全てを無くした少女に呪いを授ける   作:レガシィ

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最初は十人くらいいたらいいなぁと思っていたのに人間やっぱり欲が出るものですね、あまり見てもらえなくなってきて少し寂しさを覚え始める今日このごろの私です。


第三十ニ話 踏ん張りどころ

 ー大江山チームー

 

 大江山サイドでは呪霊の掃討、呪物の回収を始めて約一時間が経過しようとしていた。

 

「七海さん、一旦下に戻りません?」

 

「ここまで呪霊を祓い、呪物を回収しながら半周しましたが、、、やはり多いですね、呪物の回収に支障をきたす前に戻りましょうか」

 

「了解ッス」

 

 ──

 

「恵達は山頂までまだかかるのか?」

 

「連絡に鵺が俺らのところに来るらしいがまだだな」

 

「"う"め」

 

「棘、まだやれるか?」

 

 狗巻は喉薬をグビグビ飲みながらピースして見せる。

 

「あいつらの足でこんな時間がかかるわけねぇ、呪霊の妨害だろうな。っと、噂をすれば来たぜ、恵の鵺だ」

 

 伏黒の式神である鵺がパンダを見つけ肩に乗る。

 

「うっし、山登るか」

 

「しゃけ」

 

「ん、いや待て真希、棘」

 

「んだよ、どうしたパンダ」

 

「来客だ、こいつ倒してから行こう」

 

 パンダが鼻を上に向けて二人を止めると、真希達の前に一級以上特級未満、例えるなら準特級といった強さの全身が骨で構成されたトカゲを思わせる呪霊が現れる。

 

「骨がありそうなやつじゃねーか」 

 

「つーか骨だけだな」

 

「つ ぶ れ ろ!」

 

 狗巻が先制的に呪言を放ち呪霊体を潰すが、バラバラになった骨は即座に元の形に戻ろうと再生する。

 

「一本一本しっかり呪いこもってんな、こりゃあ棘と相性悪いわ」

 

「おかか」

 

「おーけー、任せろ」

 

 呪霊は体の一部の骨を真希達に向かって飛ばす。

 

 真希達はそれを回避し、木や地面に突き刺さる、骨が刺さった場所からは発火や凍結といった非科学的物理現象が発生する。

 

「これか、最近見る複数の術式持ちの呪霊ってのは」

 

「呪霊合術とやらのせいだろ、多分骨全部壊せば再生はない、長期戦だな」

 

「よっしゃ、やってやんよ」

 

「しゃけ、昆布!」

 

 ──

 

「山頂についたけど、、、ぶっちゃけ何もねぇな」

 

 見渡す限り、山の上という感想しかでないような殺風景に虎杖は呟く。

 

「呪霊どころか呪物もないわね、やっぱり神社が正解かしら?」

 

「でも、山頂についた直後のラッパの音、あれ交流会の時の音ですよね」

 

「呪霊の躾にでも使ったのかしら、山の上だと反響が酷くて場所絞れないわ」

 

 相談しているうちに伏黒が二年生への報告を終えて三人の元へ戻る。

 

「先輩達は今交戦中だな、暫く時間かかる、今何時だ?」

 

「今は、、、二時半ですね、思いの外あの呪霊の妨害が効きました」

 

「途中まで全く気づかなかったものね」

 

「仕方ねぇ、取り敢えずここは何も無いし八合目まで戻って神社見てみるか、何か呪物がある可能性が高ぇし」

 

 伏黒が頭を掻きながら次の目標を考えると再びラッパの音が鳴り響く。

 

 プァプァープァー!!! 

