二度目の異世界で世界最恐   作:霜雪白色

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大変待たせて申し上げありませんでした!

学業関して立て込んでいて遅くなりました。


孤独と出会い

研究所から脱出した少年はそのあと入った物置小屋に入れられていたダボダボな大きさの子供用の服を着て1年間、いろんなところを歩いていた。見窄らしい姿をしていても何も知らない人たちから見ればまるで夢物語から出てきたかのような理想的な美少年だ。警察に通報などももちろんされたし何か黒い格好の人たちともあった。その度に人よりも遥かに高い身体能力で逃げてきた。

 

少年を悩ませているのはそんな話では無くて頭に響く人の声だった。自分に対する好奇、嫉妬、嫌悪、それらの声が直接の頭に響く、己の本能が声の発するものを喰い殺せと騒がしい。あの研究所で最後に食べたアレはとても良かった。思い出すだけで口から涎が垂れてくる。それでも少年は我慢した。それは人の目もあり何より日が出てたからだろう。日が出ている時は何故かわからないが異常なまで落ち着いていたし何より眩しいのは苦手だった。

 

夜になると一変して抑えられないほどの衝動が身体から溢れんとばかりに高揚し、神秘的な見た目から研究所で暴れた醜い怪物に変化する。眠りについていた本能が目を覚まし周囲に発散しなければ今にも爆発してしまいそうなほどに体に力が溜まっていた。

 

「アァー、ア、ウア」

 

唸り声を上げて道を歩く少年、服のフードを被り住宅街を歩いていた。夜になると意識が消え、いつのまにか空腹感が消えている。汚れもなく何が起こったのかはわからなかったが今はなんとか生きている。少年の姿は服は時間が経ってボロボロになり、髪は癖毛になっている。そして何より白かった肌は毛色が悪く、目の下には隈が出来上がっていた。明らかに精神的に参っているのがわかる。

 

『ねぇ、あの子。』

 

「っ!?」

 

大人の女性の声が

 

『汚ねぇ』

 

「ア、アァ!」

 

男児の声が

 

『喰らえよ』

 

「ア、アァアアアアア!!」

 

ノイズ混じりの本能が

 

頭の中に直接響いてくる。日々強くなってくるそれは少しずつしかし確実に少年の精神を蝕んでいった。当初空耳かと思ったそれははっきりとしたものに変わり、何かが嗤っていたり心配そうにこちらを見てくる黒龍の雛などの幻覚がより強く少年を追い詰めていった。

 

夕頃、公園の遊具、その一つであるドームで少年はいた。美しかった肌は汚れ、絹のような白髪は泥などによって汚れていおり、服は穴が一部空いている。少年は意識が朦朧としていくなかで怪物化している自身の手を見た。漆黒に染まった龍のような鱗を生やし、爪は鋭く全てを切り裂きそうなほど。左目は爬虫類のように瞳孔が細くなり、口の端からは酸性の涎が垂れてくる。

 

ハラガヘッタ

 

「グルルゥ」

 

少年は唸り声を上げて、その身を完全に変化する直前……

 

「ねぇ、どうしたの?」

 

幼い声が聞こえた。こちらを嫌悪する感情はなく又、怪物化している腕や瞳孔が細くなった目を見ても目は見開くものの恐怖を感じずに汚れた髪を撫で、怪物化した腕を取ってショートヘアの少女は少年を連れ出すように引っ張り始めた。

 

『やっと見つけた!』

 

喜ぶような少女の心を聴いて、少年は困惑を隠せなかった。少年の記憶には少女の姿はなく、自身に嫌悪感を抱かず恐怖を感じない彼女に疑問が次々浮かび上がる。

 

なぜ、彼女は自分に怯えないのか

 

なぜ、彼女は自分を知っているのか

 

なぜ、彼女は自分を連れて行こうとしているのか

 

「君も、一人、なんだよね?」

 

困惑していると彼女は少しも動かせない少年の方を向いて息切れしながら聴いてくる。その言葉にゆっくり頷きながら少女の方を見ると少女は見つめ返して口を開いた。

 

