灰は灰に、塵は塵に、人はゾンビに。   作:萌矢氏

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ゾンビらしさ

 

 さて、この世界のゾンビは人を襲い、無理矢理お仲間を増やす活動を主にしている。

 ゾンビはそれはもう人しか興味がなく、ゾンビがゾンビを襲うことはない。ゾンビがゾンビを襲ったところで、ゾンビはゾンビなのだ。増やすとか以前にもうゾンビだ。

 

 そのため例の自我あり天然ゾンビくんは、おおむね平和であった。

 飲み水は雨が降れば確保できる(ただし必要はない)し、食事も味覚が死んでいるため口に入ればなんでもいい(そして必要ない)。

 これらはひとえに、人間としての生命活動を行うことで辛うじて意識は人間を保つように…………なんてこともなく、意味のないルーティーンと化している。

 

 要するに暇なのだ。それならぼーっとするより、真似事でもして時間を潰す方が健全というもの。

 

 

 そんなことを繰り返していたある日、ふと思い立つ。

 そして思い立ったが吉日、行動を開始した。

 

 一応補足しておくと、文字で悪いゾンビじゃないよアピール作戦ではない。天然ちゃんは未だ思い至らず。

 

 このあたりは既に物資的価値はなく、あるのはゴミとゾンビのみ。

 そうだ、掃除をしよう。

 疲れ知らず痛み知らず睡眠不要の便利な体だから、飽きるまでやってみよう。

 

 まずは割れたガラスやらを片付けたいから、トングとか厚手の布みたいなのないかなーと考えながら立ち上がる。

 すると眼前にはたくさんのあーとかうーとか言ってるゾンビの群れが!!

 

 「邪魔すぎる……」

 

 と、相変わらず話せてるつもりで自分もあーうー言ってる天然ちゃん。

 しかし今日の天然ちゃんは一味も二味も違う、脳内が冴え渡っているのだ! ただしゾンビの脳は機能不全を起こしているはずである。

 

 

 まずこのゾンビは、掃除ではなく別のものを探していた。

 それは、地下駐車場だ。 簡単に言うと地下駐車場にゾンビ全部突っ込んでしまおうという作戦だ。 馬鹿の極みである。

 

 さて、お馬鹿な天然ちゃんは、しかし不思議なところだけは思い付くもので。

 壊れた自動販売機をえっちらおっちら運び、ゾンビがそれを倒せるか検証した。 結果、2台並べれば大丈夫だと結論付けた。 不安である。

 

 次に、ゾンビの運搬を考えたが、周りに人間がいないと何されても我関せずという感じなので、台車かリヤカーでも探して運ぶことにする。 大丈夫だろうか。

 

 そして、床に散らばってて邪魔なガラス片を、ゾンビごろごろして回収してから押し込めば掃除もできると名案が思い付く。 迷の方かもしれない。

 

 

 色々考えたが、はたと気付く。

 まずは地下駐車場を探さなければ、撮らぬ狸の皮算用、邪魔なゾンビの再利用。

 

 いつものベンチを離れ、集落とは反対の方向へ足を運ぶことにした。

 

 

 

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