三ノ輪金太郎は勇者である   作:てんぱまん

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強大な敵

 

 ⑬巨大バーテックス 

 

歴代勇者たちの墓地からの帰り道。金たちはバスに乗って学校に戻っていた。

「いや~もうすっかり日が暮れる時間ですね~....」

涼が後ろの東郷にそう話しかける。

「そうねぇ....見て....綺麗な夕日....」

一同は窓の外に輝く夕日を見る。

「フフフ....ゆうくん、すっかり寝ちゃってるよ~」

「あんたがまだ寝てないのが不思議だけどね....」

祐成の頬を指で突っついている園子に夏凜がツッコミを入れる。

「ずいぶん遠くまで来ましたからね~僕もヘトヘトですよ~」

金も祐成を見ながら後ろの夏凜と園子に言った。

「さて....帰ったら課題を進めて....今日の出来事を....うわっ!」

瞬がこの後の予定を立てていたとき、バスが急停車する。金たちは前の座席に叩きつけられた。

「痛てて....みんな大丈夫か?」

金が最初に立ち上がってみんなに聞く。

「ええ....私たちは大丈夫よ....」

東郷がそう言い、東郷も園子も夏凜も立ち上がる。

「俺たちも....なんとか~....」

涼がそう言って瞬と一緒に立つ。祐成も寝起きの顔でなにが起こったのか分からないという感じでゆっくり立った。

「良かった....みんな無事ね....」

東郷はそう言うと真っ先に運転席に行く。

「やっぱり....みんな!お役目よ....!」

「えっ!!でも....神託来てませんよね!?二回目の侵攻からまだ二日しか経ってませんし!」

四人は驚き、金が聞く。

「ええ。....来てないわ....こんなことがあるなんて....」

「も~う!一日遠出して疲れきってるっていうのにバーテックスは鬼畜だなっ!!」

祐成が怒ってそう叫ぶ。

「さっさと片付ければ済む話だよ~祐成~」

「いや、笑顔でそんな怖いこと言うなよ....」

涼の言葉に祐成がツッコミを入れる。警報が鳴り響き始めた。

「くそっ。せっかく遠足気分で楽しかったのに!帰り道で来るなんて!」

金の言葉に東郷と園子は反応した。七人はバスの窓を開けてそこから出る。

「しょうがない....いっちょぶちかますか!」

金が自分の両頬を叩いて気合いを入れる。

「みんな....!気をつけてね....!」

「無理はしちゃだめだよ~」

東郷と園子は金たちに呼びかける。すると金はにっこり笑ってこう言った。

「心配はいりませんよ!さっき涼が言った通り、さっさと終わらせてきちゃいますから!」

東郷と園子は金の顔と発言を聞いて思わず口が動かなくなる。その様子を見た夏凜が変わりに鼓舞をする。

「日々の鍛錬の成果、みせてやりなさい!」

『はいっ!!』

四人は元気な声で答える。眩しい光に包まれる。

 

_________________________

 

「なんだ........あの大きさ....!」

四人の勇者たちは絶句していた。大型バーテックスとは比にならないくらいの大きさのバーテックスが二体も攻めてきていたからであった。

「とりあえず....俺が仕掛けてみる!」

金は巨大バーテックスの方へと跳び、距離を保ちながら光の弾を打ち込む。

「よし!当たった!........えっ....!!」

「全く効いてないですよ....!」

「金のエイムは完璧だったのに~」

「みんな!まだ近づくなよ!俺の銃でヤツの弱点を探す!」

金はやたらめったらバーテックスの体を撃つ。全弾命中で正確に当たったが、バーテックスは何事もなかったかのように進み続ける。

「クソっ!あいつ無敵か!攻撃をなにも通さないし、弱点も一向に見つからない!」

「もしかしたら....直接の打撃は効くかもしれないぜ!!」

そう言って祐成はバーテックスとの距離を一気に縮める。

「俺の剣がお前の体を穴だらけにしてやる!くらえーー!俺の目にもとまらぬ連続の突きをーー!」

祐成がレイピアを使って高速でバーテックスを突く。が、

「こ、こいつ....固すぎる....!俺の剣が弾かれるなんて....こいつら無防備なのに....!」

「だったら....これならどうだ~!」

涼が高くジャンプし、斧を思いっきり振り下ろす。

ガッキーンッ!

