ジェダイ・ナイト アソーカの相棒は………爆豪!? 作:ナナシのG愛好家
爆轟の住む町にある臨海公園。
この場所は、流れ着いてくるゴミに乗じて粗大ごみなどを捨てる人々のせいで、埋め立て地のようになってしまっている。
ごみの種類が多すぎて、業者もお手上げな魔境だ。
そんな魔境で、爆豪勝己は一人、そんなゴミたちの掃除に励んでいた。
「ハァッ、ハァッ…………!!」
大型の冷蔵庫を、粗大ごみの位置まで引っ張り、息を荒げる爆轟。
「ば~くご~♪」
「……アソーカか。」
そんな爆豪に陽気な声で声をかけたアソーカに、爆豪はそっけない返事を返す。
「お疲れ様。はいコレ。」
「おう。…………悪いな。」
と、手渡されたスポーツドリンクを手に取ってから礼を言うと、
「あら? 少し素直になったんじゃないの?」
「うるせぇ!!」
と、ニヤけた笑みでそう言ってくるアソーカ。それに怒鳴り返す爆豪に、やっぱ変わってないか。と、おどけるアソーカ。
「はじめとみると、だいぶ片付いたんじゃない? ま、まだまだヒドイけど。」
「まぁな…。」
爆豪の脳裏に、オールマイトの忠告がよぎる。
『できれば今すぐにでも私の個性を渡して体に慣れさせたいが、まだ早い。体が弱いと、個性に耐え切れず獅子が爆発四散するからね。』
君はもともと鍛えているから爆発四散はしないだろうけど…………と、前置きしてから、
『まだ、私の個性を受け継ぐには早い。それまでに体を徹底的に鍛えること!!』
として、この臨海公園のゴミを整理し、片付けるように言われたのだ。重いものはロープを利用して引きずる。小さいゴミは分別してビニールに入れてダッシュで運ぶ。移動は駆け足。そういう動きで体を鍛えるメニューだ。そして、
『無理はしないこと!! 体を壊してしまっては元も子もないのは分かるだろう?』
と、適度な休憩と水分補給を忘れないように、また、無理して大量の荷物を持ち運ばないようにくぎを刺されていた。
「大変ね。」
「ああ。だけど、やんねぇと前に進めねぇ。」
「前に進む…………か。」
そうボヤく爆豪に、アソーカはそう返す。
「やっぱり、緑谷の事が?」
「……ああ。」
「アンタ、見かけによらず優しいもんね。」
「アァ!?」
睨む爆豪だったが、
「知ってるのよ。あんたが誰よりも後悔してて、アンタが誰よりも努力してること。」
オールマイトの話も聞いてたんだしさ。と、アソーカはそういう。爆豪は気恥ずかしそうに、
「きめェ。ストーカーかよ。」
「照れ隠し。」
ニヤニヤとしながらそういうアソーカに、うるせぇ!! と返してから、爆豪は休憩は終わりだと、次のゴミを片付けに走った。
「まったく、素直じゃないんだから。」
あの日から、爆豪は学校に行かなくなった。勉強は問題ない。母に似たのか、母親も頭はよかったし、爆豪の父も勉強を教えるのは得意だった。テスト用紙を持って帰れば、しっかり点数を取れるほどだ。
あの日から、トレーニングに明け暮れている。
「一度決めたら曲げない奴だからね。」
そう呟いて、彼女は、心の中で爆豪の応援を続けるのだ。
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《数日後》
「じゃ、私はコレで!! またな、爆豪少年!!」
そう言って去っていくオールマイト。いいペースだとほめられたが、あまり学校に行かないのは感心しないと小言を言われてしまった。
「って、言われてもよ。」
正直、彼としては負けを認めているみたいで癪なのだが、嫌がらせがあり、イジメの主犯と言うレッテルから多少の嫌がらせを黙認している教師もいる。そんな環境で勉強するより自宅学習の方が合理的なのだ。
「…………もうひと頑張りしてから帰るか。」
