長い間、本当にありがとうございました。
それでは、どうぞ。
幻想郷——博麗神社、朝。
霊夢「愁、起きなさい」
愁「……ん」
霊夢「起きなさいって言ってるじゃない」
愁「……あと五分」
レミィ「(愁の腕の中から)……霊夢、五分待って」
霊夢「あんたたちね——」
フラン「(廊下から)霊夢~、愁お兄様たち起きた~?」
霊夢「起きてない。起こしに行って」
フラン「まかせて! (ドアをバン!と開けて)お兄様! 起きて!!」
愁「……わかったわかった、起きるよ」
レミィ「(むーっとした顔で)……うー☆ フランうるさい」
フラン「だってお姉様! 今日は大事な日じゃない!!」
レミィ「……(ぱちっと目を開けて)……そうだった」
霊夢「さっさと準備しなさい。射命丸に声かけたから昼には全員集まる」
愁「全員って——誰まで呼んだの」
霊夢「幻想郷にいる全員」
愁「……範囲広くない?」
霊夢「広くていいのよ。今日はそういう日なんだから」
レミィ「(愁の腕を引っ張りながら)愁、早く準備して♡」
愁「わかったわかった」
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※今日という日について少し説明する。前話で愁が天照に「幻想郷に永遠にいる」ことを認めてもらい、レミィとの婚約も改めて正式なものとなった。それを受けて霊夢が一言——「じゃあ宴会ね」と言ったのが三日前のことだ。
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昼——
博麗神社の境内は、ありえないくらい賑やかだった。
魔理沙「おー! 愁! 今日はおめでとうなんだぜ!」
愁「ありがとう、魔理沙」
魔理沙「それにしても宴会、久しぶりなんだぜ~!」
霊夢「毎月やってるじゃないの」
魔理沙「それはそれ、これはこれなんだぜ!」
早苗「愁さん、レミリアさん、おめでとうございます!」
神奈子「愁! よくやった!!」
諏訪子「いやほんとに! おめでとう!」
愁「ありがとうございます……(人多すぎる)」
パチュリー「……おめでとう、愁」
愁「パチュリー、来てくれたんだ」
パチュリー「図書館を一日閉めてきたわ」
咲夜「お嬢様、愁様、本当におめでとうございます」
美鈴「愁様! おめでとうございます!!(目に涙を浮かべながら)」
愁「美鈴……泣いてる?」
美鈴「泣いてません!! 目にゴミが入っただけです!!」
咲夜「泣いてますね」
美鈴「泣いてません!!!」
妹紅「愁、おめでとう」
愁「妹紅、来てくれたんだ」
妹紅「まあ、こういうのは顔出しとかないとな」
輝夜「私も来たわよ♪ おめでとう、愁」
永琳「おめでとうございます。末永くお幸せに」
鈴仙「おめでとうございます!」
さとり「愁さん、おめでとうございます。心の声も全部お祝いって言ってますよ」
愁「さとり……それは言わなくていいやつだよ」
さとり「失礼しました」
こいし「愁! おめでとう!!」
フラン「こいしちゃん! 一緒に遊ぼう!!」
こいし「うん!!」
妖夢「(二人を追いかけながら)お待ちください——!」
幽々子「まあ、いい日ねえ。愁、おめでとう♪」
勇儀「愁! おめでとうだ! 今日は飲むぞ!!」
愁「勇儀さん……今日は僕も飲んでいいですか」
勇儀「当たり前だろ!!」
にとり「おめでとう愁! なんかいいもの作ってやろうか!」
愁「気持ちだけもらっとく、ありがとうにとり」
文「横川愁さん、本日はおめでとうございます! 取材させてもらいますよ!」
愁「宴会中は勘弁してよ……」
霊夢「文、宴会が終わってからにしなさい」
文「はい……(でも写真だけ)」
慧音「愁、本当におめでとう。ここまでよく来たな」
愁「慧音さん……ありがとうございます」
慧音「幻想郷に来たばかりの頃のことを思うと——感慨深いな」
アリス「……おめでとう、愁」
愁「アリス、来てくれたんだ」
アリス「(ちょっと顔を赤くして)……幸せにしてあげなさいよ、レミリアを」
愁「もちろん」
天照「愁♪ おめでとう!!」
愁「天照さんも来たんですか」
天照「当たり前じゃ! 我が息子の晴れ舞台じゃぞ!!」
霊夢「(ため息)……また仕事放り出してきたんですか」
天照「ええじゃないか、こういう日ぐらい!」
霊夢「……神様って本当に好き勝手ね」
天照「それが神様というものじゃ♪」
紫「……愁」
愁「紫さん」
