その男の人生は順風満帆だった。父は会社を経営しており母は専業主婦で男にたくさんの愛情を注いだ。男は恵まれた環境の中ですくすくと成長した。善悪の区別がつくころには悪さをするような事もなく手のかからないが優秀な子として成長した男は親から会社を引き継ぎ、自分を愛する女性と幸せな生活を続けた。やがて子が産まれ孫が産まれると子に社長の座を譲り隠居生活を始めた。
そんな男は齢80で亡くなり二人の子供とそれらの孫に囲まれながら息を引き取った。
何一つ悪さをせず、聖人とも言える人生を過ごした男だからだろう。男の死後、神と自称する者が現れ彼に第二の人生をプレゼントした。男は求めた。
【私は聖人と呼ばれるような人生を送ってきたが本当はそれとは真逆の感情を常に持っていた。だから、次の人生で地獄に行こうとも好き勝手に出来る世界に行きたい】
男はそう言って選んだのは『オーバーロード』の世界である。神は少し驚いた様子だった。しかし、その疑問に答えるように男は言う。
【ナザリックの代わりに私が作るギルドを転移させてほしい。それとアイテムなどを簡単に手に入れる事が出来るあの荒廃した世界のトップの家系になりたい】
男の願いに神は応じた。80年の時を立派に全うした男への最大のプレゼントとして。
そうして男は転生した。転生した先は政府が崩壊した三権を握った企業の一つの会社の社長の息子。前世より地位も影響力も上の人間になったのである。男は前世と同じように何不自由ない生活を送りつつも着々と準備を進める。
ユグドラシルは彼が15の時に始まった。そして男の願いでユグドラシルは彼の親の傘下の企業が運営する事になった。そして、ゲームとしておかしくならない程度に男の願いも聞き入られるようになった。とは言え男が行ったのはチートと思われても仕方ない程の自分とNPCの強化のみ。ゲームシステムへの干渉は何もせず原作の流れに身を任せていた。
そして、遂にユグドラシル終了の時がやってきた。男はゲームにログインしてギルドに設置した玉座に座る。男の周りを固めるのはゲーム発売当初から作り上げてきた自慢のNPC達である。設定は盛り込まれ、前世と今世で得た知識がふんだんに使われている。すべてのNPCに矛盾がない様に、それでいて設定だけで一つの物語が出来るようにした結果大満足の仕上がりとなった。
「いよいよだ」
男はうちに秘めた負の感情があふれ出しそうになるのを堪えながら時計を見る。日付が変わるまで1分を切っていた。男は口角が上がるのを感じながら上を向き言った。
「神よ。貴方の言葉が本当なら私は100年近く心に抱いた感情を表に出す事が出来ます。我慢せずに、好きに暴れる事が出来る。私は貴方に感謝します」
残り10秒
男は姿勢を正すと設定した“暴君の様でいてカリスマ性を持つこの
残り5秒
男は今まで蓋をしてきた感情をさらけ出す。100年近く押さえつけられた感情は二度と仲に戻る事は無い。この瞬間、
男は聖人ではなくなり負の感情のままに動く狂人へと変貌したのだった。
「……陛下、どうかなされましたか?」
「ああ、何でもない」
男の傍に立っていた女性の言葉にそう答えた男。しかし、自分の願った通りになった事を感じその顔は狂気の笑みを浮かべていたのだった。
本文以上の設定は考えていないので続きを書く時に設定作ります。何か出して欲しい案とかあるなら(書けるのなら)受け付けます