 

「パーパー、うるっさいわねー、誰よ全く」

 

「、、、、、、」

 

「どうした虎杖?」

 

「今の音めっちゃ近い、多分五十メートル以内にいる」

 

「マジか、呪詛師かもしれねぇ、探すぞ」

 

「、、、そういうわけにはいかなさそうね」

 

 釘崎が見つめる方向からはおびただしい数の同じ見た目をした鳥型の呪霊が向かってきていた。

 

 玉犬が伏黒に一回吠える。

 

「あれ全部下僕みたいなもんだな、本体は山の中だ」

 

「仕方ねぇ、あれ全部潰して本体も潰すか」

 

「もー、今回そんなんばっか!」

 

「、、、反対側にもいますね」

 

 三人が向いている方向とは反対の方向からは金棒を持った日本人なら誰もが知る姿をした呪霊、鬼の姿があった。

 

「流石は大江山、鬼も当然出るか、、、!」

 

「伏黒、こっちは俺と釘崎に任せろ、そっちは二人に任せたぞ」

 

「見たとこどっちも特級、死ぬんじゃないわよ」

 

「お前らこそ死んだら殺すぞ、特に虎杖」

 

「死ぬ前に退避してくださいよ、、、」 

 

 四人は二手に分かれそれぞれ反対の方向へと目標の呪霊を誘導する。

 

 虎杖&釘崎

 

 ダダダダ! 

 

「五、、、九、、、十二、十二体だ釘崎! 半分ずつ行けるか!?」

 

「半分どころか全部行けるっつーの!」

 

「おっけい! フッ!」

 

 虎杖は走りながら上にある枝を掴んで高速で回転し、その勢いで呪霊をニ体蹴落とす。

 

 釘崎は振り向き様に釘を三本飛ばし、二体の呪霊に突き刺す。

 

「簪ぃ!」

 

 ドスドドドス! 

 

 固まって動いていた呪霊は連鎖的に六体一気に祓われる。

 

「はっは! 流石!」

 

 ゴシャ! メゴォ! ベキ! 

 

 虎杖は着地した時に呪霊を掴み地面に叩きつけ、次々と格闘で殴り落としていく。

 

「よっし、追ってきてる分は全部だな」

 

「、、、てか本体どうやって探すの?」

 

「あっ、、、これ伏黒が適任だったなぁ」

 

「小僧、貴様は馬鹿なのか? 馬鹿だったな」

 

 宿儺が虎杖の頬に出現し罵ってくる。

 

「何故よりにもよってこの釘の女を相方に選ぶ? 状況の判断すらできん阿呆が」

 

「やっべぇ、この状況俺何も言えねぇ」

 

「つかアンタは分かんの? さっきの奴の本体」

 

「何故教える必要がある? 貴様らが死のうと心底どうでもいい」

 

 目を薄めて面倒そうにあくびをする宿儺に釘崎は言う。

 

「刹那と伏黒と早く合流したいんだからはよ言え」

 

「、、、、、、チッ、あの呪霊共はそこらの鳥に呪力を無理矢理込めて作られたものだ、呪霊にしては薄い気配、恐らくは八咫烏だろうな」

 

「最初から素直に言えばいいのよ。さて、八咫烏っていったらアレよね、あれよあれ、、、」

 

「俺知ってる、アレだろ? 足三本のカラス!」

 

「、、、無知にも程があるだろう貴様ら、本当に呪術師か疑いたくなる」

 

「はいはいお爺ちゃんは物知りねぇ」

 

「ブフッ、お爺ちゃんw」

 

「折角教えたのにその態度か、殺すぞクソ餓鬼共が」

 

「「すんません」」

 

「フンッ! まぁ良い、そんなことより早く祓って伏黒恵と刹那に合流しろ、左に直進すればいるぞ」

 

(なんだかんだコイツめっちゃ教えてくれるな、、、)

 

 虎杖はその言葉を胸のうちにしまい宿儺の言う通りの方向に駆け出す。

 

 ──

 

「ここでいいだろ」

 

 山頂をそのまま走り、呪霊を広場へと誘導し状況を整える。

 

「手早く済ませましょう」

 

 二人は得物を構えると、背後からラッパの音が聞こえ、振り向くとそこには腰の曲がったローブを着た老人が立っている。

 

「呪術師諸君、始めましてだね」

 

 呪霊は二人の目の前で立ち止まり、命令を待つ犬のように大人しくしている。

 

「お前ビデオの奴じゃないな、仲間か?」 

 

「あの男とは、仲間というより、利害の一致による一時的な共闘という言い方の方がしっくりくるかな」

 

「なんで急に僕達の目の前に現れたんです?」

 

「質問ばかりだね、少しは老人の話に付き合いたまえよ」

 

「断る、お前の術式がわからない以上そういう提案は乗らねぇ、質問に答える気がないならお前を無力化するまでだ」

 

「全く、話を聞かないから、、、」

 

 ピューイ

 

 ドドドドド、ボゴォ!! 

