⑲退院祝賀会
「改めまして!金、祐成....退院おめでとう~!!」
涼がそう大声で言うとクラッカーをみんなで一斉に鳴らす。
「みんな、ありがとうございます!こんなに早く退院できたのは皆さんのおかげです!」
「さぁ~て、今日は楽しむぞ~!」
金はみんなにお礼を言い、祐成はさっそくパーティーを始めようとする。
「そうよそうよ!祐成くん!今日はオールでパーティーよ~!」
風がそう言ってコップを持つ。
「みんな~!乾杯ー!」
『乾杯ー!』
みんな揃って一気に飲みほした。
「ぷはぁ~....一日勉強した後の炭酸は身にしみるね~」
「なんばー、おじさんくさいんよ~」
「いや~それにしても今ここには初代勇者部と現勇者部が大集合している....なんだか感動しちゃいますね。」
金がそう言うと東郷がいきなり立ち上がる。
「それは違うわ!金!大集合とはまだいえない....勇者部に欠かせない『アノ人』がまだいないんだからっ!」
「わぁ....国のことについて話す東郷先生のテンションだ....」
「まさか....来るの!?」
「まさかまさか~?!」
「来るのね....?」
初代勇者部の四人が顔を見合わせる。
「ちょっとちょっと~!誰なんですかー!」
金がそう言うと
ピンポーン
「丁度来たわ~!!入って良いわよ~」
「だからここは私の家だっつうの!........別に良いけど」
家の扉が開く。すると一人の女性が入ってきた。
「紹介するわ!私の一番の親友であり、勇者の伝説はこの人なしでは語れない!」
「みんなー!はじめまして!讃州中学勇者部OB、結城友奈ですっ!よろしくね!」
「確か....勇者の適性値がトップで世界を救ったのも何度かあるんですよね....?本物....?」
瞬が興味深そうに友奈を見つめる。
「私が今日呼んだのよ!やっぱり友奈ちゃんはいつ紹介しようか迷ってて....ちょうど風先輩が退院パーティーをやるって言って、このタイミングしかないと思ったの!友奈ちゃんはね、優しくて、思いやりがあって、可愛くて....」
「東郷はもう無視していいわよ....」
友奈のことについて話すのが止まらない東郷を夏凜はほっとくように促す。
「あぁ、だいたい部活中もああなるときがあるんで僕達も対処には慣れてますから大丈夫ですよ」
祐成がそう答える。
「友奈も来たし、パーティー続けましょ!」
風がそう言って友奈のコップに炭酸を注ぐ。
「ありがとうございます、風先輩!そう言えば会うの久しぶりですね?」
「そうね~最後にあったのはいつだったかしら?」
楽しそうにしている勇者部のみんなを見て、金と涼はこの光景について話す。
「勇者部ってみんな明るくて元気で本当に良い部活だな」
「そうだね~、金~。最高だよ~」
長い夜はまだ始まったばかりである。
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「これで終わりよ!」
「ふふふ....残念だったわね、夏凜....それはババよ....!」
「なっ....」
「夏凜コーチと風さんのババ抜き一騎打ち!すんごい激アツです!」
「どっちが勝つんですかね~?」
「こっちだぁー!!これで勝ちよ!」
「ふっ....風、それはババよ....」
「そ、そんな~....」
「まだまだ終わらないんよ~!」
「みんな~お風呂空いたよ~!」
「あれ?東郷先生と友奈さんなんで二人で出てきたんですか?」
「そんなの決まってるじゃない、金。一緒に入ってきたからよ」
「えぇ~!!銭湯ならともかく一人暮らし用の家の風呂で二人!?」
「東郷さんが久しぶりに入ろうって言ってね、楽しかったね~!」
「そうね!友奈ちゃん!」
「二人とも....二十代後半ですよね....?」
金は引き気味に聞く。
「友情に年齢など関係ないわっ!ねー!友奈ちゃん!」
「うんっ!」
「もうこれは友情の域を越えてる....」
「じゃあ次は僕が入ってもいいですか?」
「いいよ~」
瞬の問い園子が答える。
「うわぁっ!負けたぁ!」
「今回は私の勝ちね!風!」
「ぐぬぬ....夏凜!次は覚悟しておきなさい....!」
「望むところよ!」
「じゃあ次は何しようか~?」
「園子先生っ!王様ゲームなんてどうでしょうか?!」
「いいね~なんばー!」
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「一番が四番に五秒間熱いハグを!」
『えぇ~~!?』
金と涼が驚く。
「なんでいつも園子先生は王様を引き当てるんだ!?しかも毎回命令が恥ずかしいことばっかり!」
