全てを無くした少女に呪いを授ける   作:レガシィ

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第二十一話  職員会議

 ──

 

 結局、最後は宴会状態になり、翌日男子陣は全員寝坊し、教師である五条と夏油は夜蛾学長に怒られる結果になった。女性陣は途中で退場したため、被害は無かった。

 

 朝早くから会議だというのに寝坊した夏油と五条に向けた夜蛾の説教が会議室で行われる。

 

「お前たちは高校の頃から問題児だったが、大人になっても変わらんのか?」

 

「誤解でーす、傑が酔っ払って生徒達にだる絡みしたせいでーす」

 

「聞き捨てならないな悟、元はと言えば君がー」

 

 ゴンッ、ゴンッ

 

「大人のくせに喧嘩をするな」

 

「「…はい」」

 

「全く、まぁいい、遅れたが会議を始めるとしよう」

 

 高専関係者全員を含めた会議が行われる。

 

「今日の議題は、最近急激な増加傾向にある、特級を含めた一級以上の呪霊についてだ。これについては悟から報告がある」

 

「はいはーい、んじゃまずこれ見て」

 

 そう言って五条は封印の札が幾重にも貼ってある小さな茶色い箱を教員机の引き出しからポンとだす。

 

「なんだそれ、呪力をまとってないが呪物か?」

 

 二年の教師であり一級術師の日下部が手にとって確かめる。

 

「いや、それ自体は呪具じゃないよ」

 

「開けてもいいのか?」

 

「害はないと思うけど、僕は開けてないから何出ても知らないよー」

 

「んじゃ開けないわ」

 

 箱をぽいっと五条に放る。

 

「で、これなんだけどさ皆、コトリバコって知ってる?」

 

「確か、水子の死体を箱に入れて相手に送りつけ、その相手を呪うものだろう?」

 

 五条の問に硝子が答える。

 

「そうそれ、簡単に言うとそれの真逆の箱」

 

「真逆? 詳しく説明しろ悟」

 

「そんな慌てないでよ学長、三日前に呪霊が結構湧いてる場所にちょろっと出かけてきてさ、それを見つけたんだ。で、問題はそれの効果だけど、簡単に言えば餌かな」

 

「餌?」

 

「そう、それっぽい札を貼ったただの開かない箱。それを色んな所で非術師が見つけてネットかなんかで拡散してその"箱そのものに"恐怖や負の感情を集める、それに感化された呪霊がその箱に群がってくる」

 

「ちょっと待て悟、そのいいぶり、もしかしてそれ一つだけじゃないのか?」

 

「フッフッフ」

 

 ガラッ

 

 夏油が五条に身を乗り出して問うと、五条が笑いながら五条の机の一番下の引き出しから大量の箱を見せる。

 

「こーんなにいっぱい拾っちゃった♡」

 

「ん? するってぇーとこの箱の中には何も入ってないのか?」

 

「なんも入ってないっしょ、多分カラクリで開かないだけだよ、もし入れてるとしたら水子なんていまどき手に入んないし、動物の死体の一部でも入ってんじゃない?」

 

「うぇ、気色悪っ」

 

「で、続きだけど、こんな箱に集まる呪霊なんてたかが知れてるでしょ? でももし呪詛師に呪霊を利用する呪術を持つものがいたら?」

 

 五条がそこまで言い両手で夏油を指差し笑うと、その場の全員が一斉に夏油を見る。

 

「…悟、さっきの腹いせかい?」

 

「あっはは、ごめんごめん半分冗談だよ」

 

「半分?」

 

「そ、呪詛師が呪霊を増やす理由なんて星の数ほどあるさ、でも僕が行ったときね箱の数に比べて呪霊の数が極端に少なかったんだ」

 

「誰かが持って行ったということか? だが、それこそ呪霊操術の範疇だろう」

 

「そこなんだよね、もし傑と同じ術式を持ってるやつがいたら話は別だけど、ほぼほぼありえないね、さて、伊地知、君の報告ついでに今の話をまとめてみようか」

 

「は、はい、まず今回の呪霊大量発生についてですが、原因は恐らく二つだと思われます。一つはその箱、もう一つは何者かがネットの掲示板にとあるサイトを作ったことが原因とされます」

 

 そう言って伊地知はタブレットにそのサイトを映す。

 

「…なんでもぶちまけまShow?」

 

「言うだけならタダ! 誰も傷つかない、日頃の不安を書き込みまShow!…なにこれ?」

 

「このサイトに書き込む人は千差万別です、かなり腕の良いプログラマーが作ったのか、ある程度は外国の言葉も訳す機能があるため、国内外問わず多くの人がこのサイトを利用しています」

 

「サイトに悪口を書き込むなんて誰でもしてるんじゃないか?」

 

「待って傑、これ術式が使われてるね、必ず負の感情を捻出できるようになってる」

 

 五条がアイマスクを外して確認する。

 

「はい、まさに五条さんの言う通りです。何らかの術式によってこのサイトに呪力が集まっており、恐らくそれを何らかの形で使用しているのかと」

 

 伊地知がサイトを冷静に分析する。

 

「なるほど、この二つによって急激に呪霊が大量発生していたのか」

 

「この間の悟の報告にあった特級が関係しているのかもね」

 

「その特級呪霊共は知能が俺らと変わらねんだろ? 呪詛師と連携を取ってるとしたら厄介だな」

 

 全員が意見を出し頭を捻り悩ませていると夜蛾が口を開く。

 

「現状、判断材料が少なすぎる。今優先すべきは発生呪霊の排除と生徒達の強化だ、任務先で怪しい物を見つけたらすぐに報告、箱は絶対回収だ、なにか他に意見はあるか?」

 

 全員が頭を横に振り、会議は終わった。

 

 五条は教室へと向かい三人に向かって今朝の会議の話をする。

 

「とゆーわけで今後の任務は、箱は回収、怪しい物は即報告でよろしく〜」

 

「中々大変なことを軽く流された気がするんですけど」

 

「本当にそのへんテキトーよね、五条先生は」

 

「五条先生も疲れてるんですよ」

 

「そうそう、最近任務続きでね、今日も午後から任務だよ〜。あ、刹那は今日と明日休みもらえたんだっけ?」

 

「はい、伊地知さんが調整してくれました」

 

「あの野郎、僕には任務ボンボン投げるくせに」

 

「アンタが最強だからでしょ(棒)」

 

「心込めて言ってくれたらお土産にケーキ買ってきちゃう」

 

「イケメン目隠し! かっこいい!」

 

「流石、現代最強〜!」

 

 ガラッ! 

 

「悟、早く授業を始めろ」

 

「ちぇー分かったよー」

 

 廊下から任務出発前の夏油が口出しして五条はしぶしぶチョークを握り授業を始めた。




山場に向けて動き出します。
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