「ぬわああああああん!トレーナーくううううん!寂しいよおおおおおお!」
タキオンは実験室で一人ゴロゴロしていた。
彼女のトレーナーの綾秀が入院してしまったからだ。
弁当を届けてくれる人もいなければ、実験台になる人もいない。
それで彼女は抱き枕を抱えてゴロゴロしていたのだ。
そこにカフェが入ってきた。
「・・・はあ」
「入ってくるなり、何だい⁉その溜息は!」
「・・・」
「やめろおおお!私をそんな目で見るなああああ!」
「研究はどうしたんですか、恋愛クソザコナメクジウマ娘さん」
「ぎゃああああああ!」
「というか、看病しに行けばいいじゃないですか」
「・・・そのことなんだけどね、あちこちに聞いたんだよ」
「聞いたって?」
「トレーナーくんの入院してる病院をね。そしたら、バラバラの答えだったよ」
「・・・なるほど」
何かあってはいけないので、入院先は誤魔化されるのだ。
「それに、最近は仕事の依頼が減ってしまったし・・・」
「ああ、リベリアからの・・・」
「そう、リベリアからの仕事が減ってしまったんだ。
あのときは発情薬を作ってはがっぽがぽだったんだけどねえ」
リベリアは世界でも先駆けて政府ぐるみでトレーナーとウマ娘の恋愛を応援している国だ。
愛に応えようとしないトレーナーに"楽園送り"という刑が科されるくらい応援している。
まず、トレーナーをマダガスカルの砂丘に設置された高台から突き落とす。
遠くまで走ったのを確認した後、ウマ娘たちは自主的にタキオン印の発情薬を注射する。
それにより暴走した彼女たちは一直線にトレーナーをうまぴょいしに向かう。
ウマ娘より遅いトレーナーたちは結局そこで
それが"楽園送り"という刑の内容であった。
この意味がよくわからない刑はマダガスカル政府からの強い抗議で中止された。
そういうわけで、発情薬の需要は大きく失われてしまった。
なお、マダガスカルは最近まで人間とウマ娘が唯一共存できていない国家だった。
人間たちは三重の壁に囲まれてなんとか貞操という名の尊厳を維持していた。
・・・が、最近、リベリア政府からの刺客であるトレー(ライ)ナーによって扉が全部破られた。
既婚者には何の害もなかったが、独身者及び子供たちは食われた(意味深)
こうして束の間の楽園は無事に崩壊した。
「また、優良顧客を探さなきゃね・・・」
そこに、芦田が入ってくる。
・・・目の下のクマがとてつもないことになっていた。
「タキオンさん、僕が24時間働ける薬をください」
「うん、帰れ。そして寝ろ」
「じゃあ、僕が一日中オグリさんの面倒を見ていられる薬を・・・」
「同じだ同じ」
プスリ
「・・・代わりに、君の
それで健康になった君はオグリくんの面倒をちゃんと見れるはずだ」
「ええ、それがいいですね。あの視線が・・・悲しそうでしたから」
「ああ、例のね・・・」
♪~(ドラクエの宿屋の効果音)
「ぬわああああああん!トレーナーくううううん!寂しいよおおおおおお!」
「それ昨日も言ってましたよね?」
「あと八回ぐらい続けるつもりだからよろしく」
「どこの現実改変女子高生の夏休みですか?
