ナザリックの代わりに転移したよ   作:鈴木颯手

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005「救世主」

Side:オフィークス

 どうやらうまく事は進んだようだ。アインズも使っていた遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)を用いてタイミングを見計らっていた。エンリ達の好感度を上げられる絶好のタイミングを。

 エンリ・エモット。彼女は異世界において最上位に位置する重要人物だ。何しろ彼女はとんでもないタレント……、この異世界における生まれ持った才能の中で最も凶悪な能力を持ち、一年も経たずにユグドラシルに近いポーションを作り上げたンフィーレア・バレアレの思い人なのだ。ちなみに、この異世界においてポーションとは劣化するものであり、色も青となっている。一方のユグドラシル産ポーションは劣化なんてせず、色も赤い。

 そのうえで、エンリ本人にも将軍としての資質があり、原作では5千人のゴブリン軍団をアイテムを通して呼び寄せている。これはユグドラシルのプレイヤーが誰一人として成し遂げられなかった、というか知らなかった事だ。俺も条件を見てこんなのをクリアできる存在はなかなかいないと思ったほど条件が特殊だった。

 ゴブリン軍団はぶっちゃけた話必ず必要というわけではない。何しろ数でいえばアストロ帝国と同数なのだ。正直に言って扱いに困る。最悪の場合カルネ村の周辺をゴブリン軍団で開拓させるというのも考えている。

 とはいえせっかくの原作キャラでンフィーレアを手元に置く材料となることは確実だ。ここで彼女の好感度を上げて置き、ンフィーレアを手に入れやすくすれば後々楽になるはずだ。

 

「では俺は村の方を見てこよう。……もし、仲間が来るまでに兵士が現れたらこれを使うといい」

 

 そういって俺が渡したのはゴブリン将軍の角笛だ。数は原作通りに2個。あまり使えないアイテムだが倉庫にはまだまだ存在しており、10個あげても問題ないくらいだ。

 

「これは……?」

「吹いた者に忠実に従うゴブリンが19体現れるアイテムだ。もったいないと思わずにいざとなったらそれを使って身を守るんだ」

「あ、ありがとうございます」

 

 まぁ、周囲には隠密に長けた者たちが護衛についている。近づく帝国兵は彼女たちに見られる前にすべて処理するように命令をしているからこの場面で使う事はないだろう。

 

「えっと、オフィークス様。ここまでしてくださってありがとうございます」

「ありがとうございます!」

「構わない。君たちが無事でいてくれたことが何よりもうれしい事だからな」

 

 一度は人生をこの聖人っぷりで乗り切ったんだ。このくらいの演技は簡単だし慣れたものだ。ほら、エンリとネムを見れば救世主か神を見たような崇拝する表情をしている。これで目標の一つは達成だろう。次の目標の為にまずはカルネ村を襲う帝国兵、に偽装したスレイン法国の兵を皆殺しにするか。

 アインズは一部は生かしておこうとしたみたいだが俺はそんなことはしない。情報は貴重なものだ。相手にそれを与える必要はない。それにこの偽装兵よりも次に登場する者たちの方が重要だ。彼らには是非とも俺の踏み台として役にたってもらわないといけないのだからな。

 

 

 

 

 

 

 

Side:美鈴

 ああ、やはりわが陛下はとても美しい。立ち振る舞いから言動に至るまですべてが美しすぎる! 見ているだけで上下から涎が垂れてきてしまうわ!

 ……さて、陛下の観察もいいけれど私も与えられた役目を全うしないといけないわ。今回、私たち幹部も出動し、これから行われるスレイン法国との接触の為に準備をしないといけないわ。

 陛下は私達に転生と異世界への転移、それに異世界の情報を与えてくださったけどそれは大まかなもので詳しくは与えてくださらなかったわ。まぁ、幹部の何人かは事細かに知っているし、多分だけど途中でフレーバーテキストを書くのが面倒になってやめてしまったんだと思うわ。それでも問題はないし。

 

「美鈴。陛下が帝国兵と戦闘に入った。ガゼフ・ストロノーフは夕刻までは到着しそうにないか?」

「そうね。今隣の村を出発した所よ。カルネ村との距離や馬での移動を考えてどれだけ早くても夕刻にはなりそうね。それとだけど陽光聖典も見つけたわ」

「やはり潜んでいたか」

「この世界で人類の守護を謳うだけの事はあるわ。多分だけどプレイヤー以外で発見するのは難しいと思うわ」

 

 スレイン法国。この世界において最弱の種族である人間を亜人達から守り続ける人間の守護者。亜人を見下し、人間至上主義の国家だけどやっていること自体は英雄と言えるわ。陛下もスレイン法国を高く評価しているしおそらくだけど陛下はスレイン法国を飲み込まずに現状のまま人類の守護者にし続ける気なんだと思う。

 

「一応訪ねるがカウンター系の魔法は切ってあるな?」

「もちろんよ。切らずに魔法が発動したら陛下に殺されるわ」

 

 陛下がこれからしようとしていることを考えれば臣下としては止めるべきなんだろう。しかし、この世界のレベルに事前の情報をもとにすれば陛下に傷が、それこそ死ぬなんてことは間違いなく起こらない。そうでなければ全力で止めていた。

 陛下はあまりわかっていないかもしれないが絶対の忠誠を誓った我らは陛下あってこそ。だから陛下が危険になるようならば身を挺して守り、陛下が行動することで危険が出るのならば()()()()()()()()()()()()()()()。裏切りととられるかもしれない、暴走ととられるかもしれない。だけどその状況になればだれもが喜んで陛下のお世話をするだろうが拘束を解くことはない。陛下にはどんなことがあっても生きて我らの忠誠心を捧げさせてもらわないといけないのだから。

 

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