「ほら~早く早く~!創作意欲が込み上げるんよ~」
「一番と四番は金と涼ね....」
金と涼は少しずつ近づく。
「金........!」 「涼........!」
「何かいけないものを見ている気がするわ....」
「風先輩、そこを気にしたらダメですよ」
「1~........2~............」
「園子先生っ!数えるの遅いですよっ!」
「恥ずかしいから早くしてください~」
二人は目をつぶり、顔を赤くしながら抱き合ってる。
「はぁ~やっと終わった....」
金と涼は背中をあわせて座り込む。
「それはOKなのね....」
「須藤祐成、ただいま風呂から帰還しました!」
「お風呂出るの結構早いですね....ちゃんと洗ったんですか?」
「当たり前だろぉっ!!だいたい瞬が長すぎるんだろ?一体何分入ってたんだよ!」
「祐成に見られなかっただけよかったか....」
「そうだね~すぐ言うもんね~」
「ん、何かあったのか?」
「大ありだよ~!聞いて聞いて、祐成くんっ!」
『園子先生っ!!』
二人が園子を睨みつける。
「ごめんごめん!言わないんよ~....」
「ええっ!気になりますよ~」
「祐成....この世には知らない方がいいこともあるんです....」
瞬が祐成をなだめる。
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「みんなお風呂入ったし!そろそろ寝ますか!」
風がそう言ってみんなで布団を出し始める。
「ちょっと待ったーー!!」
「どうしたのよ?夏凜」
「まさか....男子たちと同部屋で寝るつもり....?」
「そうだけど....」
「いやいや!別に永遠の愛を誓ったわけでもないのになんで異性と一緒に寝なきゃなんないのよ!しかも....思春期真っ只中なんだし!」
「夏凜....あんたそんなこと気にしてるようじゃダメよ!」
「夏凜コーチ....俺たちがそんな変なことやるとでも思ってるんですか....?」
「そうですよ~....ガッカリです....」
「そんな感じに思われていたなんて....」
金と涼と瞬は肩をおろしてそう言った。すると一人、祐成が
「しちゃうかも........」
その小声の一言を聞いた六人の冷たい視線が一斉に祐成に向く。
「え、ちょっとやだなぁ!冗談に決まってるじゃないですかぁ!」
「東郷さーん、さっきからみんなは何を言ってるの?」
「友奈ちゃん....今は耳をふさいでおきなさい....」
「祐成くんは隣の部屋で寝てくれるかしら?」
風は光りのない目でそう言い、祐成の布団を持ち上げる。
「ちょっと!?冗談ですってば!俺がそんなことするわけないでしょう?!涼と瞬も何とか言ってくれよ!」
「祐成~....今の発言で完全に祐成のイメージがだだ下がりだよ~....」
「嘘にも限度がありますよ....」
二人は感情のない表情で答える。
「ふ、二人まで....!金~お前は俺の仲間だよな?」
「............最っ低!!」
金は祐成の方を振り向き、軽蔑する目でそういった。
「そ、そんなぁ~........あんなこと言うんじゃなかった....」
「....しょうがないからあとの三人は一緒に寝てもいいわ....けどあんたは....さっさと隣の部屋に行きなさい!!この変態野郎っ!」
祐成は夏凜に隣の部屋にぶち込まれる。
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金はなかなか寝つくことができず、窓の外に目をやっていた。
「金太郎くんっ!寝れないの?」
後ろを振り向くと友奈が起きていた。
「あっ、すみません。起こしちゃいましたか」
「いやいや大丈夫だよ~........何か悩み事でもあるの?」
「えっ!?どうしてそれを....」
「なにか浮かない顔してるからさ~」
「........さすが友奈さんですね....今日初めて会ったのに....」
「私でいいなら相談に乗るよ!悩んだら相談!」
そう言って友奈は金の隣に座る。
「........涼とかより東郷先生に詳しい友奈さんに相談した方がいいですね........俺....たまに考えちゃうんですよ....東郷先生たちは本当に姉ちゃんを大切に思っているのかって....だって....その....姉ちゃんが死んじゃったせいで....二人は....体の機能を失って....二年間もつらい思いをしたんですから....しかも....小学六年生という歳で....」
金はまだ話を続ける。
「少しくらい....なんていうか....恨みをもってるんじゃないかって....」
