とれーなーとおぐりのほのぼのびより   作:ryanzi

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予防接種戦争だよ!全員観念しろ!(無慈悲)

「どこだ・・・アシダ・・・!」

 

オグリは必死に芦田を探していた。

だが、どこを探しても彼は見つからない。

ふと、外にある倉庫の方から足音と話し声が聞こえてきた。

その声の中には彼のものも含まれていた。

 

「・・・そこか!」

 

扉を吹き飛ばすと、そこにはうなじを抑えている芦田がいた。

さらによく見ると、隠し階段から多くのトレーナーが出てきていた。

彼らは全員、注射器を持っていた。

 

「オグリさん、予防接種の時間ですよ・・・」

 

「だ、大丈夫か⁉さっきの悲鳴は・・・!まさか・・・!」

 

「ええ、僕も予防接種を受けたんです。

複合同時ワクチンってもう少し痛みを抑えられないんですかね・・・」

 

「「えっ、痛みあったほうが面白いじゃん」」

 

このウマにして、このトレーナーである。

とにもかくにも芦田の無事を確認したオグリは袖をまくった。

トレーナーたちは驚愕した。こんなにも素直に接種させてくれるとは!

 

「・・・君が予防接種したというのに、私がやらないわけにはいかないからな」

 

「オグリさん・・・」

 

「早くやってくれ。私だって怖いんだ」

 

オグリの柔らかい肌に細く尖った針がぷすりと刺さる。

そして、抗体物質が体内に押し入れられていく。

そのプロセスの間にも彼女はプルプルと震えていた。

注射針を抜いて、絆創膏を張った時には彼女は涙目だった。

 

「いたかったよお、あしだ・・・」

 

「偉いですね、ちゃんと耐えて・・・」

 

よしよしと彼女の頭を芦田は撫でる。

それを見ていたものたちは静かに拍手した。

こっそりと見ていたアグネスデジタルは静かに倒れた。

その顔は実に晴れやかなものであった。

 

「・・・ところで、どうして芦田まで予防接種を?」

 

「いや、僕、別世界の出身ですから、この世界の病気に耐えられるかわからなかったんですよ」

 

「そうか・・・待て、その原理だと君が何か持ち込んでいてもおかしくは・・・」

 

「そこでこのワクチンの出番だ。今回は消毒物質だけだから安心してくれよ」

 

タキオンがオグリのうなじにぶすりと例の針を打つ。

彼女は必死に悲鳴を抑えながら、芦田の腕を掴む。

 

「・・・ひどいよお」

 

「オグリさん・・・お疲れ様です・・・ごめんなさい」

 

「いや、いいんだ・・・アシダは何も悪くない。この世界に来ただけなんだから・・・」

 

ふと、オグリはあることを思い出した。

 

「・・・なあ、こんな時にあれだが、君の世界にあった街ってカミハマと言ったよな?」

 

「ええ、神浜市ですけど・・・どうしたんですか急に?」

 

金課が急に冷や汗を流し始める。

 

「いや、タマモから聞いたんだが・・・この前、タマモのトレーナーが・・・」

 

瞬間、金課は走り出す。だが、倒れていたはずのデジタルが横スライドした。

彼女の脚に躓いて転んだ彼を、綾秀は見逃さなかった。

 

「ま、待ってくれ!あの断食の間に変な境地に達したせいで、そこに転移はしたのは確かだ!

でも、その街が別の世界のものだという証拠はないじゃないか!」

 

「・・・アシダによると、この世界にカミハマはなかったそうだ」

 

オグリのその言葉は死刑宣告となった。

 

「ご、誤解だ・・・そうだ!俺は横浜に行ったんだ!言い間違えたんだ!」

 

「お前とはいい友人だったよ。じゃあな」

 

「やめろ!やめてくれ!ぐわああああああ!」

 

金課、再起不能。

 

「・・・あと、タマモはお土産を食べさせられたそうだが」

 

「そうですか・・・そうなると・・・」

 

芦田が言いかけた瞬間、再起不能だった金課がゆっくりと立ち上がる。

 

「・・・そうか、俺にはまだ、復讐できる相手がいる」

 

静かに倒れたままのデジタルのキックが彼の頭に直撃する。

だが、彼は倒れなかった。それどころか、綾秀から注射器をひったくった。

 

「そういえば、俺にあれ食べさせやがったのはミタマという奴だったな・・・。

タマ・・・何か名前似てるからアレの代わりに復讐されてもらうぜ・・・ははははは!」

 

「あ、あいつ・・・何度も注射されて頭がおかしくなったのか」

 

さすがの綾秀もドン引きした。

なお、デジタルは専属トレーナーの青下場樋渡史(あおげばとうとし)に素直に注射された。

彼もまた尊死(とうとし)を目指して、トレーナーの門を叩いた人種だった。

そんな二人は恋愛は見る派なので、そういうこと(寿退社)にはならない。

 

「さて、僕も行かないと・・・」

 

既に他の者たちは電撃戦を展開していた。

次々とウマ娘たちの悲鳴が聞こえてくる。

たづなもやよいも参戦しているので、態勢を立て直すまでウマ娘たちになす術はない。

これで勝つる・・・と思ったのも束の間だった!

