三ノ輪金太郎は勇者である   作:てんぱまん

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満開の力

 

 27.大軍 

 

「なんだ....この数....!」

「前の軍よりも遙かに多いですね....」

金たちが立っている所に多くの星屑が向かってきている。そしてその奥には巨大バーテックスが四体、山脈のようにそびえ立っていた。

「しかも....三人で精一杯だった巨大バーテックスが四体も~....」

「けどな....今の俺たちは一味違うぜ!」

金はそう言っていつもの銃を取り出す。

「まずは目の前の星屑たちを片付けようか~!」

「満開使ってみるか?」

「いきなりは危険ですよ、祐成。まだ僕たちは満開したことないんですから。とりあえず攻撃が上がった通常状態で星屑たちを倒しましょう」

「OK、瞬。勇者服の見た目は特に変わってないからな~パワーアップした感じはないけど....本当に強くなってるかあいつらで試させてもらうぜ!」

四人は散らばって星屑の群れの中に入る。

「数で攻めてこようが囲まれようがこの祐成様には関係ないっ!」

祐成は見事な剣さばきで星屑を倒していく。

「竜巻で....一掃ですっ!」

「斧を大きくして~........ええ~い!」

「おおっ!みんな暴れてるなぁ!よ~し、俺だって!」

金は持っていた銃を投げ捨てる。

「今回は....こいつでやるぜ!」

金はそういってどこからかマシンガンを取り出した。

ガガガガガガガガッ!

「オラオラ~!一気に倒すぜ~!」

あれほどいた星屑はみるみるうちに減っていき、残りは巨大バーテックスのみとなった。

「いや~余裕だったな~」

「瞬も変わったよな、前はキレてただろうに」

「そういば........人間は成長するもんなんですね....実感しました」

「みんな、ダメージは受けていないだろうな?」

「当たり前だろ?金!」

「まだまだ元気~!」

「よ~し、じゃあそろそろ満開を....」

「待ってください!まずはあのバーテックスたちの攻撃方法がどんなか見極めてからです!」

「そ、そうだな....じゃ、いつも通り俺が仕掛けるぜ!」

金はマシンガンを捨て、またいつもの銃を手に持ち、四体に向かって放つ。攻撃は当然のように防がれた。

「ちっ....あっ、みんな来るぞっ!」

金のかけ声の通り巨大バーテックスたちは一斉に攻撃してきた。

「見たかっ?あいつらの攻撃を!」

「はっきり見たよ~!」

「一番右は青い雷で、その左は炎....」

「そしてそのまた左は紫色の液体を飛ばして、一番左は大きな触手で鋭いパンチをした!」

「........!見ろ、あそこ!」

金たちが立っていた場所が溶け始めている。

「炎による影響でしょうか?」

「それもあるだろうが....あそこは焦げ目がついてない....つまり....あの紫色の液体は溶かす性質があるんじゃないか?」

「ええ~!?毒ってことか?!」

「恐ろしい~....」

「今までの巨大バーテックスの特徴からして.......前に戦った二体が風と岩を操る者だとしたら....この四体は........電気、炎、毒、近距離格闘型ってところか....!」

 

_________________________

 

