原作とそんなに変わらない場面が多いなぁ、、、
ついにお気に入り五百人超え!ありがとうございます!!
一瞬、しかし永遠にも感じる走馬灯が脳内をよぎる。気づけば釘崎は虎杖に一言、言葉を発していた。
「虎杖、皆に伝えて…悪くなかった! …ガボッ」
ベチャッ
釘崎は目や口から出血し、そのままその場に倒れる。
「あぁ…駄目だ、だめだよくぎさき…」
脹相戦の敗北、七海の死、宿儺の渋谷半壊、虎杖悠仁の心は、もう限界だった。
(自分の才能にゾクゾクする! あぁ、俺って! 俺こそが! 『呪い』だ!!)
【黒閃】
バキィ!!
真人は拳を握りしめて虎杖の頬を殴り飛ばす。その瞬間に飛び散る黒い火花、それは咲く場所、相手を選ばない。
「どーせお前は!!」
バギャッッ!
「害虫駆除とか!! 昔話の妖怪退治とか!!」
ドゴッ!
「その程度の認識で
ドガッ! バキッ
「これは戦争なんだよ! 間違いを正す戦いじゃねえ! 正しさの押しつけ合いさ!! ペラッペラの正義のな!!!」
ゴドッ
「オマエは俺だ! 虎杖悠仁!! 俺が何も考えずに人を殺すように、オマエも何も考えずに人を助ける!! 呪いの本能と! 人間の理性が獲得した尊厳! 百年後に残るのはどっちかっつー、そういう戦いだ!!」
ドサッ
心の折れた虎杖に真人の黒閃に加えてゾーンに入った連撃。もはや戦う気力の無くなった虎杖は、為す術なく、為そうともせずにその場に倒れる。
「…そんなことにすら気付けない奴が、どうして俺に勝てるよ。なぁ虎杖悠仁、殺した呪いの数を数えたことはあるかい? ないよな、俺も俺も♡殺した人間の数とかマジでどーでもいいもん」
グググ
真人は倒れた虎杖に質問した後に手の形を鋭利な刃物に変える。
「オマエのこともそのうち忘れるさ」
ブォッ、パァン
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす、ただし!!…俺達を除いてな」
東堂は術式を使って虎杖を助け、そこに京都校一年の新田新と地面の陥没で時間を取られた直哉が釘崎を追いかけて合流する。
「宿儺の器と…本体か!!」
「東堂さん、あっちの子の処置終わりました。凄い幸運ですねあの子、激しいダメージで危険な状態ですが死んではいませんよ」
釘崎はつい先程の黒閃で呪力の核心に触れており、魂を無意識に呪力で守っていた。しかし、即死をしない代わりに全身にダメージが一気に回り昏睡状態となった。
「
「東…堂……俺はもう、戦えない…! 俺はコイツを食った、いつか人殺しになる…!俺が信念だと思ってたのは自分の為の言い訳だったんだ…!!手遅れになる前に、俺は死ななきゃいけない…!」
虎杖はその場にうずくまり絶望に打ちひしがれる。
「縁起悪いこと言うなやちょんまげ」
「Mr.直哉、言葉が少なくてすまないが、虎杖は今この場で奴にダメージを与えることのできる唯一の術師だ、回復まで共に戦ってくれ」
真人を挟んで東堂は直哉に協力を乞う。
「キショいこと言うなや、誰が己と共闘せぇっちゅーねん」
直哉は舌を出し、不快感を顕にして呪力を練りだす。
「己が俺に合わせんかい」
ガリィーーッ!
真人は両腕を棘がついた鞭のようにして東堂と直哉に攻撃する。
パシッ、ヴンッ、バリンッ!!
二人は屈んで姿勢を低くし、直哉は真人の腕に触れて動きを停止させる。その隙に東堂は真人に横蹴りを繰り出す。
パァンッ
直哉の方に飛んでいく真人と直哉を入れ換える。そして直哉は術式を発動させ、吹き飛んでいる最中の真人に触れてさらに動きを止めて追撃する。
パァンッヴンッドゴッバキィダンッヴェンッ
(位置換えと停止! まずいっ、これは…動けない…!)
