ジェダイ・ナイト アソーカの相棒は………爆豪!? 作:ナナシのG愛好家
《 Side 爆轟》
「何だこりゃ…………。」
爆発のあったショッピングモールへ向かった俺は…………あまりの惨状にそう言葉を漏らした。
そこに広がっていたのは、クソみてぇに悍ましい黒いヘドロみたいなやつが大暴れして、火の海になった商店街だった。
「あ、アイツは…………」
俺に襲い掛かってきた。でも、オールマイトが……まさか、俺がしがみついたあの時に!?
あたりを見舞わしゃ、ヒーローは巨体が邪魔して通れなかったり、野次馬の統制だったり、流動系のせいで自慢の拘束技が刺さらなかったり、商家で手一杯だったり、この商店街にヘドロ野郎をとどめとくのが限界だ…………。
あたりを見回して、ヘドロ野郎にもう一回目を向けた時だった。
「ッ!?」
一瞬、白と紺の縞の触覚みたいな物が、ヘドロ野郎から見えた。見間違えるはずはねぇ。あれは…………
「クソがっ!!」
そう毒づいて、俺は走った。人ごみをかき分けて、野次馬の統制をしてる、割かし有名なヒーロー、デスデゴロがいる最前列まで、来た。その瞬間、
「危ない!!」
という声とともに、デスデゴロが、飛んできた赤い斬撃みたいなものを防いだ。アレは…………間違いねぇ。
「アソーカッ!!」
ヘドロ野郎の中にいたのは、ウチの制服を着たアソーカだった。口をふさがれてんのか、苦しそうな表情をしてやがる。確かあれ、幼稚園の頃にアイツが見せた、【念力】の技…………いや、確か本来の個性、だったな。あれを出すってこたぁ、【念力】を使える平常心を保ててねぇってことだ。野郎…………いきなりの襲撃で口ふさがれたパニクってやがる…………。いったいどうすりゃいい…………
待て。今、俺はなんて考えた?
「クソがぁ…………!!」
何で、俺の頭は考えるのをやめねぇんだ!! 無駄だ、出来っこねぇ、そう頭で叫んでんのに、何で、俺の心は、助けなきゃって叫び続ける!!
俺には無理だ、出来ねぇんだ。諦めろや…………爆轟勝己!! お前は、アイツになったんだ。無個性の、何もできねぇ、雑魚デクに!! 俺は、俺は…………!!
「(助けねぇと…………。)」
そう思った時だった。俺の目の前が、突如として真っ暗なになる。ような気がした。俺がいたのは、さっきの、ヘドロ野郎に襲われた…………オールマイトと話したビル。柵を超えた先に、デクがいる。
「デクッ!!」
そう言い手を伸ばそうとした俺の目の前で、アイツは飛び降りた。
「(そうだ…………俺は、デクを救えなかった。オバサンの為だとか、アイツの為だとか勝手なこと言って、俺は、何一つ、アイツの為になってなかった。勝手な理由で、アイツを苦しめてた。)」
俺の心の中で、そう、俺の声がこだまする。そうだ。俺は、アイツを助けられなかった。
「(諦めろよ、爆轟勝己、お前は救えない。お前じゃ救えない。黙ってみてろ。ずっとデクに言ってたみたいによ。)」
俺の心の中で、そう声がこだまする。そうだ。今の俺は、個性も使えねぇんだ。すぐ応援のヒーローが来るにきまってる。
「ん~~~っ!!」
そんな時、アイツの声が聞こえた。苦しそうな声が。ヘドロの中から必死で逃れようとして、ガキの頃からめったに見せねぇ涙面で、一瞬、俺と目が、合った気がした。
―――助けて―――
「ッ!!」
幻聴だ。アイツは一切声を出してねぇ。デスデゴロや、野次馬どもにも聞こえちゃいねぇ。でも、アイツの目は、確かに、そう言った気がした。
「クソが…………」
あんな目ぇされたら、いや。違うだろ。
ふざけてんじぇねぇぞ爆轟勝己!! テメェはいつから、ダチがピンチの時に、他人に任せて傍観してるようなザコに成り下がりやがった!! 個性が無くなろうと、あの気持ちは…………俺が、デクが、アイツが、志したあの時の思いは、消えてねぇだろ!!
