翌日から早速訓練と座学をやることになった。零士と恵里は『異世界での能力値確認』があると勘でわかった。まず集まった零士達は十二センチ×七センチ位の銀色のプレートと針が渡された。零士はプレートを叩いたりしている。恵里とクラスメイト達は不思議そうにプレートを見ている。そんな生徒達に騎士団長メルド・ロギンスが説明を始めた。
仮にも神の使徒なのでそれなりの立場の人間が出てくるのは零士と恵里にはわかっていた。それに伴って仕事を押し付けられた副団長には同情するが………
「よし、全員に配り終わったな?このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」
「この世界ってステータス確認にこれ使うんだ。」
「てっきり専用の魔法があるんだと思ってた。」
自身の経験と違う方法に零士と恵里はそんな会話をする。ちなみに初期能力値は平均的に10だが召喚されたものはその数倍か十倍かあるらしい
そんな会話をしているとクラスメイト達が顔を顰めながら指先に針を刺していた。零士と恵里もそれに倣って針を刺そうするが………
「刺さらない」
「まぁ、だよね。」
零士は淡々と恵里は苦笑しながらそう呟くと零士はため息を吐きながら仕方ないと呟き、恵里は零士の呟きが聞こえたのか顔を顰めながら手を広げた。零士も手を広げ、手を広げていない方の手で指を立てて、切る様に動かしながら呟いた。
「スラッシュ。切れ味最低」
すると手のひらに一筋の線に切れた。無論血が出てくるが
「ヒール」
今度は恵里がそう呟くと傷口がすぐに塞がった。すぐに掌に着いた血をステータスプレートに擦り付けると零士は濡羽色に恵里は紫に色が変わった。その変化に零士はへぇと呟き、恵里は目を見開いて驚いている。
メルド団長曰く、魔力とは人それぞれ違う色を持っていて、プレートを使えば所持者の魔力に染まり本人の魔力色とプレートの色で身分証明に使用されるとのことだ。
「……すごいね。」
「内容も確認しようか」
恵里は恥ずかしげ視線をステータスプレートに向けると………
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中村恵里 17歳 女 レベル:---
天職:降霊術師
筋力:---
体力:---
耐性:---
敏捷:---
魔力:---
魔耐:---
技能:降霊術・感情理解(味覚)・火属性適正・風属性適正・水属性適正・全属性耐性・状況異常耐性・複合魔法・短刀術・空間把握・高速魔力回復・魔力探知・気配探知・『気』・回復魔法・言語理解
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「「………」」
天職と技能はわかっているのだが、レベルなどが横線で埋められておりわからない。恵里は頬に引き攣らせながら零士に目線を向けて自身の最愛も同じ状況なのか気になった。
「………零士のも見せてくれない?」
「……… 恵里以上」
「え」
零士の呟きが聞こえて思わず反応してしまう。恵里は受け取ったステータスプレートを恐る恐る見てみると………
何も表示されていなかった。ただの濡羽色のプレートと化しており試しに叩いたりしても何も反応もない。
ステータスは訓練の内容の参考にするため報告するらしい。ちなみに平均は10だ。恵里は最悪の場合を考え、焦った表情で零士に向けて話す。
「どうするの!?場合によっては追放もあるよ!?」
「落ち着け、ここは素直に見せて不良品なら取り替えてもらおう。」
零士はあくまで冷静に以上だと判断されるだろうが見せずに反感を買うより見せて納得させる方がいいと判断する。恵里を落ち着かせ、強力な戦友の誕生にホクホク顔のメルドにステータスプレートを渡せば、困惑した表情になり、プレートを叩いたり、光にかざしたする。
「天職などはわかるがステータスが不明なものとそもそも表示されないものだと?」
メルドは今ままでの経験でも見たこともない状況に首を傾げる。その後一通り確認した後零士たちに返した。
「これでは訓練の内容が決めらないな。仕方ないが基本的なもののみになるが…」
メルドはそう言いながら申し訳なさそうに此方を見た。零士はため息を吐きながらも仕方ないさと肩をすくめる。
香織をはじめとする一部の生徒は心配そうに見ていたが檜山は初めてとする零士のことをよく思ってない生徒は卑しく嗤っていた。
そんな生徒たちの視線や感情を受けて零士はすぐに恵里を抱えて、その場で少し強く踏み込んだ。
ダァン!!
