一転幸成裁判☆   作:ジャク

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※この作品は真夏の夜の淫夢やクッキー☆などの要素が含まれます。
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第1章初めての一転幸成 法廷編3

ー尋問開始ー

 

田所は尋問を許可され、にょんの話を弁護席から身を乗り出して聞いた。

 

「その日は朝から普通に営業していました…。」

 

にょんは先程、新庄に問い詰められた時よりは落ち着き、声もハッキリしていた。

 

「午前中に変わった事はなかったんですか?」

 

田所が尋ねる。

 

「うーん…特に無かったです。」

 

目を閉じて、腕を組むが、思い当たりの無かったにょん

 

「そうですか…」

 

にょんは続ける。

 

「夕方ぐらいに、店の奥で作業してたら…背後からいきなり殴られたんです…」

 

「誰に殴られたかは分からないのですか?」

 

田所はにょんを殴った人物こそ真犯人だと踏んでいた。

 

「…それが…後頭部をいきなりだったので…見えませんでした」

 

(クソ…甘くないな…)

 

「答えは簡単です。弁護士先生…最初からそんな人物は居ないのですよ…」

 

新庄が嫌味たっぷりに言う。田所は反論出来ず唇を噛んだ。

 

「まあまあ、被告人。その後どうなったのかゾ?」

 

三浦が続きを促す。

田所はこのまま新庄に反証されるのかと考えていたが、思ってもみなかった助け舟に感謝した。

 

「夜、気づいたら……血まみれの苺ちゃんがいて……胸に私のナイフが……」

 

やはり証言をする上で一番重要な部分であり、にょんにとっては一番辛い部分である。

証言台のにょんはハンカチで目頭を押さえていた。

 

「それは本当にお店のナイフだったのですか!?」

 

警察側の捜査の正確さを問う田所。

実際に過去、不正確な捜査や捏造の証拠品によって冤罪生まれた事例があるからだ。

 

だがそれを鼻で笑う検事新庄

 

「フン…我々の捜査を舐めてもらっては困りますねぇ…販売元まで調べ上げてますから間違いなく店の物です。」

 

「店のナイフなら店主は自由に使えるゾ。」

 

裁判長も同意する。

 

(ナイフが店の物だったのは間違いない。か…)

 

田所は顎に指をやり、法廷の天井を仰ぐ。

 

(あれ、待てよ……店の物だからと言って、にょんさんが使用したとは限らないよな…)

 

田所の中で"何か"モヤモヤし始めた。この"何か"を確かめるべく、証拠品ファイルの隅々まで目を通す。

 

「そしたら警察の人が来てタイホされました…」

 

「目撃者は居たんですか?」

 

目撃者の有無を尋ねる田所。もし仮にいるならば、証人として裁判に呼ばれる可能性があるため重要だ。

 

「これについては私が答えましょう弁護士クン。目撃者はいます。それも犯行の瞬間を見た…ね。」

 

(ファッ!?は、犯行の瞬間だって…)

 

(おそらくその目撃者とやらはこの後証人台に立つだろう…そいつの目撃証言を崩せない限り、にょんさんの犯行になっちまうな…)

 

「凶器がケッテイ的な証拠だと言っていました…」

 

(凶器がケッテイ的か…凶器…凶器…)

 

田所は証拠品ファイルの<<果物ナイフ>>をもう一度見た。

 

『刃渡り15cm。先端に血痕が付着しており、指紋は検出されなかった。』

 

(ん?)

田所は"何か"に気づく。

 

新庄がクソデカ溜息を吐きながら裁判長に言った。

 

「裁判長、どうやら弁護士は我々の主張を覆せないようです。だからこんな尋問など意味がな………」

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「異議あり!!」

 

指を新庄に向かって差し、高らかに叫ぶ。

 

「なんですか?弁護士クン。」

 

「証拠品の<<果物ナイフ>>を見とけよ見とけよ〜」

 

余裕をかます田所。

 

「『指紋は検出されなかった』んだよなぁ…これのどこがケッテイ的な証拠なのか教えてくれよな〜頼むよ〜」

 

「煽り全一」の異名を持つ栞奈から習った煽りを惜しげもなく発揮する田所。

 

「成る程ね…よくやったわね田所。でもまだ油断しちゃダメよ」

褒めつつもしっかりと忠告する栞奈

 

傍聴席がザワザワと湧くが、三浦が槌で静粛を命じる。

 

(やった…)

 

しかし、新庄は至って冷静だった。

 

「ククク…そんな事ですか…」

 

「えっ?」

 

「確かにケッテイ的なのは語弊がありました。申し訳ない…」

 

(なんだよそれ…ふざけんな!)