「おい!! 危ないぞ!!」
気が付いたら俺は、走り出してた。デスデゴロの制止も振り切って、ただ、カバンを右手にまっすぐ走っていた。
「ん? なんだオマエ…………?」
ヘドロ野郎が、俺の存在に気が付きやがった。覚えてねぇか、なら、
「思い出させてやるよクソ野郎!!」
思いっきりカバンをぶん投げる。狙うは目ン玉!!
「がっ!?」
カバンがクリーンヒットしてクソヘドロ野郎苦しんでる隙にアソーカの元まで突っ走る。
「ちょっ!? 爆轟!? アンタ何で…………【爆破】使えないんでしょ!?」
「知るか!!」
アソーカの口元のヘドロを拭ってやったら説教が飛んできやがった。この野郎。文句は後だ!!
「知るかって…………ヒーローに任せればいいじゃない!!」
「るせぇ!! テメェが助けを求めるような目ェしてんのが悪いんだよ!! ダチが生きるか死ぬかの状況で、ヒーローなんぞに任せて高みの見物決め込めるか!!」
必死でアソーカをヘドロからかき出す。その時だった。
「逃げっぞ!!」
「…………この野郎!! 逃がすかよ!!」
片目を真っ赤にしたヘドロ野郎が、そう声を上げて。俺たちをまとめて包み込もうとしてきやがった。
「ッ!!」
「このっ!!」
アソーカが個性を使おうとするが、間に合わ…………。
「…………あ?」
「え?」
思わず俺は目をつぶった。だが、いつまでたっても、息をふさがれる感覚も、ヘドロがまとわりつく気色悪ィ感覚も来やしねぇ。一体…………
「「ッ!?」」
そして、俺たちが見たのは、オールマイトだった。
「私としたことが……限界を言い訳にして…………目の前の危機を言い訳に、日和ってしまっていた!!」
ヘドロから俺たちを、そのマッスルボディーで守っていたオールマイトは、そう声を出す。俺の脳裏に、あのケガがよぎった。まさか…………マジの限界なのか? それなのに、俺たちを守るために?
「君のような子供に口でだけ言っておいて、命を張らせてしまうとはふがいない!!」
ヘドロヴィランに向け、踏み込む。
「プロはいつだって…………命がけ!!」
狙いは地面。
「DETROIT SMASH!!」
すさまじい風圧が、地面をえぐり、そのまま上にかっ飛ぶ。それに乗せられて、ヘドロヴィランは声を上げる暇なくブッ飛んで行った。
ポツ…………。
「雨?」
野次馬の一人がそう声を上げる。
「……ウソだろ…………パンチ一発で、気候を変えやがった!!」
その言葉に、周囲がワッと沸いた。さすがオールマイトだと、一気に集まってくる。俺たちは、揉みくちゃにされた。
_______________________________________
《Side 爆轟》
疲れた…………。
もみくちゃにされた後、オールマイトはどっかに行っちまった。アソーカはすごい個性だとほめたたえられ、俺は、なぜ出たんだと叱られた。それはもう、メチャクチャに。
「限界だな。あれが。」
あんなザコ相手に、みっともなく足掻くことしか出来ない。それが、俺の限界だった。
「やっぱ、無個性にヒーローなんて…………。」
「限界を決めてしまうのかい?」
弱音を吐いた俺に、ふと、声がした。
「ア?」
「わ~た~し~が~」
こ、この声は…………
「来たー!! ゲフッ!!」
「オールマイト!?」
出てきたのは、オールマイトだった。ガリガリの。だが、俺の声に通りかかったカップルが反応した。
「え!? オールマイト!?」
「どこどこ!?」
その姿にオールマイトは顔を青ざめ、俺に近づいて小声で耳打ちした。
「repeat after me!! 人違いでした!!」
「人違いでした!!」
有無を言わさぬ現役の必至な顔に、思わずリピートしてしまった。因みにそのバカップルは、
「なんだ、人違いか~。」
と、歩き去っていった。バカで助かったな。
「こ、コホン。」
気を取り直すためか、オールマイトが咳払いをする。
「さっきも言ったが少年、限界を決めてしまうのか?」
「どういう意味だよ。」
限界を決める、だぁ?
「それが限界。先ほどの弱音、聞こえたぞ?」
「…………悪ィかよ。あの時は、無我夢中で助けに飛び込んだ、だが、アレが現実だ!!
