とれーなーとおぐりのほのぼのびより   作:ryanzi

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ウマ娘の異常な発情またはいかにしてぐっすりと二人が眠っていたか 後編

校門前

 

 

 

「これはひどいでやんすね・・・」

 

「どうするですか、お兄ちゃん?」

 

「戦略的撤退でやんす」

 

「了解です。ボクもこんなズッコンバッコンに巻き込まれたくないです」

 

この特徴的な語尾の少年は川秋直秀。

あの秋川やよいの従兄弟である。付いてきているのは妹の川秋メル。

なお、戦略的撤退していなかったら、危うくやよいとインピオうまぴょいしていただろう。

まあ、作者と一部の読者諸賢には刺さったであろうが。

 

 

 

芦田の故郷?

 

 

 

「いやあ、まさか友達に会えるなんて・・・もう誰もいないものかと・・・」

 

「いえいえ、まさか先輩に再び会えると思いませんでしたよ!

・・・まさか足が透明になっているとは思いもしませんでしたが」

 

「多分、意識だけがこの世界に戻ってきたんでしょうね・・・。

あと、前から言っていますが、敬語でなくてもいいですよ」

 

「うっす」

 

芦田はようやく人に出会えた。それも、かつての後輩に。

だが、状況は異様であった。バリケードが作られているのだ。

 

「・・・ところで、やけに世紀末になっているんですが、何かあったんですか?」

 

「いや、ちょっとな・・・急に自殺する人が急増したというか・・・」

 

「ありゃま。僕の両親は・・・」

 

「ああ、大丈夫。元気にやってるよ。というか、この町を上手く切り盛りしてくれてる。

そうそう、今、二木市は二木町って名前が変わってるんだよ」

 

「えっ、町?ああ、そういうことですか・・・」

 

「そう、人がたくさん減ったからね。それも世界中で。

俺が昔いた神浜市なんてひどいもんだよ・・・もう死体の回収すら追いついてない」

 

 

 

校庭

 

 

 

「はあ・・・はあ・・・まだ追ってきてる!

やっぱり、こういうのって俺がちゃんと育成できてるかわかるな・・・」

 

「トレーナーくんの毎日のお弁当のおかげで、スタミナたっぷりあるからね」

 

綾秀は朝からずっと逃げていた。

そして、偶然にも一人のトレーナーと合流した。

 

「おっ、守埼じゃねえか」

 

「綾秀先輩!そっちも逃げてるんですね!」

 

守埼はハルウララを担当しているトレーナーである。

あと、ライスシャワーとマヤノトップガンも担当している。

 

「お兄様、待ってよ♡」

 

「マヤノ、わからせたい♡」

 

「追いかけっこ楽しいよー!」

 

当然、彼の担当バたちは追いかけてきているわけだ。

 

「当然、俺はまだうまぴょいなんてしたくないんです。

とくに、ライスはずっと一緒に育ってきた妹なんですから」

 

「お前、一人っ子じゃなかったっけ?」

 

「うるさい!俺はお兄様なんですよ!

・・・それはともかく、ウララはまともそうでよかったです。

あれは多分、追いかけっこしているだけのつもりでしょう」

 

「・・・そうだな」

 

綾秀はベテランだからこそ、わかっていた。

本性を隠しているだけで、もう立派な獣だった。

目を見ればわかるのだ。おそらく、自分が発情している理由も理解しているだろう。

ガスで自分が発情しているとわかっていながら、純情を装っているのだ。

・・・本当に、彼女はただ負けているだけなのだろうか。

そう考えるだけでも、背筋がぞくりとした。

 

「綾秀先輩、あんな場所に小屋が!」

 

「ドアも頑丈そうだ・・・!よし、あそこに逃げ込むぞ!」

 

「ぼくも一緒に入っていいか!これ以上、ネイチャに絞られたら死ぬ!」

 

こうして三人一緒に小屋に飛び込み、ドアをすぐに閉めた。

だが、やけに蒸し暑かった。そして、先客がいた。

睦月だ。あの、セイウンスカイのトレーナーだ。

彼は全裸だった。

 

「おや、綾秀先輩。バーニャにようこそっす。

スカイはさっきバテたので、外で寝かせているっす」

 

「ば、バーニャ?」

 

「ええ、ロシアの蒸し風呂っすよ」

 

「そうか・・・えっ、ぼくたちマズくない?

中は熱すぎて、外にはウマ娘たちが・・・」

 

睦月はにやっと笑う。

 

「ええ、ですから選択肢は一つだけっす」

 

 

 

芦田の部屋

 

 

 

すでにピンク色の空気は消えていた。

芦田はゆっくりと目を覚ます。

 

「・・・ギンさんと久しぶりに話せてよかったですね。

途中で覚めてしまいましたが、別れの挨拶もできました。

でも、ユナさんたちには会いたかったです・・・。

・・・自殺していないといいのですが・・・」

 

ふと、髪の違和感に気が付く。

なんか湿気を感じる上に、はむっとされてる感覚がするのだ。

横を見てみると、オグリが寝ながら髪をはむはむしていたのだ。

 

「・・・オグリさんったら」

 

そういえば、髪がかなり伸びている。

この世界に来てから、床屋にもあまり行っていなかった。

しばらくすると、彼女も目を覚ました。

 

「・・・おはようございます、オグリさん」

 

「・・・お、お、おはよう・・・」

 

さすがの彼女も恥ずかしくなったようだ。

とりあえず、二人とも顔を洗って、部屋の外に出る。

・・・トレセンは別の意味で世紀末になっていた。

もし、この表現が許されるならば・・・性紀末だ。

 

「何があったんでしょうか・・・???」

 

「さあ・・・?」

 

とりあえず、樋渡史とデジタルは通常運転のようだ。

むしろ、順調すぎて、顔が気持ち悪いことになっている。

 

「「うひひひひ・・・こんなにうまぴょいが見れるなんて・・・」」

 

「何かとんでもないことがあったようですね」

 

「みたいだな」

 

窓の外を見ると、小屋があった。

それは睦月が労働の合間に建てていた小屋だった。

 

「おや、バーニャじゃないですか。完成していたんですね」

 

「バーニャ?なんだそれは?おいしいのか?」

 

「使用すれば牛乳が美味しくなりますよ。蒸し風呂ですから」

 

風呂という単語に反応した尊死二人組は急いで校庭に向かった。

小屋の扉を吹き飛ばした彼らの目の前に広がった光景は・・・

 

 

バーニャ!!

 

 

・・・二人が別の意味で死んだのは言うまでもない。

なお、ガスの効果は切れていたので、小屋の中にいたトレーナーたちは安心して外に出られた。

理事長もなんとか冷静さを取り戻し、学園は平時に戻ったとさ。めでたしめでたし・・・。

 

「むう、タマちゃん探してたら効果が切れちゃいました・・・」

 

「そういえば金課くんもいないね・・・まあ、彼のことだから戻ってくるだろうけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

 

 

「・・・タマモ、言わなくてはいけないことがある」

 

「な、なんや・・・聞きとうないけど・・・」

 

「迷った。大都会だもん」

 

「嫌やー!こんな死体だらけの街で迷子になりとうなかったー!」

 

「俺だっていやだよ!病死体だと思ったら、全部自殺した感じだったし!

俺のせいじゃなくて安心したけど、こんなの逆に怖いよー!何があったんだよー⁉」

 

「いつになったら帰れるんやー!

このままだとトレーナーとこの死体しかない世界で永遠に・・・。

うん?アダムとイブもええかもな・・・」

 

「嫌だー!担当バがなんか変なこと考えだしたー!

早く帰りたいよー!課金したいよー!」


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