派手な音を出してバーテックスに渾身の一撃を食らわせた。

「へっへっへっ~!どうだ~!」

しかし、バーテックスの体には一切傷がついていない。

「!?そんな....結構強めに振り下ろしたのに~!」

「気をつけてください!何か仕掛けてきますよ!」

突如、巨大なバーテックスは強風を起こした。近くにいた涼と祐成は吹き飛ばされる。

『うわああぁぁぁぁ~~!』

「二人とも!大丈夫か!?」

金が二人に呼びかける。

「ああ!風ごときでやられてたまるかってんだ!」

「うまく着地できたよ~!金~!」

金は取りあえずほっとため息をつく。

「さて....どうしするか....近距離の武器も効かないとすると恐らく....瞬のブーメランも効かない....さすがに切り札は効くだろうけど....あの巨大なバーテックスは二体いる....あいつらの攻撃方法もまだ分からないし....」

「金、僕に考えがあります。....取りあえずあいつらのことは巨大バーテックスと呼びましょう」

「瞬、それで....考えっていうのは....?」

「あの固い体を壊す力が必要........そこで金、バズーカは出せますか?」

 

_________________________

 

金たちは巨大バーテックスから一旦逃げ、岩影に隠れて作戦会議をしていた。

「さっ!バズーカを出してみてください!」

「そんな無茶な!」

「僕たちの武器は好きなように出したりしまえたりできます。まだ出していないだけできっと飛び道具の一つであるバズーカだって出せますよ!」

「そ、そんなこと言われたって~...」

「一応バズーカも銃の一種だろ?」

祐成も二人の会話に割って入る。

「ふんばればきっと出せるよ~。金~」

涼にも促される。

「りょ、涼が言うなら....頑張ってみる!」

「何で僕じゃダメなんですか!」 「何で俺じゃダメなんだよ!」

「わ~めずらし~金が二人にツッコまれてる~」

そんな会話をよそに金は集中する。

「う~~~ん........!!バズーカ........バズーカ........!」

「金~!目を開けてよ~!」

「えっ....?あっ!バズーカが出てる!」

「やった!やっぱり僕の考えは間違っていませんでした!」

「しかもバズーカだから太いし、でかい!」

「これなら....行けるかも....!」

しかし、バズーカには高威力である代わりに弱点があった。いつも金が使っている銃よりも射程距離が短いということと、弾をいちいちこめなくてはならず、こめるのにも時間がかかるということであった。

「いつも使ってる銃は無制限に撃てるからな~....」

「どうやら....チャンスは少ないようですね....」

「大丈夫だ!俺たちがサポートすればいいし、的もあんなにでかいんだ!」

祐成が瞬と涼を交互に見て言う。

「そうだね~祐成~!じゃあ三人で攻めるからバーテックスに隙ができたらズドーン!ってやっちゃってよ~!金~!」

「僕はブーメランで距離を取りながら戦えるので僕の合図を見たら撃ってください!」

「わかった、。よし、みんな行くぞっ!!」

四人は岩影から出て先ほどの一体目の巨大バーテックスの元へ突っ込んでいく。

「こっちだぜ!巨大バーテックスさんよっ!」

巨大バーテックスの体からでかいカッターのようなものが出てくる。それを祐成に思いっきり飛ばしてきた。

「それがお前の攻撃かっ!来いっ!」

祐成がレイピアで迎え撃つ。しかし、カッターはあまりにもでかすぎる上、威力も高かった。しかもレイピアはこういうのに向いていない。レイピアは軽く、しなるのだ。だからこそいつもの連撃を放つことができる。

「うぅ........なんて........力だ....」

そこに涼が駆けつける。

「もうっ.....いきなり........無理しすぎだよ........!」

そう言って涼も加勢するが、二人がかりでもきつかった。

「ぅぅぅ........」 「ぐぬぬぬぬ............」

そこに瞬もやってくる。

「ちょっと!なにやってるんですか........!」

瞬は二つのブーメランを手に握ってナイフのように扱い、三人でとても大きいカッターを迎え撃つ。

「三人で一気に力を出しますよ........!せーのっ........今ですっ!」

『はあああああああぁぁぁーー!』

見事、カッターを跳ね返すことに成功する。しかし、このカッターは合計で四つもあるのだ。次々に飛んでくる。

「みんな~~!なんとか避けて~!!」

三人は別々の方向へジャンプする。

「よっしゃ!これくらい........よっと!あたらないよ~!俺は~!」

涼はカッターをうまくよけ、バーテックスの近くへ迫る。

ギギギキッ!ガガガガガガガッ!

