もしかしたら存在するかもしれない
ありえたかもしれない、ありえるかもしれない
これは、
〝可能性〟によって枝分かれした、
──わたくし〝語り部〟が、そんなもう一つのセカイを、ご案内いたします。
どうぞ、ごゆっくりと...
※独自解釈、自己満足、オリジナル設定注意
※オルタナティブの設定・用語は、申し訳程度にしか出ません。
ドーモ、ミナ=サン、カタ=リベデス。
アイエエエエエ!?カタリベ!?カタリベナンデ!?
...冗談はさておき。
どうも皆さん、お初にお目にかかります、〝語り部〟でございます。その名の通り、この物語の語り部を勤めさせていただきます。
え?「いきなり出てきて、お前誰だ」って?
私は語り部。この〝お話〟を皆さんに語るためだけに生まれた存在。それ以上でも、それ以下でもありません...まあ、この話は置いておきましょう。
さて、今回私が皆さんに語りますお話は、ある一人の少女、それも〝鬼〟の少女の物語です。
その〝鬼の少女〟が住まう世界は皆さんの世界と同じく、科学が発達し、人々が便利な生活が送ることができている世界ですが、少し違う点があります。
その違う点というのが、
彼女は、そんな世界に住まう亜人族のうちの一つ〝鬼族〟の一人。
しかし、この物語の舞台となる時代の鬼族の立場は、お世辞にも良いものではありませんでした。何故かと言うのは...この後にわかります。
これは、そんな時代に生まれた彼女と、ある人間たちのお話。
これは、世界に拒まれた鬼の少女と、そんな彼女を受け入れた、ある一人の人間のお話。
これは、もしかしたらあり得たかもしれない、ちょっと不思議な、
この語り部のお話、是非とも、最後まで聞いていってくだされば、幸いです。
それでは...
あれは、むかしむかしの話です...
雨の降る夜のこと。
「どうだ、いたか?」
「いや、こっちはいない!西の倉庫の方を探せ!」
「見つけ出せ、見つけ出して殺すんだ!」
ここは鬼族の村。額から角を生やした、人族とは似て非なる種族が
小さい村ながら、ここに住んでいた鬼たちは平和に過ごしていた。
しかし平和だったはずの村は、鬼族の亡骸があふれ、赤黒い血にまみれる、地獄のような有り様となっている。
「...この辺りに、微弱だが三人分の妖力の痕跡がある。近くにいるな。」
「よし、この辺りをしらみ潰しに探せ!」
「わかった!俺らは家屋の方を探してくる!」
そんな村を、それぞれ様々な武器を持った〝人族〟が、何かを、いや〝誰かを〟探すように歩き回る。
「くっ、もうこんな近くに...」
「だいぶ人数が増えたわね...それに、魔術師や妖術師までいるわ。」
人族の襲撃で空き家になった家屋に、鬼族特有の着物のような服を着た男性と女性。その側には、二人に似た顔つきの少女。
そして三人の額には、それぞれ二本角や一本角が生えている。
人族たちが探していたのは、この
「人族め...よくも村を!」
「なんだ!?ガッ!」
瓦礫の中から、短剣を持った鬼の若者が飛び出し、近くにいた人間を刺し殺す。
「鬼だ!殺れ!」
少し離れたところにいた人間が、鬼の若者の足を弓で射抜く。
「ぐっ...クソッ!」
刀や斧を持った人間が、倒れた鬼の若者に近付いていく。その顔には様々な感情が浮かんでいるが、負の感情以外は見当たらない。
「人族め...俺はお前たちを...恨んでやる!いつまでも...いつまでアギャッ」
月明かりに照らされて鈍く輝く斧が喉元に振り下ろされ、断末魔とともに鬼の若者は、怨嗟の表情を浮かべたまま事切れる。
この光景からは想像出来ないかもしれないが、元々、鬼族と人族の関係は悪いものではなかった。一部では交流もあったし、取引をしたり、家庭を築く者までもいた。
そんな鬼族と人族の関係が崩壊したのは、鬼族の青年が、人族の子どもを殺害してしまった時からだった。
これに怒った人族のうち、過激な一派が報復として、鬼族の里を攻撃。火が放たれ、その里にいた全ての鬼族は殺された。
一方で〝一族の一人が、人族の子どもを殺してしまったこと〟〝人族の攻撃が、子どもを殺されたことに対する報復であったこと〟を知らなかった一部の鬼族も、同じく人族の里や村を攻撃。
