全てを無くした少女に呪いを授ける   作:レガシィ

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二十話記念でなんかしようと思ったけどなんも思いつかなかった、、、
前回で色がつきました!高評価ありがとうございます!


第二十話 こういう場所

 ──

 

 京都から東京へと向かい、授業が終わり、放課後になる頃に刹那は高専へ到着した。

 

「…着いた…!」

 

 高専に到着し、同級生がいるであろう教室へと走り出しドアを力強く開ける。

 

「恵君! 野薔薇ちゃ…ん…」

 

 しかし、ドアを開けると鬼の形相をした釘崎と顔にこそ出さないが明らかに怒っている伏黒が刹那を待ち構えていた。

 

「「おかえり、なにか言うことは?」」

 

「…連絡サボってすみませんでした」

 

 連絡を五条にしたきり二人には一切していなかった刹那は大人しくその場で謝り正座する。

 

「アンタねぇ! どんだけ心配したと思ってんの!? 伏黒なんか昨日京都まで本気で行こうとしたのよ!?」

 

「お前も行こうとしただろうが」

 

「発案者はてめぇだろうが!」

 

「申し訳ございません野薔薇様」

 

 ギャンギャンと釘崎と伏黒が説教をかまし、落ち着いた頃合いで質問が始まる。

 

「全くもー、それで、挨拶はどうだったの?」

 

「加茂家の方とは上手く行きましたけど…禪院家の方はそのぉー」

 

 少し落ち込んで目を泳がせる刹那を見て、二人は刹那の心配事とは別に勘違いして再び怒りをあらわにする。

 

「やっぱ禪院家潰すか」

 

「私達だけじゃ無理よ、五条呼びましょ」

 

「ち、違いますよ! 言われただけでなにもされてませんから!」

 

「ふーん? なんて言われたの?」

 

 釘崎は圧をかけて嘘をつかせない雰囲気を漂わせる。

 

「…二人が、僕が特級になって離れてくれてせいせいしてるんじゃないかって…皆はそんな事思ってないって分かってるのに、言われたら不安になってっ」

 

 瞳に涙を浮かべながらグスグスと嗚咽混じりに言葉を紡ぐ。

 

「「はぁ?」」

 

 二人は疑問符をつけてため息混じりに刹那の頭をポンと叩く。

 

「そんなことあるわけないじゃないの! あんたは大事なクラスメイトよ」

 

「心外だな、俺はお前のことをそんな風に思ったこと一度もないぞ」

 

「ぅぅー」

 

 釘崎がしゃがんで刹那の背中をポンポンと叩くと後ろから二年生達が現れる。

 

「お、刹那帰ってきたのか、って泣くほどか?」

 

「人間ってすぐ泣くのな、刹那は特別泣き虫だけど」

 

「しゃけしゃけ」

 

「いや、刹那が禪院家のやつに色々言われて不安になったらしくて」

 

「"あ? 誰だそいつ、ぶっ飛ばしてやるよ」

 

 そう言う真希の肩をポンと叩き、後ろから五条が現れる。

 

「真希、その必要は無いみたいだよ」

 

「なんでだよ?」

 

「いやー、刹那に色々言ったのが禪院直哉ってやつなんだけどさ、刹那と手合わせして瞬殺されたらしいんだよね」

 

「まじか…あいつが?」

 

「マジよまじまじ、一撃で全治一ヶ月だってさ、お灸を吸えるために一週間は治すつもりないって」

 

 さらりと言い放つ五条だが、真希は信じられないという顔で唖然としている。

 

「誰だ? そのなおやって?」

 

「高菜?」

 

「…実家の一級術師だよ、ゴミでクズだけど実力は確かだ。私の記憶が正しければ次の当主だったはずだな」

 

 真希は直哉のことを話す。

 

「もしかして、さっき禪院家の挨拶のこと話すの渋った理由ってそれ?」

 

「…はい」

 

「そうか…クックッ、ハッハッハッハッ!!」

 

 真希が急に笑い出し、その場の全員が固まる。

 

「どうした真希??」

 

「いや、あの嫌な奴がボコられなんて聞いたら笑わずにはいられねぇよ!」

 

 釘崎の胸に顔を埋めながら頷いて答え、真希が愉快そうに爆笑すると、五条が手を鳴らす。

 

 パンパン! 

 

「よっし、こういう時はご飯が一番だよね〜、皆、食堂来てねー」

 

 ぞろぞろと食堂に向かうと、五条が買ってきたであろう食材が並べられている。

 

「いやー偶然今日は鍋の気分でさ、材料買ってきてたんだよね!」

 

「ちょっこれ、めっちゃ良い肉じゃないの!」

 

「しゃけしゃけ!」

 

「悟にしては気がきくじゃねぇか」

 

「でしょー? というわけで皆、頑張って作ってねー!」

 

「あんたも手伝ってくださいよ」

 

「やだなぁ恵、僕は材料調達と味見の係ダヨ」

 

「あいつの分だけタバスコ一本入れようぜ」

 

「おっ良いアイデアだな真希、ついでに酒ブチ込んで酔わせようぜ」

 

「君達、恩師を労おうって気はないの?」

 

「「「「ない」」」」

 

 全員で鍋を作り始めると、生徒達が入ってきたドアとは別のドアから夏油と硝子が現れる。

 

「随分と楽しそうじゃないか、悟」

 