「そんなことないよ」
友奈は断言する。
「絶対にそんなことない。東郷さんね、たまに銀ちゃんのこと話してくれるんだ....とても楽しそうにね....話しながら泣いちゃうことだってある....二人は本当に銀ちゃんに感謝してるんだよ....それと同時に守れなかったことを悔やんでる....銀ちゃんがいたからこそ東郷さんたちは世界を守ることができた....今も東郷さんと園子ちゃんは銀ちゃんがすごく可愛がってたあなたを....大切にしてるし....守ってる....だから、東郷さんと園子ちゃんが銀ちゃんを恨んでるなんてありえないよ!!」
友奈の真剣な目を見て、金は心をうたれる。
「本当........ですか........?」
「うんっ!!私を信じてっ!」
「........!ありがとうございます!おかげでスッキリしました!」
金は微笑んでそう答えた。
その話を布団の中でこっそり聞いていた涼は布団の中に潜り込む。
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⑳対人戦
夏休みが始まり、金たちは鍛練に励んでいた。
「夏だからといって鍛練の厳しさは変わらないのか....」
「ほら変態!弱音を吐かない!鍛練に季節も何も関係ないわ!」
「俺いつまで変態って呼ばれなきゃならないんだ~........」
「それは完全に自分のせいだよ~」
涼が遠くから言う。
「しょうがないわね....一回休憩よ!」
金は一気に水を飲み干すとすぐにまた銃を出し、鍛練を始めた。
(目をつぶってても....敵の気配を感じとって、....撃つ!)
金は目をつぶりながら自分の周りの的をすべて撃ち抜く。
「やるじゃない....金!」
「もうあいつ人間やめてるぜ....」
「俺も負けていられない~!」
涼はそういうと斧の素振りを始める。
「せいっ!やあっ!とりゃ!」
「みんな元気だなー....」
祐成は座り込んで鍛練にうちこむ三人の姿をみていた。すると夏凜が手をたたいて四人を呼ぶ。
「なんですか?」
「みんな鍛練にもすっかり慣れたし....そろそろ次のステップに移るわ」
「次のステップですか~?」
「そう....あんたたち同士で........戦ってみなさい!!」
『えぇ~~~!!』
「そんな!危険ですよ!もしこれで怪我なんてしたら....」
「そうよ、危険よ。だから戦いにも鍛練にもある程度慣れた今だからこそ言ったの。昔の勇者システムはバーテックス以外に危害を加えたり精神が不安定だったりすると変身できなくなるんだけど....神樹様が変わってしまったのが原因でそこらへんの機能もなくなっちゃったみたいだし。それで....やる?やらない?」
「俺はやりたいです!!」
金が一歩前に出て言った。
「俺もやりたいですよ。今の実力は四人の中でどれくらいなのか確かめたいですし!」
祐成が余裕のある顔で言った。
「鍛練の成果を見せつける~!」
涼もガッツポーズをして言う。
「みんな........分かりました....やるからにはこの古波蔵 瞬....容赦しませんよ!」
「決まりね!ルールは相手の首もとに自分の武器を寸止めで勝利よ!寸止めしない限り、武器がふっとばされようが勝負は続く、それでいいわねっ!」
『はいっ!』
「じゃあまずは瞬と変態から!」
「よっしゃ!かかってきな!」
「こんな脳筋には負けませんよ....!」
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「始めっ!」
夏凜の合図がかかった瞬間、二人はいきなり距離を詰める。
「はああああぁぁぁぁぁ!!」
「うおおおおぉぉぉぉぉ!!」
お互いの武器が激しくぶつかり合い、金属音が鳴り響く。
「中距離型の武器のくせに近づいてくるなんてちょっと驚いたぜ!」
「ブーメランはただ投げるだけの武器だと思わないでください。こんな使い方だってあるんですから!」
「けどなぁ!近距離戦はこっちの方が有利だぜっ!」
祐成がすばやい突きを瞬に食らわせる。
「瞬が押されてるぞ!」
「どっちもがんばれ~」
「ぬうぅ....さすが....防ぐのが精一杯と言ったところか....」
「まだまだだぜ、瞬!覚悟しやがれ!」
祐成はもう一本レイピアを取り出し、二本で攻める。
「俺の最強の突きを........くらいなっ!!」
「くっ........!」
瞬は一回後ろに飛び、距離をとる。
「そうすると思ったぜ!」
祐成はそう言って瞬に向かってレイピアを一本投げる。
(何っ!?読まれた...!?)