「ああ。君が、何かとてつもなく重いものを背負っていることは分かったよ。その重みが分かるとか、軽いことを言うつもりはない。だが、さらにその先に行く術が、限界を超える手段があるとしたら?」
「…………どういう意味だ?」
「私の、個性の話をしよう。」
「…………個性だァ?」
確かに、どんな個性なのか謎だが…………。
「突拍子もないことを言うだろうがね、私の個性は、聖火の如く、代々受け継がれてきた物なんだよ!!」
「…………は?」
どういう、ことだ? 受け継ぐ? もしかして、個性をか?
「超常黎明期と呼ばれた時代より、悪を打ち払うために代々受け継がれてきた個性。それが、私の個性、ワン・フォー・オールだ。」
「…………ワン・フォー・オール?」
「君に話した通り、私の体はもう限界だ。だから、私はこの力の後継者を探していた。」
「…………なんで俺なんだよ?」
「何で、とは?」
「俺は、クズだ。あんたにみっともなくしがみ付いて余計な被害を出した。ダチの為だとか言って、アイツを追い詰めた!! 俺に、アンタの力なんてたいそうなものを継がせる理由が、どこにあるんだ!?」
それこそ、雄英になら、名だたる実力者が集まるだろうが。
「理由なら、あるさ。」
「どこに!?」
「そこだ。」
オールマイトが指さしたのは、俺の胸。
「君は、そのダチという子の為を何よりも想い、誰よりも後悔をしている。それは君が優しいからだ。」
「ッ!? 何を…………。」
「本当のクズなら、自分から自分の事をクズとは言わない。自分の罪を自覚する。それは簡単そうに見えて、とてつもなく難しいことさ。」
「…………。」
「それに、君はあの時、彼女が襲われてた時、まっすぐ進んでったよね? 愚直に、ただ、彼女を助けるために。」
「それがどうした!!」
「簡単さ。 有名なヒーローとなったものは、学生時代から逸話を残している。そんな彼らの大半は、こう言うのさ。『考えるより先に、体が動いていた。』とね。」
「…………それって、」
「いざって時に、自分の命を懸けられる勇気、覚悟、その気持ちこそが、ヒーローになる条件だ。君は、それを満たしている。君は、」
俺は…………もしかしたら、ずっと、認めてくれる奴を探してたのかもしれない。
幼馴染を苛め抜いた挙句、自殺にまで追い込んだクソ野郎。
無個性になった、落ちた天才。
そんな周りの意見に、いつの間にか過敏になってたんだろうな。
俺の親は、アソーカは、アイツらは、俺をそんな風に攻め立てる奴らじゃなかったのに、知らず知らずのうちに、恐れて、跳ねのけてた。
これは勝手なエゴかもしれねぇ。ただただ、理想の何かを求めてただけなのかもしれねぇ。でも、今、その理想が、夢が、現実になろうとしていた。
「ヒーローに、なれる。」
「ッ―――!!」
俺は、その言葉にならないような、かすれた鳴き声で、うずくまって泣いていた。夕日を背にして放たれた、
_______________________________________
《No Side》
その言葉を、角の路地で、アソーカは聞いていた。
「せっかくだから、助けてくれた礼にクッキー片手に励ましてやろうと思ったのに。」
と、手作りのクッキー入りの紙袋を片手に持ちながら、そう言い、唇を尖らせる。
「ズルいなぁ。オールマイトは。私にできなかったことを、平然とやってのけるんだから。」
ま、そこに痺れるし憧れるんだけどねぇ。とつぶやいてから、
「でも、ちょっとだけ……ううん、かなり、」
ポツリと、彼女の頬を伝った液体が、地面に落ちた。
「悔しいなぁ。」
アソーカは知らない。自分がいわゆる、恋する乙女の顔をしていたことを。
はい、キャラ崩壊かもしれませんが、この作品のアソーカは、爆轟に淡い思いを抱いています。
理由としては、前世ではジェダイのパダワンとして、恋とは無縁の子供、青春時代を過ごしたおかげで、幼馴染という存在を初めて前にし、恋心を抱いていました。
今回の事は、爆轟の心の中の鎖の第一層を断ち切る。というのは大まかな出来事です。
まだ、表面だけです、彼が抱える闇は、デクの死をもってかなり深くなっています。オールマイトが拭えるのは、表面だけです。
辛気臭くなったので次回予告。
オールマイトに言われて、ワン・フォー・オール習得のための修行を始めることになった。
厳しい練習の真っ最中の俺の前に現れたのは…………誰だ? こいつは。
次回【水色の髪の来訪者~day break front line】
次回もお楽しみに!!