全てを無くした少女に呪いを授ける   作:レガシィ

75 / 90
原作、、、あぁやっべぇ、、、。
ほい、久し振りの投稿ですが、話は先まで結構出来てます。
ただ、単行本の方からすると展開が先すぎてもしかしたら見にくいのかも?と思ったので意図的に遅くしています。
今単行本だと直哉芋虫出てるとこですもんね。
追記
新事実なんだけど自分馬鹿すぎない?評価のところから的確なアドバイスいただけてるのにそこに感想みたいなの載ってるのさっき気づいたんだけど??
なので多分数日後には全部の話の三点リーダ変わってます。


第七十三話 忌み

 16日正午

 

 東京第一コロニーにて。

 

 大阪から刹那と出発した真希は途中で別れ、虎杖達と合流していた。

 

 天使、来栖華と高羽と共に行動していた二人は真希からの報告を聞く。

 

「さっきあっちから連絡があった。慣らしが終わっちまっただけならいいんだが、天元様が獲られた」

 

「!! 三人は!?」

 

「現場の高専は酷い有様だ」

 

 刹那が撮った写真を見せて真希は簡潔に伝える。

 

「羂索が生きてるのだけは確からしい」

 

 刹那と脹相の連絡を四人で共有し、今やるべきことを探す。

 

「憂太と同格の九十九さんが脹相と協力して敗れた。刹那の話によると生きちゃいるが、これ以上の協力は期待しない方がいい。裏が無事なのが不幸中の幸いだが、やっぱり一筋縄じゃいかないな」

 

(と言いつつ落ち着いてるな…)

 

(たった数日で変わったな真希さん。何があったんだ…?)

 

 最悪がどんどんと更新される中、真希は刹那の報告を冷静に二人に伝えている。事態の悪化が続くにしては落ち着きすぎていることに二人は内心驚いている。真希は背負うものを見つけ、いらぬものを排除した現在では一番冷静な人物とも取れる。

 

「刹那はどうなってますか?」

 

「ピンピンしてる…とは言えないわな。大阪から交通手段無しで高専まで走って移動してる上、ほぼ寝ずに戦いっぱ。しかも高専の戦い割り込んで九十九さん助けてるしな。休めって言っても聞かないし、今は情報をまとめろって伝えて無理矢理休ませてる」

 

「そうですか…良かった」

 

「…ん? 慣らしが終わったんなら、なんで同化が始まらないんだ?」

 

 虎杖の疑問に天使と真希が答える。

 

「術師は多分呪力で同化を拒めると思う。結界内が無事なだけで外ではすでに同化が──」

 

「いや、少し勘がいいやつが当てられてるだけでいつも通りの日本だよ」

 

「理由が分からん、まだ同化を始められないのか始める気がないのか」

 

「あの、ちょっと待ってください。話を中断して申し訳ないんですけど」

 

 天使の口とは別に、来栖本人が話しを遮って質問する。

 

「「「?」」」

 

「"刹那"ってどちら様です?」

 

「あ、俺等の──」

 

「あぁ、恵の彼女(オンナ)だよ」

 

「「!?」」

 

 伏黒と来栖は同時に驚愕の表情を浮かべ、同時に虎杖もあっさりと肯定する。

 

「そうそう、俺と伏黒の同級生で伏黒の彼女!」

 

「…虎杖…」

 

 ぱっと笑顔になる虎杖と、さらりと言い放つ真希に伏黒は額に手を当てて溜息をつく。

 

「へ、へぇ…それはぜひ…お会いしてみたいですねぇ…」

 

 ヒクヒクと頬を引きつらせる来栖。幼少から思いを寄せ続けた人間に、信頼以上の関係を持つ相手がいることに辟易する。

 

「…まぁ、それは今関係ない。それよりも優先は津美紀だ」

 

「あ、そういえば。なんで先輩たちはルールをすぐに追加しなかったの? ルールの追加は決まってたよな?」

 

「あぁ。ポイント変動が無いと術式剥奪で脳を弄られて死ぬ。だから殺し合うのを防ぐためにルール追加で得点の譲渡を可能にした。これは虎杖が追加済みだな」

 

「俺っていうか日車だけど」

 

「結界の出入りについても、桜島のほうでルールの追加があったみたいだしな。得点が回ってる私らには関係ない。問題は結界同士の電波で、死滅回遊は初めから電波の出入りに関しては禁止してないんだよ」