「行こ!」

 

無理矢理明るくしているとわかる声音でそう言った。

 

今思えばそこがターニングポイントだったのかもしれない。怪物に完全に堕ちるか人として生きるかの

 

少女に他の人達に気付かれないように連れられて少女の家に連れられてきた少年はまず、衣類を脱がされ、お風呂場にて汚れた体を洗っていた。

 

(入浴シーンは流石に技量がないため全カットになります。申し訳ありません。by作者)

 

洗われた少年は一年で伸びた髪がまっすぐになり光を反射して天使の輪が映し出る。傷一つない肌は真珠のような輝きを取り戻し、アルビノ特有の神秘的な容姿が露わになっている。怪物した腕や変化した左目を除けば造形を司る神が己の一生を懸けて作った人形と言っても誰も疑わないだろう。ちなみに今身につけているのは少女が持ってきたバスタオルを巻いている。

 

少年の美貌に目を奪われる少女はハッと我を取り戻し少年の手を引いて自身の部屋に招き入れた。

彼女の部屋はなんの特徴もなかった。少年は置いてあったベットに座るように少女に促されて座った。

 

グゥー

 

少年の腹の虫が鳴き、少女は少年の方を向いてどうしようかと慌てていると……

 

まるで皿か何かがテーブルギリギリで落ちたような甲高い音がした。

 

少年と少女は音のした方を見ると湯気の出ているお粥を乗せた豪奢な皿が置かれていた。側には味を変えるためのものか黒い瓶と茶色の瓶が置かれている。まるで出来立てのものを持ってきたかと様だ。二人はお粥に目を釘つけられて気がついていないがお粥の上方には濡羽色の粒子が空中に吸い込まれる様に消えていった。少女はいきなり現れたお粥をゆっくり、警戒しながら手に取ってた。

 

少女は一応お粥を少年のところに持っていき、お粥を少年に食べさせるべきかを考えていた。いきなり現れたのだ、警戒するのは当然と言えた。そんな少女の内心など知らぬと少年はボーとお粥を見ているとグゥーと再び腹の虫が鳴いた。それは見て少女はしぶしぶ少年の目の前にお粥を置いた。

 

少年は尾骨のあるところから先が蕾のように膨らんだ特殊な形状の尻尾が生えてきた。少女はいきなり生えてきた尻尾に目を見開いて驚いていると少女の傍目に少年は尻尾の先端から吸引するためのパイプを出し、お粥に突っ込んで吸引する。

 

ジュッ、ジュジュッ!

 

音を立てて粥を吸収する。少女は再度目を見開いてその様子に口を開けたまま呆然としている。

少年はお粥を食べ終えると尻尾の形状を凶悪な顎門を持つものに変えお粥が入っていた皿に噛みつき始めた。

 

パリンッ!

 

皿が割れ、尻尾の口が皿の破片を飲み込み始めた。少年は顔色を一切変えずに細かい破片は尻尾の口から出てきた舌で舐めとった。

 

ゴクン

 

喉を鳴らして飲み込み、尻尾は煙と共に消え去った。少年は満足そうに目を細めて喉を鳴らすと変化していた腕と左目が戻った。

 

静かに笑みを浮かべる少年は髪の長さや幼い顔つきのせいでまるで理想のアルビノの少女を描いたようである。その手の趣味を持つ者にはたまらない姿になっている。

 

「えっと、えっと、大丈夫?」

 

少女は怒涛の展開に困惑して思わずそう問いかけた。そんな少女の様子など知らずに少年はコテンと首を傾ける。

 

少年自身もとりあえず胃に物を詰め込もうとしていたので適当に吸収しただけで研究所にいたときにも同じようなことをしていたのでなんでそんなに困惑しているのかが理解できなかった。

 

それに少年の『異常』の性質上、肉体の変化系統が多い、大抵なことでは蚊ほどのダメージも与えられない。ついでとばかりに無限と言ってもいいほどの魔力もあるが魔力の細かい操作などが出来ず『貯める』『放つ』の二つしか出来ない。ここには無いのでもしもの話になるが仮に魔道具があっても一気に異常なまでの魔力を放出するため魔道具が自壊してしまう。