「ぬおおおおお~!なんのこれしき~!」

瞬はブーメランで飛んできたカッターを後ろに受け流し、火花が散る。

「みんな~~!大丈夫~?」

「僕は大丈夫です~!」

祐成の返事はなかった。

「........くっ....!二人で行くよ~!!」

涼は枯れそうな声でそう叫ぶ。涼と瞬はそのまま攻め込み、二人は一緒に叫びながら渾身の一撃を放つ。

『うおおおおおおおおおっ!く~ら~え~~~!!』

巨大バーテックスは一瞬ひるんだ。巨大バーテックスの武器であるカッターももうすべて飛ばしてしまっていて、巨大バーテックスを守ものはなにもない。

「今ですっ!!金っー!!」

瞬も枯れそうな声で精一杯そう叫んだ。

「任せろっ!今、地獄に送ってやるっ!!」

カチャ、ドンッ!!

バズーカが発射され、巨大バーテックスのど真ん中にヒット。大きな爆発を起こした。巨大バーテックスの中心に大きな穴がポッカリあけた。

 

_________________________

 

「................やった....!作戦成功だーー!!」

穴をあけられた巨大バーテックスはまたしても強風を起こす。近くにいた瞬と涼がまたしても吹き飛ばされる。

「わああああぁぁぁ~!またぁ~!」

涼は二回目だったので簡単に着地した。瞬は金にキャッチされる。

「あいつ....一回俺たちとの距離をとって回復する時間を稼ぐつもりかっ....!」

巨大バーテックスに開いた穴が閉まっていく。

「させない~!」

「せっかくここまで頑張ったんですから....!」

瞬と涼はまたバーテックスに近づいていく。カッターが巨大バーテックスの元へと戻ってきた。

「....っ!やばい!気をつけろよ!」

涼は素早い身のこなしでカッターを避ける。

「おりゃぁっ!穴は埋めさせない!」

閉じかけていた穴を再び涼が斧でこじ開ける。

バシュッ!

瞬間、穴の中に鋭い光線が入り、巨大バーテックスの体を貫く。

「!!」

驚いた涼は後ろを振り向く。するとそこには、

「思ったんだよ....バズーカが出せるならよォ....狙撃銃も出せるんじゃないかってね....」

金が涼からだいぶ離れた場所で狙撃銃を持って構え、そう言った。巨大バーテックスから大型バーテックスよりも数倍でかい御霊が飛び出す。金が一撃で勝負を決めたのだ。

「さすが.......なんて強さだ........金も....狙撃銃も....!」

金は御霊も冷静に狙い、弾をこめ、正確に撃ち抜く。

「ナイス連携プレイです!二人とも!!」

「ふぅ........これで....残り一体....!」

 

_________________________

 