 

「川本真琴の話ししてるー!?」

 

 真面目な話を切るように、家屋の上から見張りをしている高羽が大声で歌手の名前を出して話す。

 

「なんだアイツは」

 

「無視して。それよりルール…あ本当だ!! つまり死滅回遊のルールじゃなくて転送と同じで結界のルールなのか」

 

「そう。出入りが自由な今は連絡に関しては問題ない。傑はなぜかまだ桜島で留まってるみたいだが直動くだろ。それに私が憂憂と協力してるから連絡も問題ない。つまり、今進めるべきは泳者の死滅回遊からの離脱!」 

 

 話がまとまり現在の指針が決まる。既に乙骨、秤、刹那から得点は渡っており伏黒は400点を所持している。※刹那からの得点は分かりやすいように、元ある359点に41点を追加しています。

 

「コガネ、ルール追加だ。泳者の死滅回遊からの離脱を可能にしてくれ」

 

「却下されました。ルール7に抵触します」

 

「予想通りだな…身代わりに新規泳者を連れてくることで離脱できる。ならどうだ?」

 

「……却下されました」

 

「!!」

 

「どうやったら離脱できんだよ!!」

 

「死滅回遊からルール追加の提案です。泳者は結界外から見代わりを招き、さらに百点を消費することで死滅回遊から離脱できる。であれば承認可能です」

 

「それなら問題ない!! こっちは四百点あるんねぞボケコラァ!」

 

「ちょっと待て!!」

 

 死滅回遊からの提案に虎杖は食らいつくが、伏黒はルールに抵触することを考えて反発する。

 

「身代わりだけなら泳者の人数が+−ゼロだが、そのルールだと離脱のために最低でも二十人死ぬ!! 明らかにそのルールの追加の方がルール7に抵触している!!」

 

 伏黒の正論を聞いても、機械的にコガネは自らの役割を果たし、機械的にルールを説明する。

 

「泳者は結界外から見代わりを招き、さらに百点を消費することで死滅回遊から離脱できる。であれば承認可能です」

 

「…分かった。それでいい」

 

(これ以上交渉する気はないってか。まぁそれ言い出したら目的そのものが永続に反するしな)

 

「泳者によるルール追加が行われました!! 総則12。泳者は結界外から見代わりを招き、さらに百点を消費することで死滅回遊から離脱できる!」

 

「よし。真希さん、津美紀と刹那を結界に連れてきてください」

 

「…ん!?」

 

「なんだよ」

 

「津美紀の姉ちゃんは泳者だけど結界外にいるんだよな? だったらここから遠隔で得点を渡して離脱してもらった方が安全じゃねえ?」

 

「いや、それだと任意の結界での参加宣言というルール1に抵触する。最悪離脱が確定した瞬間術式が剥奪されて死ぬかもしれない」

 

「あぁー!? よく気がつくな!」

 

「高得点も長いこと持ってるとリスクが多い、なんにしても津美紀と合流するのが一番安全だ」

 

「了解。ただ、私は結界に一緒には入れない。呪力がない私は結界に認識されないから転送の時に津美紀と剥がされる」

 

「呪力があっても転送は別々でしたよ」

 

「パラシュートあったほうがいいっすよ」

 

「?」

 

 16日15時00分

 

 結界外で津美紀、真希、伊地知、刹那は合流して結界に向かっている。津美紀には予想外の妨害などでの合流が遅れるのを危惧し、ポイントを1だけ譲渡してある。

 

「伊地知さん、本当に私の代わりに結界に…やっぱり私自分で…」

 

「いえ、あまり結界外の術師を減らすのは得策とは思えませんから」

 

 申し訳なさそうに津美紀が話すのを、伊地知は否定して歩を進める。

 

「なんか…死刑囚と司法取引みたいな…」

 

「呪霊が参加できるんですから、御三家が調伏してる呪霊とかは…」

 

「はは。出来なくはないですが、時間が足りません」

 

 刹那と真希も今更ながらも解決案を練るが、どちらも時間が足りないと伊地知が否定する。

 

「津美紀さんの宣誓期限、19日以内にこの状況まで持ち込めたのは奇跡です。私がモタつくわけにはいきません。新田さんがいますから補助監督回りの業務も問題ありません。それに、こう見えて高専生の時は術師志望だったんですよ」

 

「「え"」」 

 

 伊地知を知っている二人は意外そうに声を上げる。

 

