黒光りするゲートを通った。
赤いカーペットは入口の扉の道標となり床に張り付いている。
本物のシルバーでできた取手に手をつけ引っ張ろうとしたその時。
???「ふえええええええ!!助けてくださああぁい!!」
叫び声が聞こえる。
舞園「な、なんですか!?」
舞園が驚いて左右を見渡す。
しかしそれらしき人間どころか人っ子1人いない。
苗木「きっと裏からだ!!」
苗木が裏口の方へと駆け出す。野生の勘だけは鋭い。舞園も慌てて追いかける。
黒服「おらっ!!早く車に乗りやがれ!!」
黒い服の男達がピンクのナース服を着た少女を
無理矢理車に乗せようとしてる所だった。
???「一生身体を売るなんて無理ですよォ!!」
黒服「うるせえ!!借金したお前が悪いんだろーが!!払えないなら身体で払ってもらおうかってやつだ!!」
男達の1人が乱暴に少女の服を掴む。
苗木「なんてえっちな展開だ!!」
苗木が興奮しながら壁の影から覗き込む。
黒服「ぐへへ~!!」
男がいやらしい声をあげる。
苗木「ぐへへ~!!」
ついでに苗木も声をあげる。
舞園が呆れたため息をつく。
???「ううっ……ぐすっ……ここで脱ぐんで許してくださぁい!!」
少女が上の服を脱ぎ始める。
黒服「おほっ、じゃあお楽しみは車で……。」
???「ええっ、助けてくれないんですかぁ!!脱ぎ損ですよぉ!!」
上半身下着姿で半べそでもうめちゃくちゃである。
苗木「どうしよう舞園さん!!あの子、攫われちゃうよ!!」
苗木が慌てふためく。舞園が冷静に答える。
舞園「ちょっとまってくださいね苗木くん、いい考えがあります。」
~1分後~
苗木「で、舞園さん。」
舞園「ん?なんですか?」
苗木「これのどこがいい考えなのおおおおおおお!?」
苗木は胸と局部にガムテープを貼っただけのほぼ全裸の姿でツッコミを入れる。
舞園「まあ落ちついてください苗木くんこの格好でアイツらの所にですね……。」
苗木「なんて事考えてんの!!」
舞園「ほら、あの子がもう攫われちゃいますよ。」
舞園が苗木のケツを蹴りあげる。
苗木「だあもう!!こうなりゃヤケだよ!!」
ヤケクソで苗木が男達の所にあられもない姿で飛び出していく。
苗木「は~っはっはっはっ!!」
苗木が男達に向かって荒ぶる鷹のポーズをとる。
黒服「なっ……なんだぁてめぇ……。」
男達も流石にたじろぐ。
苗木「我こそはぁ!さすらいのヒーロー
ダンガン仮面!!」
苗木「おほー!!!」
最早恥も人間性も捨て去ったポーズで男達に近寄る。
???「……ふええぇ。」
攫われかけてた女の子も流石に赤面している。
苗木「悪いヤツらめぇ、女の子を離すんだぁ!!自分がやってる事が恥ずかしくないのか!?」
黒服「お前が言うかっ!!」
黒服達が一斉にツッコミを入れる。
黒服「調子乗りやがってこの野郎。ぶっ殺して……や……る……。」
男達が1人、また1人と倒れる。
崩れ落ちる身体の後ろから鉄パイプを持ち、それで男達を殴った舞園が大笑いしながら歩みよってくる。
舞園「苗木くんっ、最高です、ブフォ!!」
苗木「ぶ、ぶっ殺す……。」
苗木と助けた少女はお互いに赤面しながら向き合う。
苗木「あっ、あのごめんね。今服着るから……。」
???「ありがとう……ございます……。」
少女が小さな声で、それでも真っ直ぐな声で感謝の言葉を投げかける。
苗木「当然の事をしたまでだよ、あはは……。」
苗木が服を着ながら答えた。
苗木「えっと……。君の名前は?」
ナース服をヒラヒラとさせ、くるりと一回転し可憐なポーズをキメ、少女が答える。
罪木「【罪木蜜柑】です!」
「苗木もしかして罪木さんも、九頭龍社長に?」
罪木「はい……。お金を返せなくなっちゃって、それでここでお金を増やせばチャラにしてくれるって言われて。」
舞園「本当に容赦ないですねあの人は……。」
舞園がため息をつく。