 

『こちら生徒会!生徒諸君!SK-クラス”予防接種シナリオ”が進行中だ!

素直に受けるものはそのままトレーナーたちのもとに向かえ!

だが、注射の痛みを憎むものは立ち上がれ!

そして、隙あらばトレーナーとうまぴょ・・・トレーナーたちを鎮圧せよ!』

 

エアグルーヴの声だった。

 

「・・・やっぱりすごい人だとは思っていましたがね」

 

テストを受けに生徒会室に行ったとき、彼は生徒会メンバーに会っていた。

一目彼女たちを見たとき、彼は危うくひれ伏しそうになったくらいだ。

だが、このままではまずい。ウマ娘たちの雄叫びが聞こえてきた。

というか、すでにエアグルーヴのトレーナーが戦意を失っている。

 

「・・・いえ、むしろこれはチャンスかもしれませんね」

 

「どうしたんだ?アシダ?」

 

彼は手帳に地面に地図といくつかの数式を書き込む。

それは、ここから生徒会室までどのくらいの距離と角度があるかの計算だった。

彼はエアグルーヴのトレーナーを掴むと、思いっきり投げた。

 

「先輩!ごめんなさい!でも、それで生徒会室まで直行ですよ!

それで隙を突いて、自分の担当バに針をぶっさしてください!」

 

「できるかこの野郎!やだー!死にたくなーい!」

 

「・・・アシダ、人間なのに力がすごいな」

 

「これでも、前の世界で鍛えられましたからね・・・」

 

こうして彼はそのまま生徒会室の窓まで高速で飛んでいく。

 

『・・・あー、トレーナーたち。接種をやめないようなら考えがある』

 

その時、また放送が始まった。

 

『君たちの担当バは既に寮および実家の合鍵を持っている。

これ以上の抵抗は君たちの家ええええがあああああああああああっ⁉』

 

『ぐ、グルーヴのうなじに注射針がっ⁉』

 

ナリタブライアンの驚く声だ。

 

「・・・ビンゴだったようですね。

ところで、オグリさんはさすがに合鍵とか持ってませんよね」

 

「当たり前だろう。まだ持ってない」

 

「・・・えっ?まだ?」

 

『やっ、やったー!グルーヴに注射できたぞ!

生徒会権限とやらのせいで何年もずっとできなかったけど・・・!

これで何かあっても病気にならずに済むぞ!よがっだあ・・・!

ずっと心配だったんだよお・・・もし病気になっちゃったらって・・・』

 

『な、泣くな!たわけ・・・すまなかった、お前の気持ちもわからずに逃げてしまって・・・』

 

『・・・私、どうすりゃいいんだ?』

 

ブライアンの困惑した声。

 

『・・・そうそう!芦田!覚えてろよ!

お前が俺をぶん投げたとき、すごく怖かったんだぞ!

この仕返しはいつかしてやるから覚えてろー!』

 

とにかく、これでウマ娘たちの士気を削ぐことには成功した。

この後はとんとん拍子、とまではいかなかったが、接種は成功した。

素直に受ける子も結構いたのもあったが、生徒会が陥落したのが大きかった。

こうして予防接種は無事に成功したといえる・・・。

事前に済ませていたはずのタマモが別の注射をされるハメになったが。

ちなみに、テイオーとルドルフとトレーナーは機動部隊に無事に捕縛された。

海に面した崖で修羅バ・・・ではなく、駄々をこね合っていたらしい。

その後は主治医に無事に注射された。

無論、トレーナー側に被害がなかったわけでもない(うまぴょいされた)

だが、芦田とエアグルーヴのトレーナーの活躍もあり、比較的軽微だった。

 

「褒美ッ!大事に使いたまえ!」

 

二人には特別報酬が支払われた。

 

「芦田、罰として半分没収な。本当に怖かったし、ガラス痛かったんだぞ・・・」

 

「はい、すいませんでした・・・」

 

「よし、これで新しいそろぴょい本を・・・」

 

「たわけ、没収だ。ほれ、返すぞ」

 

「あ、ありがとうございます・・・」

 

「あと、そろぴょい本と言ったか?少し話がある」

 

「ひゃ、ひゃい・・・」

 

「・・・たわけ♡」

 

エアグルーヴのトレーナーがどうなったかは誰も知らない・・・。

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