とれーなーとおぐりのほのぼのびより   作:ryanzi

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ドッキリ大作戦大失敗!

「入院してください」

 

「はい」

 

そういうわけで、芦田は病院への入院が決定してしまった。

両腕の骨にひびが入っていたりとか、様々であった。

まあ、安静にしていれば治るとのことだった。

芦田のことなので、安静にしないだろうから入院措置が決まったが。

一方そのころ、トレセン学園では・・・。

 

「ばっくばっくばっくし~ん♪」

 

サクラバクシンオーのトレーナー、花山徹が上機嫌で歩いていた。

とくに理由はない。彼はいっつも上機嫌なのだ。

バクシンオーがレースで負けると、自分の無能さを呪って自殺しようとするが。

なお、そのたびにロープが急に千切れたり、毒が古くなってたりで失敗する。

 

「ドッキリですか!」

 

会議室の前を通ると、彼女の大きな声が聞こえてきた。

 

「こら、聞こえるぞ!」

 

ルドルフの叱咤する声。

 

「ご、ごめんなさーい!」

 

徹はこっそりと耳をすます。

 

「・・・ごほん、再度説明ッ!

今回はおもしろそ・・・もとい、トレーナーとの交流を兼ねてドッキリを仕掛ける!」

 

本音が聞こえたような気がしたが、気のせいだろう。

 

「もちろん、中には関係を壊しかねない内容もある!」

 

「えー・・・ボク、トレーナーと仲悪くなりたくないよー・・・」

 

「承知ッ!しかし、逆に考えればよい!雨降って地固まると!」

 

「なるほど・・・ボク、頑張ってみるよ!そして、カイチョーより先に・・・うへへ」

 

徹は心の中で古谷に合掌した。

 

「それでは、ドッキリ内容を配るので、一人ずつ来てくださいね~」

 

たづなの指示で一人ずつウマ娘が動く。

 

「なんと!私は契約解除ドッキリですか!」

 

バクシンオーの大声再び。

徹はそそくさとその場を離れる。

これは面白い。逆ドッキリを仕掛けられる。

なるほど、契約解除か・・・ならば、こちらからは特別移籍はどうだろうか?

 

(・・・うん?関係を壊しかねない?)

 

これは他のトレーナーにも知らせた方がいいかもしれない。

下手すれば、本当に関係が壊れてしまうかもしれない。

こうなっては理事長のせっかくのアイデアも台無しになってしまう。

こうして徹は先輩の英一郎に報告した。

英一郎はその報告を受け取ると、綾秀にも連絡した。

綾秀から、病院にいる芦田。芦田から金課。

ここまでは正確に伝わった。だが、ここで金課がふざけた。

彼はなんやかんやして、伝言ゲーム特有の不正確な伝達を実現しようとした。

そして、彼の次に受け取ったのは古谷だった。

子どもっぽい古谷はあっさりと金課の罠にはまった。

ここから、だんだんと情報の誤伝達が永遠に繰り返されていく。

だが、そんなことも露知らず、徹は特別移籍ドッキリの準備を考えていた。

 

「うーん・・・俺なんかより芦田のほうがいいって言うべきかな~」

 

だが、そのつぶやきが、彼自身を不安にさせた。

実際、そうなのでは?確かに育成は順調に進んでいる。

だが、こっぴどく負けることだってある。

もちろん、芦田の担当バのオグリだって負けることはある。

でも・・・これからの可能性に溢れているのは最若手の彼に違いない。

 

「・・・ごめんな、バクシンオー」

 

彼は慣れた手つきでロープを天井から吊るした。

バクシンオーがドッキリをかますために突入したときはもう首をかける直前だった。

彼女は慌てて彼を地面に押し倒す。

 

「・・・バクシンオー、悪いことは言わない。

その契約解除ドッキリを、今すぐ現実にするんだ。

俺にはもう、君をこれ以上成長させることができない・・・。

もう君は立派なスプリンターだ・・・。

それなのに、俺は・・・」

 

「トレーナーさん・・・知っていますよ。

私のために、1200mのレースで勝てば3600mのレースで勝ったのと同じだって嘘ついたこと」

 

「えっ?」

 

「何だって知っていますよ、トレーナーさんのこと。

芦田さんの記録を見て、ずっと羨望していたこと。

私が負けた日の夜に、自分の命を絶とうとしていたこと。

その度に学級委員長たる私が阻止してきましたが!

あと、立ち直るたびに私でそろぴょいしていたことも・・・。

そして、トレーナーさんの息遣いも足音だって・・・何だって知っています。

今日の極秘会議、こっそり聞いていましたよね?」

 

「・・・」

 

彼は思い知った。すべては彼女の掌の上だったのだと。

そして、再び自分を恥じた。

彼女に必死に隠そうとしていたことが、すべて彼女に知られていた。

もうトレーナー失格だ・・・。

 

「・・・でも、もう大丈夫ですよ。

トレーナーさんの抱えてたものは、これからは二人で一緒に抱えましょう!

どんなに重い荷物も、二人で協力して運べば軽くなりますよ!」

 

「・・・本当に俺みたいなやつでもいいのか?」

 

「ええ、もちろんですよ!

・・・でも、お仕置きが必要ですよね?

だって、私に今まで嘘をついて誤魔化してきたんですから!」

 

彼女は徹のシャツを破り捨てる。

 

「・・・っと、その前に他の子にも連絡しなくてはいけませんね!

トレーナーさんのことですから、他の人たちにも知らせちゃったはずです!

さて、そのことも含めてお仕置きするので覚悟してくださいね♡」

 

徹は抵抗しなかった。

素直に彼女の好意が嬉しかったのもある。

だが、それ以上に彼女にずっと辛い思いをさせてきた後悔の念からでもあった。

 

数分後・・・

 

連絡を受け取ったオグリは青筋を立てた。

押し倒しドッキリをするはずだった彼女は病院の前に立っていた。

だが、目を疑うような光景が広がっていたのだ。

病院の周りが完全にバリケードで囲まれていた。

入院していた他の患者たちが職員たちの優秀な指示のもとに避難していた。

だが、その中に芦田の姿はなかった。

 

「バ、バイオハザードです!」

 

もうすでに演技っぽかった。

 

「・・・院長、どういうことだ?」

 

「タキオンさんの薬やその他の薬によって、芦田トレーナーが突然変異を起こしました。

現在、患者の避難および芦田トレーナーの鎮圧が実行されていますが・・・もう限界です!

これ以上の被害を防ぐためには、彼を射殺するほかありません!」

 

冷静に考えると、もうドッキリだとわかるものだった。

そして、オグリは怒りながらも冷静だった。

 

「・・・アシダ、少し、頭冷やそうか」

 

そう言うや否や、オグリは病院に突入した。

そして、芦田の悲鳴が響き渡ったのはそれから数秒後のことだった。

彼の用意していた逆ドッキリ大成功!のプラカードは真っ二つに割られた。

こうしてウマ娘およびトレーナーからのドッキリは失敗に終わった。

だが、この騒動はここで終わらない・・・。

余談だが、誤伝達は最終的に「ウマ娘へのプロポーズ」というものに変わっていた。

これを真に受けたマチカネフクキタルのトレーナーはすぐに婚約指輪を購入した。

結果的にフクキタルの乙女心は「ドッキリ」させられたといえる。

こうしてトレセンでまた一組のカップルが誕生した。

 

めでたしめでたし・・・

 

「報告によると、全てのドッキリが失敗したようです・・・」

 

「激怒ッ!」

 

・・・つづく

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