 

 老人はそういって口笛を鳴らすと、伏黒の足元から巨大なモグラに似た呪霊が現れる伏黒を吹き飛ばす。

 

「っ! ぐあっ!」

 

「恵君!!」

 

「君の相手はこっちだよ」

 

 パンパン! 

 

 呪詛師が手を二回叩くと鬼型の呪霊は刹那を襲い始める。

 

「邪魔!」

 

 キィン! 

 

 抜刀して呪霊を斬るが、たちどころにダメージは回復していく。

 

「そいつは三十年かけて育て躾けた呪霊、ワシの子供たちのなかでも最硬の呪霊だ、あの五条悟だろうと幾分か時間は稼げよう」

 

 ギン! ガンガンガン! 

 

「もうっ! 早く探しに行きたいのに!」

 

 ──ー

 

「くっそ、鵺!」

 

 ブワァッ、バサッ

 

 吹き飛ばされた伏黒は空中で鵺を呼び出し滞空する。

 

「相手は潜行するモグラみたいな奴、、、となれば獲物を見失えば当然、、、」

 

 伏黒が注意深く自分が落ちていく筈だった場所を見ていると先程の呪霊が地面から姿を現す。

 

「来た、鵺!」

 

 ビュォォォ!! 

 

 鵺が猛スピードで呪霊に向かって伏黒を投げ、伏黒は手に持った西洋刀を呪霊の脳天に突き刺す。

 

 ザグッ! 

 

 ヴごぉぉばぁぁぁ!! 

 

 呪霊が暴れる中刺した刀に捕まりながら、姿勢を戻す伏黒。

 

「チッ! 大人しくしろよっ」

 

 グリグリグリグヂュ

 

 刺した刀を回してさらに深くまで刺しこむ。

 

 その瞬間、呪霊は高く跳ね上がり背中から地面に落ちる。

 

「っ! 万象っ!」

 

 ドゴォォォ──ンンンン

 

 ボダボダッ

 

 咄嗟に象型の式神、万象を呼び出し呪霊との間に挟めることによってダメージを軽減したが、抑えきれずに頭から血を流して数秒の間気を失う。

 

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、痛ぇ、、、」

 

 小さくポツリと力なく呟く、呪霊は傷は全快させ、脳天に刺さった刀をそのままに、今まさに伏黒に止めを刺すため、伏黒に向かって歩を進めだす。

 

「、、、これまでか」

 

 伏黒は両手を前に出し、超濃密度の呪力を練りだすが伏黒の脳裏によぎった仲間達と恩師の言葉により思いとどまり呪霊に向かって両手をあげる。

 

「止めだ」

 

 不敵に嗤って見せる伏黒に動揺を隠せない呪霊はその場から動かずに静観する。

 

「やってやるよ、、、!」

 

 今度は両手の指を一本一本交差するようにして印を象る。

 

(影の奥行きを全て吐き出す、具体的なアウトラインは後回し、呪力を練ったそばから押し出していけ、、、)

 

 確かな土壌、一握りのセンス、あとは些細なキッカケで人は変わる。

 

「領域展開、嵌合暗翳庭、、、!」

 

 ザブンーザザァ

 

 伏黒の領域展開によりその場に真っ黒の影による海が作り出され、その場を支配していく。

 

「ハハッ! 不完全、不細工も良いとこだ!」

 

(だが今は、、、これで良いっ)

 

 ダッ、ビンッ! ビンッ! 

 

 影による海から式神、蝦蟇を複数召喚して呪霊の手足を縛り、次ぐ二体の鵺の帯電する翼によってダメージを与えていく。

 

 コォォォッ、バヂィ! バヂィバヂィバヂィ! 

 

 "ぉ"お"お"ぉ! 