「騒がしいな五条」

 

「お、傑と硝子じゃん、お疲れー、夜蛾学長は?」

 

「例の件で今から資料作りのようだよ、学長ともなると大変だね」

 

「ふーん、やっぱりそれってそのうち、可愛い生徒達にも話さなきゃだめだよなぁ」

 

「それが私達の仕事だろう、正確にはお前たちの仕事だが」

 

「確かにそうだけど…今くらいは忘れてもいいんじゃないか?」

 

 夏油はクスリと笑いながら生徒たちの方を見る。

 

「ちょっと伏黒! もっと綺麗に魚切りなさいよ! 仲間でしょ!?」

 

「俺はウニじゃねえ! おい包丁を持ち上げんな、危ねえ!」

 

「恵君それ自分で認めちゃってません?」

 

「棘、お前おにぎり入れるつもりか…?」

 

「しゃけ!」

 

「闇鍋だな、こりゃあ」

 

「あっ! 夏油先生と硝子さんも食べるなら手伝って下さーい!」

 

 五条はその光景をみて笑う。

 

「あはっ、そうだね、今は忘れようか」

 

「さて、私もご相反に預かりたいからね、手伝ってくるよ」

 

「おいおい、僕も混ぜろよ」

 

「やめろ五条、お前が料理するとろくなことがない」

 

 三人も学生時代を思い出し、鍋作りを手伝いに行った。十数分して鍋が出来上がると刹那は意を決して口を開く。

 

「あのっ!」

 

 全員が刹那の方を向く。

 

「…帰ってきたら野薔薇ちゃんにも全部話すって言ったんですけど、できれば先輩にも聞いてほしくて…」

 

 不安気な表情を見て察した真希と狗巻は

 

「無理して話す必要はねぇぞ?」

 

「しゃけ、すじこ」

 

「いえ、逃げてばかりだとずっとこのままな気がして、話すべき…いや、僕が話したいんです」

 

 刹那はちらりと五条の方を向く。

 

「良いよ、それが君の決断なら僕からは何も言わないさ、皆も聞いてあげてね」

 

 五条が優しくそう言うと、刹那は手袋と右眼の眼帯を取り、ゆっくりとその場の全員に見せる。

 

「えっと、これが秘密にしてたことです…」

 

 そこから刹那は全てを包み隠すことなく話した。

 

 両親が他界し、元呪詛師の叔父の家に引き取られDVを受けていたこと、手の甲の傷のこと、右眼のこと、そして阿頼耶識家の末裔であり当主であること

 

 刹那は話すたびに声が掠れていき、皆の顔を直視できずにいた。沈黙が流れる中、恐る恐る顔をあげると全員が刹那をいつもと同じように見ていた。

 

「なーんだそんなことだったの、アンタの綺麗な瞳が他人より一つ多いってだけじゃないの」

 

「なんで隠すんだよ勿体ねぇ、せめてあたしらの前でだけでも外しとけ」

 

 そういって真希は眼帯を刹那からむしり取る。

 

「…気持ち悪いと思わないんですか?」

 

「「いや別に」」

 

「パンダ先輩と棘先輩は?」

 

「俺の体見てそれ言う?」

 

「昆布、ツナマヨ」

 

「夏油先生…」

 

「私なんて倒した呪霊を食べるんだよ? 今さら見た目がどうので人を判別しないさ。それに、刹那は立派な女性だと思うけどね」

 

「家入せんせーい、アラサーがJKを口説くのは性犯罪に入りますかー?」

 

「あぁ、重罪だな、あとでその口を縫い合わせてやろう」

 

「冗談はよしてくれ硝子…冗談だよな?」

 

「さて、これで分かったかい? 刹那」

 

 五条がアイマスクを外して口を開けて笑いながら刹那に話す。

 

「こういう場所なんだよ、高専(ここ)は!」

 

 伏黒が刹那の頭をポンと叩く

 

「良かったな」

 

「ーーー!!!」

 

「お、今回は泣かなかった、やったね、記念日だ」

 

「つーか、なんで目隠し外してんのよ」

 

「淫行教師はてめぇだろ」

 

「そんな怒らなーいの、ほら刹那ちゃん泣かなかった記念日に写真取るよ!」

 

 そういって五条はどこからかカメラを取り出して立ち上がり刹那の近くにいく。

 

 それに続いて全員立ち上がり写真を撮る姿勢に入る。

 

「悟はデカいんだから後ろだろ」

 

「しゃけ!」

 

「玉犬」

 

「まじか恵、術式使うとかガチじゃんw」

 

「うっさいですよ」

 

 玉犬にカメラを持たせて全員で写真を撮る。

 

「ほら皆笑って! GLGの笑顔だよー! 、はい、チーズ!」

 

 その写真は、五条と夏油が肩を組む間に硝子がはいり、パンダと真希と狗巻は両脇で苦笑し、目を少し腫らして笑う刹那の両隣には伏黒と釘崎がいた。

 

(悠仁君のことを公にできたら、また撮りたいな…)

 

「おっ、鍋煮えてんぞ」

 

 生徒達は鍋をよそい、食べ始める。

 

「やれやれ、学生時代を思い出すね」

 

「ヤニと酒ばっかだろ」

 

「大体いつも五条がこういうことを言い出していただろ」

 

「あーやめやめ、僕も食べよっと」

 

「久し振りに私も飲むとするかな」

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