ナザリックの代わりに転移したよ   作:鈴木颯手

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改めてオーバーロードを見返してみると王国って国としてはクソなのに個々で見れば魅力的な人多いね。物語の中心地だからかもしれないけど


006「マッチポンプ?」

「これで全員だな」

 

 オフィークスは最後の一人を切り伏せてそういった。彼の周りにはカルネ村を襲撃した帝国兵の骸が散らばっており、誰もが一刀のもとに切り伏せられていた。抵抗しようとしたもの、逃げようとした者一人残らずオフィークスは切り伏せ皆殺しにしたのだ。この後の展開を知っている以上オフィークスにとってこの帝国兵、に偽装したスレイン法国の兵士たちは不必要であったのだ。

 

「さて……。大事ないか?」

 

 オフィークスは改めて村人たちに話しかける。突如として現れ、自分たちを殺そうとしてきた帝国兵を倒したオフィークスに困惑していたが何とか村長らしき老人が声を上げた。

 

「え、ええ。大丈夫です」

「それはよかった。……いや、気づくのが遅れてしまった。申し訳ない」

 

 オフィークスはそう言って頭を下げるが村長達は慌てた。自分たちを助けてくれたオフィークスに感謝こそすれ恨みなどなかった。確かにもう少し早ければという気持ちもなくはないがこの王国において民を守ってくれるという人物がいるだけ稀有な事であった。

 

「そ、そんな!? 頭をあげてください! 貴方様のおかげで我々は助かったのですから!」

「だが、幾人かは亡くなってしまった。それは事実だ」

 

 そういって悲し気な表情を浮かべるオフィークスに村長は英雄と呼ばれるような人物はこういう人を言うのだろうと感じた。強く清く、礼儀正しいとまさに英雄を体現したかの如きオフィークスに好感を覚えていた。

 

「我々は本来は帝国兵に殺される運命だったのです。それを救っていただいただけでも感謝しなければなりません」

「……そういってもらえればこちらとしてもありがたい。そういえば先ほど森にて二人の少女を助けたのだが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:オフィークス

 村人たちの好感度は高くなっただろう。死んだ者の葬儀を終えて復興に歩みだした村人たちの俺を見る目はまさに英雄や救世主を見る目だ。中には神かなにかと思って礼拝するまで現れるほどだ。

 

「陛下は酷い人ですね。これじゃマッチポンプと変わりないですよ」

「そういうお前の言動こそひどいと思うがな、デネボラ」

 

 〈レオ〉の称号を持つ女幹部、デネボラの言葉に俺は心外だと反論する。彼女は武に特化したNPCであり、アストロ帝国の切り札的存在だ。とはいえ、それ以上に特徴的なのが口の悪さだ。創造主であり、目上の存在である俺に対しても暴言や軽口は平気で言ってくる。別にそのことに関してとやかく言うつもりはない。そういう設定にしたのは俺であり、必ずこうなるとわかっていて作ったのだから。

 というのも原作を見ていれば分かるがNPCは忠誠心こそ見せてくれるが友としては見てくれない。王とは孤独だというがそういうのはお断りだ。故に友としてみてくれるNPCを作ったというわけだ。そういう意味でいえばブラキウムも似たようなものだ。彼に与えた役目は諫言役だ。盲目に命令に従うのではなく間違っていれば、不利益になれば率先して発言してくれる人物にしたわけだ。

 

「本来であればカルネ村を助けるメリットはない。一度ほろんだ所に入植させた方が裏切り防止という面では優れているからな」

「でも裏切らないように救世主みたいなことしてるじゃないですかー」

「否定はしないさ。ほら、お前も復興を手伝ってこい。アストロ帝国の威光を広めてこい」

「はいはい。人使いが荒いんだからー」

 

 デネボラは軽口を言いながら村人に交じって復興を手伝っていく。現在、カルネ村にはデネボラ、美鈴、そしてあと二人の幹部がそれぞれ10人の兵を率いて復興に従事している。兵士たちはアストロ帝国において最弱の歩兵たちであり、平均レベル15程度だ。これは帝国兵とほぼ同じであるが装備品は当然こちらが上だ。

 そんな兵士たちが村人を励まし、時には笑いあいながら復興に励む姿は村人たちに深い感謝と尊敬を与えている事だろう。カルネ村が属するリ・エスティーゼ王国は民を雑草と勘違いしている貴族ばかりだ。そんな彼らとは違い自ら救い、こうして復興を手伝ってくれる我らは神の使者にすら思ってくれるだろう。

 

「村長。帝国兵がまた襲ってこないとも限りません。私の方で村の改良案を考えてみたのですが是非見てみてください」

「これは……! これほどこの村のことを考えてくれるとは……!」

「私にとってこの村は他人事ではありません。こうして私の力を使う事で民が幸せになるのなら使わないという事はありませんよ」

「オフィークス様……!」

 

 村長は俺の言葉に感激して涙を流している。

 俺が見せたものは村の要塞化をまとめた設計図だ。これはいずれカルネ村を我が国の都市として運用するための第一歩と考えているからだ。何しろカルネ村は最寄りの都市とアストロ帝国の中間地点に位置しているからな。

 

「ですがこれだけの改良する金銭も材料も人でも用意できません」

「それはこちらの方で用意しましょう。提案したのは私です。このくらいなら無償で貸しましょう」

「ですが……」

「……わかりました。では私どもの別荘を作らせてもらえませんか? 私はこう見えてそれなりの立場の人間でしてね。各地に拠点があると何かと都合がいいので」

 

 無償、という言葉に警戒というより恐れ多いと思い始めた村長に俺は褒美を要求する。とはいってもそれは事実上の土地を借りたいというだけであり、村長には何の痛手もないものだが納得はしてくれた。

 これから様々な国や勢力、人物と会うことになるが俺はアストロ帝国に直接招くつもりはない。初対面の相手は基本的にこのカルネ村で行うつもりだ。何かあればカルネ村を切り捨てて村ごとつぶせばいいからな。

 

「陛下、予定通りに騎馬の集団が接近してきています」

「時間通り。狂いはなし。よろしい。では、原作主人公を虜にした王国の英雄と対面するとしようか」

 

 美鈴の報告を受けて俺は村の入り口に向かう。王国戦士長、ガゼフ・ストロノーフを迎えるために。

 

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