全てを無くした少女に呪いを授ける   作:レガシィ

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(コメント催促してるわけじゃないですごめんなさい)


第六話 呪術高専

 

 五条の声がその場に響く、次の瞬間五条の軽口が聞こえてくる。

 

「いやー二人共ボロボロだね!おつかれサマンサ!」

 

「「来るのが遅いです」」

 

 たははーっといいながら笑う横では五条に刃が届かず、彰の顔には青筋が顔に浮かんでいる。

 

「悪いけど君さぁ、最強の僕を差し置いて出番多すぎなんだよね。まぁ結果は変わんないし別にいっか」

 

 意味のわからない軽口を叩き、彰に向かって人差し指を向ける。

 

「術式反転、(あか)

 

「まっーー」

 

ーーーッドドドッッ!!!

 莫大な呪力が五条の人差し指に集まり、彰は三人の眼前から消えた。木々を巻き込み、なおも直進する呪力の砲弾。それはどう考えようと彰が生きているとは思えなかった。

 

「さて、解決♡したところでさ、二人の仲はいつの間にそんなに進展したの?」

 

 抱き合う二人を見て五条が真面目なトーンで疑問を突きつける。呪術師見習いといえど二人は中学生、恥ずかしさが残るのかお互い少し離れる。

 

「冗談だって、二人の顔見ればなんとなく分かるよ」

 

 アイマスクを外して二人を見据える。

 

「まさか出会ったその日に縛りをなんとかしちゃうなんてねぇ、正直予想外だね」

 

 刹那はあわてて右目を隠すが五条の反応は紳士なものだった。

 

「隠さなくてもいいよ、刹那。他の人とは違っても、綺麗な目じゃないか。恵もこういうときは褒めなきゃね」

 

「…もう疲れたんで早く高専行きましょう」

 

 伏黒は疲弊しきっているため、とにかく帰りたい気持ちでいっぱいだった。

 

「回収車の方の術者と補助監督、まぁまぁな怪我はあったけど無事だったし、ついでに車乗せちゃうけど大丈夫?」

 

「もうなんでもいいです…」

 

 刹那も伏黒と同様の反応を示す。

 

「こりゃー学長とかに挨拶するのは明日になるねぇ」

 

 五条の携帯が鳴る。五条がスマホを取り出し、画面を見る。画面には傑と表記されている。

 

「もしもーっし」

 

 電話に出ると、怒気のこもった声で夏油の声が五条の耳にとどく。

 

「悟、遅刻グセはそろそろ直さないとな。硝子にその脳みそをイジって直せるか聞いてみようか?」

 

「待って待って傑、今回は僕悪くないってば」

 

「納得できる理由なんだろうね? 学長もそろそろキレて君の机のお菓子を全て処分する勢いだよ?」

 

「ちょっ、こないだの海外出張で買ってきたばっかのブラウニー!?」

 

「いいから理由を言えよ悟」

 

「はいはい、呪詛師が脱走したんですぅー。んで、恵とせつ…Sが応戦してて遅れたんですぅー!」

 

「もっとまともな言い訳をしろよ、Sがたかだか二級とかの呪詛師に苦戦するとは思えない」

 

「色々理由があったんだってば!ちょっと待ってて!伊地知を今すぐ起こして高専に帰るから!」

 

 プツッと電話を強引に切り、車でガードレールに突っ込んで気絶している伊地知を五条が起こしにかかる。

 

「起きろ伊地知ー!マジビンタすっぞ!」

 

「フヘヘ、夢の三連休〜」

 

 バヂン! 

 

「痛ぁ?!」

 

「残念、ほんとに夢だったね★僕を差し置いて都合のいい夢見てんじゃないよ、呪術師と補助監督に休みはありませーん」

 

「五条さん?! すいませんすいません!!」

 

 伊地知は条件反射的に謝りたおす。

 

「恵ー!刹那ー!おいでー!」

 

 フラフラとした足取りで五条の元へと二人はお互いに肩を貸して歩く。伏黒は呪力と体力が完全に底をつき、刹那はさっきまで脳内麻薬の作用で痛みが無かったが、今になって肋の痛みが出てきていた上に呪力が一気に身体に満たされたため反動がでていた。

 

「じゃあ伊地知、そこでのびてる術師と補助監督よろしくー」

 

「お三方はどうなさるので?」

 

 頬を抑え涙目になる伊地知に五条は指示すると刹那と伏黒の肩に手をかける。

 

「学長や傑が待ってるし、この子たちは僕が引き受けるよ、その方が早いしね」

 

「えっとその…伏黒君、刹那さん頑張ってください」

 

「? それってどういう…?」

 

「…っ!? 五条さん止めっ」

 

「いっくよー!」

 

 五条の掛け声で身体が宙に浮く、突然の状況に現在の状況分析が遅れている二人。五条の高笑いと共に空中へと連れて行かれる。

 

「ぅぅぅえ」

 

「──!!!」

 

 疲れている伏黒はグロッキーに、刹那は肋が痛くて叫ぶことも許されない。

 

「アッハッハー! 貴重な体験だよ二人共!」

 

 スマホのカメラを起動して、空中で二人と共に自撮りをする成人男性。

 