「昔五条さんに、私は役に立たない。才能がないからやめろと言われましてね…ですが、同時に救われました。あぁ言ってくれなかったら、中途半端な術師になってすぐに死んでいたでしょうから」

 

「アイツ…」

 

 真希が呆れるのを横目に、四人は歩く。

 

「二人は刀を持ってるから術師? なのね」

 

「まぁ、だからってわけじゃないけどな」

 

「二人共私と同じくらいなのに…」

 

 津美紀の心配の会話を最後に、結界の前まで辿り着いて一度足を止める。

 

「中に入って伏黒君から事情を聞いてください」

 

「結界に入ると全員ランダムに転送される。空中の可能性もあるから向こうで仲間が待機してる。私達も一応先に入るから、あとから来てくれ」

 

「は、はい…分かりました」

 

 真希はコガネに応答して中に入っていく。結界外では津美紀と刹那と伊地知が残される。津美紀は結界を見上げて胸の前で祈るように手を握る。

 

「……津美紀さん」 

 

「どうしたの? えっと…刹那さん?」

 

 刹那は津美紀を呼んで話しかける。刹那はただ本当になんとなく、一種の勘によってその口を開いた。

 

「疑いたいわけじゃないんです。ただ、本当にただの念の為に聞くんですが…どっちですか?」

 

 ゾワッ

 

「どっちって…?」

 

 刹那が漏らす呪力と殺気に当てられて気圧される…訳ではなかった。

 

 ュッッッ!!! キンッ! 

 

「刹那さん! 何を!!?」

 

「貴方ねぇ…仮にも非術師だと思ってる相手に本気で刃を振るう?」

 

「コガネ、彼女の名は」

 

「伏黒津美紀デス!!」

 

 刹那は極めて冷静に務め、コガネに泳者の本人確認を行う。

 

(やはり名前も受肉体のもの。最悪、想定してなかった。彼女が覚醒タイプの泳者だと、全員、今の今まで疑ってなかった!)

 

 肩を狙って術式を使用した刹那の一閃を、津美紀だと思っていた術師は右腕から術式で弾こうとするが両断される。しかし、その一瞬で刹那から距離を取る。 

 

 パラッ…

 

 刹那は眼帯を外し、目の前の人間を三つの瞳で見据え、二刀を納刀する。それを見た万は刹那に向けて懐かしさを見るような、恨むような視線を向ける。

 

「私は万、昔の術師連中なら通じるかもね。アンタは…あぁ、阿頼耶識ね」

 

「随分、その名前は有名ですね」

 

「なんで気付いたワケ?」

 

「……勘?」

 

 万の当たり前の問いに、刹那は自分でも分かっていないので曖昧に返答する。

 

「昔っからほんと…コガネ!! 宣誓よ、東京第一結界に入るわ」

 

「!」

 

「じゃあね、また今度」

 

 キュインッ! 

 

 刹那と戦わず、刹那の攻撃は僅かに間に合わず、万は予定通りに中に入り転送された。決して油断はしてなかった。しかし、あまりの覇気のなさに警戒を解いていたのも事実だった。

 

「もう! 最ッ悪ッ!! 伊地知さん! 補助監督の皆さんにもう一度死滅回遊の関係者を洗うように言ってください! もしかしたら彼女のように擬態してる人がいるかもしれない!!」

 

「はい! 刹那さんは!?」

 

「僕は彼女を追います!」

 

(気づいてくださいよ恵君…!)

 

 刹那は的確に指示を出して宣言し、結界内に侵入していく。

 

 先に侵入した万は偶然にも伏黒達との合流地点へ飛んでいた。万は化けの皮を被り、伏黒の記憶の津美紀に偽装する。

 

「おっとっ? っと?」

 

「えっこの人!? ドンピシャ転送??」

 

「あ、恵。良かった、すごいびっくり……」

 

「…おう」

 

「運いいなぁ津美紀の姉ちゃん」

 

「初めまして、恵がお世話になってます」

 

「虎杖です。こちらこそ」

 

 万の演じる完璧な津美紀像。二人は一切疑わない。

 

「私の出番がなくて良かったです」

 

 来栖が空からふわりと降り立つ。

 

「こっちは来栖。津美紀の姉ちゃんが空から落っこちて来たときのために上を張ってくれてたんだ」

 

(ナイス虎杖、私の株を上げなさい。刹那とかいう女より私の方が良いと印象づけるのです)