 

 伏黒はその間にも体術によって目、関節、首を正確に突き、蹴りを繰り返す。

 

 ビュッ! ドスッ、ゴキ

 

 ブワッ──ドゴシャァ

 

 呪霊は大きく飛び上がり呪力を込めた体落としで伏黒を領域ごと押し潰す。

 

 領域は姿を無くし、元の空間へと戻りそこに伏黒の姿はない。体の半分以上の呪力を失った呪霊は咆哮をあげ、体を引きずりながら別の場所に移動しようとする。

 

「やれ、鵺」

 

 近くの木の影に術式で潜んでいた伏黒は鵺を呼び出して空高くから脳天に刺さった刀に向かって急降下するように指示する。

 

 ゴォォォッッッ、ドズッ

 

 ブシュゥゥゥ! 

 

 刀は脳天から呪霊の体を貫通し、呪霊の体から呪力が溢れ出して霧散する。

 

 祓い終えたのを見て伏黒は溜め息をつき、肩で息をしながら木に体を預けて力なく座り込む。

 

「体動かねぇ、、、あいつら無事だといいが、、、」

 

 独り言を呟くと、伏黒は急激に襲いかかる睡魔に抗いきれずに目を閉じる。

 

「zzz」

 

「ーーの辺だよな?」

 

「お、真希! 見つけたぞ、恵だ」

 

「じゃげ」

 

「おー派手にやったなぁ、恵がなんでここにいるかは知らんが取り敢えず下山させるか」

 

「硝子はいないからなぁ、恵は今日は離脱か、棘もそろそろ限界だろうし丁度いいな」

 

「んじゃ下山するか」

 

 ──

 

「いた釘崎、アイツだろ八咫烏って!」

 

 虎杖が木に登り釘崎に呪霊の場所を知らせる。呪霊は二本の足と、歪な場所から生える三本目の足、大きな翼で人と鳥の中間のような容姿をしたカラスが空を飛んでいる。

 

「三本足のカラス、ビンゴね、空飛んでるけどアンタ撃ち落とせる?」

 

「なんでそれ俺に言うんだよ、どっちかっつったら釘崎じゃね?」

 

「伏黒の影から引っ張り出した釘の数がもう残り少ないのよ、やたらめったらに打てないわ」

 

「あと何本?」

 

「十五本」

 

「なら仕方ねぇ、どうにかして地上戦に持ち込まねぇとな」

 

「っていってもむざむざ自分の有利を捨てるわけなくない?」

 

「おい宿儺もなんか考えろよ」

 

「、、、、、、」

 

「だんまりかよ、電池切れか?」

 

 釘崎と虎杖が宿儺が普段出てくる頬をペチペチ叩くと虎杖の手の甲から姿を現す。

 

「喧しいぞ小僧、女」

 

「お、反応した」

 

 不快そうな顔をしながら宿儺は現れる。

 

「小僧、死にたくなければ尻尾を巻いて逃げろ」

 

「あ? お前が俺の心配とか気持ちわりー、なんでだよ」

 

「なんでも何もあるものか、アレが貴様を殺すことになれば俺も死ぬ、それは困るというだけだ」

 

「遠巻きに絶対勝てねぇって言いやがって、、、仕方ない、山頂に戻るわよ虎杖、あの呪霊は夏油先生に任せましょう」

 

「くっそー、納得いかねぇー」 

 

 二人は踵を返して山頂に再び向かおうとするが、二人が振り向いた時、頭上から音もなく先程の呪霊が目の前に降りてくる。虎杖と釘崎の目にはその呪霊が神々しくも吐き気をもよおすような呪力にまみれているように映った。

 

「、、、君達が両面宿儺の器とその一行と見えるが合っているかな?」

 

「っ、呪霊の癖して一丁前に普通に話すじゃないの」

 

 額に冷や汗をかきながら釘崎は強気に答えると呪霊は

 

「いやはや、気の強いお嬢さんだなぁ」

 

「釘崎、こいつはヤバい、絶対勝てねぇ」

 

「分かってるわよっそんなこと、、、」

 

「勘違いしないでほしいんだけどぉ、私は別に君達を殺そうとは考えていないよぉ?」

 

「そこまでの知能、、、アンタ、もしかして五条を襲ったっていう特級の集団の仲間か?」

 