 結局一度も降ろされないまま二人は高専へと直行することになった。

 

「ほい、とーちゃーく」

 

 そこは古風な塔や、鳥居などが随所に設置されており、昭和を感じさせる木造建築の校舎が堂々と建っている。

 

「さってっと、夜蛾学長はどっこっかなー?」

 

「どうやら、お前の報告に嘘は無かったようだな」

 

 五条が探していた件の人物、夜蛾正道が校舎側から現れる。夜だというのにサングラスをかけ、ハードボイルドな見た目とは裏腹に、一部の人には人気が出そうな人形が夜蛾の後ろをトコトコとついてきている。

 

「悟、Sは連れてこなかったのかい?」

 

 夜蛾のさらに後ろから五条と同じ位の背丈によく通る声、特徴的な前髪をした男、夏油傑が現れる。

 

「なーに言ってんのよ傑ちゃーん。Sならいるよ?」

 

「?どこに?」

 

 五条は刹那の肩をぐいっと引き寄せ、二人が見やすいように横にずれる。

 

「じゃじゃーん! この子がSこと阿頼耶識刹那さんでーす! ハイ拍手!」

 

 五条のおちゃらけた紹介で刹那は頭を慌ててペコリと下げる。しかしその場にいる誰もが反応できなかった。

 

「…あれ? なんで誰も何も言わないの? やめてよ、僕が盛大にスベったみたいじゃん」

 

「悟、確認なんだけど、それは嘘じゃなくて本当なんだよね? そこにいる女の子がSなんだね?」

 

「そうだよー? あ、傑ぅ、中学生の子をそういう目で見るのはどうかと思うよ?」

 

 五条が傑をちゃらちゃらと煽るが、先に伏黒が反応する。

 

「五条さん、刹那のことを考えてください。怒りますよ」

 

「…ゴメン、今のは僕が悪かったね」

 

 珍しく五条が素直に謝ると、夜蛾が口を開く。

 

「悟、お前わざと歳を黙っていたな?」

 

「そーだけど、思ってた反応と違ったなー。もっとえぇ──?! とかうわー!? とかないの? おじいちゃんみたいな渋い反応しちゃってさ」

 

 夏油と夜蛾は眉間のシワを抑える。

 

((さよなら…わずかな希望))

 

 二人は期待していただけに、Sの正体がまだ中学生の少女で大人ではないために仕事を手伝えない、つまりは仕事が減ることは一切ないということを悟りうなだれる。

 

「五条さん…僕、ここに来てよかったんでしょうか」

 

「あぁいや、すまない。てっきり大人の呪術師が来ると思っていたから驚いただけだ」

 

「未来を担う若人を育てるのが私達の仕事だしね、君みたいな子が呪術師になるのはなにも不思議なことではないし、迷惑になんて思ってないよ。本当さ、気にしないでくれ」

 

 夏油と夜蛾がフォローに入る。すると高専の方角から人影が見えてくる。

 

「全く、二人が急に出ていったと思ったら随分賑やかじゃないか。また厄介ごとを持ち込んだのか五条?」

 

 ハスキーな声と共に目の下に濃い隈を作った白衣の女性、家入硝子が現れる。

 

「あ、やっほー硝子、突然で悪いんだけどこの二人、ボロボロだから治してあげて」

 

「それは構わないが、その子…五条お前、ついに犯罪者に成り下がったか」

 

「面白くない冗談はやめてくれよ硝子。未来の僕の生徒さ」

 

 刹那を指さして硝子は五条をゴミを見るかのように見る。

 

 いつものことなのか五条はそれを軽く流し事実を語る。

 

「まぁ今日は色々あったんだろう。今日はもう遅い、明日詳しいことを話すとしよう。二人共硝子に治療してもらって今日はゆっくり休め。硝子、すまないがもう一仕事だ。あと少しでもう二人重症人が来る、彼らも治療してやってくれ」

 

「ん、了解です」

 

 そういって硝子は二人を医務室へと連れて行く。

 

 二人、特に伏黒は疲弊しきっている為、硝子が肩を貸す。

 

「それじゃ僕は帰るからあとよろしく〜」

 

 五条は休日の為、自宅へ帰ろうとするが夜蛾が肩を掴み止める。

 

「悟」

 

「…ナンデショウカ」

 

「今回の件についての報告書作成、S…刹那と会った経緯、さらには術式や家庭のことの相談、やることは山ほどあるぞ。お前の休みはない」

 

「はぁ~~?? 二ヶ月振りの休みなんだよ?! そんなの歌姫にでも書かせればいいじゃんか!」

 

 駄々をこねる五条、しかし夏油は逃さないとばかりに畳み掛ける。

 

「へぇ、悟、なんでそこで庵先輩の名前が出てくるんだい?」

 

「あっ、やっべ」

 

 夜蛾に一切の経緯を話していなかった五条は、さらに話が広がりそうな種を蒔いてしまう。

 

「訂正だ悟、お前は今日から報告書の作成を始めろ。そして明日は刹那本人を交えて洗いざらい喋ってもらうぞ」

 

「…ハイ」

 

 観念した五条は両手をあげて降参の意思をしめした。

 

 




ちょっと短めかな?
まあいいか。
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