一級術師の二人、数回程度の面識といえど場数が違う。お互いの術式と、類稀なるセンス。さらに片方は黒閃を数刻前に放ったばかり。死なないといえども真人は圧倒され、壁へと叩きつけられる。
「
ビッビッパシンッ
「虎杖君、今君に俺の術式を施しました、君が今まで受けた傷はこれ以上悪化しないし多少痛みも和らぐでしょう」
「!!」
「向こうの女の子にも同じ処置を施しました、あっちの子は昏睡状態で危険な状況です、でも死んではいない、まだ目覚める可能性はかなり高いでしょう」
「…ゔんっ!」
「可能性があるだけですからね! あんま期待せんといてくださいよ!」
虎杖は折れた心を繋ぎ止め、再び立ち上がる。
(停止は一秒程度、厄介なのは…位置換え!虎杖が戻る前にもう一度
ギュオッ
東堂を狙って足を鎌に変えて振り払う。
パァンッ
ヴンッ
(クソっまた停止ッ!)
パァンッ
東堂は直哉と位置を入れ換え、さらにもう一度手を叩き、拳を構える虎杖と位置を入れ換える。
「! いたどっ」
虎杖にもう、迷いはない。
【黒閃】
ドグォッ!! ガドッッガンッ
ビリビリッ
「おかえり」
「応ッ」
真人を吹き飛ばし、僅かな時間で東堂は頭を回す。
「Mr.直哉、刹那は今どんな状態だ?」
「宿儺と戦った時の傷を回復中や、多分そろそろ復活するで」
「それは僥倖、すまないがあの二人をMs.家入のところまで連れて刹那を呼んでくれ、渋谷に残っている呪霊がこいつ一体とは思えない、少しでも戦える人数は多い方がいい」
「なんや、またお預けかい。まあええわ、俺も宿儺の器なんちゅーバケモンと共闘なんて勘弁や」
直哉は悪態をついて二人の方へ歩いてくが一度止まって虎杖を睨みつける。
「宿儺の器、俺はアンタのこと認めたわけやあらへんからな。呪術師やったら…言葉なんて薄っぺらなもんやなく、結果と態度で示しぃや」
「うっす!」
ザッザッ
直哉はそう言い残して歩いていく。
(我ながら甘くなったもんや)
「来るぞ虎杖! 構えろ!!」
「応っ!!」
二人は真人の攻撃に備えて呪力を練る。
グォッドガンッッ! バキィッ
パァンッ パァンッ
真人の攻撃をいなし躱し隙をつくって攻撃をする。
三者一進一退の攻防を繰り広げる中に東堂は思う。
(強くなったな虎杖、聞けばこの呪霊も黒閃を決めていると言う、今この場で最も遅れているのは俺! それで良いのか東堂葵! また虎杖を独りにするつもりか!!)
【黒閃】
バゴォッ!
ビリビリビリッ
(どんなに強力な一撃、黒閃を決めても俺の魂には届かない!!)
だが、これにより三者それぞれが120%のポテンシャルを発揮するに至る!
「ぅぐオ"エ"ェ"ェ"ェ"ッ」
真人は口から改造人間を大量に吐き出して撥体を使い、地下から地上までを大きく壊してぶち抜く。
(入れ換え無視の無差別全範囲攻撃! こいつギアがッ!)
「アゲてけてよ虎杖!! 俺とお前! 最後の呪い合いだ!!!」
パァンッ
直後に東堂は手を叩いて位置を入れ換え、真人を掴んで投げ飛ばし虎杖と連携して攻撃するが、真人は頭を自ら切り離して回避する。
ズパンッ
(自切!!)
ギュルルルルッ
拒絶反応が微弱な者同士は魂が繋がり、体を成す。
無為転変 幾魂異性体
(二:八の分裂! 本体は頭のニの方! 改造人間の等級は三級から二級弱と聞く、手早く潰せ東堂葵!!)
ボゴンッッ!!