「漏瑚や花御のことかな? だとしたらそうですねぇ」

 

(何が目的だコイツ、、、)

 

「なんか、、、呪霊らしくねぇなお前」

 

「私は人々が空を恐れ、宙に憧れたことから生まれた呪霊。漏瑚達と違って現状に満足していますし、正直言うと戦争もどうでもいいのでねぇ。人間の感覚で言えば友達の手伝いをしてるようなものなのですしぃ」

 

 呪霊がそこまで答えると宿儺が虎杖の頬に現れる。

 

「呪霊の癖に神聖な者の気配に近い理由はそれか」

 

「くっそ、調子狂うなお前」

 

「そうかい、じゃあ一つだけ質問しましょう、なんだったかなぁ?」

 

 呪霊は少し考えるポーズを取った後、二人に問いかける。

 

「、、、あぁ、思いだした、詳しい理由は話せませんがお二人は私達側につくつもりはないかなぁ?もし私達側につくのなら、お友達の安全は保証しますよぉ?」

 

「嫌よ」

 

「できねぇ」

 

「まぁそうですよね、別にそれでも構わないらしいしねぇ、じゃあ十月三十一日にまた会いましょうかぁ」

 

 フワッ

 

 呪霊はそう言い残して翼を広げると、瞬きをする間に二人の目の前からいなくなる。

 

「、、、なんだったんだ、あいつ」

 

「考えても分かんないし後で報告しましょ、伏黒達と合流しなきゃ」

 

 二人は山頂の場所に向かって走り出した。

 

 ──

 

「もうっ!邪魔ですって!」

 

 伏黒と離された刹那は鬼の姿をした呪霊と戦闘していた。

 

 ズドンッ、ドゴォッ

 

 呪霊は金棒を刹那目掛けて何度も振り下ろすがことごとくを回避していく。

 

 ズパッ、ゴトッ

 

 呪霊の腕が振り下ろされた瞬間に腕を切り落とし呪霊の腕がボトリと落ちるが即座に腕は再生し再び金棒を拾い、戦い始める。

 

「出し惜しみしてたら長引きますね、、、少し無理矢理倒しますか」

 

 呪霊が金棒を振り下ろすが刹那は悠長に眼帯を外して刀を二本抜く。

 

 シュラァァ

 

 ギィィィンッドゴォン!! 

 

 振り下ろされた金棒を受け流し、金棒は地面に轟音と共に叩きつけられる。刹那は金棒に乗り、呪霊に向かって歩く。

 

「僕の持つ二振りの刀、血吸と童子切は斬るほどに切れ味や硬度を任意のタイミングで上げられるようになるんです。理由は単純、、、」

 

 ドズゥッ

 

 お"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"

 

 そこまで言うと刹那は踏み込んで前に飛び出し二本の刀を呪霊の目に突き刺し、一息ついて話す。

 

「相手の呪力を吸うからです」

 

 ギュルッ、ザグザグザグザグザグザグザグザグザグッ

 

 刹那はその場で回転して顔面を二つに斬り、二振りの刀によって呪霊を滅多切りにする。

 

 ぐ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉぁぁぁ、、、、、、

 

 約二十秒の間、呪霊に容赦なく剣撃を浴びせる。呪力の喪失によって呪霊は形を保てなくなり霧散していく。

 

 ビュッ! ビタタッ

 

 刹那は刀を振りきり呪霊からでた液体を払う。

 

「、、、逃げないんですね、おじいさん」

 

「逃げたとてお主が見逃すとは思わんよ。全く、五分は稼げると思ったが、昔から賭け事は弱くて困る」

 

 やれやれといったように首をふる呪詛師に刹那は刀を、突きつける。

 

「僕には呪術規定に則ってあなたを始末する義務があります。ですが、こちらにとって有益なことを洗いざらい話すのであれば、収監という形にはなりますが、短い余生を全うする権利くらいは差し上げます」

 

「そんな縛りをせずとも、負ければ全て話す。あの男とそういう縛りを結んだ元でわしらはこの計画を任されたのだよ。立ち話は老体に応える、座らせてもらうよ」

 

 呪詛師はそこまでいうと座り、刹那も刀をしまいその場に座る

 

