全てを無くした少女に呪いを授ける   作:レガシィ

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この話、前回にするべきだったかも、この方法は次から使いません。


第十五話 課外授業

 虎杖達に合流する数刻前──

 

 五条は学長との約束があり人気のない道路を伊地知が運転する車で走っていた。

 

「学長との約束までまだ少しありますけど、どこか寄ります?」

 

「いいよ、たまには先に着いててあげよう…車止めて」

 

「えっ…ここでですか?」

 

「先行ってて」

 

「えぇ!? これ、なんか試されてます?」

 

「僕をなんだと思ってるの?」

 

 ブオオオ

 

 伊地知が五条をおろし先に行く。

 

「さて」

 

 ヒュオッ、ドゴォォン! 

 

「君、何者?」

 

「ヒャァッ!!」

 

 突如空中からコンクリートを踏み割り現れたのは頭に富士山のような形をした火山がある呪霊だった。

 

 クイッ ボゴッ

 

 富士山頭が腕を振ると五条の真横の石壁から火山が出現し凄まじい勢いで噴火する。

 

 ボウッ!!! ゴオオオ、ジュアアドロドロ…

 

 噴火した場所はコンクリートにも関わらず超高温によりドロドロに溶ける。

 

「存外、大したことなかったな」

 

「誰が、大したことないって?」

 

 煙の中から無傷の五条が歩いて現れる。

 

「小童め」

 

「特級はさ、特別だから特級なわけ、こうもほいほい出てこられると調子が狂っちゃうよ」 

 

「矜持が傷ついたか?」

 

「いや、楽しくなってきた」

 

 不敵に嗤う富士山呪霊に対し、五条は指をポキポキと鳴らして笑ってみせる。

 

「楽しくなってきた…か、危機感の欠如」

 

 ポンポンポンポンッ

 

 富士山呪霊は頭から虫型の呪霊を生み出す。

 

「危機感の欠如…ね」

 

 虫型の呪霊は五条へ襲いかかると、五条に当たる寸前で全てピタリと停止する。

 

「これ当たるとどうなんの?」

 

 興味本位に触れると耳障りな奇声をあげ始め、直後に爆発する。

 

 "ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア!!!!! 

 

 ボゥン!! ォォォォォ

 

「音と爆発の二段構え、器用だね」

 

 富士山呪霊が五条に急接近し、頭に向かって直に掌から爆発を繰り出す。

 

「まだまだ」

 

 隙を与えず今度は前方全てを、焼き払う大爆発を五条に叩き込む。

 

「……こんなものか、蓋を開けてみれば弱者による過大評価、やはり今の人間は紛い物、真実に生きておらん、万事醜悪反吐が出る。本物の強さ、真実は死をもって広めるとしよう」

 

「この件、さっきやったよね。学習しろよ」

 

 爆発を煙たがりながらまたしても無傷で煙の中から五条が現れる。

 

「どういうことだ」

 

「んー、簡単に言うと当たってない」

 

「馬鹿なさっきとはワケが違う、わしは確かに触れて殺した」

 

「君が触れたのは僕との間にあった『無限』だよ」

 

 五条が抽象的に説明すると、富士山呪霊は疑問符を浮かべる。

 

「教えたげる、手だして」

 

 富士山呪霊が手を出すと、五条の手に触れることなく止まり驚きで目を見開く。

 

「止まるっていうか、僕に近づく程遅くなってんの。で、どうする? 僕はこのまま、握手してもいいんだけど」

 

 煽り口調でニヤニヤする五条と対象的に富士山呪霊は怒りに顔を染める

 

「…断る」

 

「照れるなよ、こっちまで恥ずかしくなる」

 

 恋人つなぎのようにして富士山呪霊と手を絡める。

 

「貴様っ!!」

 

 ボギュッ!! 

 

 五条は富士山呪霊に行動を許さず、手を繋いだまま腹に左手ストレートを叩き込み、隙を与えず連続して拳を繰り出す。富士山呪霊は口から血を吹き出し、戸惑いを隠せなくしている。膝から崩れ落ちる富士山呪霊に向かって、説明しながら術式を使う。

 

「無限はね、本来至るところにあるんだよ。僕の呪術はそれを現実に持ってくるだけ。『収束』『発散』、この虚空に触れたらどうなると思う?」

 

 五条の右手に呪力が集まり、エネルギーが逆巻く。

 

「術式反転、赫」

 

 バガッ、ドドドドドド!!! 

 

 五条の放った術式は木々を薙ぎ倒し地形を変えながら富士山呪霊を巻き込み吹き飛ばしていく。五条は飛ばされた富士山呪霊を走って追跡する。空中で富士山呪霊は意識を取り戻し、五条に向かって爆発を繰り出す。

 

「ビャア!」

 

 しかしそこに既に五条は居らず、背後から蹴り飛ばされ近くの湖へと蹴り落とされる。

 

「あ、丁度いいか、課外授業に呼んじゃおっと」

 

 バシュン

 

 ──ー

 

(前回に繋がる)

 

「「へっ?」」

 

 バシュン! 