 

実は今は魔力は『貯めている』だけでその気になれば研究所を破壊したあの大砲を放つことが出来るが何分『タメ』に時間がかかるし骨格や身体を変形するのにはそれなりに疲れるのでしない。

 

「グゥ♪」

 

とりあえず少年は少女の問いに軽やかにそう唸った。

 

 

「例の研究所について何か進展はあったのか」

 

「いえ、我らも手を尽くしておりますが式神や陰陽術にも引っ掛からず……」

 

「ええい!場合によっては儂の直属の者を使っても構わん!必ず探し出せ!!」

 

『ハッ!』

 

古びた神社にて一人の年老いた神官が黒い外套に身を包んだ者らに向かい叱咤する。

年老いた神官は肩で息をし、そばに控えていた巫女は神官を凪いだ瞳で見つめていた。

 

 

悪魔が蔓延る冥界と呼ばれる世界にて地下深い祭壇らしき所の中心には中性的な顔付きをしたガラスのような物質で出来た像がそこにはあった。光のない暗闇だというのに祭壇の周囲の白い炎によって照らされている。

 

他の8つの世界にいる同胞の到来を透明な像の中にて『天使』は待っている。

 

仮にだが、西洋の退魔師が祭壇を見つければその場の聖なる力に驚愕するだろう。それほどまでに祭壇ーーー透明な像を中心として発生する謎の気名付けるなら『聖気』と呼ぶべきものは異常なまで強く、祭壇のある地帯から一帯には本能によるものか悪魔は一体も近づいてこなかった。

 

それ程までに『聖気』による浄化は強く、西洋の退魔師がどうにか悪魔絶滅を目論むだろうか聖書で殴る人は特に。

 

天使はただ待つのみ、救いもせず、ましてや、手も出さない。

神に従う者にはあらず、邪悪を滅ぼす使徒にもあらず、ただ静かに己が同胞を待ち続ける。

 

 

 

ありふれた世界には、法に変わりて裁きを下す『処刑人』

 

偽りの神が支配する世界には、血を啜る呪いの『剣』

 

滅び去った世界には、老若男女を魅了する妖艶な『仙人』

 

科学の摩天楼の世界には、宝石の綺羅びかせる『影』

 

龍が繁栄する世界には、永久機関を持つ機械仕掛けの『神龍』

 

真なる神々が存在する世界には、次元の海を彷徨う巨大な『海魚』

 

暗き者との戦争している世界には、縦横無尽に暴れる『武帝』

 

想いが形になる世界には、結晶で出来た大地に降臨する『不死鳥』

 

そして、悪魔が蔓延る世界には、未だ姿を見せない全てを浄化する『天使』

 

『九つの世界』にそれぞれの異常が紛れ込んだ。元々特別な能力を持っていたのだがそれぞれ大小はあったが何も時空を泳いだり、永久機関を持ったりはしなかった。

 

『海魚』はただの魚であらゆるところを泳げる小魚だった。

『神龍』は魂のある動くおもちゃだ。

 

それぞれここまでになったのにはもちろん理由がある。

 

『神』だ。

 

『神』と言っても文字通りレベルが違う。通常攻撃が概念を作って直接ぶつけるなんて当たり前、防御も銀河系を1000も圧縮した攻撃でかすり傷がつくかどうかというレベルだ。

 

異次元から来訪した神はそれぞれの異常に神自身を使いようによっては殺せる力を授けた。

 

理由はないただの娯楽。しかしその娯楽が九つの世界を本来の道筋から少なからず変化し出していた。

 

与える影響は水に広がる波紋の様にゆっくりと確かに広がっていった。

 

お互いが惹かれ合い、出会い、全ての■■■■■が集結した際には何が起きるのかは誰にもわからない。

 