そして、それを知った人族が攻撃し、同じように鬼族が攻撃し...そんな負の連鎖が続き、いつしか鬼族と人族の、種族間の戦争へと発展してしまった。
当初は、高い戦闘力と妖力を持つ鬼族側が優勢だったが、人族側が、その高い技術で妖術への対策を考案すると、数で勝る人族側が優勢となった。
その後、種族間戦争を止める為に秘密裏に接触していた、人族と鬼族の穏健派集団を見つけ出し、壊滅状態にさせた人族は、鬼族への総攻撃を始めた。
劣勢に追い込まれた鬼族はギリギリのところで持ちこたえていたが、鬼族の本拠地となっていた街が人族の攻勢で陥落すると、鬼族は敗北。生き残った鬼族たちは、世界各地に散らばっていってしまった。
人族は、散らばった鬼族を殲滅するため、専用の組織を創設し〝鬼狩り〟を始めた。
人族たちは、洞窟や廃村などに籠ってくらしていた鬼族を次々と見つけ出し、老若男女問わず、殺していった。
抵抗するものは、無力化されたあとで捕らえられ、見せしめの為に残虐に殺された。
こうして、鬼族にとって人族は、怨念と畏怖の対象となっていったのだった。
「こっちだ...あの長屋の方から、妖力が漂ってきている。」
「よし、長屋とその周辺を重点的に探せ!見つけたら、攻撃して動きを止め、すぐに取り囲んで逃げ道をなくすんだ!」
鬼の父親「くっ、ここも駄目か...移動するぞ。気配消しの術を頼む。」
鬼の母親「ええ、あなた。行くわよ。離れないようにね。」
娘「う、うんっ」
妖術で気配を消した三人は、隠れていた長屋の引き戸を静かに開けて飛び出し、素早い動きで、障害物から障害物に隠れながら逃げ出した。だが...
「...ん?この妖力の反応は...ッ!やはり!」
「鬼の親子を見つけたぞーッ!北側の瓦礫の近くだーッ!」
彼らの体から漏れる妖力を探知した妖術師が、三人を見つけるなり大声で叫び、仲間を呼ぶ。
「なっ、見つかった!?」
「くそっ、あちらの妖術師は、中々腕が良いようだな...!走るぞ!」
「ええ!」
三人は、少し前まで倉庫だった瓦礫の影から飛び出し、一斉に走り出す。
鬼族は強靭な体を持つ故、身体能力も非常に高い。普通の人族がただ走っただけでは、とても追い付けるものではない。
「くそっ、引き離される!」
「逃がしてたまるか!矢を放て!」
弓を持っていた何人かが、三人に狙いを定め、一斉に矢を放つ。
しかし、三人に迫っていた矢は、直前で全て逸れ、地面に突き刺さる。
「なっ、逸れた!?」
妖術師「なるほど、妖術で風の壁を作り、それで逸らしたか...ならば、こちらも同じようなことをすればいいだけだ。」
妖術師が弓手に近寄り、矢に向かって呪文を唱えると、矢につむじ風のような、小さい、だが密度の高い風が纏わり付く。
「それなら、奴らの風の壁を破れる。」
「ありがたい!よし、再び放て!」
再び放たれた矢は、ヒュウという風切り音を鳴らしながら飛翔する。
鬼の親子たちの所にたどり着いた矢は、三人を囲っていた風の檻を破り、何発かは外れるが、そのうちの一本が、鬼の父親の右腕に突き刺さる。
「ぐっ!?」
「あなた!」
「クソッ、矢に風の妖術を付与したのか...」
鬼の父親は、毒づきながら矢を引き抜き、投げ捨てる。木製の矢は、カラカラと軽い音をたて、赤黒い血痕を残しながら転がっていく。
鬼の娘「父上、大丈夫か?」
「ああ、このくらいなんともないさ。」
すると、愛おしそうに娘の頭を撫でながらそう言う鬼の父親を目掛けて、刀や竹槍を構えた二人の人間が突撃してくる。
「ウオオオオ!!」
「イヤアアアアアッ!!」
しかし、鬼の夫婦は冷静だった。
「我が敵を焼き尽くせ...〝鬼火〟!」
「デヤアッ!」
鬼の母親は妖術を唱えて、竹槍を持っていた方を火だるまにし、鬼の父親は、腰に差していた黒い柄の刀を抜き払い、刀を持っていた方を真っ二つにする。
「ギャアアアアアアッ!熱い、熱いイイイイッ!」
「くっ、早く消してやれ!」
「駄目だ、妖術の炎は消えないんだ!」
「よくも仲間を!」
「囲め囲め!逃げ道を無くすんだ!」
「クソッ、包囲されたな...」
「相手の数が多すぎる...妖力も無限じゃないし、このままじゃジリ貧ね。」
村人たちは、それぞれの得物を構え、ジリジリと包囲を狭めていく。