何がとは言いませんが、そこまで内容がもちませんよ」
「ぶっちゃけ、本当にリベリアくんが何もやらかさないから暇なんだよね~」
つい最近までこの世界のリベリアは色々とはっちゃけていたのだ。
戦争のときに、敵の要塞に未婚のウマ娘を送り込んだり・・・。
それでなんやかんやで領土を着々と拡大していったのだ。アフリカ全土くらい。
なお、その時の強化薬やら睡眠薬やら発情薬やらは全部タキオン印だった。
ウマ娘の世界も決して平和というわけではないのだ。
「失礼する」
オグリがお腹をさすりながら入ってきた。
「失礼するなら帰ってくれ」
「食欲を抑える薬はないか?おっと、性欲に向かうとかそういうのはなしだ」
「あのトレーナーにして、このウマ娘ありか。
よく寝てればきっと太り気味は解消すると思うよ(適当)」
プスリ
♪~(ドラクエの宿屋のry)
「ぬわ」
バシャッとアイスコーヒーがタキオンの顔にかけられる。
「なにをするだー!パソコンで仕事中なんだぞ!」
「そろそろ飽きられますよ。というか、病院特定しに行こうという気はないんですか?」
「夜にこっそり会いに行ったよ。そしたら、病院の入口で緑の悪魔が待ち構えてた」
「それはざ・・・ご愁傷様ですね」
「今、ざまあと言おうとしなかった?」
「そんなことより、仕事とは珍しいですね」
「・・・まあ、今度はマダガスカルの方からね」
「へえ、どんな仕事ですか?」
「この前、複合同時ワクチン作っただろ?あれの治療薬バージョンさ。
壁を解体したのはいいものの、どっさりアスベストが含まれていてね」
「あらま」
「しかも、地下都市やら下水の未発達やらで最悪なレベルさ。
だって、どういうわけか壁内が近世ドイツとかいうふざけた状況だったし」
「それはそれは・・・ご愁傷さまで」
「しかも、解体した影響でアスベストがアフリカ中に蔓延したし・・・」
なお、余談だがリベリアはそれにより獲得した領土の大半を放棄した。
アスベスト塗れの土地で再びかつての独立国家が復活していったのは別の話。
「とりあえず、データを色々な場所に送らないと・・・。
さすがに今回は需要がたくさんすぎるから私一人では無理だ。
それに、ようやくいい優良顧客が手に入ったから頑張らないとね」
「どんな顧客ですか?」
「確かマナによる慈善なんとか・・・」
その時、芦田とオグリの二人が入ってきた。
「おや、今度はずっと二人一緒にいられて食欲を抑えることのできる薬か?」
「いえいえ、この前のお礼です。お弁当を一緒に作ったんです」
「ほう、ありがたいね・・・最近、お弁当を食べた覚えがなかったから・・・」
(タキオンさん・・・)
(・・・何だい?)
(例の視線をまた感じました)
(ああ、今度はどんなだい?)
(憐れむような感情を感じます。
そして、それがなぜか私たちに・・・)
(はあ?)
「あっ、これ以上お時間取らせてはあれなので、そろそろ出ますね」
「ありがとう、タキオン。さあ、アシダ、余ってしまった料理を食べよう」
「ええ、そうですね。作りすぎちゃいましたから・・・」
こうして二人は出ていった。
「・・・カフェ、君にあげるよ」
「いやいや、あなたが食べるべきですよ」
「「・・・」」
二人は覚悟を決めた。
二人で一緒に弁当包みを開けた。
♪~(呪いの装備)
「えっ、これ呪い扱いなのかい?」
「捨てたほうがいいかもしれませんね」
それをすてるなんてとんでもない!
「・・・覚悟を決めるしかなさそうだね」
「ええ、あなたと友達でいられて、まあまあ楽しかったです・・・」
弁当箱を開けると、中は普通においしそうだった。
そして、いい匂いもした。食欲がそそられる。
「なんだ、杞憂だったみたいだね」
「そうみたいですね」
♪~(全滅)
「主治医さん、どうしてオグリさんは倒れたんですか⁉」
「メシマズです」
余談だが、この世界でもタキオンの新しい優良顧客はエチオピアでやらかした。
エチオピア国民はキレていいと思う。
おまけ
タマモ「ウチのトレーナーに睡眠薬打ち込んでほしいんや」
タキオン「なるほど、寝てれば課金できないな!」
金課「HA☆NA☆SE」
プスリ
♪~(ドラクエの宿屋のry)
タマモ「寝ながらスマホゲーしとったわ・・・」
タキオン「そうだね・・・」
金課「あれ?なんか勝手にストーリー進んでる⁉もしかしてアカウント乗っ取り⁉」