「まずいです!僕たちが一体目の巨大バーテックスと戦っている間にもう一体がだいぶ神樹様に近づいています!」

瞬が二人にそう伝える。三人は大急ぎでもう一体の元へと向かう。

「俺たちはまだ...一人も切り札を使ってない....さっきみたいに巨大バーテックスの隙を作る時間はないし....」

「いきなり切り札をぶつけるしかない....ってことですか....わかりました!それなら僕の切り札が向いています!」

ある程度近づくと瞬はブーメランを構える。

「はあぁぁぁぁぁぁぁ........!」

瞬は全身に力をこめ、瞬の体が水色に光り始める。そして瞬はその場で回り始めた。

「くらえっ!!必殺奥義っ!!」

瞬は回転しながらブーメランをなげつける。ブーメランも同じように回転しながら大きな竜巻となって巨大バーテックスの方へと向かっていく。

「前はあんなに大きく見えた瞬の竜巻が........小さく見える....!」

金はそうつぶやいた。切り札を使って体力が切れた瞬はその場に座り込む。そして、巨大バーテックスに竜巻が突っ込む。

瞬間、

竜巻が一瞬のうちに消えた。

「はぁ........はぁ........なんだって....!?僕の全力の必殺奥義が........!」

「いや、でもダメージはうけてるみたいだよ~....」

涼は瞬を支えて言った。巨大バーテックスの周りには大きな岩が浮いている。

「あいつ....大きな岩を自ら生み出して自由に操れるみたいだな....」

金がそう言い、何発か巨大バーテックスに撃ち込む。予想通り、巨大バーテックスは浮いている岩を操って防いだ。巨大バーテックスの周りに岩が集まり始め、二つの大きな岩が作られる。それを金がいる方向、瞬と涼がいる方向にそれぞれ飛ばしてきた。

「くるぞっ!涼!!」

(クソっ!こんなことしてる場合に瞬がせっかく与えた傷を回復されてしまう....!)

岩がどんどん三人に近づいてくる。

 

_________________________

 

三人はなんとか岩自体は避けることができた。しかし....

「うわぁぁぁぁーー!なんて....衝撃だ....!」

岩が樹海に衝突した瞬間、爆風が起きたのだ。金は樹海の壁に打ちつけられる。

「....はぁ....はぁ....精霊がいて良かった....涼たちは真反対の方向に飛ばされちゃったか....」

涼から金に電話がかかってくる。

「大丈夫!?金~?」

「ああ!なんとかな。そっちは?」

「こっちも大丈夫だよ~それでね、俺ピッカーンと作戦、思いついたんだ!」

「え!?なんだ?」

「まず俺が~........っ!金!!なんか音がすごいよ!何か来るっ!!」

涼にそう言われ、身構える。

(これは....地震....?地響きがすごいぞ....!)

次の瞬間、地面から尖った大きな岩が次々に突き出てきた。

「うわぁぁぁぁーー!こんなことまでできるのかー!?」

金は間一髪で避けるが、バランスを崩し、倒れてしまう。あともう少しズレていたら体を貫かれていた。まだまだ鋭い岩が地面から突き出してくる。

「ぬおおおぉぉぉぉ~~!!根性~!!」

金は倒れたまま岩を銃で破壊する。すぐに立ち上がり、とりあえず上に高くジャンプした。

(なんとか一回逃げられ........はっ!)

高く飛んだのは間違いであった。周りに身を隠すものがない以上、巨大バーテックスの格好の的。

(まずい....!!)

そう思ったときにはもう遅かった。金は巨大バーテックスが飛ばした巨大な岩の攻撃をまともにくらってしまう。

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---

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さらに巨大バーテックスは自分の周りに岩の壁を作り出し、盾にする。

「これじゃっ........攻撃ができない....!」

涼は絶望しているかのような声でそう呟く。死角に隠れていた涼と瞬は、すぐ近くに見える神樹を見て焦っていた。

 

_________________________

 

「もしもし!もしもし!金!!ダメだ....繋がらない....」

「はぁ....はぁ....まさか........金は、」

「そんなわけないよ!金に限って....そんなこと....!」

涼の体は震えている。それは恐怖の震えであった。

「はぁ........はぁ........とりあえず........この状況を打破するには....どうするか....考えましょう....」

「そんなことしてる時間はないよ!早く....早く倒さなきゃ....!」

「涼!焦りすぎてもダメです!」

「焦らないでいられるかよ!もう神樹様はあんなに近い位置にいるんだ!世界が....滅びるかもしれないんだぞっ!!」

(まずい....涼は金のことばかり考えて完全に自分を見失っている....!このままじゃ....本当に世界が....!)

「とりあえず....やるしかない!」

涼は岩の壁へと高くジャンプする。

「うおおおおぉぉぉぉぉ~~!!」

涼の体が黒く光り始め、斧が巨大化する。

「こんな岩っ!!二つに叩き割ってやる~~!!」

涼は切り札で見事に岩の壁を破壊することに成功する。しかし....