「来るなら来てみろ、人間...!」
鬼の娘も、手に持っていた赤い柄色の刀を抜き、構える。
「駄目だ、戦おうとするな。いくら仲間たちの中で一番剣術が上手かったお前でも、太刀打ち出来る数じゃない。」
「でっ、でも父上と母上が...!」
「聞き入れなさい!」
鬼の母親が、娘の頬を平手で叩く。
「私たちのことはどうなってもいい。でも貴女は...あやめは、私たち鬼族の未来を担っていく存在なのよ!」
「そうだ、あやめ。私たちのためにも、散って逝った仲間たちのためにも...生きてくれ。」
「ここから真東へ行った方に、鬼族の小さい集落がある。私の友がいるから、行けば匿ってもらえるだろう。」
「私たちが道を開く。その隙に包囲を抜けて、東へ行くんだ。」
「でも、父上と母上は...」
「大丈夫、私たちのことは心配しないで。なんたって私たちは、あの鬼神様の末裔なのよ?」
「...だから、安心して。きっと、迎えに行くわ。」
「父上、母上...」
「そうだ、あやめ。これを持っていきなさい。」
鬼の父親は、腰に差していた黒柄の刀を、あやめに手渡す。
「こ、これは、父上がおじい様から受け継いだ
「良いんだ、お前に持っていてほしい。
「...わかった。ありがとう、父上。」
突然、三人の頭上に、大量の矢が降り注ぐ。
しかし鬼の父親と母親が、妖術で炎の壁を作り出し、その全てを焼き尽くす。
二人はその炎の壁を、ひと塊の火球へと変え、警戒して包囲を固めていた人族たちへと投げ付ける。
「グアアアアア!」
「ギャアアアアアアアッ!!!」
直撃したものは、消し炭すら残らず消滅し、着弾時の爆発に巻き込まれたものは、手や足を吹き飛ばされ、身体中に大火傷を負い、地獄のような苦しみに襲われる。
「道は開いた!行くんだあやめ!人族たちは、またすぐに仕掛けてくる!」
「行ってあやめ!そして、生きて!」
父親と母親の声を背中で聞いたあやめは、攻撃で空いた道に、地面を勢いよく蹴って走り出して行く。
「一人逃げたぞ!」
「逃がすなグベッ」
そのあとを追おうとした人族の一人を鬼の父親が、倒した人族が落とした刀で斬り殺す。
「...ここから先は、私たちの...未来への道だ。虫一匹、人っ子一人として通さない!」
「俺たちの未来を、貴様ら人族に渡してなるものか...貴様らの相手は、俺たちだ。」
「上等だ!お前たち二人を地獄に落としたあとで、その未来とやらも同じ地獄に叩き落としてやる!」
「...いや、地獄に落ちるのは...貴様らと、
「なんだと...!?」
「おい...
「...ええ。」
鬼の夫婦は手を、現代では所謂〝恋人繋ぎ〟と呼ばれるように繋ぐ。
「炎のカミよ」
「風のカミよ」
「「我らが
「そのイワレを、その力を持って」
「火龍と共に」
「仇なす敵を」
「「喰らい尽くせ、そして、焼き尽くせ!!」」
「
「...ッ、あれは!」
小さい頃からの自慢だった脚力で、早くも村を離れ、近くの森に入る直前だったあやめにも、その大爆発は見えた。
そしてあやめは、その大爆発の意味を知っていた。
鬼神・火龍炎撃斬。それは、肉体を持たぬ、始祖たる〝鬼神〟に我が身を捧げ、全てを焼き尽くす禁断のワザ。
〝
そして、それを思い出した瞬間。その禁断のワザを、大好きな父と母が使った、その事実が秘める意味を知った瞬間。
「...あ、ああ...」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
その感情を、その涙を抑えることなど、出来るはずもなかった。
To Be Continued...
※お嬢の一人称が〝私〟になっているのは、理由としては
・お嬢の〝余〟という一人称は、1500年という月日を生きた鬼神だからこそのもの(と、作者が勝手に思ってる)。作中のお嬢は1000歳前後であり、鬼神の末裔というだけでまだ完全な鬼神ではない
・あのシーンに〝余〟という、可愛らしい一人称が似合わなかった
などがあります。
続きは...やる気があったら書きます。
それでは、最後までご覧頂きありがとうございました。次回も(書けたら)よろしくお願いします。
無いに等しい語彙力と文章力を片っ端まで集めて書いた&深夜に書いてたから疲れた