そう考えて、爆豪は走り出した。
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「ゼェッ……ハァッ!!」
重いタイヤを引きずり終え、今日の分を達成した爆豪だったが、少しペースをオーバーしてしまい、砂浜に倒れこんでいた。そんな彼に、
「へ~。ずいぶんとキレイになったな~。」
と、声をかける者がいた。
「アン? 誰だオメェ。」
爆豪が睨みつけた先にいた男は、一言で表すのなら、異様だった。
黒のロングコート、にポケットの多めな黒ずくめの衣服。右の口元にホクロがあり、病んだような視線と乾いてひび割れた肌からは、不審者、という印象がひしひしと伝わってくる。
「ただの通りすがりだよ。」
と、言う彼の声には、どことなく闇のような物が感じられる。
「……ンな訳ねぇだろ。ここをどこだと思ってやがる。」
よろよろと立ち上がる爆豪。
「……お前が毎日ここのゴミ掃除をしてんのは知ってるよ。なぁ、何のためにやってんの? こんなトレーニング、自分でやろうとは思わねぇだろ?」
「関係ねぇだろ。」
男の問いに、爆豪はそっぽを向いて答える。
「なるほどね。なぁ、大変だろ? ちょっと手伝ってやろうか?」
「は?」
男の言葉に、爆豪は顔をしかめる。彼の体格はコート越しに分かるがお世辞にも筋肉質には見えない。
どちらかと言うとネクラな引きこもりがたまたま外を散歩しているといったような風体だ。そんな男に手伝いができるとは思えないが、
「俺の個性。なかなか凶悪でね。」
そう言って、地面に落ちている石を一つ、親指と人差し指と中指でつまみ上げる。
そして、小指と薬指も一緒に触れると、石はボロボロと崩れ去って小さな粉になってしまった。
「ッ!!」
「俺の五本の指で触れたものはこの通り。」
何時もは指出しグローブとかつけてんだけどさ。と言い、
「どうだ? デカいのを十個くらい、パパっと片付けてやるよ。」
悪い話じゃねぇだろう? と、爆豪に声をかける。だが、彼の答えは決まっていた。
「るせぇ。居るかよそんなモン。」
「へぇ、」
「これは俺がやらなきゃいけねぇんだ。お前、トレーニングだって気が付いてんだろ? だったら俺がやらなきゃ意味がねぇ。いや、俺が、俺だけが、俺だけでこれを成し遂げることに意味があんだよ。部外者が邪魔すんな。」
「言葉がきついねぇ。」
と、苦笑して、
「じゃ、そういう事にしておくよ。せいぜい頑張れヒーロー志望。」
と言って歩き去っていこうとする。
「待てや。」
「ん? まだ何かあんの?」
「テメェは俺のやっていることをトレーニングだと一発で見抜いただけじゃねぇ。俺のことをヒーロー志望っつったり、何もんだ?」
睨む爆豪。それに、男は、
「ただ、見たかっただけだよ。お婆ちゃんの【個性】を受け継ぐ人間が、どんな存在なのか。」
「お婆ちゃん? もしかしてテメェ!!」
「じゃーな。また逢う日まで。」
そう言うと彼は爆豪の言葉に答えることなく彼に背を向けて、手を振ってから歩き去っていった。
「……何だったんだよ。」
そうボヤいた爆豪は、もう少し休憩してから、帰ることにした。
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先ほどの男は、臨海公園を出て、少し行った先にあるビル街の路地裏に入っていく。
「て~ん~こ~♪」
「……華ちゃん。もう子供じゃないんだし、放してよ」
「えへへ~」
そして、飛びついてきた少女に、そう声をかける。
「別にいいじゃない。と言うか、私達まだ15歳でしょ? 中学生でしょ? 子供じゃん。」
それに私軽いし~。という彼女に、そういう意味じゃない……と疲れた声を出す男。
