20××年!トレセン学園はトレーナー不足に陥っていた!
主にうまぴょいとうまぴょいとうまぴょいのせいである!
愛が重バ場になったウマ娘たちにかなうわけもなかったのだ!
こうして毎年なんやかんやでトレーナーが
「危機ッ!たづな!面接の結果はどうだ⁉」
「・・・芳しくありませんね」
「嘆息ッ!重バ場耐性があると主張する者は、性的な目的で近づくものが多い!
そんな者をこの学園に入れさせるわけにはいかない・・・!」
「性的な目的でなくても、ちょっと問題ある人が多いんですよね・・・。
ウマ娘にトラウマ持っていたりとか、家庭問題があったりとか・・・。
そういった人ほど母性本能を持ったウマ娘にうまぴょいされかねません。
まあ、耐性がない人よりはマシなので結局採用してしまったんですが」
「うーむ・・・女性トレーナーはどうだ?」
「この前言ったじゃないですか。百合ぴょいされかねないって」
「本当に手詰まりかもしれないな・・・」
理事長は採用リストを見て、表情を曇らせる。
「・・・たづな、あともう一人採用できんか?」
「・・・」
「そうか、もう難しいか・・・」
「ええ、それでもかなり最大限の譲歩なんです」
「絶望ッ!練炭の準備をしたまえ!」
「たづなもご一緒させていただきます・・・」
その時、彼らに救いの糸が伸びてきた。
突如、空間がガラスのように割れて、一人の青年が飛び込んできたのだ。
時空の穴のようなものはすぐに塞がれたが、青年はそのまま残っていた。
「・・・あっ、すみません。すぐに出るので」
「採用ッ!君のようなガッツのある人材を求めていた!」
「理事長⁉確かに一人欲しいですけど、いくらなんでも突然・・・」
「もうこの際誰でもいいんだ!君、ウマ娘の育成に興味はないかね!」
すると、青年は首をかしげた。
「う・・・ま・・・娘?」
「驚愕ッ!ウマ娘を知らないとは!」
「理事長、登場からして、これ最近流行りの異世界モノなのでは⁉」
「僕、異世界モノもあまり知らないのですが・・・多分、そうかもしれません・・・」
「たづなっ!そういった知識は一般人の前ではあまり披露しないほうがいいぞ!」
さらに、今度は扉が激しく開かれる。
ドア<イタイケド、イキテルダケデモウケモノ
入ってきたのは、獣耳と尻尾の生えた少女だった。
彼女は箸と茶碗一杯のご飯を持っていた。
「ここから炭焼肉という単語が聞こえてきたぞ」
「炭しか合っていませんよ?あっ、これがウマ娘です」
「なるほど・・・見たところ、耳とかは飾りではなさそうですが・・・」
「ちゃんとつながっているぞ?」
そのウマ娘は茶碗と箸を理事長の机に置いて、青年に耳の付け根を見せた。
「本当に頭皮とつながっていますね・・・」
「ところで、たづなさん、この人は誰なんだ?」
「知らない人にいきなり頭皮見せるとは・・・。
その人はついさっき、時空間を突き破って現れた別世界の人です。
そういえば、いきなりだったので、お名前を聞いていませんでしたね」
「僕は芦田実といいます。突然来てしまい申し訳ありません」
「いえ、大丈夫ですよ。私は駿川たづなといいます。
このトレセン学園の理事長秘書を務めております」
「私が理事長の秋川やよいだ!」
そして、自己紹介をしていないのは、芦毛のウマ娘だけであった。
「・・・うん?次は私か。私はオグリキャップだ。オグリと呼んでくれ」
「オグリキャップさん・・・いい名前ですね・・・」
理事長が扇子を開く。そこには『提案』と書かれていた。
「さて、自己紹介が済んだところで・・・実青年!トレーナーになってみる気はないかね!」
「えっ、僕まだ高校生ですけど・・・まあ、この世界に高校というものがあるかわかりませんが」
「いや、普通にあるぞ?かくいう私も高等部だ」
「そうそう、それにオグリさんにはまだトレーナーがいないんです。
いえ、私もちょっと不安ですが、一見すると、人格的には問題なさそうですし・・・」
「そうはいっても、突然そんな役目を任されても、オグリさんが納得するか・・・。
というか、そういうのはちゃんとした手順を経たほうがいいのではないかと・・・」
「心配無用ッ!今から試験を受けてもらおう!
合格したならばオグリキャップのトレーナー!不合格でも見習いトレーナーだ!」
「それってどちらにせよトレーナーなのでは・・・?」
「要するに逃がさないってことですよ。もう私たちに後はないんですから」
「あの・・・僕、まだ本当に高校生なんで・・・」
「問答無用ッ!たづな、オグリキャップ!実青年を生徒会室に連れて行きたまえ!
トレーナー採用試験はそこで受けてもらう!結果を楽しみにしてるぞ!」
「えっ、本気ですか⁉ちょっと待ってください!うわああああ・・・・!」
三人が去った後の理事長室にアグネスタキオンが飛び込んでくる。
「理事長!たった今、ここで原因不明の次元歪曲を確認したのだが、大丈夫だったかい!」
「納得ッ!次元歪曲・・・なるほど、そういうことだったか!
・・・うん?今、原因不明と言ったか?」
「ああ、原因は不明だよ。高次元物理学の研究は最近始めたばかりだし・・・」
「謝罪ッ!君がやったわけではないようだ!心の中で疑ってすまない!」
「なぜ私が疑われなくちゃならないんだい⁉」
なお、芦田は普通にテストに合格してしまった。
それを見ていたたづなによると、すらすらと解いていたらしい。
テストの途中、彼はこう呟いていた。
「ここ、父さんの本でやったところですね」