「なっ──!?」
東堂の予想は外れ、頭に強力な一撃を食らう。
「東堂!!」
「あーあ、舐めてっから」
バゴォッ
そのまま東堂は殴り飛ばされてビルを貫く。
「余所見すんなよ虎杖!妬けるだろうが!!」
「チッ」
ババッドゴッベギィドッゴォッ
虎杖はほんの少しの動揺を狙われ、改造人間の足場から叩き落される。受け身を取って再び臨戦態勢に入ると東堂が戻ってくる。
「どうやらとことん、俺を仲間外れにしたいらしいな」
(幾魂異性体二体じゃ仕留めきれなかったか。あのちょんまげゴリラの位置換えは厄介だ、かといって領域を展開すれば俺は宿儺の魂に触れて殺される。この状況を打開する方法、それを教えてくれたのはアンタだ!!)
「領域展開ーーー」
(馬鹿なっ、それは自殺行為だろう!?)
真人は五条の0.2秒の領域展開を、その身を持って体験している。
0.2秒の領域展開、同時に東堂は九十九由基直伝簡易領域を展開、虎杖はそれより早く真人を祓うために駆け出す、だが真人はさらに一歩先を行く。領域展開とほぼ同時の術式発動、本来二段階の工程を一段落にまとめ、東堂の左腕に無為転変が使用される。
「東堂!!」
ズバンッ!! ボンッ
東堂は自ら腕を切り落として被害を抑える。
「何だよ、せっかくオシャレにしてやったのに」
【黒閃】
バゴォンッ!!
(こいつ!! 勘で腹に全呪力を集中させてダメージを抑えやがった!! だが術式は戻った! 叩く手はもうない! 今度こそ無為転変で確実に──)
カシャンッパカッ
東堂のロケットペンダントが落ちて中からは高田ちゃんと虎杖の写真が顔を覗かせる。
真人はほんの一瞬、人間に最も近い呪霊故か、動揺して東堂から目を離す。
東堂はその一瞬の隙を逃すことなく残った右手で真人の掌を叩いて術式を発動させ、虎杖と位置を入れ換える。
パァンッ!!
「しまっ──」
【黒閃】!!!
バギィッッッ!
ビリビリビリッ
「フンッ」
(一瞬でも触れたんだ、この程度で済んだだけ奇跡だな)
東堂はその場で大の字に倒れ伏し右手を見つめる。
(あとは任せてくれ東堂!! ありがとう…東堂!!)
ドドドドドドッッッ!!
虎杖は休むことなく連撃を叩き込んでいく。
(クソっ、あのちょんまげゴリラ、最後まで…! でも今の黒閃でやっと理解できた、俺の魂の本質を…!)
「幾魂異性体ッ」
真人は再び足止めの為の改造人間を虎杖に向ける。
そしてその間に自らに術式を使い、先程までとは全く違う姿へと変貌を遂げる。
無為転変
真人は蛹から完全に羽化した。
「ハッピー・バースデイってやつさ、虎杖」
両者はそのまま戦いを再開する。
ゴチャッドゴッ
(硬いっ! さっきまでとは明らかに違う…! コイツはもう、呪霊とは別次元の存在になったんだ!)
ドゴゴッバゴッォン!
(コイツを倒すには今の俺の全呪力を乗せた黒閃を当てるしかない…!)
ガクガクガク
ブジュッ
お互いに身体が悲鳴を上げて限界を知らせる。
ガンッガンッガンッ
虎杖は自らの体を叩いてそれを否定し、再び走り出す。
「お互い、元気一杯だな」
ドッバキッメゴッッ
(俺の、勝ちだ!!)
バゴォッ
(! 時間差で二重の衝撃…!!)
二人はお互いのどちらかが欠けるまで戦い続ける。一瞬だけ、真人は虎杖の攻撃を過去の経験からミスリードを誘って上をいく。が、虎杖は先刻再発した逕庭拳をモノにしていた。さらに一歩先へ行った虎杖は渾身の力を込める。真人は切り換え、肘をナイフに変形させて反撃する。
「呪霊よ、知らんはずもあるまい。腕なんて飾りさ…拍手とは!魂の喝采!!!!」
ドヂュっ!!
ギャリッッ!
(入れ換わってな──)
「残念だったな…俺の術式はもう、死んでいる」
東堂は切り落とされた左手と右手で鈍い音を立てながら拍手してブラフをはり、真人はそれに騙されて真後ろへ攻撃し、虎杖にとっての最高のコンディションを作る。
【黒閃】
ドゴッバゴッガガガッッ!!