 

「さっさと済ませよう。コガネ」

 

「家族の前だとより淡白になるの反抗期みたいね」

 

「カワイイです」

 

 ニヤニヤと二人は伏黒の横で聞こえるようにこそこそ話をする。

 

「今から津美紀に点を…?」

 

「伏黒? どうしたん?」

 

 得点を譲渡する段階になって、違和感を感じた伏黒は津美紀を見つめて停止する。

 

「恵、どうしたの?」

 

「…津美紀、右腕どうした」

 

「え?」

 

 気を抜いていた三人は気づくのが遅れた。刹那の靄状の呪力と、津美紀の黒い服にほんの僅かに滲む血を。

 

(刹那が斬りかかる訳がない。呪霊の余波だとしたらもっと怯えててもおかしくない。俺に隠すわけがない!)

 

「あら…やってくれたわね」

 

 刹那は斬りかかる瞬間術式を使用した。使った術式で無くされたのは万の痛覚。童子切で万の術式を斬ったあと、瞬間的に抜いた見えない血吸の抜刀で僅かな傷をつけていた。

 

「…オマエ…誰だ…!?」

 

「誰って…ふふ! 貴方のお姉さんよ!! 伏黒恵!!!」

 

 今まで見せていた柔らかな笑みは崩れ、いつかに見た呪いの王と同等の濁った笑みを零す。伏黒の信じて疑わなかった、"伏黒津美紀は非泳者である"という前提はたったいま足元から崩れた。

 

「なんてね」

 

 彼女は舌をだして無邪気そうに、相手を嘲るように笑う。

 

「伏黒!! どうなってんだ伏黒!!」

 

「私は万。昔の連中にならまだ通じるかもね」

 

「なんで、今まで…!?」

 

「アナタ達が勝手に説明したんでしょう? 労せず百点もらえるなら貰うわよ。ま、阿頼耶識のせいで無駄になっちゃったけど。こうなるなら体慣らしも含めて私も参加すれば良かったわ」

 

 ドンッ! ヴヴヴッ

 

 万は背から蜂や蜻蛉を連想させる呪力の翅を生成して空に飛び立つ。

 

「でも、ある意味初めてはスクナの為に取っておいて良かったかも。じゃあね、待ってるわよ」

 

 キィンッ! 

 

「追います!」

 

「あぁ!」

 

 天使と虎杖は万を追うために走り出す。しかし、ここで虎杖の内に巣食う悪魔が、過去に虎杖が死した時、虎杖を復活させる代わりに宿儺がある言葉を唱えることで一分間身体を明け渡す縛り。

 

「契闊」

 

 ガクンッ

 

 虎杖の意識が闇へと消え、それに対して宿儺が表となる。入れ替わった瞬間、宿儺は共に走り出した天使に掴みかかり頸動脈を締める。そのまま気絶して地面に天使を、宿儺は優しく抱え込んで床へと寝かせる。

 

「おっと、小僧との縛りでな。この一分間は誰を殺しても傷付けてもならんことになっている」

 

「宿儺!!?」

 

「もっとも、ここからは賭けだがな」

 

 ズズズッ…ブヂィッ!! 

 

 突然、虎杖の制御から外れた呪いの王の登場に伏黒はフリーズしてその場から動けない。しかし、そんなことは関係ないと言わんばかりに宿儺は自らの計画を進めるため、指に呪力を集めて引きちぎった。

 

「…ケヒッ! つくづく!! 愚かな小僧だ!!! 誰も傷つけないという縛りに、自分自身を入れていない!!!」

 

 宿儺の邪悪な高笑い。状況を飲み込むのを未だ拒否していた伏黒は、全力で呪力を練り、簡単に自らを犠牲にしようと摩虎羅召喚の象印を結ぶ。

 

 ダンッ! グイッ! 

 

(象印を──!!)

 

 しかし宿儺の方が速く、五条や先輩達に言われ続けた弱点の腕を取られる。

 

 そして宿儺は、伏黒恵の口に自らの魂をねじ込んだ。

 

 ドクンッ!!! 

 

 ──ー

 

 僅かな空白、虎杖の意識が戻る。

 

「言っただろう、小僧。面白いものが見れると」

 

「伏黒……?」

 

 次に目にしたのは、伏黒の身体と顔で宿儺の邪悪さを孕んだ声と表情に宿儺の身体の模様が浮かぶ。

 

 両面宿儺は待っていた。虎杖のように"檻"ではなく、器足り得る存在を。伏黒恵の心が、折れる瞬間を。

 

 両面宿儺は、伏黒恵の身体に受肉した。

 

 ボッ────!!!! 