「よ~し!アツい炎には、アツい赤の俺だっ!」

金はそう言って炎を操る巨大バーテックスの方へと向かおうとする。が、瞬に肩をつかまれて金は足を止める。

「待ってください、金!金はあの毒のバーテックスと戦ってください!」

「えっ?」

「少なくともあの毒のバーテックスと近距離武器を扱う涼と祐成は相性が悪いです。僕の武器もあの毒に触れたら溶けてしまうかもしれませんし....」

「つまり....あの毒の攻撃と相性が良いのは俺の銃だけってことか....」

「そうです」

「....わかった!任せとけ!」

金はそう言うと毒のバーテックスのもとへと向かう。

「さあ、炎のバーテックスよ!あなたの相手は僕がしてあげましょう!」

瞬はブーメランを構えた。

-

「電気....いや、雷のバーテックスさんよぉ....お前の相手はこの俺だっ!」

祐成はそう言って雷のバーテックスに接近する。

「雷も中々速いが....速さなら俺も自信があるぜっ!」

-

「さっきのは鋭いパンチだったね~バーテックスさん~腕(?)も太いしあたったら一溜まりもないわ~」

涼はそう言って高くジャンプをする。

「いきなりこうしてみるのも悪くないと....思うんだよね~!!」

涼はそう言うと力を溜め始め、涼の体が黒く光り始める。

「パワーアップした切り札をくらいなさい~!えい~~~!!」

涼はとびきり大きくなった斧を振りかざし、近距離格闘型巨大バーテックスに振り落とす。

「涼のやつ、いきなり切り札をぶっぱなしやがった....!」

「はぁ....はぁ....確かにパワーアップしてるみたいだね~....少しだけどダメージを負ってるみたいだよ~....それに....切り札を使った後の体力の消耗も少ない気がするよ~....」

それは日々の鍛練の成果でもあったし、勇者システムがアップデートされたのもあった。

「ダメだ....やっぱり通常状態じゃらちがあかない....しょうがねぇなぁ........俺が初めて満開を使うとするか!!」

金はそう言うと一旦巨大バーテックスとの距離をとる。

「本気ですか?!金っ!」

「 満 開 っ ! ! 」

金がそう叫ぶと胸の位置についている水晶の様なものと肩の位置についている満開ゲージが赤く、まばゆい光を放ち始めた。やがて金は全身赤い光に包まれ、すごい速さで上空に浮かんだ。

「うわぁ....なんだ....あれ....すごいきれいだ....」

花びらのようなものが金の周りに散っている。三人には金の後ろに大きな牡丹の花が咲いて見えた。金は後ろの花に照らされる。三人はその姿に魅了された。

「かっこいい........かっこいいよ~....金~....!」

金の後ろには大きな輪が出来ており、その周りを数個のクリスタルのようなものが浮いている。そして前髪と後ろ髪が伸び、後ろ髪は一つに縛ってあった。

金はそっと目を開け、目の前のバーテックスを睨んだ。やがて大きく光っていた牡丹の花と花びらが消える。

「お前を....倒させてもらうぞ....俺は........姉ちゃんを超える!!」

 

_________________________

 

毒のバーテックスは金に向かって毒を放つ。しかし、金はものすごい速さでそれを避けた。

「速いっ....!全然見えなかった....!」

「みんなー、バーテックスの攻撃に気をつけながら俺の戦いっぷりを見てな!」

金はみんなにそう言ってから手をバーテックスの方へかざす。

「くらえっー!」

金の周りに浮いている数個のクリスタルがバーテックスの方に向き、光線を放った。バーテックスの体はそれに貫かれる。

「へへっ!どんなもんだい!」

「すごい....効いてるよ....効いてるよ~!金ー!」

「あの破壊力....!尋常じゃありませんね....」

バーテックスも負けじとたくさんの毒を金目掛けて連続で飛ばす。

「無駄だぜっ!」

金はクリスタルから光線を放って防ぐ。そして、素早い速さで毒を避けながら急接近。

「近くで....どっかーん!だっ!」

金はそう叫ぶと少し力を込め、光線を撃つ。バーテックスはあっという間に体力を消耗したようだった。

「すごいですよ!金っ!こんな一瞬で巨大バーテックスに致命傷を負わせるなんて!」

「よ~し!負けていられないぜ!俺もっ!」

祐成はそう言うと雷のバーテックスから離れる。

「 満 開 っ ! ! 」

祐成の胸の位置にある水晶と太ももの位置についている満開ゲージが白く光り始める。

「じゃあ、俺も~!........満 開 ~ ! ! 」

涼も胸の水晶と腕についている満開ゲージが黒く光る。

「おお....偶然でしょうが白と黒で対比されていますね....この空気を邪魔したくありませんが....僕もそろそろ........