瞬はとっさにレイピアをブーメランではじく。そのせいで瞬は次の行動が一歩遅れてしまう。祐成は果敢に攻め、瞬の方向へジャンプした。瞬は祐成に向かって一本ブーメランを投げるが、防がれてしまう。
「終わりだっ!」
祐成は瞬を蹴って地面に叩き落とし、瞬の上に馬乗りになって瞬の首もとにレイピアをつきつける。
「なにが脳筋だ!実際これで俺の方が強いって分かったろ!」
「.......」
「俺の動きに驚きすぎて声も出ないかぁ~?」
「........祐成の悪いところは....そうやってすぐに油断してしまうところです....」
祐成の後ろからブーメランが飛んでくる。
「!?何っ!?」
祐成はなんとかしてそれを弾くが、逆に瞬に倒され、馬乗りにされて元々持っていたもう一本の方のブーメランをつきつけられる。
「今飛んできたのはさっきあなたが防いだブーメランですよ。これで分かりましたね........?」
「クソっ!........マジかよ........!」
「勝者、古波蔵 瞬!!」
夏凜がそう言うと金と涼が二人に駆け寄る。
「二人ともすごい戦いだったよ~!!」
「思わず見とれちゃったよ....!」
「今の俺の勝ちでよかったでしょ~....」
「全く祐成は....諦めが悪いですね....」
「次っ!金と涼よ!」
『はいっ!』
二人は砂浜の真ん中に立つ。
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「これ....圧倒的に涼が不利じゃないか?涼の斧は俺の武器みたいにすばやく動かせないから隙が大きいし、相手は遠距離型だ........大丈夫かなぁ....」
「そうとも限りませんよ。金の方だって遠くから攻撃できても近づいて銃を首もとにつきつけなくちゃいけないんですから....それ相応のリスクがあります」
「それじゃあ....始めっ!」
夏凜の合図とともに第二回戦が始まった。
「二人ともその場で動かないな....」
「お互い相手の行動を見計らっているんですよ」
「........」
「........」
しばらく砂浜は海の波の音だけ聞こえていた。
「........ふっ!」
金がようやく瞬に向かって一発放つ。瞬はそれを斧の側面で防いだ。
「大切な親友と戦うって言うのは....なんとも複雑な気持ちだけれど....ようやく決心がついたよ!」
「ふふふ....金も全く同じこと考えてたんだね~」
「えっ!それで二人とも動かなかったんですか!?」
「だけど....もう違うよ~!」
瞬は思いっきり砂浜の地面を蹴り、金との距離を詰める。
「ぬうう........やはりそう来るかっ........!」
金も近づかれまいと後ろに飛び退く。金はそのまま空中で二丁の銃を使い、連射するがすべて防がれてしまった。
「.......!こんなに至近距離なのにすべて防がれるなんて....!」
「まだまだ!俺の力はこんなもんじゃないんだぜ~!」
涼は斧の真ん中あたりを両手で持ち、高速でプロペラのように回し始める。
「こんな使い方だってあるんだよ~!柄が長い斧だからできることさ~!!」
涼はそのまま近づき、金を斬りにかかる。
(まずい....!)