紫「おめでとう。本当に、よかったわ」
愁「……ありがとうございます、紫さん。色々——本当にお世話になりました」
紫「(少し目を細めて)……あなたを幻想郷に落としたのは私だけれど」
愁「それも含めて、ありがとうございます」
紫「……(静かに微笑んで)……幸せになりなさい」
愁「はい」
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霊夢「——そろそろいいわね」
全員の視線が集まった。
霊夢「えー、今日はこの二人のために全員集まってもらいました」
魔理沙「おー!!」
霊夢「愁、レミリア、前に出て」
愁「(レミィと一緒に前に出る)」
レミィ「(愁の腕をそっと掴んで)……緊張する」
愁「(小声で)僕も」
レミィ「(小声で)……嘘でしょ」
愁「(小声で)本当だよ」
レミィ「(小声で)……ふふ、愁が緊張するなんて珍しい♡」
霊夢「(二人に向かって)……何こそこそ話してるの」
愁・レミィ「「なんでもない」」
霊夢「じゃあ愁、レミリアに誓いの言葉を」
愁「……え、そんなの考えてないんだけど」
霊夢「即興でいいから」
愁「……(レミィを見て)」
レミィ「……(じっと愁を見ている)」
少し間があった。
愁「……レミィ」
レミィ「……うん」
愁「ずっとそばにいる。どこにも行かない。幸せにする。——それだけ」
しばらく——静かになった。
レミィ「……(目が少し潤んで)……うー☆ //// ……そんなこと人前で言わないでよ!!」
魔理沙「おおー!!!!」
フラン「お兄様かっこいい!!」
こいし「レミィさん顔真っ赤!!」
レミィ「うるさい!!!」
霊夢「(小さく笑って)……じゃあ、乾杯ね」
全員「「乾杯!!!」」
宴会が始まった。あちこちで笑い声が上がって、食べ物と酒が飛び交って——博麗神社はいつにも増して賑やかだった。
魔理沙「愁! 飲め飲め!!」
愁「わかったわかった……(ぐいっと飲む)」
勇儀「愁、もう一杯!!」
愁「……勇儀さん、強すぎる」
早苗「愁さん、お料理もどうぞ!」
愁「ありがとう早苗……おいしい」
早苗「よかったです!!」
レミィ「(愁の隣にぴったりくっついて)愁、こっちの料理も食べて」
愁「(口を開ける)……おいしい」
レミィ「でしょ♡」
フラン「私にも! あーん!」
愁「はいはい、フランも。あーん」
フラン「あーん♪ おいしい!」
パチュリー「(咲夜と並んで座りながら)……賑やかな宴ね」
咲夜「……お嬢様の顔、ずっと笑ってますね」
パチュリー「……そうね」
咲夜「よかったです、本当に」
さとり「(こいしを見守りながら)……(愁さんが来てから、こいしもよく笑うようになりましたね)」
こいし「(フランと走り回っている)」
妖夢「(二人を追いかけながら)お待ちください——!!」
幽々子「妖夢、いい運動ね♪」
妖夢「(遠くから)いい運動じゃないです——!!」
天照「(霊夢の隣で酒を飲みながら)……霊夢、愁はよくやったな」
霊夢「……そうですね」
天照「お前もよくやった」
霊夢「……私は別に何もしてないです」
天照「そんなことはないぞ。愁を支えていたのはお前じゃ」
霊夢「……まあ、それはそちらがやることですよ」
天照「(にっこりして)……素直じゃないのう」
霊夢「うるさいです」
愁「(紫のそばに近づいて)……紫さん、一つ聞いてもいいですか」
紫「なあに?」
愁「最初に幻想郷に落としたとき——どうなると思ってたんですか、僕のこと」
紫「……正直に言うと、ここまでになるとは思っていなかったわ」
愁「そうですか」
紫「でも——あなたならどうにかなると思っていた。それだけは確かよ」
愁「……(少し笑って)ありがとうございます」
紫「……ふふ。さあ、レミィのところに戻りなさい。あの子、あなたがいないと落ち着かないでしょ」
日が傾いて、空がオレンジ色になっても——誰も帰ろうとしなかった。
やがて一人、また一人と帰り始めた。
魔理沙「じゃあな愁! また来るんだぜ!!」
早苗「愁さん、本当におめでとうございました!」
神奈子「また宴会しよう!!」
諏訪子「次は守矢神社でやろう!!」
勇儀「次こそ愁と飲み比べするぞ!!」
愁「……次はもう少し覚悟して来ます」
勇儀「ガハハ!! それでいい!!」
妹紅「……元気でな」
輝夜「またね♪」
永琳「お幸せに」
幽々子「ねえ妖夢、私ももう少しいてもいいかしら♪」