 

心の中で迫真の怒りをぶちまける田所

 

「でも、これを使えば指紋は残りません。裁判長。こちらを証拠品として提出します。」

 

「………遅いと思うが、まあ、受理するゾ。」

 

「申し訳ありませんね…」

 

(証拠品<<片方だけの手袋>>のデータを法廷記録にファイルした。)

 

田所は後出しの証拠品に頭に来ながらも説明を読む。

 

『革製の手袋。左手用のみ発見。被告人の指紋が検出された』

 

(なっ、『指紋が検出』だって?……まずいですよ!)

冷や汗がタラタラ流れる。

 

「ともかく、これを使えばナイフに指紋を残す事なく犯行を行えます。指紋が付着してる事が被告人の使用を示しているのです。」

 

裁判長が頷く。

 

「革製品は指紋がバッチリ残るからなぁ…」

 

新庄はメガネをクイっと上げる。

 

「どうです?弁護士クン、反論出来ないでしょう?ザンネンながらこれが真実なんですよ…」

 

「オォン!アォン!」

痛いところを突かれ、思わず声を発してしまう。

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「あのー…」

突然にょんが手を上げる。

 

「この期に及んでなんですか?被告人」

新庄がにょんを見下して言った。

 

「あの手袋は私のものじゃありません。」

 

やれやれと言った様子の新庄

「先程も言いましたが、法廷内では証拠が全てですよ。」

 

にょんは無言で右手を前に出す。

項垂れていた田所も顔を上げる。

 

にょんの手は真っ赤に腫れていた。

 

「私、革製品を触るとかぶれるんです!!!」

 

「フッ、何を言うかと思えば……自分で自分の犯行を認める様なものですよ被告人。」

ニヤリと嫌な笑みを浮かべる。

 

「私がもし犯人なら、わざわざ革の手袋なんて使いません!……私の家を探してください。革製品なんて1つもありませんから!」

 

「ぐ……」

初めて新庄がたじろいだ。

 

「ふむぅ…革でかぶれるのかぁ…」

三浦が腕組みして考える。

 

今後どういう方針で行くか考えていると、栞奈が横で口を開く。

 

「アンタ!今、依頼人が頑張ってんのよ?ガッツ見せなさい!」

 

田所は頷き、発言する。

 

「裁判長!被告人は誰かに罪をなすりつけられた可能性があります。」

 

「と、言うと?」

 

「何者かが、被告人を殴って気絶させ、被害者を殺害後に手袋を被告人に被せたのです。」

 

「なるほどゾ…」

 

「革製品は指紋がバッチェ残ります。犯人からしてみれば、誰かに罪を着せるにはピッタリです。」

 

新庄が先程とは打って変わり、焦った様に言う。

 

「い、異議あり!そんなの言いがかりです!」

 

今まで考え込んでた三浦が口を開く。

「ふむ…可能性がある限りは審議の必要があるゾ…検事側の異議は却下する。新庄検事、目撃者の方を証人として呼んでくれ。」

 

「あ゛ぁいたぁ゛い!!!!!」

急にフィストファックされた様な悲鳴を上げる新庄。メガネにはヒビが入っている。

 

(あの様子を見るに、"目撃者"さんには何かありそうだな…おそらく、検事側にとって不利な事だろう。)

 

にょんは証人台から離れ、元の席につく。その際、弁護席に向かって一礼したのを田所は見逃さなかった。

 

(にょんさん…必ず無罪にしてみせる…)

 

「では、以上で尋問は終わりゾ。次の証人を。」

 

「わ、分かりました。」メガネをかけ直し、手続きを進める。

 

「ふぅ…なんとか首の皮1枚で繋がりました…」

首をコキコキと鳴らす新人弁護士。

 

「いい感じね。ちょっと見直したわ。」

田所は栞奈が褒めたことに嬉しさを感じつつも、気を引き締めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、事件の目撃者、観月 るりま(かんつき るりま)さんに入廷頂きます!」




証拠品リスト

我場物理苺の解剖記録
『死亡推定時刻は8月13日の午後7時から8時まで。 刃物により胸部を刺され失血死。傷が深く、背中まで貫通している。』

果物ナイフ
『刃渡り15cm。先端に血痕が付着しており、指紋は検出されなかった。』

片方だけの手袋
『革製の手袋。左手用のみ発見。被告人の指紋が検出された』

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