「で? どうだったの?」
「……俺に似てたよ」
「え~? どこが~?」
「目」
「目?」
「目が、俺に似ていた。あの目は後悔してるやつの目だ。どうしようもない後悔の。」
「あ~」
理解した。と言うような表情の少女。
「で? 今日はもう帰るの?」
「帰る。」
「そっか。じゃ、帰ろっか。転弧」
「そうだね。華ちゃん。」
そう言い、二人は静かに路地裏を歩いて行った。
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《二月 雄英入試一週間前》
「タノ少女、どうしたんだね? 分かっていると思うが私は、」
「爆豪の様子、見に行くんでしょ? もう少し待ってよ」
話したいこともあるし、と、
「話したい事…………か。何だい?」
「この間、爆豪の所にお客さんが来たらしいのよ」
「お客さん?」
「ええ。水色の髪で、爆豪曰く、『クソ湿気たツラの男』らしいんだけど、ワン・フォー・オールの事を知ってそうだったとか。しかも、爆豪を試すようなことをしたんだって。オールマイト誰だか知ってるの?」
「ッ!! ……そうか。あの子がそんなことを」
「あの子?」
オールマイトの言葉にアソーカは首をかしげる。
「悪いが、彼のことはまだ話せない。ただ、近いうちに会うだろうということだけ言っておこう。」
「そ。まぁいいわ。」
と、アソーカはため息を付いて了承した。
「で、もういいのかい?」
「ええ。もう大丈夫だと思うわ。」
そう言われたので向かった先で、オールマイトは目を見張った。
「なるほど、だから待っていてほしかったのか。」
爆豪は、吼えていた。綺麗に分別され、片付けられたゴミの山の上で、吼えていた。おそらくだが、つい先ほど、終わったばかりなのだろう。
「私の見立てではギリギリになるかと思っていたのだが……素晴らしい。素晴らしぞ!! 爆豪少年!!」
「ア? オールマイト、来てたのかよ。」
ゴミの山から降り立った爆豪は、恥ずかしそうに。
「その、なんだ、今のは…………。」
「最高だ爆豪少年!!」
「むおっ!? なんだよ放せ!!」
HAHAHA!! と、アメリカンな笑い声をあげながら、爆豪に熱いハグをかますオールマイトに、爆豪はもがくが、疲れ果てた体で抵抗できるわけもなく、アソーカに、温かいまなざしを向けられていた。
「雄英への入試まで残るは7日間だ。今日はゆっくり休んでもらうとして、明日から、個性に慣れてもらう訓練を5日間する。そうすれば次の日は入試だ!!
新たな個性、君は少し周りから出遅れる形になるかもしれないが、私は、君ならばいや、君たちならばやっていけると信じている。頑張ってくれよ!!」
と言う言葉に、爆豪は、
「当然だろ」
と、ぶっきらぼうに答え、アソーカは、
「ええ。サポートは任せて頂戴。」
と、笑みを浮かべる。
「それじゃぁ。まずは個性の継承だな。」
そう言うと笑みを浮かべたオールマイトは、自分の髪の毛を一本千切り、
「食え」
と言った。
「「は?」」
それに唖然とする二人。
「継承するには、対象にDNAの一部を受け継がせる必要があるんだ。ほら、グイっと!!」
「ちょっ、待て!! さすがにそれは生理的に!!」
「ほらほら、男ならグイっと。」
「あ、アソーカ!! テメェ裏切りやがったなぁ!!」
「何言ってんのさ、アンタがヒーローになるためのサポートよ。サービスサービスゥ♪」
「ふ、ふざっけんなああぁぁぁ!?」
夜明けの海浜公園に、爆豪の悲鳴がこだました。
さてさて、あの謎の二人は一体どこの誰なんでしょうか? まぁこの話見てる人考察動画張りの見解みせてくださる人ばかりなのでこんなバレバレの伏線は皆さん分かると思いますが…………、次回もお楽しみに!!