一触……これで終わりでしょうか?」
「わぁ、大漁だね♪」
「二人ともお疲れ様。見事な釣りだったよ♪」
甲板に積みあがったダツ……いやいや、どこに釣りの要素があったの?
それでも無理やり例えると鵜飼い?
この場合ウ飼になるのか……。
「では早速調理しますね♪」
フラワーの順応力が高すぎて怖い。
そして普通の釣りがしたい。
それが駄目なら昼寝したい。
「ふぅン、ゴルゴルレーダーに感ありだ」
「あら、今度は私の番だね」
えー、まだ何かあるの?
セイちゃんの体力はもうゼロだよー。
「ちょっと行ってくるね」
いきなりライフジャケットやら服やらを脱ぎだすトレーナー……あ、下は水着か。
私と違って良いスタイル、黙ってれば美人なのに。
そして腰に命綱のような物を付けると奇麗なフォームで躊躇なく海に飛び込んだ、はっ!?
「タキオンさん!?」
「なぁに、昼食に一品増えるだけさ」
意味ありげに笑うタキオンさん。
え、トレーナーさん以外操船できないから笑ってる場合じゃないような。
まあ待つしかないか……。
一分、
二分、
三分、
「ちょ、ちょっと流石に長くないですか!?」
「ふぅン、相手も手練れのようだね」
それほど気にしてないタキオンさん、ダツの刺身をつまみ食いしてフラワーに叱られてるし。
グラスちゃんとライスさんは……ダツの干物作ってる。
何だか私だけが心配しているような。
海面は静かで……え、急に赤く染まって。
「お待たせ♪」
「トレーナーさん!?」
海面から顔を出し手を振るトレーナーさん、ただし血塗れ。
これには流石のセイちゃんもドン引きだよ。
「遅かったね」
「タキオンちゃん、ごめんね。後部甲板に上げるから手伝って」
「ああ、みんなで手伝うさ」
……そのみんなに私を含めないでほしいんだけど。
「ふぅン、こいつからは良い材料が取れそうだ」
「まさに敵将討ち取りですね」
「流石です、お姉さま!」
後ろの甲板に引き摺り上げたのは三メートル以上はありそうな大きな鮫。
顔の両側から出血していてもう息はしていない模様。
……今日何しに来たんだっけ。
「どうやったんですか?」
「回り込んで両側から親指でぶすっと。釣りでもサミングって言うでしょ?」
「全然違います!」
どうやらとんでもないチームに入ってしまったと改めて思い知らされた。
確かに今まで以上の走りができるようになるかもしれないけど、代わりにウマ娘として何か大切なものを失ってしまうような気が……。
それでも……フラワーだけは絶対に守ってみせる。
それだけが私の願いだから…………。
ちなみにフラワーの料理は今日も美味しかった、まる。
******************************
その時、ふと閃いた!
このアイディアは、アグネスタキオンとの
トレーニングに活かせるかもしれない!
アグネスタキオンの成長につながった!
やる気が上がった
スピードが20上がった
スタミナが20上がった
賢さがが20下がった
「視界良好!異常なし!」のヒントLvが2上がった
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感想、評価、誤字報告などありましたらよろしくお願いします。
特に感想をいただけるととても喜びます。
※アンケート回答も嬉しいです。
<備考>
セイウンスカイ:病み始めたツッコミ枠。
ニシノフラワー:純真無垢な癒し枠。
アグネスタキオン:騒動枠。
グラスワンダー:姉枠(中等部)。
ライスシャワー:妹枠(高等部)。
女トレーナー:脳筋枠。
チーム名は?
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アークトゥルス
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ベガ
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カペラ
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リゲル
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プロキオン
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ベテルギウス
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アケルナル
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ハダル
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アルタイル
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アクルックス
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アルデバラン
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アンタレス
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ポルックス
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フォーマルハウト
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デネブ
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ミモザ
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レグルス