黒い火花は最高の輝きをもって、その力を真人に知らしめた。真人は陥没した場所から上に殴り飛ばされる。
「ハーッハーッッ、まだだっまだっオ"ェ"ッ」
ビチャビチャッ
(改造人間のストックも…)
ザッ
虎杖は真人を見下ろしながら話す。
「認めるよ真人、俺はオマエだ。俺はオマエを否定したかった、オマエの言ったことなんて知らねぇよって。今は違う、ただお前を殺す」
虎杖は冷たく、刺さるような視線で真人を見つめながら続ける。
「また新しい呪いとして生まれたらソイツも殺す、名前を変えても姿を変えても、何度でも殺す。もう、意味も理由もいらない」
祓うではなく、殺すという言葉を使う虎杖は真人を呪霊としての呪いではなく、一人の人としての呪いだと認識したのかもしれない。
「この行いに意味が生まれるのは俺が死んで何百年後も経った後なのかもしれない、きっと俺は…大きな歯車の一つに過ぎないんだと思う。錆びつくまで呪いを殺し続ける、それがこの戦いの俺の役割なんだ」
真人は四足で脱兎のごとく逃げ出す、計画も考えもなく、捕食者の目をした虎杖から被捕食者として、ただ逃げ出す。
真人が逃げ出した先にいたのは…阿弥部だった。
「助けてあげようか、真人」
「阿弥部!!」
(今阿弥部っていったか!?額に傷のある着物の男!)
「五条先生を返せっ!!」
バッ!
真人は阿弥部に駆け寄るが阿弥部はそれを躱して頭を掴む。
「…知ってたさ、だって俺は…お前らから生まれたんだから」
バキュッズルルル
阿弥部は頭を砕き、真人の身体を自身の体に取り込んでいく。
「さて、続けようか、これからの世界の話を」
虎杖は阿弥部に向かって駆け出す。
「この術式の強みはね、準一級以上を自分と合成したときの脳の術式への適応だよ」
ズンッッ ビキキッ
「!?」
(身体がっっ)
体重が急激に増えたかのように虎杖は地面沈み込み前進できなくなる。
「もちろん、術式がふえるだけでなく反転術式を利用すれば呪霊操術紛いのこともできる」
ボゴゴッッ
ォ"ッバヂュヂュッ
「自分で制御できないのが難点だがね」
ガガガンッ!
多数の呪霊に包まれた虎杖は根性で身体を動かし、それらを祓う。
「我ながらタフだね宿儺の器」
「五条先生を…返せ!!」
阿弥部は上を見上げると呟く。
「馬鹿だね、気付かないとでも思ったのかい?」
頭上には西宮が灯火を持って合図を出している。
バッッドドドッ!!
直後に加茂の弓矢が阿弥部に向かうが回避され地面を抉る。
ヂュィンッ
「狙撃銃か、良いね、私も術師相手であれば積極的に取り入れるべきだと思うよ」
「チッ!」
(木刀も竹刀も持ったことがないのに術師になることを選んだ)
大好きな人がいたんだ。
(ひたすら刀を振るった、死にたくないから)
三輪には幸せになってほしい。
(今までの全てと、これからの未来を乗せる!!もう二度と、刀を振れなくなってでも!!!)
先刻最期の別れを告げたメカ丸、与幸吉との会話が脳裏をよぎり、阿弥部に全身全霊で刀を振るう。
(シン・陰流、抜刀!)
パシッパキンッ…
しかしそれは酷くあっさりと掴み壊される。
京都校全員が到着し、連携して阿弥部に攻撃を加えたがダメージは全くない。
「極の番に使ってしまうとその呪霊の術式は使えなくなる、でも呪具と化して襲うこの術からすれば、大事なのは質ではなく数、等級は関係ない」
極の番 ジュカイ
いくつもの呪霊が形をなして三輪に襲いかかる。
チュドドドドドッッ!!!
「シン陰か。良かったよ、少しは蘊蓄があるやつが来てくれて」
「先生が来ちゃ意味ないでしょ!!」
「しょーがねーでしょ!!」
日下部が全ての呪霊をいなして三人を守る。さらにその直後に阿弥部の上から鉄骨が降ってくる。
ドゴォンッ!!