満 開 っ ! ! 」

瞬の胸の水晶もわき腹の位置にある満開ゲージも水色に光り始める。三人並んで満開をした。

「すごい....三人一斉に満開すると....すごい綺麗だな....」

金は少し遠くから三人が満開した様子を見ていた。

「力がみなぎってくる....!!」

「これから一瞬で片づけちゃうよ~!」

「あの時....あなたたち巨大バーテックスにあれほど痛い目に合わされたんですから....今日は覚悟してもらいますよ!」

「みんな乗ってきたな!よぉし、忌々しいバーテックス共よ!俺たちの勇者部魂を....思い知ると良いっ!!」

 

_________________________

 

涼の斧はさらに巨大化し、デザインも少し変わった。瞬は自分の周りに大きなブーメランが十二個、瞬を守るように浮いていた。祐成は蜘蛛に似た大きな機械のような物に乗っている。

「いきますよっ!」

瞬はブーメランに触れずに十二個のブーメランを操る。そして、ブーメランを高速回転させて自分の周りに小さな竜巻を十二個作り出した。

「竜巻という名の鉄壁の守りですっ!さあ、炎のバーテックスよ!攻撃してみなさい!」

炎のバーテックスは大きな火弾を瞬に向かって発射した。しかし、大きな火弾は竜巻に取り込まれてしまう。

「ふふふ....あなたの火弾を取り込んだ竜巻は....炎の竜巻となり、進化しました!....あなたの炎を....あなた自身で味わうといいですっ!ファイヤー....トルネード!」

瞬はそれっぽいことを叫んで炎を取り込んだ竜巻をバーテックスに当てる。

「そして....とどめです!!」

瞬はそう言って自分で二つのブーメランを持つ。するとそのブーメランはさらにまた巨大化する。

「とりゃああああああー!」

巨大化した二つのブーメランは風を切り、バーテックスの体をスライスしてしまった。

「殲....滅....!」

「瞬って........たまに中二病ぽくなるよな....中二だからしかたないか....」

「祐成!人のことは良いから自分の戦いに集中してください!」

「だってよ~こいつ弱すぎて余裕すぎなんだもん」

祐成は蜘蛛の機械に乗り、ものすごい速さで移動しながらバーテックスを切り刻んでいく。

「ほらな!こんな速いスピードで動けるし、バーテックスも全然ついてこれてない。こんなの余裕すぎて寝ながらでも勝てちゃうよ」

祐成はそう言って蜘蛛の機械の上で寝る。それを見た雷のバーテックスは祐成に向かって雷を落とす。しかし、祐成は雷をすっと避け、バーテックスに急接近した。

「だから無駄なんだって。どれだけ足掻いても今の俺には勝てないよ」

そう言った祐成は高くジャンプする。

「六本のレイピア....いや、六本の脚の突きを食らって地獄に落ちなっ!」

祐成はそう叫んで蜘蛛の乗り物でバーテックスに飛び乗り、あっという間にバラバラに切り刻んでしまった。

「満開強すぎるぜ!これならこれからの戦いも安心だな!」

その頃、金は涼の戦いを見ていた。涼はバーテックスの素早い攻撃をさっきから防いでしかいない。金から見たら攻められているようにしか見えなかった。

「涼ー!大丈夫かー!」

「まぁ見ててよ....!金!....よ~し、じゃあそろそろ....」

涼はそう言って高く空へ飛び始める。

「満開って良いよね~!....自由にすっごい速さで飛べるからロケットになった気分~!」

涼はだいぶ高い位置まで飛ぶと、そこで斧を振りかざした。

「俺の全力~!」

涼がそう言うと斧は驚くほど巨大化していく。その巨大化は止まる気配がない。

「おいおい、どこまで大きくなるんだ~!?」

最終的には巨大バーテックスをゆうに超える大きさまで大きくなった。

「くらえぇぇぇぇぇ~~!」

「待てっ!!涼!そんなの振り下ろしたら....」

金の忠告は間に合わなかった。とんでもない勢いで斧が落ちてくる。金にはそれが隕石のように見えた。

「うわあああああああああーー!!俺たちまで死ぬー!!」

 

