青金石の輝きを   作:華燈始

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2,トレーニング

選抜レースから二週間程が経過した。 年を越して、学生達の冬休みが終わると、ようやくメイクデビューに向けたトレーニング期間に入る。

 

学園のグラウンドや、コースに目をやれば、早速トレーナーとつきっきりでトレーニングを行う多くのウマ娘達の姿が見える。

現状を把握し、目下の課題を克服して、デビューまでに少しでもレベルアップすることは、これから先のレース人生においても重要なことだ。

 

もちろん、それは私達においても例外ではない。

ラズライトが冬休みの間、私と彼女はメッセージアプリを用いて今後のトレーニング計画について話し合っていた。 万全の準備をして、トレーニングにむかえるように調整しておいたのだ。

 

のだが……。

 

ラズライトが一向に姿を見せない。

彼女には、私のトレーナー室に来ることと、トレーナー室の場所をしっかり教えておいたはずなのだが、待ち合わせの時間を五分、十分過ぎても彼女は現れない。

 

十五分待ったところで、彼女に何かあったらいけないと判断した私は、ポケットから携帯を取り出すと、ラズライトの番号に電話をかけた。

 

プルルル……プルルル……。

 

コール音が二度鳴ったところで、音声が繋がった。

 

『うぅん……はぁい、ラズです…… 』

 

電話越しに聞こえるラズライトの声は、始めて彼女と出会ったときの、ハキハキとした元気を感じられない、ぐったりとしたものだった。

 

「ラズライト? 大丈夫なの? 時間になってもトレーナー室に来ないから、何かあったのかと思って電話したんだけど 」

 

すると、携帯の向こうから布をめくるようなバサッという音と共に。

 

『ごめん……シエスタしてた…… 』

 

という寝ぼけたような彼女の声が聞こえてきた。

 

シエスタ……。 普段の生活ではあまり聞き馴染みのない言葉だが、確か休憩とか昼寝みたいな意味だったはずだ。

ひとまず、彼女の身に何も起きていないことに、ホッと息をつく。

 

「了解。 私が向かうから、どこにいるのか教えて 」

 

『ん……保健室 』

 

彼女から居場所を聞き出した私は、すぐさま電話を切って携帯をポケットに入れ直すと、全速力で保健室へと駆け出した。

 

 

━◆━◆━◆━◆━◆━

 

「ん~、やっぱりシエスタした後は気分がいいね 」

 

体操服に着替えたラズライトは、腰を回すストレッチをしながらそんなことを話す。

 

昼寝の効能というのは、あまり知らないが、本人が気持ちよくトレーニングに臨めるのなら容認してもいいだろう。 今回みたいなことにならないよう、事前に報告してくれていればだが。

その話は一旦置いておこう。

 

現在、ラズライトは基礎体力作りのため、グラウンドをランニングしている。

選抜レースの様子や、一学期と二学期の彼女のレース適正成績、これまで行ってきたトレーニング成績を確認すると、以下のことがわかった。

 

・彼女は同世代の中で、スピードが優れていること。

 

・逆に、他のウマ娘達と比べるとスタミナ面に課題があること。

 

・加速能力や追い上げ能力に関しては、高いとは言えないが成長の兆しが見えていること。

 

これらのことから、彼女の適正距離はおおよそ、1000m~2100mの短距離、マイル、中距離レースあたり。 作戦は、彼女のスピードをいかした逃げか先行が向いていると考えている。

 

加えて、私は彼女がデビューした後の路線についても、すでに考えを巡らせている。

スピード面が優れており、加速力などには将来性を期待できるが、スタミナ面に不安がある。 となると、彼女は桜花賞、オークス、秋華賞の三冠を狙うティアラ路線を進んでもらうべきなのではというのが、現状の私の考えだ。

もちろん、最終的なレース路線は彼女の意思を尊重しようと思っているし、GⅠレースに出走できる程、順調に育成を進められるという保証はどこにもないのだが、彼女ならひょっとして……と思わせるほど、ラズライトのレースの素質というものは素晴らしく映った。

本当に、四回目の選抜レースに出るまでその名前を知られていなかったくのが不思議なくらいだ。

 

「お疲れ様 」

 

考えていると、グラウンドランニング十周、2000m走を終えたラズライトが戻ってきたので、彼女に水分補給用のスポーツドリンクを手渡しながら、声をかける。

 

肩で息をして、綺麗な青毛の髪を汗でぐっしょりと濡らした彼女は、言葉を返す余力もないのか、無言のままボトルを受け取ると、ゴクゴクと勢いよくドリンクを飲み始めた。

 

うーむ……。 2000mのランニングでこれ程消耗するとなると、デビューまではしばらくスタミナ強化トレーニングがメインになるかもしれない。

トレーニングでの伸び次第だが、現状のこの様子だと、デビューレースも短距離かマイルレースを選択した方が良さそうだ。

 

「トレーナー、次のメニューは? 」

 

まだ息を整えきっていないが、彼女はすでに次を求めている。 この向上心を維持し続けられれば、そのうちスタミナもついてくるだろう。

 

「次は坂路トレーニングを入れてるから、後二分くらい休憩したら移動するよ 」

 

私も、彼女が目一杯トレーニングできるように、もっともっと頑張っていかなければいけないと決意させられた。




・名前:セイランラズライト
・身長:168cm ・体重:いい感じ ・靴のサイズ:左右25cm
・スリーサイズ:B:72 W:56 H:79
・誕生日:9月12日
・紹介文:父が日本とイタリアのハーフ、母親が日本人で元ウマ娘のクォーターウマ娘。
楽観的な性格で、レースを楽しむことを信条にターフをひた走る。
両親がお金持ちなので、金銭感覚がおかしい時がある。
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