金は銃の大きさを利用してガードしようとするが、高速で回転した斧は凄まじい破壊力を持ち........
バキンッ!!
二丁の銃が派手な音をたてて真っ二つに割れる。
「!?じゅ、銃がっ....!」
金の顔が青ざめる。
「涼、危ないやつだぜ!もし金がまともに食らってたら今頃....」
祐成は体を震わせる。
「涼は....金の強さを信じて本気で斬りにかかったんです....あそこまで近づかれたら金もああするしかないだろうと考えたのでしょう....まずは金が使い慣れているあの銃から破壊して攻める....それが涼の作戦ですっ!」
二人は砂浜に降り立つ。
「驚いたよ....涼....ここで新技を見せてくるとは....」
「俺だって本気で勝ちに行ってるからね~!」
「でも........銃が破壊されたからってまだ戦いは終わってないぞ!」
「そんなの百も承知だよ!勝負はまだまだこれからだよ~!」
_________________________
「狙撃銃を使うには距離が近すぎる....バズーカは威力が高いから使えない....これって金、大ピンチじゃないか!?」
「そうでもないようですよ、祐成....金は銃を破壊されたことには驚いたみたいですが....今ではもう余裕の表情です」
「しょうがないなぁ!じゃあ俺もまだ見せてない秘策を披露しますか!」
金は両手を前に構えると金の両手に拳銃が現れる。
「これはよぉ....いつもの銃よりは威力は低いが....こっちの方が連射のスピードが早いんだ....コンパクトで動きやすいしな....」
「へぇ~....まだそんなもの隠してたなんてね....」
金は涼めがけ、正確に連射する。それに対し、涼はさっきのように斧をプロペラのように回して防ぐ。
「連射のスピードがあがったところで変わらないよ!」
「どうやらそうみたいだな....なら....これならどうだっ!」
金は涼の足元に向かって連射し、砂ぼこりを起こす。
「砂浜だからできることですね....周りの環境を考えた良い戦法です!」
「瞬....完全に実況者だな....」
「俺の目標は姉ちゃんを超えることだっ!だから....この勝負勝たせてもらうよっ!」
「............ぬぅ........こんな目くらましっ!通用しないよっ!」
涼は大きく斧を振り回し、砂ぼこりを振り払う。
「何っ!?こんなに早く砂ぼこりを消し去るなんて....!?」
金はこの間に涼に急接近していたが、予想よりも早くに砂ぼこりがかき消されてしまい、動揺する。中途半端な距離で止まってしまった。
「惜しかったね!拳銃は小さいからこの距離じゃ僕の首には届かない!けど俺の斧は長いから....!」
涼は金の首を切り落とすのではないのかと思うくらいの勢いで金の首めがけて斧を振る。
「まだだっ!まだ勝ったと思うなぁぁぁぁ!」
金は拳銃を銃口が長い狙撃銃へと変化させる。
「うおおおおおおおお~!!」
「うおおおおおおおおー!!」
同時。同時に両者の武器が首もとにつきつけられた。
「こ、これは....どっちだ....?」
「はぁ....はぁ....」 「はぁ....はぁ....」
二人は夏凜の判定が出るまでにらみ合っている。
「........この試合........ドロー!引き分けよ!」
「........」 「........」
二人の手から武器が消える。
「良い戦いだったぜ....!涼!」
「ひやひやしたよ~!」
二人はそう言って握手をする。
「す、すごかったなぁ....てか涼が金をマジで殺しにいってたように見えたのは俺だけか?」
「感動しました....!二人に比べれば僕もまだまだですねっ....!」
「みんな鍛練の成果がちゃんと出てるじゃない!確実に強くなってるわ!」
「珍しい~!夏凜コーチが誉めた~!」
「次は誰と戦うんですっ?」
「金、そうすぐに戦おうとしないの!今日はここまでよ!」
「は、は~い........」
「はぁ~....今日は特に疲れたなぁ~....早く帰ろうぜ」
祐成が変身を解除し、真っ先に歩き始める。
(もっと....強くならなくちゃ....)
金はそう思いながら砂浜をあとにする。
(第七話に続く)