「…僕を忘れないでほしいですね」
「!阿頼耶識刹那!!」
至るところに包帯を巻いた刹那が鉄骨の上から阿弥部を見下し刀を構える。
「貴方が名前を呼ばないでください、呼ばれたい人は選びます」
ザンッブシュッ
刹那は術式を発動させて阿弥部の腕を斬り落とす。
ズンッ ビキキッ
刹那の身体が地面に沈み、その間に阿弥部は距離をとり反転術式で腕を再生する。
「おかしいな、妨害を送っていたのに」
「百体程度で僕が止まるとでも?」
虎杖にパンダと加茂が近づいていく。
「虎杖…でいいんだよな?」
「パンダ先輩!と、京都校の…」
「良かった、戻ったんだな」
「あの男が五条悟を…獄門疆を持っているのか」
「らしいぜ、あんな公害持ち歩いて何が楽しいんだか」
「何者だ?」
「側は去年のクリスマスの野郎、中身は知らねぇよ」
続々と術師達が集結する中に脹相も合流する。
ドクンッドクンッドクンッ
脹相の鼓動が大きくなっていく。
「やぁ、脹相」
「アイツは…!」
(俺には三人の親がいる、一人は俺を産んだ母、もう一人は母を孕ませた呪霊、もう一人は…母を弄んだ、憎むべき…)
その瞬間、脹相の記憶の男と阿弥部の姿が重なる。
「気付いたようだね」
「そういうことか…!
「「「加茂…憲倫!?」」」
「私!?」
「どういうこと!?」
「加茂家の汚点、史上最悪の術師! それが本当ならあれの中身は百五十を超えてるわよ!」
(馬鹿げた結界術、馬鹿げた術具の所持、身体を入れ換える術式を所持する黒幕の人選としては…)
「妥当っちゃ妥当だな」
その人物の名を聞き、その場の全員が一時的に動きを止める。
「加茂憲倫も数ある名の一つに過ぎない、好きに呼びなよ」
ザッザッザッザッ!
「よくも俺に!弟を!!虎杖を!!殺させようとしたな!!」
ザァッ!
「引っ込め三下、これ以上私を待たせるな」
裏梅が横から現れて立ち塞がる。
「どけ!俺はお兄ちゃんだぞ!!」
(俺は兄弟の死を感じ取ることができる、あの時虎杖の死を前にして強烈に虎杖の死を感じ取ってしまった。加茂憲倫が何年も身体を乗り換えて生きながらえてるのならありえない話じゃない、つまり虎杖悠仁も血の繋がった俺の弟!ならば!!)
「俺は全力で、お兄ちゃんを遂行する!!」
ギキュゥゥゥゥンン!!
「赤血操術!?」
(なんて圧力だ!!)
脹相は術式を使い裏梅と阿弥部に向かって攻撃する。
(赤血操術、穿血!!)
バジュウッ!!
(速い! これが穿血!)
バヂィッ!
バゴォッ
脹相は裏梅に向かって穿血を放った後に、その血を操って阿弥部の足元の地面を砕く。
そのまま距離を詰めて肉弾戦に持ち込んでいく。
バッガガガッビュッ
ドゴッ
「無理するなよ、疲れてるだろ」
「それが弟の前で命を張らない理由になるか?」
脹相は先刻のダメージを意に介さずに阿弥部と裏梅を相手に立ち回る。
「確認だがほんとの兄弟じゃないんだよな?」
「兄弟どころか一回殺されかけてるよ」
「東堂といいヤバいフェロモンでも出てるんじゃないか?」
「こちら側に危害を加える様子は無さそうだ、取りあえずは味方で行こう」
「OKだ、二機残ってる俺が前に出る。全員でかかれば隙くらい作れるだろ」
パンダが前に出て二人は後ろにつく。
(
(
「!」
パキィィィンッ
(氷の術式!? しかもなんてハイレベルな!!)