『ッ!?』
踏み込んだところを中心として半径2メートルにも及ぶクレーターが出来ていた。突如として発生した事態にクラスメイトはもちろん騎士団の面々すらも固まっていた。
「試しに強く踏み込んだみたが……こんなもんかね。」
零士がそう呟くと物陰に移動した。外に出ていたので日傘を差していたが日傘を閉じ、そこらへんの体を預けられるところに寄り掛かって目を閉じた。
恵里は踏み込んだ後に離していたがすぐさま零士の肩に寄りかかった。クラスメイト達の硬直が解け、クラスメイト達が様々な反応を示し始めた。香織は驚きがまず出てきて恵里とのいちゃつきを見せられハイライトを消した目で見つめ始めた。ハジメは羨望や嫉妬といった様々な感情を含んだ目で気まずそうに此方をみている。他の生徒は堂々と休む零士に感嘆したり睨みつけたりしている。そのどれも例外なくが驚愕や忌避感を抱いている。それはクラスメイトだけではなく
「踏み込んだだけでこれだと?」
メルドは思わず呟いてできたクレーターを見る。今までの経験からこれほどのこれは出来ないと判断した。メルドはこれから大変なことになる予感を感じていた。
その後ハジメのステータス確認を確認し、オール10だったので檜山たちが嘲笑し、愛子先生が落ち込むハジメにとどめを刺して、ハジメが白くなっていた。
次に宝物庫と呼ばれる場所に案内された。
ここで自分の天職に見合った武器を選ぶらしい。いかにもファンタジーな武器や装備のアーティファクトが揃っていてクラスメイトが興奮している。ちなみに光輝には聖剣というアーティファクトが支給された。
ガタガタっ!
「ん?」
零士はナイフのアーティファクトを選んでいると何がか音を立てて揺れているのが見えた。
(棺桶?)
そうそれは棺桶だった。黒を主体としており蓋を部分には黄金の十字架が施されている。しかし、零士が気になったのはそこでは無い。棺桶には何重にも鎖が巻かれていた。
棺桶を見ているととクラスメイトたちも何かあったのか気になりこちらに集まってくる。
「……メルドさん、これは?」
光輝は驚きと疑問が混ざった声音でメルドに聞いた。
「……この棺桶のことか、詳しいことは教会から聞いている、なんでも呪いの剣を封じているとのことだ。」
「呪いの剣?」
「あぁ」
光輝がそう返すとメルドが頷いた。
なんでもかなり昔にとある貴族がその時代の有名な錬成師に最高の剣を作ってくれと頼まれ、一年の歳月をかけて自身の最高傑作を作り貴族に送ったのだがその翌日に製作した錬成師が突然体内の血という血を搾り取られ死んだという。
その日から貴族の周りで変なことが起こり始めた。始まりは些細なことだった。皿が一枚無くなったり、雨が降るのが多くなったりと最初は気にも留めなかったが時間が経つにつれて異変を大きくなっていった。
貴族は恐ろしくなり教会の神官に悪魔祓いを頼んだ。
「どうなったと思う?」
クラスメイトたちは青い顔で首を振った。
「全員死んだんだとのことだ。」
クラスメイトたちが絶句したいのを見て続ける。
貴族と契約を結んでいた商人が訪れると全員が一本の剣を握って自身の喉を切って死んだという。
傷跡は鋭利なものであると当時の騎士団が鑑定し、握られていた剣に血が付着していたことから凶器はその剣なのは分かりきっていた。
その剣を持ち帰り王国が保有する錬成師に鑑定を依頼しようとした時期には教会を信仰するものたちの体の一部に赤黒い生物的な剣の紋章が浮かび上がっていたらしい。
その時は神の祝福だと気にも留めなかった。
例の剣を錬成師が鑑定した結果アーティファクトになっていたらしい。職人が魂を燃やして製造したからかわからない。しかも、聖剣と同等、もしくはそれ以上の性能だったらしい。
振ればあらゆるものを切断し、自身の五感を含む身体能力を莫大に向上し、未来予知じみた第六感を与える。剣が使用者が使いやすいよう形を変え、剣士として三流以下だったものは当時最強と呼ばれた者を倒すほどの剣の才能を与え、折れたとしてもすぐに修復する。
「そ、そんなにすごいならなぜ封印を?」
雫があまりにもチートじみた性能に驚きながらもそう聞いてくる。当たり前だろうそんな反則じみた代物があれば使っていると思う方が正しい。
「修復したと言ったが折れた際、当時使用していた者が一瞬で全身の血と血を絞られて死んだそうだ。」
絶句する雫に続ける。
その後、新しい使用者が大技や剣のことを考えない無茶な使い方をし勝利した際と同じ時刻に当時の教会総本山の教皇並びに各教会の神父たちが全員意識がない状態が発見されたらしい、外傷はなく、毒も検知されなかったため、貧血と判断された。しかし、魔人族との戦いが激しくなっていくうちに剣が大技を使えば使うほどダメージを受ければ受けるほど紋章が刻まれた者の血液を奪って補給していくという。しかし、使用者が血を支払われていないところを見るに剣がひび割れる程度なら問題はないが完全に折れた場合は使用者に影響がいくらしい。
