ナザリックの代わりに転移したよ   作:鈴木颯手

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お久しぶりです


012「無題」

「いやー、今回はありがとうございました。おかげでいつもよりも多く稼げましたよ!」

「いえいえ、我々も先輩方のおかげでいい勉強が出来ましたよ」

 

 冒険者チーム“ペルセウス”は銀級冒険者チーム“漆黒の剣”と共にモンスター狩りを行っていた。以来を最小限にモンスター狩りを行う異色の新人チームとして話題になりつつあったペルセウスに最初に声をかけたのが漆黒の剣リーダーのペテルであった。内容はモンスター狩りをともに行う事。漆黒の剣が数日前に大規模なモンスターの群れを見つけており、チームだけで行うには心もとないと感じていた中でペルセウスを見つけて話を持ち掛けたのだ。

 当然ながらペルセウスが断る事はなかった。彼らは原作に登場したキャラであり、オフィークスにとっては特に惹かれる者達ではなかったためにわざわざ接触する必要はないと判断されていた。だが、原作にも合った通り“良い人たち”である事に変わりはない。そういう意味ではほかの有象無象よりも信頼できる要素は高かった。

 

「ミファクさんの魔法はどれもすごいですね! まさか第三位階まで使用できるなんて……!」

「たまたま才能があっただけだよ。それにニニャの生まれながらの異能(タレント)だって強いじゃん。そのうち帝国の宮廷魔術師並みに強くなるんじゃない?」

「そ、そうですかね……」

 

 リーダー同士、アルゴとペテルが話している隣、同じ魔法詠唱者(マジックキャスター)同士話をしているニニャとミファク。ミファクの誉め言葉にニニャは恥ずかしそうにしつつもうれし気に笑っていた。ちなみに、そんな彼らの後ろではミラムを口説くルクルットをダインが静止していた。

 今日、あったばかりの彼らはモンスター狩りを通じて交流し、仲を深めていた。

 

「そうだ! 実は明日近くの村まで薬草採取に行く薬師の人の護衛を担当することになったのですが一緒に行きませんか? 最近モンスターが森からあふれ出るようになったので護衛は多い方がいいと思って」

「我々は構いませんが依頼者の許可は大丈夫なのですか? 勝手に話を進めるのはまずいと思うのですが」

「そこは大丈夫ですよ。森の異変については話しているので万が一の場合に備えてもう一チーム声かけをしてもいいと許可をもらっていますから」

 

 つまり、ペテル達の目的はともにモンスター狩りをするわけではなくこの護衛に誘う事だったのだろう。護衛依頼を格上のチームと熟せば昇給しやすくなる。アルゴはそう考えたうえでペテルに返事をする。

 

「分かりました。メンバーには後で私が伝えておきます」

「ありがとうございます」

「いえいえ。こちらこそ。……ところで、依頼主は誰なのですか?」

「ああ、そういえば言っていませんでしたね。ンフィーレア・バレアレという人ですよ」

「っ! あの有名なンフィーレアさんですか……」

「そうなんですよ。なんでも前々から頼んでいたチームが遠方に行ってしまったとかで……」

 

 まさかの名前に一瞬アルゴは驚きのあまり固まってしまうがペテルの方は予想外の大物からの依頼で驚いたと受け取ったらしく特に記した様子も見せずに話を続けた。

 そして、アルゴは適当に相槌を打ちながら目標の一つが達成されそうな事を理解した。彼らがオフィークスより命じられたことは「ほどほどに活躍する事」、「ンフィーレアと早期につながりを作り、あわよくば懇意になる事」である。前者に関しては将来を期待される新人としてほぼ達成されていたがンフィーレアに関しては今の所接触しておらず、近々彼の店に訪れてみようと考えていたところの依頼だった。

 

「(今夜はオフィークス様に良い報告が出来そうだな)いやぁ、ペテルさんと仲良くなれたのは幸運でしたね」

「我々も期待の新人とつながりが出来ましたしお互い様ですよ」

 

 アルゴは冒険者となってから一番の報告が出来そうだと思いながらペテルとの会話を続けるのだった。

 

 

 

 

 

 リ・エスティーゼ王国とバハルス帝国の南に位置するスレイン法国。人類の守護者を自称し、そのために活動をしてきた彼らはこの日建国以来久しぶりの朗報がもたらされていた。

 

「我らに友好的なプレイヤーの出現。僥倖だな」

 

 スレイン法国の最高権力である神官長たちは帰還したニグンとそれを監視していた土の巫女姫よりもたらされた情報について会議を開いていた。議題は彼らが望み続けてきたプレイヤーの出現についてであり、それも自分たちとも友好関係を築けそうな相手であった。

 

「まだそうであると決めるべきではないだろう。慎重にいくべきではないか?」

「だが向こうはこちらの情報をかなり把握している。多少の警戒はしておくべきだ」

「警戒? このようなアイテムを軽く渡せる相手にか?」

 

 そういって取り出されたのはニグンが持ち帰った魔封じの水晶である。第10位界魔法が込められていると言われており、実際に確認してみればその通りであったためにあっという間に国宝として扱われる事になった。

 

「彼らにとってこの程度は渡しても問題ない程の力を有しているという事だ。そもそも、彼らはこちらの会談を望んでいるわけではない。()()()()()()()()()()と言っているに過ぎないのだ」

 

 その言葉はこの場の誰もの口を重くした。こちらの事情をある程度把握しているがだからと言って接触をしてきたりはしない。スレイン法国が動かない限り彼らがすりよってくる事はないと言われているのだ。

 

「……仕方ない。一度会談は必要でしょう」

「ならば人選はどうする?」

「護衛に関しても吟味しないといけません。漆黒聖典は……、数名にしましょう」

「あまり大所帯で行っても相手に警戒されるだけ。ならば最小限の戦力で向かうべきか」

「神官長からも最低2名は出しましょう。我々の思いを伝えるためにもこれは必須と言えます」

「同感だ。では誰が行くかだが……」

 

 こうして、スレイン法国は自分たちの望む未来のために、プレイヤーが指定したカルネ村に向かう準備を整えていくのだった。

 

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