全てを無くした少女に呪いを授ける   作:レガシィ

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次回からやっと原作の主人公出るっていうね。
遅すぎてごめんなさい 。


第八話 里帰り

 ──約二年後──

 

 あれから刹那は高専引き取りの生徒になり、パンダや真希達と共に呪術師のノウハウを学んでいった。伏黒は中学校との両立のため高専に時々くる程度であった。そして今日は正式に高専に入学する前日だが、高専には入学式なんてないため、特にいつもと変わることはない。だが、普通に任務を受けたり事務仕事を手伝ったりしていた刹那は特に気にすることもなく五条と共に富士山の麓へ任務に来ていた。

 

「やあ刹那、僕がカスタムした制服似合ってるよ」

 

「そう言ってもらえるのはありがたいんですけど…この制服、タイツとはいえ足出すぎじゃないですか?」

 

 刹那の制服は元々の制服に刀を扱うための腰帯を巻いてあり、五条が動きやすいようににという理由と今までお洒落できなかったからとミニスカ仕様に勝手にカスタムした。今の髪も過去と同じように長いが、手入れすることが増え、後ろで結びベレー帽を被っている。

 

「えぇー? いいじゃん別に、硝子にあの時の傷跡綺麗サッパリ消してもらったんだから、それに足なんて出して許されるのは若いときだけなんだからもっと甘えるべきだよ」

 

「先生もそんな歳くってないでしょうに」

 

「三十にもなればおっさんだよ」

 

 二年もすれば五条が相手というのもあるだろうが自然と距離は縮まるものでお互いフランクに話すことができていた。

 

「それより、僕まだなんにも任務の詳細聞かされてないんですけど」

 

「あぁ任務ね、今日はねちょっとやりたいことがあってね」

 

「呪具の回収ですか? それとも呪詛師?」

 

「落ち着きなよ、今日の任務はズバリ! 刹那、君の里帰りさ」

 

 いきなり突拍子もないことを言い出す五条に、刹那は呆れ返りため息をつく。

 

「はぁ~…なんであの家に行かなきゃならないんですか?」

 

「おっと、違う違う君の実家。阿頼耶識家を見つけるのさ」

 

 刹那の苗字は阿頼耶識、だが叔父の苗字は別なものだったため、実家とは違うものだった。

 

「見つかったんですか?」

 

「君が見つけるんだよ、富士山の中枢に位置する森、通称、富士の樹海。実はここにはとある結界が張ってあってね」

 

「そんなもの五条先生の眼ならすぐ見つかるんじゃないですか?」

 

「ところがどっこいしょーいち!」

 

 刹那の問いに古臭い表現で反対する五条。

 

「僕の眼で見えるのは呪力や術式、でも刹那のその右眼には何が見えてる?」

 

「エネルギーや感情の色…ですね」

 

「ピンッポーン!そして君の術式、それは無くす、消すなどマイナスに働く術式だからとっても呪力そのものと相性がいい。これを君の家は利用したんだろうね」

 

「話が見えてこないんですが」

 

 点になることばかり話す五条にだんだんと苛立つ刹那だが、五条は話を続ける。

 

「刹那の苗字ってどこにも載ってなかったでしょ?」

 

「ネットや住民票にもありませんでしたけど」

 

「これに関しては()が役に立ってくれたね、阿頼耶識家は歴史、戸籍、術式、はては家そのものまでも消した。いや無くした、の方が正しいかな? んで、その結界は呪力すらも感知できないレベルなんだよねー」

 

「……」

 

 刹那は黙って五条の推察を聞く。

 

「まとめると、刹那の両親が亡くなって残った遺産目当てに何らかの方法で里帰りした彰は、君に遺産が相続されるから手続きをして遺産を強奪、その後に呪詛師を辞めて夜遊び三昧ってのが僕の予想だけど」

 

「…確かにそれなら辻褄が合いますね」

 

「でっしょー?」

 

 顎に手をあてて少し考えた後、やっと納得がいった刹那は五条の推察を受け入れる。

 

「とゆーわけで、結界は多分隠すことに特化した天元様の結界の形に近いんじゃないかと思うんだよね、だからとんでもなく見つけづらい。でも、君の眼なら視えるはずだ、結界によって発生する呪力に関係しないズレを」

 

「じゃあ、早く行きましょう」

 

 自らの生い立ちを知ることができるチャンスが手の届く位置にあるというのに、刹那は特段驚きもせず、右眼の眼帯を外し冷静に富士の樹海へと足を踏み入れた。

 

 ザッザッザッザッ

 

 二人の足跡が静寂を極めた森の中に響く。

 

「せーつーなー、あとどのくらーい?」

 

 30分ほど歩き。飽きたのか五条は子供のように刹那を急かす。

 

「もう少し待ってください、グルっと歩き回りましたけど、どうもエネルギーの流れがとある場所でおかしくなっています」

 

 五条に説明し終えるとその場所を見つけ足を止める。

 

「それが…ここ、ここです」

 

「OK、ここに結界があるんだね」

 

「えぇ、恐らくは。ですが結界を解除するには相当な──」

 

「よっし、虚式、茈」

 

 結界を発見したが、まともな解除方法を五条が選択するわけもなく膨大な力に身を任せ、歩いた分の鬱憤を晴らすかのように結界を破壊した。

 

 ギキュゥゥゥゥーン! ズドドドド!!! 