「不審な動きをすれば斬りますからね」

 

「分かっておるよ、さて、どこから話したものか」

 

「まずはあなた達の目的、それから仲間やあなたの術式、呪物の数、全て答えてください」

 

「簡単なものから話させてもらうよ。まず呪物だがこの山に残ってるのは残り二つだけ、回収も時間の問題だろうよ。次に術式、わしの術式は負の感情を効率よく回収できるように呪いを込めるだけ。呪霊は手懐けただけだからわしの術式とは無関係、比叡山の奴は今頃死んどるよ、それ以外のは知らん」

 

「、、、目的は?」

 

「あの男の最終的な目的は知らんが、わしらの目的は一つ。呪術協会の崩壊、わしはその為だけに今年齢百になるうちの八十年を捧げてきた、、、呪霊を手懐け、呪いを込めて、そして奴らに出会った、、、!」

 

「ストップ、待ってくださいっ」

 

「来たる十月三十一日! その時に世界は一変し、長年の夢が! 生きる意味が、努力が!! 全て実を結ぶのだ!!!」

 

 呪詛師は興奮して立ち上がり大きく息を吸ってラッパを鳴らそうとするが刹那は足を斬り、呪詛師はその場で転び足から血を流す。

 

 ザシュッ! 

 

「勝手な行動は厳禁です、次は確実に首を狙いますよ」

 

「ふ、ふふ、フフフフ、、、今のお主の選択は、、災厄を招くぞ」

 

「?一体どういう、、、」

 

 ゴゴゴゴゴゴ

 

 突然山すべてが揺れるような轟音と振動に包まれる。

 

「!?」

 

「あの男の呪霊合術、致命的な欠点があっての。躾けた呪霊であろうと合成させたあとに一度暴れ出せば、止まらない」

 

 バグァァ! 

 

 呪詛師の背後の地面が割れ、一つの胴体に八つの頭、八つの尾、目はホオズキのように真っ赤であり血のような物が爛れて滴り落ちている呪霊が姿を現し呪詛師を食らう。

 

 刹那は戦闘態勢に入ろうとするが、頭上から虎杖が逆さまになって刹那に手を伸ばす。

 

「刹那!掴まれ!」

 

 バッ、バシッ

 

 刹那は飛び上がり虎杖の腕を掴む。

 

「少し高度を上げるよ」

 

 ブワッ

 

 ガチン! ガチン! ガチン! 

 

 高度を上げるとともに背後から噛みつく音が三回聞こえる。

 

「何なのよ!あいつ!」

 

「釘崎! 引っ張り上げろって!」

 

 釘崎と夏油が虎杖達を引っ張り上げる。

 

「先に言っておくけど、伏黒君は先に美々子と菜々子の治療を受けているよ。他の皆も離脱は完了しているから心配しなくていい」

 

「、、、すいません、今回のこれは僕のミスです。真っ先にあの呪詛師を殺るべきでした」

 

「そう気に負うことはない、どの道あの呪霊は出現していただろしね」

 

「夏油先生、上から見てるけど出てきたのは山頂の蛇と盃を持っている鬼の二体、どっちも山から出ようとして直進してる。二体とも多分特級だけど、どうする?」

 

「今は、、、四時か、、、現状、特級二体が山を下りようとしている、私の判断では君達に安全性が確立できない任務は本来与えたくない、しかし──」

 

「面倒臭い御託並べてないでハッキリ言いなさいよ」

 

「先生、俺バカだからさ、簡潔に言ってくんねぇ?」

 

「、、、本来、教師としてはあるまじき行為だな、、、三人共、目標は二体の特級呪霊、蛇の方は足が遅いから山の麓にいる呪術師の総力をあげて仕留める、鬼の方は恐らく市街地にいって非術師を探すために避難区域外へと行くだろう、街中で戦うのは必至、刹那、君の最も得意なシチュエーションだ。教師として情けない話だがすまない、一人にしてしまうが任せたよ」

 

「「「了解」」」

 

 夏油が作戦を話すと山の門まで一気に下りて門を開けに行った。




もしかしたら1から4話辺りまでを書き直すかもしれないです。
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