『処刑人』は未だ目が覚めず、眠り続ける。

この世に『白』は無く、全てが『灰』と『黒』、人の欲が混ざり合ったこの世界を今再び純白に戻さんと『処刑人』は審判の時を待ち続ける。

 

この世の全ての罪が消える日まで

 

『剣』は飢えている。血肉を断つ瞬間を、骨を砕く瞬間を、生まれた瞬間から何かに飢えている。浴びても奪っても乾く乾く乾く乾き続ける。『解放者』の生まれる前から自我を持ち振るわれ続けた『剣』は渇きが合えるのを渇望している。

 

切ることしか知らないままでは彼の渇望を叶わないと知らぬまま

 

『仙人』が覚醒した瞬間にはすでに世界は滅んでいた。仙人はその見た目の麗しさを永遠に保てる不老の者だった。しかし彼女はその事実に気づけない。『仙人』となって寿命を超越しても彼女の精神は生まれた瞬間に壊れてた。自身の持つ異常性を使い、異なる世界に渡っても彼女は変わらない。

 

自身の妖艶さを知らず、彷徨い続ける。

 

『影』は嗤う。自分に、他者に、支配者を気取る金属の塊に自分が何だったのか知らない事に嗤い、争うこともなくひれ伏す他者に嗤い、偉ぶってる機械様に嗤う。自身の身体に纏う宝石を綺羅びかせながら一人全てに嗤い続ける。

 

道化を演じるかのように

 

『神龍』はかつてどこにでもある様な龍を形をした玩具だった。

魂を持ち、所有者である子供に愛されていた。だけど捨てられた。子供というのは執着するものを変えるのが早く、捨てられた『神龍』は打たれる雨の冷たさに負け、一度意識を落とした。

次に目を覚ますと街を踏み潰していた。何が起こったのか最初は理解できなかったが沸き立つ力を天に向かい放ち、己が誕生を祝い、自由に世界に羽ばたいた。

 

世界を己の心のまま羽ばたき続けるために

 

『海魚』はただ泳ぎ続ける。それがどこであろうと変わらない目の前にある障害を避け、ちっぽけだった身体が遥かに大きくなっていても変わらない。海魚はただ泳ぎ続ける自身のいた世界がどうなろうが他の世界がどうなろうが知りはしない。

 

己が子が世界を滅ぼしても永遠に泳ぎ続けるのだ。

 

『武帝』は鎧だった。とある田舎にて作られたありふれた鎧、暗き者に侵食され、使われることのなかったそれは周囲の『陰』を吸収し、『陽』に変換する特異性を保持していた。鎧は自我を得た際に頭に浮かんだのは戦いのことだった。戦いのために用意された物ゆえだろうか。『武帝』は縦横無尽に暴れ続ける己が本懐は果たすため。

 

無数の武器を持ち、無数の盾を持ち、暴れ続ける。誇りなど知らずに

 

『不死鳥』は偽りの楽園を創造する。念素が漂うこの世界において『不死鳥』として生まれた。死なず死と再生を繰り返す不死の力と再生の際に周囲の念素を取り込み自己進化をする。より強固になるその様はまさに『再結晶』のように

 

不死鳥は結晶造りの楽園にて怠惰であり続ける

 

『天使』は冥界に降り立った。強気を挫き、弱気を助けるそんな一般的な『天使』はここにはいない。己の『兄弟』を本能的に把握し、冥界にて待ち続ける、『答え』を求めて

 

 

九つの世界の根源は『神』が与えた異常を把握していた。あらゆる知識が内包された世界であっても文字通り『格』が違う世界の力は流石に予想外だった。

 

真なる神々がいる世界は『異常』はすでに次元に行き探知はできない。そもそも『世界樹』の枝が枯れている状態では『こちら』から干渉ができない。

 

根源たる世界は『異常』に対して新たなる段階への道標の価値を見出していた。

 

『神』が求めるのは全ての『異常』の集結、そして九つの世界を巻き込んだ全ての『異常』VS『■■』の神話の大戦、王道を突き進んだ果ての輝きを求めるのだ。




因みに普通に『世界樹』を『神』はポンポン複製可能です。
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