「はぁ....はぁ....はぁ....」

切り札の体への影響はとても大きい。今の涼にはもう巨大バーテックスの攻撃を避ける体力はない。巨大バーテックスは岩の塊を涼めがけて発射する。瞬は何とかしようと今出せる力を精一杯出してブーメランを投げる。その時、岩は涼にあたる直前で粉々に散る。

「っ!あれは!!」

瞬が目を見開いて一点を見つめる。

「はぁ......はぁ......なんとか....間に合ったか....」

涼も瞬が見つめている一点を見る。

「あ........!金........!良かったです....」

瞬は優しく笑ってそう呟く。一方涼はその金の姿を見て安堵と悲しみが混じった涙を流していた。なぜなら、、、

「はぁ.......はぁ....金っ!そ、その傷の量....!」

金は傷だらけだった。勇者服は破れ、様々なところから流血している。両腕をだらんと下げ、目も片目を閉じている。立っているのもやっとだ、そのような感じだった。

「あれくらいでやられる........三ノ輪金太郎じゃ....ない!!」

金はそのまま切り札の構えをとる。金の体は真っ赤に明るく光る。

「涼....!よくやったな....!はぁ........はぁ....おかげで切り札をあいつにぶち込むことができる!!終わりだぁぁぁーー!!巨大バーテックスっーー!!」

金が放った赤く、太い光の線は巨大バーテックスにヒットする。

「うおおおおぉぉぉぉぉーー!!」

-

-

-

「っ!!やられて........ない....!?」

瞬は絶望してそう言った。そして、自分の目を疑った。

「そ、そ....ん........な........」

金はその場で力尽き、倒れてしまった。巨大バーテックスはまた岩を集め始める。瞬と涼は完全に絶望する。戦意などもう、どこにもなかった。二人は殺される覚悟だけができていた。

 

_________________________

 

「も、もう........無理だ....」

瞬も涼も一歩も動けなかった。絶望した顔で迫ってくる岩を見ることしかできなかった。二人は思った。

(みなさん....ごめんなさい....ここまでです........)

しかし、そこに白い影が一つ。またしても岩が粉々に破壊される。

「いや~!すっかり遅くなっちまったなぁ。すまん、すまん!」

「っ!!祐成!?」

「いやぁさ、あのカッターに足やられちまってさー、ここまで来るのに時間かかっちまった!........よく耐えてくれた........お前たちたった三人で.....!...あそこまでダメージを与えてくれてりゃあ俺一人で行ける!」

瞬は祐成の足を見て絶句する。もちろん、傷は足だけではないが、足の傷は特にひどかった。

(こ、この左足の出血の量........早くなんとかしなきゃ........祐成の足が........壊死してしまう....!)

「じゃ、ちょくら行ってくる!」

巨大バーテックスは岩を飛ばして祐成に近づかれないように抵抗するが、祐成は右足だけを器用に使ってそれを避ける。

「見せてやるよぉ!!俺が初めて使う切り札をなぁ!」

祐成の体が白く光り始める。

祐成の周りにレイピアが大量に現れる。

「これが俺の切り札だ!この計二十本のレイピアで切り刻む!もちろん、こんなちっこいままじゃないぜ!」

祐成が持っているレイピアも合わせ、すべてのレイピアが巨大化する。

「よくも........俺の大切な友達を傷つけてくれたなっ!!お前は........全身穴だらけの刑だっ!!」

二十本のレイピアが巨大バーテックスの体を次々に貫く。さらにまたなんども突き刺し、跡形もなく切り刻んでしまった。

バーテックスを倒した祐成は着地し、

「はぁ.......はぁ........主役は後から登場するって........言う........も........ん........な........」

祐成はそう言ってそのまま倒れこむ。祐成も限界が近かったのだ。足の出血が多く、めまいがしたまま戦っていた。涼も金が倒れたショックで表情がないまま座っている。瞬は仲間たちが血だらけで倒れている地獄絵図を見ながらも自分がしっかりしなくては、と立ち上がる。やがてそのまま、樹海が解けていく。瞬はある一つの疑問が頭に浮かんでいた。

 

(第五話に続く)

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