 

 結界と茈がぶつかり独特な音を立てながら結界は完全に壊され、その建造物は姿を現す。

 

 その姿は日本風の屋敷、あるいは豪邸とも表される外見をしたその建物は誰が見ても名家のものとわかるようなものだった。結界を無理矢理壊した五条を叱るより、その光景のほうが刹那にとっては重要だった。

 

「なんていうか、言葉を失いますね」

 

「僕は見慣れてるけどねー」

 

 五条は腐っても御三家、こんな屋敷は見慣れているのだろう。

 

「さて、どう? 実家を見た感想は」

 

「あんまり僕の家って実感ないですね」

 

「ま、そりゃそっか」

 

 家の玄関の前までま歩いていく。玄関前はインターホンなども設置されていない。そもそも客人が来るようには設計されていないから当たり前なのだが。

 

「お邪魔しまーす、いや、ただいま?」

 

「おっじゃまっしまーっす」

 

「いいね、こんだけ広い家なのに呪霊一体いない。結界が強力に作用していた証拠だ」

 

「どうします? 二手にでも別れますか?」

 

 二人は一応調査の名目で来ているため捜索を開始する。

 

「んーそうだね、じゃ僕二階に行ってくるから一階の大広間集合ね」

 

「了解です」

 

 落ち合う場所を決めそれぞれ捜査を開始する。

 

 刹那はなんとなく風が集まる場所、すなわち大きな部屋を目指して歩いていく。

 

「ここか…」

 

 大きな開きの障子を開けるとそこは居間と呼べる空間で中央に大きなテーブルが二つ並び端には座布団が数枚積み重なっている。棚の上には神仏があり、数枚の写真が棚の中に並んでいる。棚の写真に注目する。

 

「これの誰かが僕の親? …違う気がする」

 

 刹那は捜索のことなど正直頭に残っていなかった。というのも五条はおそらくこの場所に一度来ている。先程の集合場所の指定といい、いくらなんでも無茶苦茶な結界の破壊の仕方も、一度この場所に来ているからしたのだろう。

 

「五条先生は僕に何かを見つけさせようとしている?」

 

 次々と部屋を開けていく、ついに残った部屋は書斎らしき部屋。今まで入った部屋はどの部屋もドアや障子の掴み手に埃が被っていた。だが、この部屋だけその跡がない。

 

「ここ、か」

 

 意を決してドアを開ける。左右に大きな棚が一つずつ、正面には仕事をするための事務机とアイマスクを外し本を読みながら椅子に座る五条先生。

 

「やっぱり」

 

「あ、バレてた?」

 

 本を片手でパタンと閉じ、ニヤリと笑う。

 

「先生、一度ここに来てるんでしょう?」

 

「流石だね、なら僕が刹那に教えたいのはなんだと思う?」

 

 刹那は一度部屋を見回す。

 

「相伝の術式、それの指南書でしょうか」

 

「んー惜しいね、半分正解」

 

「半分?」

 

「それも目的の内なんだけどね、ほんとに刹那に見てもらいたいのはこっちさ」

 

 アイマスクをつけ椅子から立ち上がり、事務机を指差す。指された方を見ると地下へと続く扉があるのを見つける。

 

「何があるんです?」

 

「さあ?」

 

「見てないんですか?」

 

「ここ以外ぶっ飛ばしてもいいんなら見るよ?」

 

「封印の類ですか」

 

 どうやら、相伝の術式持ちでなければ開かないものらしい。五条が事務机をズラし、回り込んで地下の扉の前を挟んで五条の前に刹那が座る。

 

「よっと、て、うわわっ!」

 

 ガチャ

 

 簡単には開かないと思いかなり力をこめて扉を開けようとしたが、思いの外すんなりと開き尻もちをつく。

 

「おぉー開いた開いた」

 

「…最っ低」

 

 刹那はミニスカを履いているため五条に向かって意図せず下着を見せているような体勢になる。五条は視界が無いが、刹那の方を見てそう呟く。

 

「見えてないよ、それよりほら、早く降りな」

 

 不機嫌になりながら刹那は梯子を降りていく。地下はかなり埃っぽく、刹那は思わず顔を渋らせるが、五条は無下限で効かないためへらへらと普通に降りてくる。

 

 二人が梯子を降り終わると、廃坑のような直線の道にでる。

 

 がでる。

 

「五条先生、これって」

 

「…強力な術者は死後も利用される恐れがある、こういうことをする家ももちろんあるさ」

 

 充満する石と土の匂い、そして濃厚な死者の気配。おそらくこの先にあるのは先代たちの──墓。 




次の投稿は明日の12時頃です、個人的にこの辺は頑張ったんですけど振ればカラカラなるような空っぽの脳みそで考えたのでおかしなところがあると思いますが楽しんでいただけるようにがんばります。
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