裏梅が直後にその場の術師を一人を除いて全員凍らせる。
「この程度の氷ッ!」
「どの程度だ?──!!」
裏梅が指を脹相の額に向けると横から虎杖が裏梅を殴りつけ、刹那は氷を叩き割る。
バシイッ
虎杖の拳は止められたが脹相は自由になる。
「味方ってことでいいんだよな!?」
「違う!」
「あ"!?」
「俺はお兄ちゃんだ!取りあえず一回お兄ちゃんと呼んでくれないか?」
「真面目にやってくんねーかなぁ!?」
ギギギンッ
「今はそんなこと良いですから早く構えてください!!」
刹那は刀を構えて防御する。
「刹那殿、貴方に危害は加えたくはない」
「僕も裏梅さんを斬るつもりはありませんよ」
フッッ
ドゴォッ
「おっとっ!」
刹那は術式で瞬間的に移動し、完全な意識外から阿弥部を捉えて蹴り飛ばす。
ガガガッギギンッ!
その後も身体の一部を呪霊化した阿弥部に攻撃を加えていく。
「全く、理解に苦しむな。特に理由もないのに何故命を張る?」
ガインッババッ
刀を弾かれ後ろに飛び退く。
「まるで阿頼耶識万代の愚かな最期を見てるかのようだよ」
「!! 何故その名前を…?」
刹那は動揺して一瞬動きを止める。
「へぇ、魂は同じでも記憶の共有はされないのか、だったら──」
「思い出させてあげよう」
ドギュンッガシッ
(しまっ──)
ボキィンッ、ドゴッッ
阿弥部は刹那との距離を一気に縮め、右腕を折って蹴り飛ばす。
「──ッ!!!ゴホッゲホッゲホッ」
声にならない痛みで意識が飛びかけるが、すんでのところで意識を繋ぎ止めて立ち上がる。
「気づいていないのかい?難儀だね、その身体はもう限界だよ」
カタカタカタ
刹那の刀を握る手がカタカタと震え、刀を落としそうになりながら動けずに立ち尽くし、阿弥部を睨みつける。
ザッザッザッザッ
「君の呪力の靄は純度百%の呪力の塊、特級術師の中でも呪力が少ない君の身体には、少々酷使するのは厳しいんじゃないのかな?まぁ、それを補う為のその刀と瞳なのだろうけど」
クスクスと嗤いながら刹那に近付いていく。
「っ待て!!」
「今彼女を失うのは不味い!!」
「氷凝呪法
虎杖とパンダと加茂が刹那に向かって駆け出すが、頭上から氷の塊が降り注ぎ身体が凍結する。
「おい、その人を殺してみろ、私が貴様を殺すぞ」
「そんなに怖い顔をするなよ、ただ少しだけ実験するだけさ」
裏梅が阿弥部を睨むと阿弥部は嗤いながら刹那の頭に謎の呪物を当てる。
ビキビキビキキッッ
「──っ!!」
「思い出したかな?」
刹那の脳裏に重なる姿。自身の姿は血だらけで、大勢の術師、非術師に囲まれ片腕を無くしている。死の瞬間を体験するかのような、声すら出せない時間が流れる。その呪物を見た宿儺はかつての友を思い出す。
「貴様ッ!!?代われ小僧!!アイツは俺が殺す!!!」
「宿儺!?ゔっぐぅぅっこんのっ!!!」
宿儺が肉体の主導権を奪おうとするが虎杖はそれに抵抗して動けなくなる。
「虎杖!?」
ドゴォンッッッ!!!