_________________________

 

「ぅ.......いてて........はっ!!」

金は目を覚ますとそこには驚きの光景が広がっていた。樹海に大きな亀裂が入っており、さっきまでいた近距離格闘型バーテックスが跡形もなく消えていた。金が上空を見上げるとまだ涼は浮いていた。

「あ、あははははは........ちょっとやりすぎちゃったかな?」

「ちょっとどころじゃないわ!」

金が思わずツッコむ。金が後ろを向くと毒のバーテックスはまだ生きていた。

「こいつは生き残ってたか....よし!決めますか!」

金は再び宙を舞う。そして両手を前にかざすと、クリスタルが金の両手の平に光を送り始めた。

「さっきの涼みたいにならないように軽~~くね....」

金はそう言って集めた光をバーテックス目掛けて発射する。毒のバーテックスは金の赤い光りに包まれ、消え去った。

「ふぅ........勝ったな!まさか満開があるだけであの巨大バーテックスをこんなにもいとも簡単に倒せてしまうとは....」

祐成と瞬と涼が金のところへ飛んでやってきた。

「今回もやりましたね!」

「そうだね~これからこの満開が使えると思うととても心強いよ~」

「涼は力出しすぎなんだよ!」

涼は祐成にもツッコまれる。

「えへへ........ごめんごめん。まさかあんなことになるとは思わなくて....」

「でもとりあえず勝ててよかった!」

金がそう言うと樹海化が溶け始めた。

-

「........あれ....?ここ....どこだ?」

戦ってるうちに遠くのところまで来てしまったのだろうか。四人は見たこともない場所に立っていた。

「どうやらここはちょっとした山のようですね。あ!下に僕たちの街が見えますよ!」

瞬がそう言って指差す。

「本当だ~!俺の家見えるかな?」

「ここ........すごい景色だ........綺麗だな....」

金は優しくそう呟いた。ここからちょうど夕日と海と街が見える。それは一言ではとても言い表せないほど綺麗な景色であった。

「たまにここに来ようぜ」

祐成が静かにそういった。

「そうだな....見てるだけで心が自然と落ち着く....今日からここは、俺たちだけの秘密基地だ!」

金は元気よくそう言った。四人は日が沈むギリギリまでここからの風景を見ていた。

 

_________________________

 

 28.忍び寄る影

 

この話は九月の初旬のことである。

「あ~あ....最近はつまんねぇネタばっかしだな....大きな事件とかスキャンダルとか全くねーし....世の中平和すぎんだよ!」

「戸塚さん!ちょっとお話が!」

「おい、芹沢!俺のことは編集長って呼べって言ったよな?俺はもう出世したんだからよ」

戸塚と呼ばれた男は自慢気にそう言った。

「それで....なんだ?面白い内容なんだろうな?」

「はい........たった今情報が入りました....」

芹沢はそう言って戸塚の耳元で話の内容を小声で話す。

「なに....!?本当か?....よし、部屋を移そう。」

戸塚は個室に移動し、話の続きをしろと促す。

「大赦に送り込んだ我が社員が上層部の話から小耳に挟んだようなんですが....やはり戸塚さんの睨んだ通り....新しい勇者が誕生している可能性が....」

「ははっ!やったぞ!ついに掴んだ!ちょうど一年くらい前、神樹が復活したと聞いてもしやと思ったが....」

「あの時、大赦は大丈夫だと誤魔化しているかのように言っていましたが....さすが編集長です!」

「ここまで来るのに大変だったな....我が社員が大赦の信用を得るまで長い時間がかかった....あとは証拠だな!なんとしてでも証拠を得るんだ!」

「分かりました!」

そう言って芹沢は個室から出て行った。

「ふふふ....久しぶりにどでかい良い記事が書けそうだ....わくわくしてきたぞ!」

ここはマスコミ。四国新聞である。

 

(第10話に続く)

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