全てを無くした少女に呪いを授ける   作:レガシィ

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すいません前回の前書きで嘘つきました、これの次からですね。
なるべく早く投稿します、本当に申し訳ございませんでした。


第九話 死者への報告

 この先にあるのは恐らく、先代たちの──墓、五条は立ち尽くす刹那に囁くように静かに話す。

 

「刹那、先代たちに…ご両親に見せてきなよ、立派な高校生になったよって」

 

 刹那は思わず駆け出す、決して死者に無礼を働かないように、けれど、少しでも早く着くため、足に力を込める。

 

 そして開けた場所に着く、刹那の眼前には無数の墓、それだけで語られていない歴史の重さ、長さを感じることができる。

 

 刹那はその場で一礼する。そして正座し、先代たちの墓に向かって報告を始める。

 

「、、、ご先祖様方、僕は、高校生になれました。色んな苦難はありましたが、無事にここまで生きれたのは、先代の加護があったお陰だと、なんの根拠もなくても僕は思います」

 

 目を瞑り静かに、けれど力強く報告する。

 

「友達もできました。現代最強の人が先生です、ちゃらんぽらんだけど頼りになる人です。これから一緒に学び舎を共にする仲間です。どうか、どうか、彼らのことも僕と一緒に見守ってください」

 

 刹那は決して悲しい顔をしないように奥歯を噛み締め、笑って、全てを報告した。後ろから追いついた五条が刹那に問いかけてくる。

 

「君の両親はどこかな?」

 

 刹那は立ち上がりその場所へと歩く。

 

「ここだと…思います」

 

 二つの墓の前に二本の刀が供えられている。

 

 五条はアイマスクを外し呪力の波を確認する。

 

「うん、そうみたいだね」

 

 そしてそのまま五条は二つの墓の前に座ると、一礼して五条も話し始める。

 

「挨拶が遅れて申し訳ない、刹那のご両親方。この度、彼女が通うことになった東京都立、呪術高等専門学校の教員、担任の五条悟です。あなた方はおそらく、生前はとても素晴らしい力を持つ呪術師だったのでしょう。あなた方が残した、完成された指南書や結界がそれを物語っている」

 

 刹那の両親への五条の挨拶を隣で刹那が静かに聞く。

 

「あなた方はきっと、閉塞された家の掟を破ってまで刹那に、外を見せたかったのだと私は解釈します。彼女には辛い事実かもしれませんが、恐らくそれを良しとしない家の関係者達と戦い、そしてここにいる」

 

 刹那も薄々気づいていたことが五条の推察と重なったことで確信めいたものへと変わる。

 

「でも、それは決して間違いでは無かった。彼女はいずれ、仲間達と共に日本を背負っていく呪術師へと成長する」

 

刹那は顔を手で覆い、その場に崩れ落ちる。

 

「…駄目じゃないか、顔を両親にしっかり見せなきゃ」

 

 五条が頭をぽんと叩くと涙に濡れた顔を墓石に必死に向け、挨拶を終わらせる。

 

「最強の僕が保証しますよ。…だから、せめて安らかにお眠りください」

 

五条は少しだけ笑い、そう言い放つと、静かに目を瞑り、深く安らかな眠りを祈る。

 

「全く、初めて会った時から泣き虫は変わんないねぇ刹那は」

 

「げほっ、だって、だっ"てぇ…!」

 

 涙でぐしゃぐしゃになった顔をみて五条は答える。

 

 今回ばかりはさすがの五条もからかう気になれないようでその姿を静かに見つめ、背中を擦る

 

「落ち着いたかい?」

 

「…はい」

 

「さて刹那、分かってると思うけど両親が亡くなったのをその目で確認した以上、君が阿頼耶識家の正式な当主だ。この家は君の物だし、呪具とかも結構ある、中には特級呪具もあるだろう。それを売れば君は遊んで暮らせるし、勿論それを誰も咎めない。その上で聞くよ…君はどうしたい?」

 

「…僕にとって、呪いは僕の人生そのもの…。お金も力も感情もない僕に呪いを教えてくれた…高専に行くか行かないか…?そんなの答えは決まってます。僕は、高専に行きます!」

 

 甘い蜜をちらつかせる五条に刹那は即答する。

 

「OK、いい返事だ」

 

「あと、この家の呪具は全部高専に寄付します」

 

「えっ? それは嬉しいけどいいの?」

 

「僕はそんなに武器たくさん使いませんし、構いませんよ。あっでも」

 

 そう言うと両親の墓の前に座り再び一礼して二本の刀を手に取る。

 

「これだけは僕が使います」

 

「なるほど、うん、それが良い。きっと両親もその方が喜ぶ」

 

 小太刀と大太刀の正体、それは

 

 特級呪具 小太刀、血吸 太刀 童子切 

 

 全く同じ鋼から作られた刀。天下五剣に数えられる刀の名前、国宝にも同じ名前の刀があるがそれとは別の阿頼耶識家に伝わる日本刀。

 

「さて、挨拶も済んだし呪具の回収はまた今度だ、上に戻ろう」

 

「はい」

 

 二人で来た道を戻っていく。

 

「にしても、僕が言うのもなんですけど、先生がお墓に話しかけるのなんて意外でした」

 

「…僕はいつでもロマンチストさ」

 

 アイマスクで見える場所が限られていてもその顔はニヤリと笑っているのが分かる。

 

 梯子を登り、相伝の術式の指南書と呪具を持ち、家の外へと出る。

 

 刹那は指南書を読みながら呪文を唱え再び結界を張る。

 

「えっと、"その全てを無に帰し、また忘れることなかれ。我命ずる、無と有の縁によりてこの世の境界を空白とすることを"」

 

 結界を張ると二人の眼の前からその屋敷は痕跡、姿を消す。

 

「よっしそれじゃあ」

 

「「任務だ!」「帰りましょう」」

 

 ………ん? 

 

 二人は顔を見合わせる。

 

「え、帰るんじゃないんですか?」

 

「なーに言ってんの、ここ富士の樹海だよ? 皆の恐怖が集まりやすいとこなの、元々その任務だよ?」

 

「聞いてないですよ!」

 

「あ、言ってなかったっけ?ゴッメーン★」

 

「はぁ…全く。それじゃあとっとと始めましょう」

 

 五条のいい加減具合に呆れながらツカツカと刹那は歩き出し、五条が後を追いかけるが刹那は突然止まる。

 

「どしたの?お腹でも痛くなった?」

 

「五条先生…ありがとうございました」

 

 五条に向かって振り返り、ぶっきらぼうにお礼を言う。五条はニヤリと笑い返事を返す。

 

「どういたしまして♪」

 

 結局、その後五条が監督しながら任務を終え高専へと戻るのだった。




個人的に頑張ったパート、五条先生こんなキャラだっけ?と自分で書いておきながら若干不思議に思っております。
なにか問題や誤字があれば教えて下さい。次の投稿はいつかな
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