「!!」
突如として砂埃が舞う。同時に刹那は何者かに引っ張られ虎杖達の前に移動する。
「落ち着きなよ宿儺、刹那は無事さ」
「九十九由基!!」
九十九が現れ、さらにその場は混乱に陥れる。
「……フンッ」
宿儺は肉体を奪えずに大人しくなる。
「久しぶりだね刹那、立てるかい?」
刹那は虚ろな目をしたままコクリと頷く。
「……駄目だね、休んだほうが良い。今この場で君は散らしてはいけない術師だ」
チャキンッ
九十九はそう言って刀をしまい、刹那に肩を貸しながら小声で話す。
「さて、と。去年振りだね阿弥部君、呪霊をこの世からなくす方法を話したのを覚えているかな?君が考えていることは分からないが、どんな手段を取るにしろ人類を一つ上の段階に進化させることになる。人類の
「違う、呪力の"最適化"だ」
九十九の問に阿弥部は速攻で否定し、それに手をヒラヒラと振って呆れ顔になる九十九。
「いや、俺にはどっちもさっぱり…」
「そのプランは十二年前、禪院甚爾が死んだ時点で捨てたと思っていたよ」
「初心に還ったのさ、それにそっちのプランには致命的な欠点がある。海外では術師や呪霊の発生が極端に少ない、最適化プランには天元の結界が必要不可欠なハズだ。天元を利用するということは術師になるのはこの国の人間限定」
九十九はそのまま警戒を解かずに話を続ける。
「呪力というエネルギーをほぼ日本が独占することになる。彼の国はもちろん中東諸国が黙っちゃいない、生身の人間がエネルギー源なんだ、どんな不幸が起こるかは想像に難くないだろう。それは私が描く理想とはかけ離れた世界だ」
「ハッハ、それがどうした。そもそも私は呪霊がいない牧歌的な平和を望んじゃいない。非術師、術師、呪霊、これらは全て可能性なんだ。人間という呪力の形のね」
阿弥部も話を続ける。
「だが、まだまだこんなものではないハズだ、人間の可能性は。それを自ら生み出そうともしたが、それでは駄目なんだ、私から生まれるものは、私の可能性の域を出ない。答えはいつだって混沌の中で黒く輝いているものだ。分かるかい? 私が創るべきだったのは、私の手から離れた混沌だったんだ」
「さっきから黙って聞いていれば…」
九十九に肩を借りたまま刹那は口を開いて阿弥部を睨みつける。
「混沌を造るだの人間の可能性だのそれを生み出すだの…人間は貴方の玩具じゃない…!」
「フンッ、初代と同じ様なことを…君のような子供に何が分かる?」
「百年以上かけて、一つの答えも分からない貴方に言われたくはないですよ」
「あっはっは、初代と違うのは頭の回転の速さかな、煽るのが上手いね。でも、こうやって話している間に、私の脳は真人の術式に適応した」
「!! 真人とかいう魂に干渉できる術式を持った呪霊がいるだろう!!」
九十九は急に慌てだして虎杖達に問う。
「さっきアイツが取り込んだけど」
「まじんが〜!??」
阿弥部は地面に向けて無為転変を放つと、地面に大きな刻文が刻まれ、それは天にも走る。
(天元の結界…じゃない!! これはっ)
「術式の遠隔発動!?」
「礼を言うよ虎杖悠仁。呪霊合術で合成した呪霊の術式はその場で成長を止める、君との戦いで真人は成長した。本当は漏瑚も欲しかったんだけどまぁ仕方ないね」
「何をした」
「マーキング済みの二種類の非術師に遠隔でマーキングを施した。虎杖悠仁のように呪物を取り込ませた者、吉野順平のように術式を所持しているが脳の構造が非術師の者、それぞれの脳を術師の形に整えたんだ。前者は器としての強度を、後者は術式を発揮できる仕様を手に入れた、そして…」
バチンッヒラッ…
阿弥部は結んだ紐を強く解く。
「…今、その呪物達の封印を解いた。マーキングの際、私の呪力にあてられて寝たきりになったものもいたが、直に目を覚ますだろう。彼らにはこれから呪力への理解を深めるため殺し合いをしてもらう。私が厳選した子や呪物達だ、千人の虎杖悠仁が悪意を持って放たれたとでも思ってくれ」
「千人か…控えめだな、それに人間の理性を舐め過ぎだ、力を与えただけで人々が殺し合いを始めるとでも?」
「物事には順序があるのさ、その程度の仕込みを私が怠るわけないだろう? 質問が軽くなってきているよ」
「…ムカつくからアイツ皆でボコろう」
「いや俺ら動けないんすけど…」
パシャンッ
「うおっ!」
お互いが睨み合うと突然虎杖達が氷から開放される。
「どうした裏梅」
「ハァッハァッ」
(肉体は再生させたハズ…まさかっ)
「毒かっ!」
「穿血で俺の血が混じったんだ、当然だ」
「待って、真依ちゃんがいない、向こうにも仲間がいるのかも…」
「葵と銃の子、あとスーツの子は私の仲間が保護しているよ、場違いだからね」
西宮はボロボロの身体を持ち上げて言うが、九十九がそれに答える。
「動けるか?」
「あぁ、私は体温を調節できるから問題ない」
(俺はもういいや)
「話の途中だよ」
そのまま阿弥部は虎杖達の意に介さず話を続ける。
「私が配った呪物は千年前から私がコツコツ契約した術師達の成れの果てだ。だが、私と契約を果たしたのは術師だけじゃない、渋谷の呪霊は彼らだけではないよ」
「! まさかっ!!」
「これがこれからの世界だよ」
ゴォッンッッ
渋谷の至るところから大量の呪霊が湯水の如く湧き出し、人間のいる場所へと四散する。
「なんて数っ!」
「じゃあね虎杖悠仁、君には期待しているよ」
(獄門疆っ!?)