苗木「罪木さんもう1回僕達とお金を稼ごう!!」
罪木「い、いいんですか!?」
震える兎の様な目でこちらを見つめる彼女は苗木の庇護欲を掻き立ててしまったようだ。
苗木「大丈夫、2人で2000万なんてちょちょいのパーだって!!」
苗木「罪木さんにも10万あげるよ!!」
罪木「ふえぇ……ありがとうございます。」
苗木「いざ、カジノへGO!!」
新たな仲間も加わり苗木は自信満々で黒いドアを開けた。
~カジノエントランス~
スタッフ「いらっしゃいませー!!」
スタッフの大きな声がこだまする。まるでカモを餌で釣り上げる勢いで。
スタッフ「1モノクマチップそのまま1円になりまーす。」
苗木「はーい!!この90万ぜーんぶ換金で!!」
スタッフ「かしこまりましたー!!」
スタッフの顔が一瞬ニヤッとしたのは気のせいだろうか、まるでカジノの闇に溺れる人間を冷ややかに見送る目をしていた。
舞園「じゃあ私も換金します!!っても5万しかないけど。」
スタッフ「あのー、お客様、担保のほうは……。」
舞園「えっ!?担保が必要なんですか!?」
舞園がすっとんきょうな声で騒ぐ。
スタッフ「いや、一応自分自身を担保にもできますが。その場合負けた時心臓だけ海外旅行になります。」
舞園「ひええええ!!それだけは嫌ですぅ!!」
舞園「うーん、担保ですか……。あっ!!」
舞園「辺古山ペコって書いとけばいいんじゃないですか!?」
舞園が思いついたように拳を手のひらにポンっと置く。
苗木「ナイスアイディアだよ、舞園さん!!」
苗木「ついでに九頭龍冬彦とも書いておこう……。」
苗木「罪木さんも担保その人達でいい?」
「苗木あれ?罪木さん?」
ついさっきまでいた罪木がいない、急に不安になる。
苗木「トイレでもいってんのかなー。」
苗木が首を傾げる。周りを見渡してもそれらしい影はない。
~カジノ裏口~
罪木「ああ、あの、あの、はやくあれを早くくださぁい!!」
金髪「はいはい、いつものやつだろ?」
罪木「もももう我慢できませんよぉぉ早く早く早く早くぅ!!」
罪木の目は充血しヨダレを垂らし舌を出しまるで餌を待つ犬のように、金髪ピアスでいかにもヤンキー風の男に這いつくばっていた。
金髪「250g10万だぜ!!」
罪木「はいいいい!!払いますからぁ!早くおクスリくださいぃぃぃ!!」
近くでその光景を見ていた男2人が会話をしていた。
男1「あの女、昔は看護師だったらしいぜ。」
男2「ははっ、薬を扱う女がクスリで人生お終いってか!!そりゃ傑作だ!!」
苗木の前で見せていた罪木の表情はもう無い。
明らかに狂人の顔をしている。禁断症状に溺れた者の顔だ。
罪木「アアア……アアッ!!アアアアァァァァァァァ!!アヘアヘ♡」
カジノ2階の男子トイレで罪木はおくすりをキメていた。
罪木「あはっ、最高でしたぁ。また誰かからお金をもらっておクスリを買いましょう。次はもっといっぱい買えるように、誰かのお金でギャンブルをしましょう。」
ドンドンっとドアが鳴る、罪木は気づかずにドアを開ける。
桑田「うわっ!!へ?女!?」
男子トイレでキメていた罪木に出くわして驚いたのは、オレンジ色の髪をした男だった。
耳には無数のピアスが空いており、典型的なチャラ男である。
罪木「え、えっとですね……。これには深い訳がありましてですね。そんなんじゃなくて……。」
罪木がモジモジとした後にアタフタしだす。
桑田(やべぇぇぇぇ、この変態女、めっちゃ可愛いいいい!!)
桑田「えっと俺は【桑田怜恩】もし良かったら俺とデートしない?君の名前は?」
罪木「私は罪木って言いますぅ。お金が無くて困ってるんですよぉ。」
桑田「じゃあ罪木ちゃん。俺と一緒にお金を稼ごう!!罪木ちゃん正直可愛いし全然OKだぜ!!」
罪木「ふえぇ……。いいんですかぁ?ありがとうございますぅ♡」
桑田「じゃあ早速ポーカーでもやろうぜ!!」