 

 大きな湖の上に三人は立っていおり、三者三様の反応をする。

 

「うぅ、いきなり飛ばないでくださいよ」

 

「うぉわ! どゆこと!? てか水の上立ってる!」

 

「や~ごめんごめん、待った?」

 

 五条が話しかけた先には、頭が火山になっている一つ目の呪霊がいた。

 

「何だそいつらは?」

 

「見学の刹那と虎杖悠仁君でーす!」 

 

「うぉっ! 頭富士山!」

 

「…未確認の特級呪霊ですか?」

 

「そそ、さっき襲われてねー。ついでだから二人を連れてきたの」

 

 虎杖は慌てふためくが、刹那は五条と話す余裕があり、冷静に相手を分析している。

 

「何だそのガキは…盾か?」

 

「盾?違う違う、行ったでしょ見学だって。今この子に色々教えてる途中なの、あ、こっちの子はほんとにただの見学ね」

 

 虎杖と刹那の頭を交互にポンポン叩く

 

「愚かな、自ら足手まといを連れてくるとは」

 

 富士山呪霊は、嬉々とした表情で五条を煽るが逆に五条は煽り返す。

 

「あっはは、大丈夫でしょ。刹那に至っては確実に君より強いし、なによりそれ以前に君、弱いもん」

 

 ニヤリと笑って言い放つ五条に対し、頭富士山呪霊が文字通り頭を爆発させる。

 

「舐めるなよ小童ぁ!!!」

 

「いや、先生が強すぎるだけであれ全然弱くないですよ」

 

「刹那から見ても強いってさ、良かったね〜♡」

 

 余裕の態度をかます二人をよそに、虎杖は恐怖をあらわにする。今までの三級以下の雑魚とは違う、明らかな恐怖と人間に対する憎悪の塊。呼吸さえ辛くなるような感覚に虎杖は陥る。

 

「大丈夫、二人共僕から離れないでね」

 

 五条が二人をさらに自身に近づけると、富士山呪霊は両手の人差し指で輪を作りそこに親指を通し、他の指を軽く広げてトンネルのような印を象る。

 

「領域展開!!蓋棺鉄囲山」

 

 富士山呪霊がそういうと、膨大な呪力を放出しその場の全てが火山の洞窟のような領域へと塗り替えられていく。

 

「うおっ! あっつ!!」

 

「これが領域展開、術式を付与した生得領域を呪力で周囲に構築する。悠仁達が少年院で体験したのは術式が付与されていない未完成の領域だ、完成してたら一年生全員死んでたよ」

 

「多分恵君はそのことに気づいてたんじゃないんですかね?」

 

「うへぇ、俺相当運良かったんだな」

 

「ちなみにこれ刹那もできるよー」

 

「えっ! 刹那も火山だせんの!?」

 

「まぁ、こんなに賑やかな空間じゃないですけどね。多分全部の領域で一番寂しいですよ」

 

「阿呆な小僧だ、領域は心の中と言い換えてもいい空間だ、人によるだろうよ。だが、それにしても…

 

 ケヒッ、流石だな刹那よ、その年でその境地にいるとは」

 

 虎杖の手の甲から宿儺の口と目が現れて喋りだす。

 

「なんで宿儺が出てきてんの? ってか刹那こいつと仲いいの?」

 

「うぅーん…仲いいんですかね? 友達が少ないので分かんないです」

 

 バゴォン! 

 

 向かって飛んでくる小型の隕石のようなものを五条が叩き落とす。

 

「おっと、ごめんね説明の途中に、まず領域内では術師の力が底上げされる、ゲームのバフみたいなもんだね。そして領域内で発動し、付与された術式は今みたいに絶対当たる」

 

「絶対!?」

 

「ずぇぇぇえったい!」

 

「でも安心して、対処法もいくつかある、はい! 刹那! 言ってみて!」

 

 急に刹那に解答権を振る五条に、刹那は呪霊から目を離すことなく答える。

 

「…今のように呪術で受けるか、ほぼ確実に無理ですけど領域外に逃げるかですね」

 

「はーい正解! あと一つは?」

 

「今から実践するでしょう?」

 

 刹那は五条に早くしろと言わんばかりに目配せをする。

 

「フッフッフ、よく見てて悠仁。領域展開に対して最も有効な手段は、自分自身も領域を展開することさ」

 

「あ、悠仁君、絶対に五条先生から離れないでくださいね。廃人になりますよ」

 

「え"っ」

 

 刹那が不穏なことを口走る。五条は黒いアイマスクを外し、その碧眼をあらわにし、自らの中指と人差し指を絡めて印を象る。

 

「領域展開、無量空処」

 

 富士山呪霊の火山のような領域が、五条によって宇宙のような無限を感じさせる、澄み切った領域に支配される。

 

 富士山呪霊は一切の動きを停止させる。

 

 五条は富士山呪霊の頭を片手で掴み、領域の説明を始める。

 

「ここは無下限の内側、"知覚"伝達'生きるという行為に無限回の作業を強制する。皮肉だよね、全てを与えられると何もできずに緩やかに死ぬなんて、でも君には聞きたいことがあるからこの位で勘弁してあげる」

 

 ギキュウーン、ボパァ!! ボトッ

 

 そう言い放ち、五条は動きを止めている富士山呪霊の頭を胴体から無理矢理引き千切り、領域展開を解除する。富士山呪霊は頭だけになりながら驚きに満ちた表情で地面に転がっていた。




うろ覚えでこの会話再現したんですけどあってますかね?
ていうか、オリジナル少なくてすいません。
最初主人公と戦わせようとしたんですけど五条の性格的に何かなーってなっちゃって。
次からオリジナルバンバン出ます!
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