剣の特性が発覚後、教会はなんとか破壊し、封印しようとしたが破壊した直後当時の使用者ではなく封印を提案した教会の人間、それに協力した者たちが一斉にミイラになって死んだという。使用者は幻聴などに苛まれ自害と同時に棺桶に封印するように頼み、封印したという。
だが、今もなお紋章は消えていない。
「今ではこうやって封印されているがいつ封印が綻んで解けたら大変だから朝昼夜に棺桶を点検するんだ。」
もちろん封印を解こうとか考えるなよとさりげなく釘を刺す。あまりにも壮大な話にクラスメイトたちは口を開いていた。メルドはそんなクラスメイトたちの反応を見て初めてこの話を聞いた際のことを思い出し思わず笑ってしまった。
「固まってないで自分の武器を選べよ。これから自分が使う武器だ焦って適当なものを選ばないようにな。」
メルドが手を叩き、本来の目的である自身の武器選びに専念するように言うと見ていたアーティファクトのところに戻り真剣な表情で見ていたがやはり気になるのかチラチラと棺桶に視線がいっていた。
零士と恵里も意識を棺桶からアーティファクトに視線を向ける流石に呪いの武器は嫌だった。
その後ハジメがメルドに先程の呪いの剣に出てきた錬成師の話を聞いて、国に所属している錬成士に特訓について話をつけさせてもらえるよう言っている。
ちなみに零士は魔力を込めると振動して切れ味の増す両刃の剣とワイヤー内蔵のナイフ×5
恵里は蛇を模した指輪に杖、魔法を補助する能力はないが零士とお揃いの剣とナイフを選んだ。本当はいらないが自衛用だ。
「今日はここまで!明日から訓練が始まる。自身の武器を見ること、以上!」
メルドにそう言われて割り振られた自室に向かう途中に零士が何かを呟いたことに気がついたハジメだが声が風にかき消され、聞こえなかった。
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星宮 零士
種族:
HP:測定不能
攻撃力:40000
防御力:30000
魔力:測定不能
スキル:
エクストラスキル:幻想異能Lv.MAX 精霊異能Lv.MAX ■■■■■Lv.Unknown
称号:作られた
SP:400
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(こっちは正常に出ているのになんで……)
「こっちは反応しないんだ。」
零士はただの濡羽色のプレートになっているステータスプレートを見てそうボヤく。ここあたりはあるが恵里のものは一様ながら反応したので違う。そうなるといったいなんでなのかはおそらくは黒塗りに表示されているものが原因だと思っている。
「前途多難すぎる……」
その呟きは恵里以外届かなかった。
ちなみに恵里は同意するように苦笑していた。
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side:???
そこには何も無い。ただ無がそこにあるだけ、そこは数多の世界と世界をつなぐいわゆる異次元と呼ばれる空間だった。それは人にも神にも干渉してはいけないもののはずだった。そうはずだった。
スゥ
余りにも巨大なそれは形だけを見れば鯨の形をしている。あくまで形だけであり姿をよく見なくてもその異質さがわかる。哺乳類であるはずの鯨に数多の鱗が全身を包み込んでおり、鱗一つちょっとした家ほどの大きさがある。目は両目16つもある。尾鰭は三叉の槍を思わせる鋭さをしている。そんな異質ささえ細かいと思わせるほどにそれは大きかった。人が測れるものではなく太陽すらもはるかに超えているのではないかと思わせるほどに巨大だった。
悠々と無を泳ぐ。目的など無いあるのは様々なところに行かないといけないという一種の本能だけだ。
漠然と泳いでいると突如体が痒くなってきた。痒みに耐えらなくなり身を捩る。
ブゥン!
身を捩らせた影響により次元の歪みが何もなかったところからまるで映像のように映し出された。身を捩らせ、体を動かしたために取れた鱗の一部が次元の歪みに吸い込まれた。まだ痒い。身を捩らせ新たな次元の歪みに鱗を吸い込ませる。新たな次元の歪みはたまたま霧の深い大森林だったり吹雪の吹き荒れる国だったりと場所はバラバラ最後に神山と呼ばれる山のある国に鱗を落として痒みが消えたのか再び泳ぎ始めた。悠々と悠々と鱗が与える影響など知らないが故に。
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ドスンッ!!
なんの因果か人間族、魔人族そして亜人族の国に鱗が降ってきた。この鱗がいったいどんな影響を与えるのかはいまは誰にもわからないそう神でさえも。