妖夢「いい加減に帰りましょう幽々子様……」
アリス「……じゃあね、愁」
愁「ありがとう、アリス。また来てよ」
アリス「……考えておく」
文「愁さん! 最後に一枚だけ!!(パシャ!)」
パチュリー「……達者でね、愁」
愁「また図書館来ていい?」
パチュリー「……いつでも来なさい」
美鈴「愁様——!(また目が赤い)」
美鈴「泣いてません!!」
咲夜「(そっとハンカチを渡して)美鈴、どうぞ」
美鈴「……ありがとうございます咲夜さん……」
さとり「愁さん、今日は楽しかったです」
こいし「また遊ぼう!!」
フラン「こいしちゃん、またね!!」
天照「愁、達者でな♪」
愁「天照さんも、仕事ちゃんとしてくださいね」
天照「するする! ……たぶん」
愁「……たぶん、って」
天照「(笑いながらスキマの向こうへ消えていく)」
紫「……じゃあね、愁」
愁「紫さん。……本当にありがとうございました」
紫「(少し間をおいて)……どういたしまして」
紫はスキマを開けて、消えた。
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気づけば——残っているのは、霊夢と妖夢と、フランと、レミィと、愁だけになっていた。
霊夢「……賑やかだったわね」
片付けが終わった頃、すっかり夜になっていた。
霊夢「フラン、妖夢、先に入りなさい」
妖夢「はい。愁さん、レミリアさん、今日はおめでとうございました」
フラン「お兄様! おやすみ!!」
フラン「(レミィにぎゅっと抱きついて)お姉様もおやすみ!!」
レミィ「……おやすみ、フラン」
霊夢「……愁」
愁「うん?」
霊夢「……今日、お疲れ様」
愁「霊夢こそ。宴会の準備、全部してくれたじゃないか」
霊夢「……当たり前じゃないの。あんたたちのためなんだから」
愁「……ありがとう、霊夢」
霊夢「うるさいわよ。さっさと縁側に行きなさい。レミィが待ってるじゃないの」
愁「(笑って)はい」
霊夢「(一人になってから、小さく)……よかったわ、本当に」
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縁側——
愁が来ると、レミィが待っていた。
夜空に、星が出ていた。
レミィ「……遅い」
愁「ごめん。霊夢と話してた」
しばらく、二人で星を見ていた。
レミィ「……愁」
愁「うん?」
レミィ「……さっきの、誓いの言葉。もう一回言って」
愁「(レミィを見て)……ずっとそばにいる。どこにも行かない。幸せにする」
レミィ「……(////)……」
愁「……それだけ」
レミィ「……(ぎゅっと愁の腕を掴んで)……うー☆ //// ……もう!!! 何回言うの!!!」
愁「(笑って)レミィが聞いたんじゃないか」
レミィ「……(耳まで真っ赤にして)……そ、そうだけど!!」
しばらくして——二人はまた、静かに星を見ていた。
レミィが愁の肩に頭を乗せた。
レミィ「……幸せ」
愁「……僕も」
レミィ「……(ふわっと笑って)……そっか」
風が吹いた。
愁「……晴」
静かに、呟いた。
愁「……ちゃんと生きてるよ。幸せでいるよ」
愁「……ありがとう」
風がもう一度、吹いた。
レミィ「……おやすみのキス、して」
愁「(ちゅ)……おやすみ、レミィ」
レミィ「……(えへへ♡)……おやすみ、愁」
レミィ「……もう一回」
愁「(ちゅ)……ほら、そろそろ寝よう」
レミィ「……(ぎゅっと抱きついて)……もう少しだけ、ここにいて」
愁「……わかった」
二人は縁側で、並んで星を見ていた。
幻想郷の夜は静かだった。
星が多くて、空が広かった。
どこまでも続いていた。
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これが、横川愁と、レミリア・スカーレットの話だ。
現実と幻想郷を行き来した少年が、幻想郷に居場所を見つけて——
ちゃんと生きることにした、話だ。
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幻想郷イチャイチャ生活——了
長い間、本当にありがとうございました。
最後まで読んでくださった方、感想を送ってくれた方、評価してくださった方——全員に、本当にありがとうと言いたいです。
愁とレミィとみんなのことを、これからも好きでいてくれたら嬉しいです。
それでは、またどこかの世界線で。
如月愁