「五条先生!!」
阿弥部は獄門疆を虎杖に見せると嗤って言い放つ。
「聞いているかい宿儺、始まるよ、再び呪術全盛、平安の世が!!」
「ツレないな、もう少しここにいろよ」
「!!」
逃げようとする阿弥部だが、空から大量の呪霊が投下されて止められる。
「夏油傑…!?」
空から呪霊とともに夏油が降りてくる。
「刹那がなんの意味もなくガラクタを攻撃に用いるとでも?あれには話を聞くために呪霊を忍ばせていたんだ、全て聞かせてもらった。その箱の中にいるのは私の親友なんだ、返してもらうよ」
「先生! 腕…!」
「私の腕も非術師も問題ない、既に東京一帯の人間は避難させたし、片腕くらいなら呪霊でカバーできる」
パキパキパキパキッ
「君は私に先程敗北しているだろうに、まだ勝つつもりかい?」
「その喋り方やめろよ、私とキャラが被るんだ」
夏油は呪霊を数体出して阿弥部に向かって襲わせる。
「その程度の呪霊じゃ意味は無いだろう?」
バチンッ!
「あぁ、だから…短期決戦だ」
ズズズズズズズ
「!!」
「私の手持ち八百万体のうち、七百八十万体を纏めて君にぶつける。そこかしこに湧いた呪霊、君が合成した数も数百万体なんだろうが、君の身体には精々数百体、耐えられるかな?」
夏油はニコリと嗤いながら呪霊をまとめる。
「くっ!極の番っ!!!」
「生徒の前だからね、格好つけさせてもらうよ。呪霊操術、極の番」
「ジュカイッッ!!!」
「うずまき」
──ーゴォォォンッ!!!!!!!!!
お互いが極の番を使うが、桁外れの呪力量に阿弥部の極の番は完全に打ち消され、夏油の目の前には半径二十m程のクレーターが出来上がる。しかしその一瞬で阿弥部は逃走に成功した。
「…逃したか、逃げの算段は完璧だったわけだ…」
──ー
23区はほぼ壊滅、官房長官を含めた総理大臣は安否不明、五百万を超える呪霊が東京に放たれ、各地のラブホテル、キャンプ地、廃村を使って五百万人と宿儺の被害を免れた非術師達の疎開プランを組むことになり、文字通り、政治的な空白となる。
さらには呪霊の存在を東京のみに発生するという情報ということで公表し、官邸機能は大阪に移されることになった。
──渋谷事変閉門──
数日後の会議によって三つの決定事項がなされた。
呪術総監部より通達
一
ニ 五条悟を渋谷事変共同正犯とし、呪術界から永久追放、かつ封印を解く行為も罪と決定する。
三 阿頼耶識刹那を阿弥部高聡の共同正犯とし、特級呪術師の位を剥奪、特級呪詛師として扱い、速やかな死刑を執行するものとする。
作者は単行本勢なので、原作に追いついたら一旦休載して単行本が出るたびに投稿しようとおもいます。まだ少しは続きますが。
その間には別の作品を連載しようと思っています!今の所一次創作か東方かで迷ってますが、なにかリクエストがあって、それを私が知ってたら候補にしようかと思いますのでこれからもよろしくお願いします!!