 

 ドッドッドッ!! ガジャアンッ!! ゴォンッ!!! 

 

「「!!」」

 

 ビルをいくつも貫いて虎杖は吹き飛ばされる。過去に感じた異質な力どころではないその衝撃は、結界内全ての泳者の五感を刺激する。宿儺の邪悪さを感じ取った高羽と真希もそのポイントへと動き出す。

 

「全く、いつの時代も。次から次へと塵は湧く…鵺」

 

 ヴゥァッサァ! ゴゥッ!!! 

 

 普段伏黒が召喚する鵺の何十倍という巨大さの鵺が、宿儺の手によって召喚される。直後に落雷を無数に落とし、集う呪術師達を間引く。

 

 キラッ ジュゥゥゥ!! 

 

(しまったな、奴等は共生している。気絶からの回復も天使の力で速い)

 

 気絶した来栖を、共生している天使が起こして即座に復帰、宿儺を伏黒の身体ごと焚いていく。

 

「まって天使! 恵が!! 恵が!!」

 

「こうなってはどうしようもない!! 奴だ! 奴が堕天なんだ!! 奴がより深く根を下ろす前に彼から剥がし消し去る! 賭けるしかないんだ! もう…!!」

 

「返せ…!!」

 

 ──光よ、全てを浄化したまう光よ。罪、咎、憂いを消し去り、彼の者を救い導きたまえ──

 

邪去侮の梯子(やこぶのはしご)!!!」

 

 結界内の空が暗転。同時にスポットライトのように宿儺の頭上から一筋に伸びる真っ直ぐな浄化の光。魔を打ち払う天使の術式が宿儺を強襲する。

 

 ギャリギャリギャリ!!! 

 

「ア"ァ"ア"ァ"!!!」

 

「返せ!! 返せ!! 恵は私のものだ!!」

 

「華」

 

 宿儺の声から一転。伏黒の声と柔らかな笑みを天使こと、来栖華に向ける。

 

「思い出したよ、ありがとう。もう大丈夫」

 

「恵…」

 

「駄目だ!! 華!! まだだ!!」

 

「私ね、ずっと恵のことを!」

 

「華!!!」

 

 来栖は警戒と術式を解いて伏黒の下へ降りて伏黒に抱擁を求め彼も応える。天使は来栖の頬から呼びかけるが、彼女にその呼び声は届かない。

 

 幾年を跨ぎ思い続けた少女の想いは強かった。

 

 ブヂィッ!! 

 

「つくづく、人間」

 

 と、同時に。それは愚かしい行為だった。

 

 ブンッガギィンッ!! カッカンッ…

 

 来栖の右半身を食い千切り強襲、柵へと投げつけてビルから来栖を落とす。僅か数分の出来事で自体は急変した。宿儺の計画。その第一幕が降ろされたのを告げるように、無情に人が肉塊になる音が響いた。

 

 グチャッ

 

 それを下から見上げていた虎杖。彼の身体能力があったとしても、宿儺の一撃は間違いなく必殺の威力であった。しかし、にも関わらず彼は立ちあがり、邪悪に牙を剥く。

 

 パラッ…

 

「まだいたのか」

 

 ギシッ…ドォンッ!!!! 

 

「宿ッ儺ァ"ァ"ア"ア"!!!」

 

 隣の低いビルに飛び乗り、さらにそこからビルを破壊する踏み込みと共に、怒りを顕にした虎杖は宿儺の首へ掴みかかった。

 

 ──ー

 

 万の運が良かったか、刹那の運が悪かったか、彼女は最も遠く、最も移動の困難な転移ポイント。迷路のような地下水路へと転移させられたため、加勢するのに時間がかかる上、一人の妨害が入ったのも遅れた理由の一つだった。

 

「なんでここに…?」

 

「理由は必要でしょうか?」

 

「裏梅さん…!」




あれ?ここの関係泥すぎない?
伏黒→←刹那(恋愛観)
宿儺→←刹那(友愛観)
来栖→伏黒(恋愛観)
で、今は伏黒in宿儺で、、、?しかも万も、、、?
って、書いてるときになったよね。
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